厚生年金保険法
支給要件、失権、年金額・改定

厚生年金保険の被保険者(会社員・公務員など)が65歳から受給できる「本来の老齢基礎年金」の支給要件は、65歳に達した時点で、保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間の合計期間が10年以上(120ヶ月以上)ある場合に支給されます。 

 

目 次

  1. 本来の老齢厚生年金の受給資格要件
    1. 特別支給の老齢厚生年金と本来の老齢厚生年金の比較
  2. 老齢厚生年金(報酬比例部分)の額
  3. 被保険者期間の月数(第3種被保険者(坑内員・船員)であった期間の特例)
  4. 退職時改定
    1. 退職時改定②(退職等により資格を喪失した場合)

本来の老齢厚生年金の受給資格要件

 

老齢厚生年金は、次のすべての要件に該当するに至ったときに、その者に支給する。(法42条、附則14条1項)

 

本来の老齢厚生年金の受給資格要件(すべて)
  1.  65歳以上であること。
  2.  厚生年金保険の被保険者期間1か月以上あること。
  3.  保険料納付済期間保険料免除期間及び合算対象期間合算した期間10年以上であること。

 

会社員などとして保険料を負担した期間が1か月でもあれば他の要件を満たしている限り本来の老齢厚生年金は支給されます

 

 

特別支給の老齢厚生年金と本来の老齢厚生年金の比較

項目 特別支給の老齢厚生年金 本来の老齢厚生年金
年齢 60歳以上~65歳未満
※生年月日により経過措置あり
65歳以上
厚生年金保険の加入期間 1年以上 1か月以上
老齢基礎年金の受給資格期間 10年以上 10年以上
失権 ・死亡したとき
・65歳に達したとき
・死亡したとき

補足ポイント

  • 特別支給の老齢厚生年金は、65歳前の経過措置として設けられた制度で、65歳到達で失権します。

  • 本来の老齢厚生年金は65歳からの通常の年金で、失権事由は死亡のみです。

  • 老齢基礎年金の10年要件は共通している点が重要です。

老齢厚生年金(報酬比例部分)の額

 

  • 老齢厚生年金報酬比例部分の額は、原則として、次の計算式により計算される。(法43条1項)
老齢厚生年金(報酬比例部分)の額
 老齢厚生年金報酬比例部分の額=(平均標準報酬額)×(5.481/1,000)×(被保険者期間の月数

老齢厚生年金報酬比例部分の額は

  1. 平均標準報酬額
  2. 給付乗率5.481/1,000及び
  3. 被保険者期間の月数3つのかけ算から算出されます

 

  • 報酬比例部分の年金額の計算に用いる被保険者期間には定額部分の額と異なり生年月日による上限は設けられていません
  • 平均標準報酬額とは、厚生年金の受給額(報酬比例部分)を計算する基礎となる数値で、2003年(平成15年)4月以降の加入期間における「月々の給料(標準報酬月額)」と「ボーナス(標準賞与額)」の合計を、その期間の月数で割った平均値です。

被保険者期間の月数(第3種被保険者(坑内員・船員)であった期間の特例)

 

第3種被保険者坑内員または船員)であった被保険者期間については、3分の4倍または5分の6倍する特例を適用する。
(昭和60年附則47条3項・4項)

退職時改定

 

被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ、被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間が老齢厚生年金の額の計算の基礎とされる。(法43条3項)
 
 
 

退職時改定(老齢厚生年金)

項目 内容  
対象者 被保険者であった老齢厚生年金の受給権者  
要件 被保険者とならない状態で 1か月を経過したとき
  • 1か月」は、一時的な離職と本当の退職を区別するために設けられています。

老齢厚生年金の額の算定の基礎とならない期間 資格喪失月の 前月まで の被保険者期間  
改定時期①(70歳時改定) 資格喪失日 から起算して 1か月を経過した月から

厚生年金保険は原則として70歳で資格喪失をするため70歳まで継続就労した場合には、「70歳時改定が行われます

改定時期②(退職時改定) 退職日 から起算して 1か月を経過した月から 70歳未満で退職するような場合はいわゆる退職時改定が行われます
  • 70歳時改定と退職時改定は、起算点(資格喪失日か退職日か)が異なる点に注意が必要です。
  • 資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とします。「資格を喪失した月以前ではありません

退職時改定②(退職等により資格を喪失した場合)

  • 退職時改定において、次のいずれかに該当するときは、その「該当するに至った日」から起算して1か月を経過した日の属する月から、年金の額を改定する。(法43条3項かっこ書)
退職時改定②(退職等により資格を喪失した場合)
  1.  その事業所または船舶に使用されなくなったとき(法14条2号)
  2.  任意適用事業所の適用取消しの認可があったときなど(法14条3号)
  3.  適用除外事由に該当するに至ったとき(法14条4号)

退職を事由とする場合の改定です

  • 例えば7月11日に退職した人の場合退職日である7月11日から起算して1か月を経過した日8月11日の属する月すなわち8月分の老齢厚生年金から改定されることになります
  • 7月31日に退職した人の場合7月31日から起算して1か月を経過した日8月31日の属する月8月の年金から改定されることになります
    つまり、 月末退職の場合にも、「退職月の翌月から退職時改定が行われます
  • 間違えてほしくないのは退職時改定①70歳時改定のように、「資格を喪失した日から1か月を経過した日の属する月から改定されるのではない点です
    資格を喪失した日からとすると 8月1日から起算して1か月を経過した日9月1日の属する月9月の年金から改定されることになり改定されるのが1か月遅くなってしまいます

 

具体例
 在職老齢年金の受給者が平成27年1月31日付けで退職し同年2月1日に被保険者資格を喪失し、かつ被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過した場合

 →平成27年2月(退職日から起算して1か月を経過した日の属する月)から年金額が改定される。

 

 

 

在職定時改定・退職時改定の比較表

区分 在職定時改定 退職時改定(70歳時改定) 退職時改定(退職時改定)
改定時点 毎年 9月1日(基準日) 70歳到達により被保険者資格を喪失した日から起算して 1か月を経過したとき 退職日から起算して 1か月を経過したとき
改定時期 基準日の属する月の 翌月(10月) 1か月を経過した日の属する月 1か月を経過した日の属する月

実務・理解のポイント

  • 在職定時改定は「毎年9月1日」という固定日基準で、反映は10月。

  • 70歳時改定退職時改定はいずれも「1か月経過ルール」が共通。

  • 両者の違いは、

    • 70歳時改定:資格喪失の原因が「年齢(70歳)」

    • 退職時改定:資格喪失の原因が「退職」

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