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ソリューション行政書士法人
〒108-0075 東京都港区港南2-16-2 太陽生命品川ビル28F
目 次
目的(法第1条)
特に、
「労災保険には被保険者の概念がない」
という点は重要事項です。
労災保険法の目的
労働者が
によって負傷・疾病・障害・死亡した場合に、必要な保険給付を行い、迅速かつ公正に保護することを目的としています。
さらに単なる金銭補償だけでなく、
なども行い、最終的には労働者の福祉向上を図ることを目的としています。
令和2年(2020年)の法改正により、
「複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由」
が法文に追加されました。
例えば、
という人が、両方の仕事の負担によって脳・心臓疾患や精神障害を発症した場合でも、各事業場ごとに判断されていました。
そのため、
というケースでは労災認定されないことがありました。
A社とB社の業務負荷を合算して判断できるようになりました。
背景には、
があります。
法第1条の
「負傷、疾病、障害、死亡等」
の「等」には、
二次健康診断等給付
が含まれます。
定期健康診断で
などの異常所見が認められた労働者について、
脳卒中や心筋梗塞などの重大疾病を予防するために、
を無料で受けられる制度です。
つまり、実際に災害が発生した後の補償だけでなく、
疾病の予防まで含めて保護する制度
であることを示しています。
労災保険は、
に対する保険制度です。
私生活上の事故や病気は対象になりません。
例
健康保険や厚生年金とは異なり、
労災保険料は原則として
全額事業主負担
です。
労働者の賃金から控除されることはありません。
これは、
業務災害の責任は事業主が負うべきである
という考え方に基づいています。
健康保険や厚生年金では、
加入者を「被保険者」と呼びます。
しかし労災保険では、
労働者であれば当然に保護対象
となるため、通常の意味での「被保険者」という概念を設けていません。
したがって、
労働者である限り保険給付を受けることができます。
法第2条の2では、
労災保険は
① 保険給付を行うこと
だけでなく、
② 社会復帰促進等事業を行うこと
も規定しています。
被災した労働者の社会復帰や福祉向上のために行われる事業です。
例えば、
などがあります。
社会復帰促進等事業は、
の両方に適用されます。
したがって、
通勤途中の交通事故で負傷した労働者も、
リハビリやアフターケアなどの支援を受けることができます
労働者災害補償保険は、法1条の目的を達成するため、業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に関して保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行うことができる。(法2条の2)
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 業務災害 | 業務上の事由による災害に対する保険給付 |
|
|
| 通勤災害 | 通勤による災害に対する保険給付 |
| 二次健康診断等給付 | 脳・心臓疾患の予防のための健康診断等 |
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 社会復帰促進事業 | 被災労働者の社会復帰を促進 |
| 被災労働者等援護事業 | 被災者や遺族の援護 |
| 安全衛生確保等事業 | 災害防止・安全衛生の確保 |
労災保険事業 = ① 保険給付(給付中心) + ② 社会復帰促進等事業(支援・予防)
社会復帰促進等事業は、保険給付と同様に、業務災害のみならず、通勤災害を被った労働者に対しても実施されます。
業務災害と通勤災害の「性質の違い」と「給付の名前の違い」
これは法律上の責任の違いによるものです。
会社に責任がある
つまり:
「補償」という言葉がつく
会社に責任はない
理由:
社会保険として救済する
「補償」がつかない
「会社のせいだから会社が補償すべき」
→ その代わりに労災保険が払う
「会社のせいではないけど助けよう」
→ 社会保障として支給
| 区分 | 業務災害 | 通勤災害 |
|---|---|---|
| 会社責任 | あり | なし |
| 法的根拠 | 労基法の補償責任 | 社会保険としての救済 |
| 名称 | 補償給付 | 給付 |
「会社の責任なら補償、通勤はただの給付」
管掌(法2条)
法2条は、
労働者災害補償保険は、政府が、これを管掌する。
と規定しています。
「管掌」とは、保険制度を運営・管理することを意味します。
つまり労災保険の保険者は、
とは異なり、
国(政府)
です。
労災保険は次の性格を持っています。
労働者を使用する事業は原則として強制適用です。
事業主の意思によって加入・不加入を選ぶことはできません。
そのため公的機関による統一的な運営が必要になります。
労災事故が発生した場合、
に左右されず、
全国どこでも同じ基準で給付できる必要があります。
労災には、
など巨額の給付が必要となるケースがあります。
国全体で保険財政を管理することで危険を分散できます。
全国統一制度とすることで事務処理を効率化できます。
これは試験で非常によく問われます。
健康保険や厚生年金では、
を「被保険者」と呼びます。
しかし労災保険では、
ため、
法律上は「被保険者」という概念がありません。
実務上は、
適用労働者
という表現が使われます。
保険者は政府ですが、実際の事務は厚生労働省が行います。
組織としては、
政府(保険者) → 厚生労働省 → 労働基準局 → 都道府県労働局 → 労働基準監督署
原則として、
労働者災害補償保険等関係事務
は、
都道府県労働局長
が行います。
ただし実際の給付事務の多くは労働基準監督署へ委任されています。
次の事務は、
都道府県労働局長の指揮監督のもとで
労働基準監督署長
が担当します。
ただし、
は除かれます。
被災労働者や遺族の就学支援費です。
労災保険独自の上乗せ給付です。
厚生労働省労働基準局長が定める給付です。
例えば、
のようなケースです。
この場合は、
主たる事務所
の所在地を管轄する行政機関が担当します。
主たる事務所所在地を管轄する
都道府県労働局長
主たる事務所所在地を管轄する
労働基準監督署長
令和2年改正で新設された論点です。
複数の事業所で働いている労働者について、
2以上の事業の業務負荷を合わせて労災認定する制度です。
例
働いていた結果、
過重労働で脳出血を発症した場合
複数就業先のうち、
生計を維持する程度が最も高い事業
をいいます。
令和2年通達では、
原則として
給付基礎日額算定期間における賃金総額が最も高い事業
とされています。
A社給与:月30万円
B社給与:月15万円
なら
→ A社が生計維持事業
です。
管轄は、
生計維持事業の主たる事務所所在地を管轄する
になります。
複数業務要因災害では、
複数の監督署や労働局が関係することがあります。
そこで、
管轄する労働局長や監督署長は、
事務の全部または一部を
他の労働局長・監督署長へ委嘱できます。
例えば、
生計維持事業は東京だが、
実際に災害が発生した職場は大阪
というケースがあります。
事故調査は大阪の監督署の方が迅速にできます。
そのため、
大阪側へ事務を委嘱できる仕組みが設けられています。
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