労働組合法

  • 労働組合法は、労使関係に係る法律の中心です。
  • 憲法28条の規定する労働基本権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を基礎に、労働組合、団体交渉権などについて規定されています。

 

大きく整理すると、

①労働三権
②労働組合の要件
③不当労働行為

の3つを理解すれば全体像が見えます。

 

特に覚えるべきものは次の5つです。

①労働三権
(団結権・団体交渉権・団体行動権)

②組合役員は直接無記名投票

③ストライキも直接無記名投票の過半数決議

④会社は正当な理由なく団体交渉を拒否できない

⑤組合員であることを理由に不利益取扱いをすると不当労働行為になる

 

この5点が労働組合法の骨格であり、判例(プロ野球選手会事件・根岸病院事件・山形大学事件)はすべて「労働三権を実効的に保障する」という憲法28条の考え方から理解すると整理しやすくなります。

 

目 次

  1. 労働三権(労働基本権)
  2. 労働組合
    1. 不当労働行為 不利益な取扱い
    2. 不当労働行為 団体交渉拒否
    3. 不当労働行為 経理上の援助

労働三権(労働基本権)

 

なぜ労働三権があるのか

憲法28条は

勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

と定めています。

なぜでしょうか。

労働者一人と会社一社では圧倒的に力関係が違うからです。

例えば、

  • 賃金を上げてほしい
  • 残業を減らしてほしい

と個人が会社に言っても、

嫌なら辞めればいい

と言われれば終わってしまいます。

そこで憲法は、

労働者が団結して会社と対等に交渉できる権利

を保障しています。


労働三権

 

(1)団結権

労働組合を作る権利です。

例えば

  • ○○労働組合
  • 教職員組合
  • プロ野球選手会

などです。

会社は

組合を作るな

とは言えません。


(2)団体交渉権

労働組合が会社と交渉する権利です。

例えば

  • 給与改定
  • 賞与
  • 人員削減
  • ハラスメント対策

などについて交渉できます。


(3)団体行動権(争議権)

交渉が決裂した場合の最終手段です。

代表例は

  • ストライキ
  • 時限スト
  • 順法闘争

などです。

労働組合

 

労働組合とは何か

労働組合法2条

労働者が主体となり自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体

です。

ポイントは

 

労働者が主体

会社が支配してはいけません。

 

自主的

会社の御用組合は認められません。

 

主たる目的

労働条件改善

が目的であることです。


プロ野球選手も労働者

面白い判例です。

日本プロ野球選手会事件
(東京高裁平成16年)

球団再編問題で

選手会が

選手の雇用に影響する

として団体交渉を申し入れました。

これに対し

プロ野球選手は労働者ではない

という主張が問題になりました。

裁判所は

労働組合法上の労働者である

と判断しました。

そのため

  • プロ野球選手会
  • プロサッカー選手会

は労働組合として認められています。


労働組合の民主的運営

法律は

組合内部も民主的であること

を要求しています。


役員選挙

役員は

直接無記名投票

で選ばなければなりません。

つまり

× 拍手

× 挙手

○ 秘密投票

です。


ストライキ決議

ストライキを行う場合も

組合員の直接無記名投票

が必要です。

しかも

過半数の賛成

が必要です。

不当労働行為 不利益な取扱い

 

 

不当労働行為とは

会社が労働組合活動を妨害する行為です。

労働組合法7条が禁止しています。

①不利益取扱い

②団体交渉拒否

③支配介入(経理上援助)

の3つで覚えます。


不当労働行為① 不利益取扱い

例えば

 

違法例

  • 組合員だから昇進させない
  • 組合を作ったから解雇
  • 労働委員会に申立てしたから降格

などです。

これは労働三権を実質的に奪うため禁止されています

不当労働行為 団体交渉拒否

 

② 団体交渉拒否

会社は

正当な理由なく団体交渉を拒否できません。


合同労組も対象

最近実務で重要です。

例えば

ユニオン(合同労組)

が団体交渉を申し入れた場合、

会社は

うちの社員だけの組合じゃないから

という理由で拒否できません。


義務的団交事項

会社が交渉しなければならない事項です。

 

  • 給与
  • 賞与
  • 労働時間
  • 人事評価
  • ハラスメント対策
  • 配置転換

など

労働条件に関する事項です。


誠実交渉義務

会社は

単に会うだけでは足りません。

例えば

理由は言えません

資料は出しません

とにかく会社の方針です

ではダメです。

会社は

  • 説明
  • 根拠の提示
  • 資料の開示

を行い

誠実に交渉する義務があります。


山形大学事件

最高裁令和4年判決です。

大学側が誠実交渉義務に違反しました。

大学は

どうせ合意できないのだから交渉しても意味がない

と主張しました。

しかし最高裁は

合意の見込みがなくても誠実交渉義務はある

と判断しました。

理由は、

団体交渉には

  • 合意形成
  • 組合の交渉力回復
  • 労使関係の正常化

 

という役割があるからです。

不当労働行為 経理上の援助

③ 経理上の援助

会社が労働組合を金銭的に支配することを防ぐ制度です。


違法例

会社が

  • 組合運営費を全額負担
  • 組合活動費を支給

する場合

組合が会社の言いなりになってしまいます。

そこで禁止されています。


例外

以下は認められます。

 

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