社会保険労務士法

社会保険労務士の使命

社労士法1条は、現在は「目的」ではなく、使命規定です。

社労士は、労働・社会保険法令の円滑な実施を通じて、

  • 適切な労務管理の確立
  • 個人の尊厳が保持された適正な労働環境の形成
  • 事業の健全な発達
  • 労働者等の福祉の向上
  • 社会保障の向上・増進

に資する専門職です。

 

ポイント

  • 社労士法1条は使命規定
  • 紛争解決手続代理業務は特定社労士のみ
  • 民間ADRで120万円超は弁護士との共同受任
  • 労働争議・募集採用紛争は対象外
  • 補佐人はすべての社労士が可能
  • 補佐人は弁護士である代理人とともに出頭
  • 欠格事由は多くが3年
  • 登録事項変更は遅滞なく
  • 秘密保持義務は退職後・廃業後も続く
  • 帳簿保存は2年間
  • 依頼拒否禁止から紛争解決手続代理業務は除外
  • 懲戒は戒告・1年以内の業務停止・失格処分
  • 戒告・業務停止でも聴聞+公開
  • 故意の虚偽申請等は業務停止または失格
  • 過失の場合は戒告または業務停止
  • 懲戒処分後は通知+官報公告

 

この章は、「特定社労士だけの業務」と「すべての社労士ができる補佐人」の区別が重要です。

 
目 次
  1. 第1号業務(紛争解決手続代理業務)
  2. 補佐人制度
  3. 欠格事由
  4. 登録
  5. 秘密を守る義務
  6. 帳簿の備付け及び保存
  7. 依頼に応ずる義務
  8. 懲戒の種類
  9. 懲戒処分

第1号業務(紛争解決手続代理業務

 

これは、特定社会保険労務士のみが行えます。

対象は主に、

  • 紛争調整委員会のあっせん
  • 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法等の調停
  • 都道府県労働委員会のあっせん
  • 厚生労働大臣指定団体による民間ADR です。

 

重要ポイント

対象は、個別労働関係紛争です。 ただし、

  • 労働争議
  • 募集・採用に関する紛争

は除かれます。

民間ADRで、紛争の目的価額が120万円超の場合は、弁護士との共同受任が必要です。


紛争解決手続代理業務に含まれるもの

含まれる事務は、

  • 相談
  • 和解交渉
  • 和解契約の締結 です。

ここでいう「相談」は、あっせん等で解決する方針を固めた後の相談です。

方針を固める前に制度説明をすることは、通常の第3号業務として行えます。

 

① 行政ADR

実施主体 手続 内容
紛争調整委員会 あっせん 個別労働関係紛争解決促進法に基づくあっせん手続の代理
紛争調整委員会 調停 男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などに基づく調停手続の代理
都道府県労働委員会(知事の委任) あっせん 個別労働関係紛争(※労働争議、募集・採用紛争を除く)のあっせん手続の代理

② 民間ADR

実施主体 手続 内容 備考
厚生労働大臣指定団体 あっせん等 個別労働関係紛争(※労働争議、募集・採用紛争を除く)における当事者の代理 紛争の目的の価額が120万円超の場合は弁護士との共同受任

重要ポイント

  • 対象は「個別労働関係紛争」

  • 労働争議や募集・採用紛争は除外

  • 民間ADRで120万円超は弁護士との共同受任

 

平成17年改正により一定の裁判外紛争解決手続訴訟手続によらずに民事上の紛争の解決をしようとする紛争の当事者のため公平な第三者が関与してその解決を図る手続ADRにおいて紛争解決手続代理業務を行なうことができるようになりました

補佐人制度

 

社会保険労務士は、裁判所において、

弁護士である代理人とともに

補佐人として出頭し、陳述できます。

これは、すべての社会保険労務士が可能です。

特定社労士に限られません。

紛争当事者の「代理人」と弁護士の「補佐人」の違い

区分 紛争解決手続代理業務 補佐人
できる人 特定社労士のみ すべての社労士
場所 ADR(裁判外) 裁判所
単独行動 不可、弁護士とともに
役割 当事者代理_当事者に代わって意思表示を行う 弁護士の補佐_弁護士の陳述を補足する
120万円制限 あり なし

 

 

超シンプル整理

  • 代理人=本人の代わりに発言・手続できる(特定社労士のみ)

  • 補佐人=弁護士をサポートする立場(単独不可)

欠格事由

代表的な欠格事由は、

  • 未成年者
  • 破産手続開始決定を受けて復権を得ない者
  • 失格処分後3年を経過しない者
  • 社労士法・労働社会保険諸法令違反で罰金以上、3年未経過
  • その他法令で拘禁刑以上、3年未経過
  • 登録取消後3年未経過
  • 公務員の懲戒免職後3年未経過
  • 弁護士・税理士・行政書士等で重い懲戒処分を受け、3年未経過 です。

キーワードは、3年です。

登録

 

社会保険労務士になるには、

社会保険労務士名簿への登録

が必要です。

登録を受けると、当然にその都道府県の社会保険労務士会の会員になります。

登録事項に変更があったときは、

遅滞なく

変更登録を申請します。

秘密を守る義務

 

対象は、

  • 開業社会保険労務士
  • 社会保険労務士法人の社員
  • 使用人その他の従業者 です。

退職後・廃業後も義務は続きます。

罰則は、 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 です。

帳簿の備付け及び保存

 

 

対象は、 開業社会保険労務士・社会保険労務士法人 です。

帳簿には、

  • 事件の名称
  • 依頼年月日
  • 報酬額
  • 依頼者の住所・氏名等
  • 事件の概要

を記載します。

保存期間は、

帳簿閉鎖の時から2年間 です。

罰則は、 100万円以下の罰金 です。

依頼に応ずる義務

 

 

開業社会保険労務士は、

正当な理由がある場合でなければ

依頼を拒めません。 ただし、

紛争解決手続代理業務は除かれます。

報酬については、請求がなくても、あらかじめ報酬基準を示す必要があります。

懲戒の種類

 

社会保険労務士の懲戒処分は3種類です。

  1. 戒告
  2. 1年以内の業務停止
  3. 失格処分

戒告・業務停止でも、

聴聞+公開 です。

失格処分も、聴聞の審理は公開です。

 

 

 

懲戒手続の比較

(行政手続法 × 社会保険労務士法)

処分内容 行政手続法   社会保険労務士法
① 戒告 弁明の機会の付与 聴聞 + 公開
(社労士法25条の4第1項・第3項)
② 業務の停止(1年以内) 弁明の機会の付与 聴聞 + 公開
(社労士法25条の4第1項・第3項)
③ 失格処分 聴聞(行政手続法13条1項)   公開
(社労士法25条の4第3項)

業務停止および失格処分では「証票返還」が必要。


ポイント整理

 

行政手続法の原則

  • 不利益処分は
    → 原則「弁明の機会の付与」
    → 重い処分は「聴聞」

 

 

社労士法の特徴

  • 戒告・業務停止でも 聴聞+公開

  • 失格処分は 公開

懲戒処分

懲戒処分の内容

 

故意に虚偽申請等をした場合

処分は、

  • 業務停止
  • 失格処分 です。

戒告はありません。

 

 

相当の注意を怠った場合

処分は、

  • 戒告
  • 業務停止 です。

失格処分はありません。

 

社労士法違反・重大な非行等

処分は、

  • 戒告
  • 業務停止
  • 失格処分

すべてあり得ます。


懲戒処分後

厚生労働大臣は、懲戒処分をしたときは、

  • 遅滞なく
  • 理由を付記した書面で本人に通知
  • 官報で公告

しなければなりません。

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