国民年金法
国民年金基金及び国民年金基金連合会

国民年金基金とは自営業者やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者が、老齢基礎年金に上乗せして受け取るための公的な年金制度です。

 

まとめ

国民年金基金については、次のポイントを押さえることが重要です。

給付

老齢 → 年金
死亡 → 一時金
障害 → なし
脱退 → なし

加入

原則 → 国民年金第1号被保険者
一定の任意加入被保険者 → 加入可能
第3号被保険者・一定の保険料免除者・農業者年金の被保険者 → 加入不可

資格喪失

事由によって、**「その日」「翌日」「月の初日」**のいずれになるかが異なる。

掛金

原則上限 → 月額68,000円
一定の追納に伴う特例 → 月額102,000円(60か月限度)

 

国民年金基金は、単に「第1号被保険者の上乗せ年金」と覚えるだけでなく、誰が加入できるのか、どのような給付があるのか、いつ資格を喪失するのかを整理して理解することがポイントです。

 

目 次

  1. 国民年金基金の業務
  2. 給付の種類
  3. 基金の種類など
  4. 加入員の資格取得
    1. 任意加入被保険者の取扱い
  5. 資格喪失の時期
  6. 費用の負担

国民年金基金の業務

 

国民年金基金は、加入員または加入員であった者に対して、次の業務を行います(法115条、法128条1項・2項)。

 

法定業務

国民年金基金が法律上行う給付は、次の2つです。

  1. 老齢に関する年金の支給
  2. 死亡に関する一時金の支給

ここで重要なのは、国民年金基金には障害に関する給付や脱退に関する給付はないという点です。

したがって、基本的には、

本人の老齢 → 年金
本人の死亡 → 遺族に一時金

という仕組みになっています。

死亡については、遺族に継続的に年金を支給する「遺族年金」ではなく、一時金として給付する制度になっている点に注意しましょう。

 

任意業務

国民年金基金は、上記の法定業務のほか、

加入員及び加入員であった者の福祉を増進するため、必要な施設をすること

ができます。

これは任意業務であり、必ず行わなければならない業務ではありません。

 

「福祉」の表現に注意

目的条文などでは、「福祉の増進」「福祉の向上」といった似た表現が使われるため、条文の文言に注意が必要です。

国民年金法1条では、

「健全な国民生活の維持及び向上に寄与すること」

とされている一方、国民年金基金の業務について定める法128条2項では、

「福祉を増進」

という表現が使われています。

 


給付の種類(国民年金基金/厚生年金基金/確定拠出年金/確定給付企業年金)

 

○=法定給付 ▲=任意給付(できる規定) ×=なし

制度\給付 老齢 障害 遺族 脱退
国民年金基金 ○ 年金 × ○ 一時金 ×
厚生年金基金 ○ 年金 ▲ 年金 or 一時金 ▲ 年金 or 一時金 ○ 一時金
確定拠出年金 ○ 年金(規約により一時金) ○ 年金(規約により一時金) ○ 一時金 ○ 一時金
確定給付企業年金 ○ 年金(規約により一時金) ▲ 年金 or 一時金 ▲ 年金 or 一時金 ○ 一時金

業務の委託

国民年金基金は、厚生労働大臣の認可を受けて、その業務の一部を一定の法人に委託することができます(法128条5項)。

委託できる業務には、加入員または加入員であった者に年金・一時金を支給するために必要となる、その者に関する情報の収集、整理または分析も含まれます。

委託先としては、例えば次のような法人があります。

  • 信託会社
  • 信託業務を営む金融機関
  • 生命保険会社
  • 農業協同組合連合会
  • 共済水産業協同組合連合会
  • 国民年金基金連合会
  • その他の法人

銀行その他の政令で定める金融機関は、国民年金基金の業務のうち、加入の申出の受理に関する業務に限り、国民年金基金から受託することができる。(128条6項)

 

 

なぜ死亡に関して年金ではないのか

国民年金基金は「老齢=年金」「死亡=一時金」

  • 老齢については 終身年金 を支給するが

  • 死亡の場合は 遺族に対する年金制度ではなく、一時金

という仕組みになっているからです。

基金の種類など

 

国民年金基金には、地域型基金職能型基金があります(法115条の2、法118条の2)。

  地域型基金 職能型基金
地区 1以上の都道府県の区域の全部 全国
設立単位 都道府県につき1個 同種の事業または業務につき全国を通じて1個
組織する者 基金の地区内に住所を有する第1号被保険者 同種の事業または業務に従事する第1号被保険者

※地域型基金について、吸収合併後存続する基金は、1以上の都道府県の区域を地区とすることができます。

職能型基金には、例えば次のものがあります。

  • 歯科医師国民年金基金
  • 司法書士国民年金基金
  • 日本弁護士国民年金基金

例えば弁護士の職能型基金の場合、弁護士本人だけでなく、弁護士業務に従事する者も加入対象となり得ます。


 

加入員の資格取得

 

第1号被保険者は、

  1. 住所を有する地区に係る地域型基金
  2. 従事する事業または業務に係る職能型基金

のいずれかに申し出ることにより、その加入員となることができます(法127条1項)。

ただし、同時に2以上の国民年金基金に加入することはできません。

職能型基金の加入対象者であっても、必ず職能型基金に加入しなければならないわけではありません。

地域型基金と職能型基金の双方の加入要件を満たしている場合には、どちらに加入するかを本人が選択できます。

 

加入できない者

次の者は、原則として国民年金基金の加入員となることができません。

  • 第3号被保険者
  • 産前産後期間中の保険料免除を除く保険料免除者
  • 一部免除者
  • 農業者年金の被保険者

保険料免除者等については、法116条1項かっこ書に注意しましょう。


任意加入被保険者の取扱い

 

一定の任意加入被保険者については、第1号被保険者とみなして、国民年金基金に加入することができます(附則5条11項・12項)。

加入対象となるのは、次の任意加入被保険者です。

 

① 国内に住所を有する60歳以上65歳未満任意加入被保険者

日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の任意加入被保険者は、国民年金基金に加入することができます。

 

② 海外に住所を有する20歳以上65歳未満の一定の任意加入被保険者 = 海外に住む日本人の任意加入者

日本国籍を有する者その他政令で定める者であって、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の任意加入被保険者についても、国民年金基金に加入することができます。

したがって、

海外に住んでいる日本人だから国民年金基金に加入できない

という理解は誤りです。

  • 海外にいる日本人
    → 年金不安 → 上乗せOK

一定の要件を満たして任意加入している場合には、海外在住者でも国民年金基金への加入が認められます。

 

 

加入できない任意加入被保険者

一方、次の者は国民年金基金の加入員となることができません。

  • 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者で、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる任意加入被保険者
  • 65歳以上の特例による任意加入被保険者

つまり、

「任意加入被保険者であれば、誰でも国民年金基金に加入できる」わけではありません。

任意加入被保険者については、年齢、国内・国外の住所、任意加入の根拠などを確認して加入可否を判断する必要があります。

国民年金基金は

老齢基礎年金の上乗せ制度(=老後のための制度)

だから基本ルールは

「まだ老齢年金をもらえない人だけ」加入OK

 

ポイント

○ 加入できる

× 加入できない

  • 国内在住の20歳以上60歳未満で、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けられる一定の任意加入被保険者
  • 65歳以上の特例任意加入被保険者

資格喪失の時期

 

国民年金基金の加入員は、一定の事由が生じた場合に資格を喪失します(法127条3項)。

特に重要なのが、資格喪失日が事由によって異なることです。

資格喪失事由 資格喪失の時期
地域型基金の地区内に住所を有しなくなった/職能型基金の対象となる事業・業務に従事しなくなった その日の翌日
国民年金基金が解散した その日の翌日
被保険者資格を喪失した/第2号・第3号被保険者となった その日
農業者年金の被保険者となった その日
保険料の全部または一部について納付を要しないものとされた その月の初日

 

第2号被保険者となった場合

例えば、開業社会保険労務士が社会保険労務士法人を設立して代表社員となり、第1号被保険者から第2号被保険者へ種別変更した場合には、第2号被保険者となった日に国民年金基金の加入員資格を喪失します。

 

保険料免除となった場合

国民年金保険料の全部または一部について納付を要しないものとされた場合には、その月の初日にさかのぼって加入員資格を喪失します。

ただし、ここでいう保険料免除には、産前産後期間中の保険料免除は含まれません。

 

自由に脱退することはできない

国民年金基金には、加入員本人の希望による「申出による資格喪失」制度はありません。

一度加入した後は、単に「やめたい」という理由だけで自由に脱退することはできず、第2号被保険者になるなど、法律で定められた資格喪失事由が生じた場合に資格を喪失します。


同月得喪の取扱い

加入員の資格を取得した月に、その資格を喪失した場合には、

資格を取得した日にさかのぼって、加入員でなかったものとみなされます。(法127条4項)

したがって、

「資格を取得した月の翌月に資格喪失する」

という取扱いではありません。

最初から加入員ではなかったものとして扱われる点が重要です。

 

資格取得・喪失の届出

国民年金基金は、加入員の資格の取得及び喪失に関する事項を、厚生労働大臣に届け出なければなりません(法139条)。

費用の負担

 

国民年金基金は、基金が支給する年金及び一時金に関する事業に必要な費用に充てるため、加入員から掛金を徴収します(法134条1項)。

掛金は、年金額の計算の基礎となる各月について徴収されます(法134条2項)。

 

国民年金保険料との関係

国民年金基金の掛金を納付できるのは、原則として、国民年金の保険料納付済期間となる期間に限られます。

国民年金保険料を納付していない期間については、国民年金基金の給付の対象とはなりません。

その期間について国民年金基金の掛金を納付していた場合には、加入員の請求に基づいて掛金が還付されます(法130条2項・法134条2項)。

したがって、

国民年金保険料を納付していない月について、国民年金基金だけを掛け続けることはできない

と理解しておくとよいでしょう。


掛金の上限

掛金の額は、原則として、

1か月につき68,000円以下

とされています(基金令34条)。

各国民年金基金が自由に掛金の上限を決めることができるわけではありません。

 

追納した場合の特例

国民年金基金の加入員となった後に、過去の保険料免除期間について国民年金保険料を追納した場合などには、一定の特例があります。

保険料免除を受けていたため国民年金基金に加入できなかった期間に相当する期間については、60か月を限度として、掛金の上限を

1か月につき102,000円

とすることができます(基金令35条1項)。

通常の上限である月額68,000円と、特例の場合の月額102,000円を区別して覚えておきましょう。

登録支援/有料職業紹介のご相談はこちら

 

お問い合わせはこちらから

芸術家×起業家

 

お     一般社団法人芸商橋
 

               BusinessArtBridge

 

サイト内検索

サイドメニュー