男女雇用機会均等法

 労働者が性別により差別されることなく、また、働く女性が母性を尊重されつつ、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備することを目的として、「男女雇用機会均等法」は制定されました。

 

特に重要なのは次の点です。

論点 ポイント
法5条 男女双方への差別禁止
面接で女性だけ結婚予定を聞く 違法
採用人数を男女別に設定 違法
マタハラ ① 制度利用型 + ② 状態型
不妊治療への否定的言動 含まれる
相談したことによる不利益取扱い 禁止
防止措置 相談体制整備等が義務
罰則 なし

 

目 次

  1. 直接差別の禁止(募集及び採用) (法5条)
  2. 職場における妊娠、出産などに関するハラスメントの対策 
  3. マタニティーハラスメント防止のため講ずべき措置 (法11条の3)
  4. 職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務 (法11条の4)
  5. 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置

直接差別の禁止(募集及び採用)(法5条)

 

原則

事業主は

性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない

とされています。


ポイント

この規定は

女性保護規定ではない

ということです。

つまり

  • 女性差別もダメ
  • 男性差別もダメ

です。


典型例

 

NG① 男性のみ募集

「男性営業職募集」

法5条違反


NG② 女性のみ募集

「受付は女性限定」

法5条違反


NG③ 女性だけ質問

面接で

女性にだけ

  • 結婚予定
  • 出産予定
  • 育児予定

を聞く

法5条違反


NG④ 男女で採用基準が違う

男性60点以上

女性70点以上

法5条違反


NG⑤ 男女別採用人数

男性20名

女性5名

法5条違反


ポイント

「女性のみ禁止」

ではありません。

男性差別も禁止です。


例外的に性別を要件にできる場合

均等法でも例外があります。


① 芸術・芸能

  • 女優
  • 男性モデル
  • 女性歌手役

など


表現の真実性が必要

性別限定可


② 警備・守衛

防犯上

男性配置が必要

例外的に可


③ 助産師

保健師助産師看護師法

助産師は女性のみ


男性は就業不可


④ 海外勤務

宗教・風習等で

男女平等な配置が困難


例外的に認められることがあります。

職場における妊娠、出産などに関するハラスメントの対策(法11条の3)

いわゆる

マタハラ

です。


何を防止する制度か

妊娠

出産

産前産後休業

育児休業

などを理由とした嫌がらせです。


事業主の義務

事業主は

相談体制の整備

その他必要な雇用管理措置

を講じなければなりません。


ここは

努力義務ではなく

義務規定

です。


マタハラの対象者


対象は

 

正社員

だけではありません。


  • パート
  • 契約社員
  • 派遣労働者

なども含みます。


マタハラの2類型

整理すると非常に覚えやすいです。


① 制度利用への嫌がらせ型

制度を利用しようとしたことへの嫌がらせ


育休取りたいです

上司

「昇進できなくなるぞ」


産休を申請

上司

「申請取り下げろ」


育休取得

同僚

「みんな迷惑している」


これが

制度利用型

です。


② 状態への嫌がらせ型

妊娠した事実そのものへの嫌がらせ


妊娠しました

上司

「じゃあ辞めてもらう」


妊娠した女性に

繰り返し嫌味

状態型マタハラ


覚え方

制度利用型

産休・育休など

制度を使うことへの嫌がらせ


状態型

妊娠・出産した事実への嫌がらせ


相談したことへの不利益取扱い禁止

労働者が

  • 相談した
  • 調査に協力した
  • 事実を述べた

ことを理由に

解雇などをしてはいけません。


これは

 

セクハラ・パワハラ規制と共通です。

マタニティーハラスメント防止のため講ずべき措置

覚えるべきは5本柱です。


① 方針の明確化・周知

相談窓口整備

③ 迅速な事後対応

④ 原因解消措置

⑤ その他必要措置


不妊治療も含まれる

2021年改正の重要点です。


妊娠・出産への否定的言動

には

不妊治療への否定的言動

も含まれます。


例えば

「不妊治療で休むな」

なども問題になります。


罰則はあるか


法11条の3

マタハラ防止措置義務

罰則なし

です。


行政指導等の対象にはなりますが、

刑事罰はありません。


Ⅸ 2021年改正

職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務(法11条の4)

誰に責務があるか整理すると


啓発活動

広報活動


事業主

研修

周知

職場環境整備


役員

自ら理解を深める


労働者

他人への言動に注意


 

全員に責務があります。

妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置

 

結論(まず押さえる)

これは
事業主に対する「義務規定(強行規定)」です
努力義務ではないのが最大のポイント


 

■ 制度の目的

背景はシンプルです

  • 妊娠中・出産後は健康リスクが高い
  • しかし働き続ける女性が増えている


「働きながら安全に出産できる環境を確保する」


 

■ 条文ごとの意味

 

① 法12条(受診時間の確保)


健診・保健指導を受ける時間を確保させる義務

 

ポイント

  • 対象:妊娠中・産後の女性労働者
  • 内容:
    • 健康診査(いわゆる妊婦健診)
    • 医師・助産師の保健指導

会社は
「行っていいよ」ではなく「行けるようにしなければならない」


② 法13条(指導事項の実現)


医師の指導を守れるように職場環境を調整する義務

 

具体例

  • 通勤緩和(時差出勤)
  • 勤務時間の短縮
  • 休憩の追加
  • 軽作業への変更

単なる配慮ではなく 具体的な措置を取る義務


 

■ 重要ポイント

 

① 努力義務ではない

「~しなければならない」=法的義務

 


② きっかけは「医師等の指導」

特に法13条は 医師・助産師の指導が前提

つまり

  • 何も言われていない → 義務発動しにくい
  • 指導あり → 会社は対応必須

 


 

■ 実務イメージ

例えば

  • 妊婦が「通勤ラッシュがつらい」と医師から指導
    会社は時差出勤など対応が必要
  • 「長時間立ち仕事は避けるべき」と指導
    軽作業へ変更

 

■ まとめ(1行)


妊娠・出産期の女性労働者について、健診の時間確保と医師の指導を実現するための措置を事業主に義務付けた規定

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