労災保険法
第三者行為災害

労災保険における「第三者行為災害」とは、交通事故など、職場の上司・同僚以外の第三者の加害行為によって発生した労働災害を指します
この場合、被災者は「労災保険への請求」と「加害者の損害賠償」の両方が可能ですが、同一の損害に対して二重に補填を受けることはできません 

 

目 次

  1. 求償(労災保険給付先行の場合)
  2. 自動車損害賠償保障法との関係
  3. 控除(損害賠償先行の場合)
  4. 示談との関係
  5. 労災保険給付側での調整

求償(労災保険給付先行の場合)

 

政府は、保険給付の原因である事故第三者の行為によって生じた場合において、「先に保険給付をしたときは、その給付の価額の限度で、保険給付を受けた者第三者に対して有する損害賠償の請求権を代位取得し、第三者に対して損害賠償請求権を行使する。(法12条の4第1項)

  • 労災保険給付が先行して行われた場合は、政府損害賠償請求権代位取得し、第三者に対して損害賠償請求権を行使します。この行為を「求償」といいます。

 

自動車損害賠償保障法との関係

労災保険の給付と自動車損害賠償責任保険の損害賠償額の支払との先後の調整については、給付事務の円滑化をはかるため、原則として自動車損害賠償責任保険の支払」を労災保険の給付に先行させることになっている。(平成8年3月5日基発99号)

  • あくまでも原則でありいずれを請求するかは被災労働者の自由です
  • 自動車損害賠償保障法の規定により、被災労働者に対し保険給付が行われた場合には、被災労働者が自動車損害賠償責任保険に対して有する損害賠償額の支払請求権は、労災保険法の損害賠償請求権とみなされるため、政府は、当該請求権を代位取得することができる。

控除(損害賠償先行の場合)

第三者行為災害において、保険給付を受けるべき者が当該第三者から同一の事由について「先に損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度保険給付をしないことができる。(法12条の4第2項)

  • 労災の保険給付を行わないことを「控除」といいます。

示談との関係

 

受給権者と第三者との間に示談が行なわれている場合は、当該示談が次に掲げる事項の全部を充たしているときに限り、保険給付を行なわない
​(昭和38年6月17日基発687号)

示談
  1.  当該示談が真正に成立していること。
  2.  当該示談の内容が、受給権者の第三者に対して有する損害賠償請求権(保険給付と同一の事由に基づくものに限る)の全部のてん補を目的としていること(いわゆる全部示談が成立していること)。
  1. 受給権者が自ら、第三者の自己に対する損害賠償義務の全部又は一部を示談によって免除し、
  2. その限度において損害賠償請求権を喪失した場合、
  3. 受給権者の損害賠償請求権が存在することを前提とする求償が行うことができないため
  4. 政府はその限度において保険給付を行わないこととされています

例えば「100万円の損害額を受け取った後は以後の全ての損害についての請求権を放棄する」といった示談が真正に成立すると、被災労働者がその後労災保険給付の請求を行っても、すでに損害賠償請求権は放棄済みのため、原則として保険給付は行われないことになります。

 

  • 次の場合には、真正に成立した示談とは認められない
示談と認められない場合
  1.  当該示談錯誤又は心裡留保(相手方がその真意を知り、又は知り得べかりし場合に限る)に基づく場合
  2.  当該示談が、詐欺又は強迫に基づく場合

労災保険給付側での調整

 

労働者又はその遺族が、事業主から損害賠償を受けることができる場合であって、保険給付(一定のものを除く)を受けるときに、同一の事由について、損害賠償(当該保険給付によっててん補される損害をてん補する部分に限る)を先行して受けたときは、政府は、労働政策審議会の議を経て厚生労働大臣が定める基準支給調整基準)により、その価額の限度で、保険給付をしないことができる。(附則64条2項)

  • 行政庁により支給調整が恣意的に行われることを防ぐために労働政策審議会の議を経ることとなっています

 

条文

条文 内容
附則64条1項 労働者又はその遺族が障害補償年金若しくは遺族補償年金、複数事業労働者障害年金若しくは複数事業労働者遺族年金又は障害年金若しくは遺族年金(以下「年金給付」という)を受けるべき場合(当該年金給付を受ける権利を有することとなった時に、前払一時金給付を請求することができる場合に限る)であって、……
附則64条2項 労働者又はその遺族が、当該労働者を使用している事業主又は使用していた事業主から損害賠償を受けることができる場合であって、(保険給付)を受けるべきときに、同一の事由について、損害賠償(当該保険給付によって填補される損害を填補する部分に限る。)を受けたときは、……

労災保険給付先行附則64条1項の場合は、「前払一時金制度のある場合に限られるため条文上は年金給付と表現しています
 これに対し損害賠償先行附則64条2項の場合は前払一時金制度の有無は問わないため条文本文では保険給付と表現しています

 

  1. 前払一時金最高額における履行猶予部分について
  2. 労災保険から給付が行われ
  3. 当該部分が全て免責になったあと
  4. 残余の部分につい事業主から損害賠償を受けたときは
  5. 政府は、「労働政策審議会の議を経て
  6. 厚生労働大臣が定める基準によりその価額の限度で保険給付をしないことになります
  7. そしてこの支給停止期間が終わった後から再度給付が行われます

 

当該働者又はその遺族が、前払一時金給付を請求することができる年金給付を受けるべき場合においては、前払一時金給付の最高限度額に達するまでの年金給付については損害賠償を受けても支給調整されない。(附則64条2項ただし書)

  • 履行猶予」の利益が与えられているにもかかわらず、事業主が、この履行猶予の利益を放棄して、あえて損害賠償をする場合には、この部分は二重てん補となりますが、労災保険からもその部分については支給が行われます

登録支援/有料職業紹介のご相談はこちら

 

お問い合わせはこちらから

芸術家×起業家

 

お     一般社団法人芸商橋
 

               BusinessArtBridge

 

サイト内検索

サイドメニュー