国民年金法
保険料の追納

そもそも追納とは?

本来は払わなくてよかった(または猶予された)保険料を あとから払える制度

目的:

  • 将来の年金額を増やすため

 

保険料の免除を受けている被保険者または被保険者であった者は、その後経済的な事情が許すようになれば、免除を受けた期間分の保険料を「追納」することができます。

 
目 次
  1. 保険料の追納
  2. 追納の対象となる保険料
  3. 追納することができない者
  4. 追納すべき順序
  5. 追納すべき額

保険料の追納

 

そもそも追納とは?

本来は払わなくてよかった(または猶予された)保険料を あとから払える制度

目的:

  • 将来の年金額を増やすため

追納の対象となる保険料

 

 

追納できるもの

① 法定免除
② 全額免除
③ 学生納付特例
④ 納付猶予

これらは共通して
「そもそも払わなくてよかった保険料」


⑤ 一部免除
これは少し特殊

  • 一部だけ免除されている
  • 残りは払う必要がある

 

一部免除の重要条件(ここがポイント)

 

残り(免除されていない部分)を納付していることが必要

つまり:

状態 追納できる?
残りを払っている ✅できる
残りを払っていない ❌できない

ここは超重要ひっかけ


 

追納できないもの

以下は明確にNG:

  • ❌ 滞納保険料(普通に未納したもの)
  • ❌ 付加保険料
  • 合算対象期間(カラ期間)

ポイント:
「免除・猶予」ではないものはダメ


 

追納できる期間(最重要)

原則:
承認月の前10年以内


✔ 計算ルール

  • 起点:承認を受けた月
  • そこから10年前まで遡れる

 


 

まとめ

 

✔ 追納対象

免除・猶予された保険料のみ

 

✔ 一部免除

残りを納付していないと不可

 

✔ 期間

承認前10年以内


ポイント

よく出る誤り

  • ❌ 未納保険料も追納できる
    → できない
  • ❌ 一部免除はそのまま追納できる
    → 残り納付が必要
  • ❌ 何年前でも追納できる
    → 10年以内のみ

 

具体例

令和3年4月2日に64歳に達した者が、平成18(2006)年7月から平成28(2016)年3月までの期間を保険料全額免除期間として有しており、令和2(2020)年4月に追納の承認を受けた。

 

 条件

  • 承認:令和2年4月
  • 全額免除期間:平成18年7月~平成28年3月

① 10年ルール適用

令和2年4月 → 10年前は 平成22年4月


② 追納できる範囲

  • 平成22(2010)年4月から平成28(2016)年3月まで

これだけOK


③ なぜ前半がダメ?

  • 平成18年~平成22年3月

10年より前だからNG

追納することができない者

 

 

① 結論

老齢基礎年金の受給権者は追納できない

  • 繰上げ受給者も含む
  • たとえまだ請求していなくてもNG

 

② なぜダメなのか(本質)

一言でいうと

「年金額は確定済みだから」


✔ もう少し具体的に

老齢基礎年金は:

過去の納付実績を固定して給付額を決める制度

  • 受給権が発生した時点で
  • 保険料納付状況に基づいて
  • 年金額が確定する

つまり

  • 追納を認めると
    → 後から年金額を変更できてしまう これは制度的にNG

✔ 制度上の考え方

年金は「事後調整不可」が原則

  • 受給開始後に
  • 好きなタイミングで増額できる

これは制度として不公平になる


 

③ 「請求していなくてもダメ」な理由

 

✔ ここが重要ポイント

問題は「受給しているか」ではなく 「受給権があるか」


つまり

  • 65歳到達などで受給権が発生した時点で もうアウト

請求していないのは単なる手続未了であって 権利自体はすでに成立している 「権利発生=締切」


 

④ なぜ障害・遺族はOKなのか

 

✔ 理由

老齢年金と性質が違う


老齢基礎年金

  • 保険料納付実績に応じて額が決まる
    追納=金額変更になる → NG

障害・遺族基礎年金 → 定額給付(等級や人数)

  • 生活保障的な性格が強い
  • 納付要件はあるが 金額は納付額で直接変動しない

だから追納しても制度が崩れない


 

⑤ まとめ

  • 老齢基礎年金の受給権者は追納不可
    年金額がすでに確定しているため
  • 請求していなくても不可
    受給権発生でアウト
  • 障害・遺族はOK
    年金額が納付実績で変動しないため

 

⑥ よくある誤り

 

❌ パターン①

受給していなければ追納できる
できない(権利で判断)


❌ パターン②

60歳~65歳なら追納できない
できる(まだ受給権なし)


❌ パターン③

繰下げしている間は追納できる
できない(受給権はある)


❌ パターン④

老齢年金の受給権取得後でも10年以内ならOK
ダメ(条文でブロック)

 

 

老齢基礎年金の受給権者繰上げ支給の老齢基礎年金を受給している者を含む)は、追納することができない。(法94条1項かっこ書)

追納すべき順序

 

① 結論(まずシンプルに)

 

✔ 原則は 学生→免除

①  学生納付特例・納付猶予(古い月から)
②  免除(法定・全額・一部)(古い月から)


✔ 例外

もっと古い免除期間があるなら、そっちから先に払ってOK


② なぜこの順序なのか(本質)

✔ ポイント:年金額への反映「年金額に全く反映されない期間を優先して救済するため」

区分 年金額への反映
学生特例・猶予 ❌ 反映されない
全額免除 △(半分)
一部免除 △(一部反映)
法定免除

つまり 学生特例・猶予は放置すると年金ゼロ扱い

➡ だから優先して追納


③ もう一つの重要要素「10年ルール」

追納は 10年以内しかできない


✔ 問題が起きるケース

例えば:

  • 古い免除期間がある
  • でも原則どおり学生特例から払っている

その間に 古い免除期間が10年経過して消える


④ だから例外がある

これを防ぐため

✔ 例外ルール

もっと古い免除期間があるなら、そこから払ってOK


⑤ 具体例で理解

ケース

  • 平成20年:全額免除
  • 平成25年:学生特例
  • 令和2年:追納開始

原則だと

学生特例(平成25年)から払う


でも問題

平成20年は古い

10年過ぎると消える


だから

平成20年(免除)から払ってOK

 


ポイント

よくある誤り

  • ❌ 必ず学生特例から払う必要がある
    違う(例外あり)
  • ❌ 順序は自由
    違う(原則あり)
  • ❌ 新しい月から払える
    違う(古い月から)
  •  追納は「全部じゃなくていい」 一部だけでもOK

  • 必ず「古い月から」 これは例外なし
    ❌ 新しい月から払う → NG


一言で覚えるなら

「原則は学生→免除、ただし古い免除は先に救う」

 

追納すべき額

 

追納額の基本

追納するときは、

その当時の保険料額 + (必要な場合は加算額)

を納めます。

ただし、免除を受けてから長期間経過すると、当時の保険料額だけではなく「加算額」が上乗せされます。


いつまでなら加算されないのか

 

法律では、

免除を受けた月の属する年度の4月1日から3年を経過する日までは加算なし

とされています。

簡単にいうと、

免除を受けた年度の翌々年度末まで

に追納すれば加算はありません

令和2年度(2020年4月~2021年3月)に免除を受けた場合

期間 加算
令和2年度 なし
令和3年度 なし
令和4年度 なし
令和5年度以降 加算あり

したがって、

令和4年度中(2023年3月31日まで)に追納すれば加算なし

です。


 

なぜ「3年」なのに翌々年度までなのか

年度単位で計算するためです。

例えば令和2年5月に免除された場合、

  • 起算日:令和2年4月1日
  • 3年経過日:令和5年4月1日

となります。

そのため、

令和5年4月以降に追納すると加算額が発生

します。


3月分だけ特例がある

3月分の免除には特別ルールがあります。

例えば、

  • 令和2年3月分の保険料を免除

された場合、

通常の考え方だと令和4年度末ではなく、

翌々年の4月まで

加算なしで追納できます。

つまり、

免除月 加算なし期限
令和2年3月分 令和4年4月中

となります。

これは3月が年度末であり、制度上の不公平を防ぐための特例です。


加算額はどのくらいか

加算額は毎年変わり、厚生労働大臣が告示します。

例えば、

  • 令和2年度の免除分を令和6年度に追納
  • 令和元年度の免除分を令和6年度に追納

では、それぞれ異なる加算率が適用されます。

考え方としては、

古い免除期間を追納するほど加算額が大きくなる

という仕組みです。

 

「免除を受けてからすぐ追納すれば当時の保険料だけで済むが、3年以上経過してから追納すると利息のような加算額が付く」

ということです。これは、後からまとめて納める人と当時きちんと納めていた人との公平を保つための制度です。

 

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