確定拠出年金法

確定拠出年金で特に押さえておきたいのは、次の点です。

  • DCは「掛金」が確定する制度
  • 企業型DCは原則として事業主が掛金を拠出
  • iDeCoは国民年金基金連合会が実施
  • 企業型DCで資格取得月と資格喪失月が同じ場合は、取得日にさかのぼって加入者でなかったものとみなす
  • 第3号被保険者もiDeCoに加入できる
  • 第1号被保険者の保険料免除者等は原則としてiDeCo加入不可
  • 企業型DC加入者でも一定の場合にはiDeCoに加入できる
  • マッチング拠出との同時利用には制限がある
  • 個人型年金の老齢給付金を受けた者はiDeCoに再加入できない

 

特に重要

 

企業型DC

資格取得と資格喪失が同じ月

資格取得日にさかのぼって「加入者でなかった」とみなす

 

iDeCo

国民年金第3号被保険者

国民年金基金連合会への申出により加入できる

この2つは、引っかけられやすいポイントとして整理しておくと分かりやすいです。

 
目 次
  1. 目的
  2. 定義
  3. 企業型年金における継続投資教育
  4. 個人別管理資産
  5. 中小事業主掛金
  6. 個人型年金加入者になれない人

確定拠出年金法

 

確定拠出年金(DC)は、

あらかじめ拠出する掛金が決まっており、その掛金と運用収益の合計額によって、将来受け取る給付額が決まる年金制度

 

確定拠出年金には、大きく分けて、

  1. 企業型年金(企業型DC)
  2. 個人型年金(iDeCo)

の2種類があります。


確定拠出年金(DC)と確定給付企業年金(DB)

まず、DCとDBの違いを整理します。

項目 確定拠出年金(DC) 確定給付企業年金(DB)
あらかじめ決まっているもの 掛金 将来の給付額
運用 原則として加入者 事業主・基金等
将来の給付額 運用結果によって変動 あらかじめ定められる
主な特徴 自分で運用する

給付額を基準に制度設計する

 

覚え方

DC=Contribution(拠出)が確定

DB=Benefit(給付)が確定

確定拠出年金の2種類

 

① 企業型年金(企業型DC)

企業型DCは、企業が実施する確定拠出年金です。

原則として、

事業主が掛金を拠出する

制度です。

加入者は、その掛金について自ら運用商品を選び、運用の指図を行います。


② 個人型年金(iDeCo)

個人型年金(iDeCo)は、

国民年金基金連合会

が実施します。

原則として、加入者本人が掛金を拠出し、自ら運用します。

企業型年金加入者の資格

 

 

企業型DCでは、加入者資格をいつ取得し、いつ喪失するのかも重要です。

特に注意したいのが、

資格を取得した月と、資格を喪失した月が同じ場合


資格取得と資格喪失が同じ月の場合

 

企業型年金加入者が、

資格を取得した月に、その資格を喪失した場合 には、

資格を取得した日にさかのぼって、企業型年金加入者でなかったものとみなされます。(確定拠出年金法12条)

 

4月1日
企業型年金加入者の資格を取得

4月20日
同じ4月中に資格を喪失

結論

 

4月1日にさかのぼって、企業型年金加入者ではなかったものとみなす

ということになります。

つまり、

「少しの期間でも加入者だった」と扱うのではありません。


 

企業型年金における継続投資教育

 

確定拠出年金では、加入者自身が運用商品を選択し、その運用結果によって将来の給付額が変わります。

企業型年金を実施する事業主は、その実施する企業型年金の企業型年金加入者等に対し、運用の指図に役立つよう、資産運用に関する基礎的な資料の提供その他の必要な措置を継続的に講ずるよう努めなければなりません。(法22条1項)

これを一般に、継続投資教育といいます。

継続投資教育では、例えば、次のような内容を加入者に説明します。

  • 確定拠出年金制度の仕組み
  • 運用商品の種類と特徴
  • 元本確保型商品と投資信託の違い
  • リスクとリターンの関係
  • 長期運用・積立投資・分散投資の考え方
  • 運用商品の見直し方法
  • 老後に必要となる資金や生活設計

個人別管理資産

 

個人別管理資産とは、

加入者ごとに積み立てられている資産 です。 つまり、

その人自身のDCの積立資産

と考えれば十分です。


税制メリット

確定拠出年金は、

3段階で税制優遇があります。

  1. 掛金拠出時
  2. 運用時
  3. 給付受給時

これも頻出です。


個人型年金加入者(iDeCo加入者)

個人型年金加入者とは、

  • 掛金を拠出し
  • 自分で運用指図を行う者 です。

加入できる人

現在は原則として、

  • 第1号被保険者
  • 第2号被保険者
  • 第3号被保険者
  • 65歳未満の任意加入被保険者

が加入できます。 つまり、

国民年金の全被保険者区分が対象

と覚えてよいです。

 

第3号被保険者もiDeCoに加入できる

ここは重要です。

国民年金法の第3号被保険者は、

国民年金基金連合会に申し出ることにより、個人型年金加入者となることができます。(確定拠出年金法62条1項3号)

 

第3号被保険者とは

第3号被保険者は、一定の要件を満たす、

第2号被保険者に扶養されている配偶者

第3号被保険者は、自分で国民年金保険料を納付する仕組みではありません。

しかし、国民年金保険料を自分で納めていないことと、iDeCoに加入できるかどうかは別問題

第3号被保険者についても、法律上、iDeCoへの加入が認められています。


第1号被保険者で加入できない人

一方、第1号被保険者については、国民年金保険料の免除等との関係に注意が必要です。

原則として、

  • 申請免除
  • 学生納付特例
  • 納付猶予
  • 一部免除

などによって、国民年金保険料の全部または一部について納付を要しない者は、iDeCoに加入できません。

ただし、障害基礎年金等の受給を理由とする法定免除などについては例外があります。


第2号被保険者の注意点

会社員等の第2号被保険者も、原則としてiDeCoに加入できます。

企業型DCに加入しているからといって、

当然にiDeCoに加入できなくなるわけではありません。

ただし、

企業型DCでマッチング拠出を行っている者

などについては、iDeCoとの同時加入に制限があります。


企業型DCとiDeCo

区分 掛金を出す人
企業型DC 原則事業主
 マッチング拠出 企業型DC加入者本人も拠出
iDeCo 原則本人
 中小事業主掛金制度(iDeCo+) 一定の要件で事業主も拠出

 

ポイント整理

企業型年年金

  • 原則として事業主が掛金を拠出する
  • 規約に定めることにより、加入者によるマッチング拠出が可能
  • 加入者自身が運用商品を選択し、運用の指図を行う
  • 事業主には、加入者に対する継続投資教育の努力義務がある

 

個人型年金(iDeCo)

  • 原則として加入者本人が掛金を拠出する
  • 一定の中小企業では、中小事業主掛金制度を利用できる
  • 中小事業主掛金の対象者とする場合は、あらかじめ本人の同意が必要
  • 企業型年金のマッチング拠出との同時利用には制限がある

中小事業主掛金(iDeCo+)

 

中小事業主掛金とは、企業年金を実施していない一定の中小企業の事業主が、従業員の個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金に上乗せして掛金を拠出できる制度です。

この仕組みは、一般にiDeCo+(イデコプラス)と呼ばれます。

通常のiDeCoでは加入者本人が掛金を拠出しますが、中小事業主掛金制度を利用する場合は、加入者本人の掛金に加えて、事業主も掛金を拠出します。

 

 

対象者本人の同意

中小事業主が中小事業主掛金を拠出する場合は、その従業員を拠出の対象とすることについて、あらかじめ本人の同意を得なければなりません。(確定拠出年金法施行規則56条の4)

事業主が一方的に従業員を対象者として取り扱うことはできず、事前に制度の内容を説明したうえで、対象となる従業員の意思を確認する必要があります。

 

ポイント

中小事業主掛金は事業主が負担する掛金ですが、その拠出対象者とするためには、あらかじめ従業員本人の同意が必要です。

 

拠出対象者の資格を定めることができる

中小事業主掛金の対象となる従業員について、

  • 勤続年数

など一定の合理的な資格要件を定めることもできます。

ただし、その場合には、

  • 過半数労働組合
  • 過半数労働組合がない場合は過半数代表者

の同意が必要です。(確定拠出年金法68条の2第2項)

 

 

ポイント

中小事業主掛金制度では、2種類の同意が必要となる場合があります。

同意が必要な場面 同意する者 根拠
従業員を拠出対象とする場合 対象となる従業員本人 確定拠出年金法施行規則56条の4
拠出対象者の資格要件を定める場合 労働組合または過半数代表者 確定拠出年金法68条の2第2項

 

混同しやすいポイントですが、

  • 本人を対象者とすること本人の同意
  • 対象者の資格要件を設けること労働組合または過半数代表者の同意

個人型年金加入者になれない人

一定の者については、iDeCoに加入できません。

① 個人型年金の老齢給付金を受給した人 または 受給したことがある人

② 繰上げ支給の

  • 老齢基礎年金
  • 老齢厚生年金

などの受給権者


 

ここは混同しやすいポイントです。

企業型DCの老齢給付金を受けた人

iDeCoに加入できる場合がある

 

一方、

個人型年金(iDeCo)の老齢給付金を受けた人

iDeCoに再加入できない

 

という違いがあります。


資格喪失

iDeCo加入者は、

次のような場合に資格を失います。

  • 個人型年金の老齢給付金受給権を取得
  • 繰上げ老齢基礎年金受給権取得
  • 繰上げ老齢厚生年金受給権取得

繰上げ受給をすると、

制度上65歳に達したものとみなされる

ため、加入資格を失います。

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