労災保険法 
目的等

  1. 労働基準法では、業務上の災害発生に対して使用者にその補償の義務を課していますが、使用者に支払能力のない場合には労働者が補償されない危険があります。
  2. そこで労災保険が労働基準法で定めている災害補償を使用者に代わって保険給付をするものとされています。

 

目 次

  1. 目的
    1. 労災保険法と健康保険法の「対象」の違い
    2. 労災保険事業の概要
      1. ① 保険給付
      2. ② 社会復帰促進等事業
  2. 管掌

目的

 

労働者災害補償保険は、業務上の事由複数事業労働者2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者の負傷疾病障害死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由複数事業労働者2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者社会復帰の促進当該労働者及びその遺族の援護労働者安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者福祉の増進に寄与することを目的とする。(法1条)

複数の会社等に雇用されている労働者に対する保険給付の内容が改正されそれに伴い目的条文も変更になりました。事業主が同一人でない2以上の事業に使用される労働者を取り巻く状況をみると、多様な働き方を選択する者やパートタイム労働者として複数就業している労働者が増加している実情があります。
(令和2年8月21日基発0821第1号)

  • 死亡等とは、「二次健康診断等給付を指します

 

労災保険法の特色

  •  業務上の災害が対象であること
  •  事業主が保険料を全額負担すること
  •  被保険者の概念がないこと

労働者災害補償保険は、法1条の目的を達成するため、業務上の事複数事業労働者2以上の事業の業務を要因とする事由又は通勤による労働者負傷疾病障害死亡等に関して保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行うことができる。(法2条の2)

  • 社会復帰促進等事業保険給付と同様に業務災害のみならず通勤災害を被った労働者に対しても実施されます

労災保険法と健康保険法の「対象」の違い

 

区分 対象
労災保険法(法1条) 業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由、または通勤による労働者の負傷・疾病・障害・死亡等
健康保険法(法1条)

業務災害(注)以外の疾病、負傷、死亡または出産

  • (注)労災保険法に規定する業務災害

 

ポイント整理

  • 労災保険
    → 「業務上」または「通勤」による災害が対象

  • 健康保険
    → 労災に該当しない私傷病等が対象


 

超シンプル整理

  • 業務・通勤 = 労災

  • それ以外 = 健康保険

労災保険事業の概要

 

労働者災害補償保険は、法1条の目的を達成するため、業務上の事複数事業労働者2以上の事業の業務を要因とする事由または通勤による労働者負傷疾病障害死亡等に関して保険給付を行うほか、社会復帰促進等事業を行うことができる。(法2条の2)

 

① 保険給付

区分 内容
業務災害 業務上の事由による災害に対する保険給付
  • 複数業務要因災害
  • 複数事業の業務を要因とする災害に対する保険給付
通勤災害 通勤による災害に対する保険給付
二次健康診断等給付 脳・心臓疾患の予防のための健康診断等

② 社会復帰促進等事業

区分 内容
社会復帰促進事業 被災労働者の社会復帰を促進
被災労働者等援護事業 被災者や遺族の援護
安全衛生確保等事業 災害防止・安全衛生の確保

 

全体構造(シンプル整理)

労災保険事業  = ① 保険給付(給付中心) + ② 社会復帰促進等事業(支援・予防)

 

社会復帰促進等事保険給付と同様に業務災害のみならず通勤災害を被った労働者に対しても実施されます

 

 

業務災害と通勤災害の「性質の違い」と「給付の名前の違い」


 

① 結論(まずここ)

  • 業務災害 → 「補償」という言葉を使う
  • 通勤災害 → 「補償」は使わない(ただの「給付」)

これは法律上の責任の違いによるものです。


 

② 業務災害とは

● 内容

  • 仕事中のケガや病気

 

 

● 法律上の考え方

会社に責任がある(労基法)

つまり:

  • 会社が本来補償すべきもの

● だから名称は

  • 療養補償給付
  • 休業補償給付

「補償」という言葉がつく


 

③ 通勤災害とは

 

● 内容

  • 通勤中の事故(電車・自転車など)

● 法律上の考え方

会社に責任はない

理由:

  • 通勤は仕事そのものではない

● でも保護はする

社会保険として救済する


● だから名称は

  • 療養給付
  • 休業給付

「補償」がつかない


 

④ なぜこの違いがあるのか

業務災害

  • 会社の支配下で発生
    会社責任 → 補償

通勤災害

  • 労働者の生活行為に近い
    社会的配慮 → 給付

 

⑤ イメージで理解

 

業務災害

「会社のせいだから会社が補償すべき」
→ その代わりに労災保険が払う


通勤災害

「会社のせいではないけど助けよう」
→ 社会保障として支給

 

 

区分 業務災害 通勤災害
会社責任 あり なし
法的根拠 労基法の補償責任 社会保険としての救済
名称 補償給付 給付

 

一言で覚える

 

「会社の責任なら補償、通勤はただの給付」

管掌

 

労働者災害補償保険は、政府が、これを管掌する。(法2条)

  1. 強制保険であること
  2. 保険給付を迅速かつ公平に行うこと
  3. 重大災害等に備えてできる限り危険分散を図ること
  4. 制度の運営費用の低廉化を図ることの実現のため労災保険政府が管掌します
  • 労災保険を運営する保険者は政府ですが労災保険法には被保険者という概念はありませんこれは労働者が保険料を負担していないためですかわりに適用労働者と一般に呼んでいます

労災保険制度は政府すなわちが管掌します具体的な労災保険事業は労働基準法との一体的運営の必要から、「厚生労働省の所管とされその中の厚生労働省労働基準局が担当することになっています。(厚生労働省設置法4条47号、厚生労働省組織令7条1項)

労働者災害補償保険等関係事務は、厚生労働省労働基準局長指揮監督を受けて、所轄都道府県労働局長が行う。(則1条2項)

  1. 保険給付二次健康診断等給付を除く
  2. 労災就学等援護費の支給
  3. 特別支給金の支給
  4. 生労働省労働基準局長が定める給付休業補償特別援護金に関する事務は、「所轄労働基準監督署長が行います

 

  • 次の場合は、次に定める者を所轄都道府県労働局長とする。(則1条2項ただし書)

 

 事業場が2以上の都道府県労働局の管轄区域にまたがる場合  その事業の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長
 労働者災害補償保険等関係事務が複数業務要因災害に関するものである場合  複数事業労働者生計維持事業(複数事業労働者の2以上の事業のうち、その収入が当該複数事業労働者の生計を維持する程度が最も高いものの主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長

 

 

  •  保険給付二次健康診断等給付を除く)並びに社会復帰促進等事業のうち労災就学等援護費及び特別支給金の支給並びに厚生労働省労働基準局長が定める給付休業補償特別援護金)に関する事務は、都道府県労働局長の指揮監督を受けて、所轄労働基準監督署長が行う。(則1条3項)
  •  2021改正次の場合は、次に定める者を所轄労働基準監督署長とする。(則1条3項ただし書)

 

 事業場が2以上の労働基準監督署の管轄区域にまたがる場合  その事業の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長
 労働者災害補償保険等関係事務が複数業務要因災害に関するものである場合  複数事業労働者生計維持事業の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長

 

 2021改正生計維持事業生計を維持する程度の最も高い事業の主たる事務所」とは、原則として複数就業先のうち給付基礎日額の算定期間における賃金総額が最も高い事業場を指す。(令和2年8月21日基発0821第1号)

  • 事業場が2以上の労働基準監督署の管轄区域にまたがる場合にはその事業の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署管轄となります

複数業務要因災害に係る事務の所轄複数の都道府県労働局又は労働基準監督署が関係することが想定されますこの場合の所轄は生計を維持する程度の最も高い事業生計維持事業の主たる事務所を管轄する都道府県労働局又は労働基準監督署となります。(令和2年8月21日基発0821第1号)

生計維持事業の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長及び労働基準監督署長は、労働者災害補償保険等関係事務全部又は一部他の都道府県労働局長及び労働基準監督署長委嘱することができる。(則2条の2)

業務災害に係る事務を所轄する都道府県労働局・労働基準監督署と複数業務要因災害に係る事務を所轄する都道府県労働局・労働基準監督署が異なる場合には業務災害に係る事務を所轄する都道府県労働局労働基準監督署において保険給付に係る調査優先して行うこととなるため複数業務要因災害に係る事務を所轄する都道府県労働局労働基準監督署の事務の全部又は一部業務災害に係る事務を所轄する都道府県労働局労働基準監督署委嘱することができます。(則2条の2、令和2年8月21日基発0821第1号)

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