永住許可に関するガイドライン

令和8年10月1日改定版

第1 総論

1 在留資格「永住者」の位置付け

活動・在留期間の制限がない、最も安定した在留資格です。生涯日本で生活することを想定し、日本への利益や本人の在留状況等を総合的に審査します。

 

2 本ガイドラインの目的

審査で考慮する事項を明確にし、許可の見通しを高めるものです。許否は、個別の事情を総合して判断されます。

 

第2 許可要件に関する考え方

1 法律上の規定

入管法第22条第2項に基づき、素行・生計・国益に関する要件を満たす場合に、法務大臣が永住を許可できます。

 

2 法第22条第2項に規定する要件

原則として「素行善良」「独立生計」「国益」の3要件が必要です。日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子は前2要件が不要で、難民等には独立生計要件の特例があります。

 

3 素行が善良であること

法令を守り、社会的に非難されない生活を営んでいること。違法行為や迷惑行為の繰り返しは、不適合と評価されます。

 

4 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

(1)考え方

現在・将来の収入、資産、技能等から、公共の負担とならず安定した生活を維持できるかを、原則として同一生計世帯単位で判断します。

(2)収入

世帯年収が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に、継続して達しているかを考慮します。「家族滞在」等の資格外活動収入は合算せず、海外を含む扶養親族は世帯人数に加算します。5人以上の世帯には生活費等の増加分を加算します。

(3)年金

将来の年金受給見込額が、所定の年収水準で30年間厚生年金に加入した場合の水準に達するかを考慮します。不足分を補える金融資産も評価し、年齢や配偶者の有無に応じて判断します。

 

5 その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

(1)考え方

本人の在留状況に加え、日本社会への貢献や影響、家族の生活の安定等を総合的に判断します。

(2)法に規定する義務の遵守

入管法上の届出等の義務を適正に履行していることを確認します。

(3)公租公課の支払

税金、年金・医療保険料等の適正な納付が必要です。申請時に完納していても、納期限を過ぎた納付は原則として不利に評価されます。

(4)刑罰法令違反

罰金刑・拘禁刑等の有無など、刑罰法令への違反状況を審査します。

(5)上陸拒否事由への非該当、上陸許可基準への適合

上陸拒否事由に該当しないことや、現在の在留資格に係る上陸許可基準等への適合を確認します。

(6)長期間にわたり我が国社会の構成員として居住していること

原則として継続10年以上、そのうち就労資格又は居住資格で継続5年以上の在留と、現在の在留資格における最長の在留期間を考慮します。過去10年に、合理的理由なく1回半年以上又は通算2年6か月以上出国していた場合は、原則として不利に評価されます。

(7)公共の負担とならないこと

生活の自立性を国益の観点からも判断します。独立生計要件が免除される配偶者・子や難民等も、公共の負担となる現実的なおそれがあり、特段の事情がない場合には、不利に評価されることがあります。

(8)日本語能力

原則として「日本語教育の参照枠」のB1相当以上の能力を考慮します。高度人材とその家族、日本の初等・中等教育を累計6年以上受けた者等には例外があります。

(9)我が国の制度・ルール等への理解

「生活・就労ガイドブック」の内容を中心に、指定された方法で理解度を確認します。理解や学ぶ意欲の不足は、不利に評価されます。

(10)学齢期の子の就学

学齢期の子を養育する場合はその子が、申請者自身が学齢期の場合は本人が、小学校又は中学校に通学しているかを考慮します。

(11)その他のその者の永住が国益に合するかの判断に資する事情

経済・地域社会・教育・文化等への貢献、公衆衛生・治安・安全保障への影響なども考慮します。

 

第3 原則10年在留に関する特例

日本人等の配偶者は実体ある婚姻生活5年以上かつ継続在留3年以上、実子等は継続在留3年以上が対象です。定住者、難民等、高度人材、一定の特区事業従事者、日本への貢献者等にも、在留期間を短縮する特例があります。

 

第4 我が国に貢献した者に対する特例

所定の基準により日本への貢献が認められる者には、10年在留の特例を適用するとともに、国益要件の総合評価でも有利に考慮します。

 

第5 原則10年在留に関する在留資格「特定活動」の取扱いについて

在留期間への算入や就労資格への該当性は、指定された活動内容によります。継続就職活動・内定待機等の特例的・一時的な在留は10年に算入せず、就労が認められていても、ワーキングホリデー等は就労資格として扱いません。 詳細はコチラ

 

第6 適用時期・既存のガイドラインの整理

原則として令和9年4月1日以降の申請から適用します。ただし、収入と公共の負担に関する項目は、令和8年4月1日以降に申請され、同年10月1日時点で審査中の案件にも適用します。従来の「我が国への貢献」に関するガイドラインは廃止します。

1. 永住許可は「日本の利益に積極的に資すること」が重視される

もとより在留許可は、在留を希望する外国人に、その権利に基づかずに一定の利益を付与するものであり、
最も安定した法的地位である永住許可は法務大臣により特に慎重な審査を行う必要があります。

本ガイドラインでは

  • 永住者は日本で生涯生活することを前提とする最も安定した在留資格であること
  • 日本語能力、在留歴だけではなく、日本社会への影響や人材需給、家族の定着などを総合的に判断すること
  • 「国益に反しない」だけではなく、「積極的に日本の利益になること」が必要であること
  • 「永住者」の在留資格をもって在留できることは、我が国の発展に貢献することが期待できる外国人材を呼び込むためのインセンティブとして位置付けることができ、国際的な人材獲得競争における外国人材の獲得にも資する

が明確に示されています。


2. 永住許可の基本要件は3つ

永住許可には次の3要件があります。

  1. 素行善良(素行善良要件)
  2. 独立した生計を営めること(独立生計要件)
  3. 永住が日本国の利益に合すること(国益要件)

配偶者等については、一部要件が免除されます。     

3. 「独立生計要件」が大幅に具体化

申請者のこれまでの在留状況、申請時点での収入、将来において見込まれる収入、申請者の有する資産及び技能等に照らし、本邦において公共の負担となるおそれがなく、かつ、将来においても生計を維持して安定した生活を営むことができると見込まれること

(1) 世帯年収で判断

これまでは年収目安が明示されていませんでしたが、

  • 世帯年収
  • 世帯人数
  • 日本人世帯の平均収入

を基準として判断することが明文化されました。

また、

  • 同一生計世帯で審査
  • 家族滞在者など資格外活動収入は原則算入しない
  • 海外扶養家族も世帯人数に含める
  • 世帯人数が5人以上の場合は、世帯人数に応じた年収基準に生活費増加分を加算した基準額を満たす必要があります。

ことも明示されています。

(2) 年金も評価対象

新たに

①a 申請時点の年齢、申請時点までを含む加入対象期間全ての年金の加入状況(従前の働き方、年金加入期間、その期間の平均年収等)及び申請時点の年収から推計される将来において受給可能な年金の見込額

①b 日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間働き、その期間、厚生年金に加入していた場合において将来受給可能な年金の見込額

② ①a<①bの場合、年金不足を補える金融資産の有無
   求められる金融資産は年齢によって可変します

も審査対象となります。受給年金水準及び補填資産額についても、原則として同一生計世帯単位で判断します。     

4. 「国益要件」が大幅に拡充

従来の

  • 納税
  • 公的義務

だけではなく、次の事項が細かく列挙されています。

法令上の義務遵守

住居地届出

在留カード関係

資格外活動違反

など。過去の違反も原則マイナス評価になります。

公租公課

  • 税金
  • 健康保険
  • 年金

の未納・滞納歴も原則マイナス評価です。

刑事処分

拘禁刑や罰金刑などは原則マイナス評価です。

長期在留

原則

  • 引き続き10年以上在留
  • そのうち5年以上就労・居住資格
    • 10年のうち直近5年以上は引き続き就労を目的とする資格や、家族滞在などの地位に基づく在留であることが必要
    • 就労を目的とした在留資格とは、「技能実習」、「育成就労」、「特定技能1号」、「企業内転勤」及び一部の「特定活動」を除いた在留資格
  • 最長在留期間を保持

が考慮されます。

さらに、

  • 一度に半年以上出国
  • 通算2年6か月以上不在

は原則マイナス評価となります。


5. 日本語能力が新たな考慮要素

今回の改定で最も注目される点です。

原則として

日本語能力B1相当以上

を考慮要素とするとされています。

ただし、

  • 高度人材外国人
  • 一定の家族
  • 日本の学校教育を累計6年以上受けた者

などには例外があります。


6. 日本の制度・ルール理解

生活・就労ガイドブックを中心に

  • 日本の制度
  • 社会ルール

について一定の理解があるか確認するとされています。


7. 子どもの就学状況

義務教育年齢の子どもがいる場合は、

  • 小学校・中学校へ通学していること

が考慮要素となります。


8. 10年在留の特例は維持

以下の者は従来どおり特例があります。

  • 日本人配偶者等
    • 実体を伴った婚姻生活が5年以上継続し、かつ、引き続き3年以上本邦に在留していること。
    • 実子等の場合は3年以上本邦に継続して在留していること
  • 定住者
  • 「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留
  • 難民等
  • 高度専門職70点以上
  • 必要な点数を維持して3年以上継続して本邦に在留
  • 高度専門職80点以上
  • 必要な点数を維持して1年以上継続して本邦に在留
  • 特別高度人材
  • 「特別高度人材」として1年以上継続して本邦に在留していること。
  • 日本への特別な貢献者

など。


9. 「日本への貢献」の例を整理

日本への貢献として、

  • 国民栄誉賞・勲章等
  • 国際的な受賞
  • 上場企業役員
  • 学術・文化・芸術・スポーツでの功績
  • 公共活動

などが例示されています。      

在留資格「特定活動」のうち、どの活動が期間に算定される活動であるか

区分 内容 主な例
① 10年在留期間に算入されない活動 特例的・一時的な在留であり、永住許可の「10年在留」には算入されない。 ・継続就職活動
・就職内定者
・大学等卒業後の起業活動を行う留学生
・難民認定等手続中
・本国情勢不安を理由とする在留
② 就労資格に該当する活動 専門的・技術的分野の活動であり、就労資格として扱われる。 特定活動告示:
・告示6号(アマチュアスポーツ選手)
・告示8号(国際仲裁代理)
・告示36号(特定研究等活動)
・告示37号(特定情報処理活動)
・告示46号(本邦大学等卒業者)

告示外:
・EPA看護師・EPA介護福祉士(※候補者期間を除く)
③ 就労資格に該当しない活動 就労が認められていても、専門的・技術的分野に該当しない、または在留期間更新に制限があるため就労資格とは扱われない。 特定活動告示:
・告示5号・5号の2(ワーキングホリデー)
・告示9号(インターンシップ)

告示外:
・本邦の高等学校卒業後に就職した者

 

適用時期

改定ガイドラインは

令和9年(2027年)4月1日以降の申請

から適用されます。

ただし、

  • 年収要件
  • 公共負担要件

については、改定日前から申請中の案件にも一定範囲で適用されます。

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