育児・介護休業法

持続可能で安心できる社会を作るためには、

  1. 「就労」と
  2. 「結婚・出産・子育て」、

あるいは、

  1. 「就労」と
  2. 「介護」

の「二者択一構造」を解消し、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」を実現することが必要不可欠です。一人ひとりの生き方や子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて男女ともに多様な働き方の選択を可能とする社会とすることが、人々の希望の実現となるとともに、企業や社会全体の明日への投資であり、活力の維持につながります。 「育児・介護休業法」は、このような社会の実現を目指し制定されました。

 

企業の人事担当者や経営者が特に押さえるべき点は次の5つです。

①育児休業は会社の承認制ではなく申出制

②有期雇用労働者も原則取得可能

③育児休業は2回まで分割取得可能

④保育園に入れない場合は最長2歳まで延長可能

⑤2025年以降は3歳~就学前の子を持つ従業員向けに柔軟な働き方制度の整備が義務化

特に中小企業では「就業規則に育休を認めない旨を書いている」「配偶者が専業主婦だから認めない」といった誤った運用が今でも見られますが、これらは育児・介護休業法違反となる可能性が高いため注意が必要です。

 

目 次

  1. 育児休業(原則)
  2. 育児休業(期間雇用者の場合)
  3. 育児休業の再取得(休業取得回数)
    1. 育児休業と育児休業給付金の比較図
  4. 1歳から1歳6か月までの育児休業
  5. 1歳6か月から2歳までの育児休業
  6. 育児休業申出があった場合における事業主の義務(申出の拒否)
  7. 育児休業の申出
  8. 育児休業の申出期限
  9. 同一の子について配偶者が育児休業をする場合の特例(パパ・ママ育休プラス)
  10. 柔軟な働き方を実現するための措置

育児休業の基本

 

育児休業とは、1歳未満の子を養育する労働者が取得できる休業制度です。

対象者は原則としてすべての労働者(日雇い労働者を除く)であり、会社の規模は関係ありません。

重要なのは、

育児休業は「権利」であり、会社の許可は不要

という点です。

労働者が適法に申し出れば、会社は原則として拒否できません。

例えば、

  • 子が2026年4月1日生まれ
  • 母親が2026年6月1日から休業したい場合は、

その期間を指定して申し出れば取得できます。

育児休業(期間雇用者の場合)有期雇用労働者も取得できる

 

以前は

  • 継続雇用1年以上

という要件がありました。

しかし2022年改正で廃止されました。

現在は、

子が1歳6か月(延長の場合は2歳)になるまでに契約終了が明らかでないこと

だけが要件です。

例えば、

  • 契約社員
  • パート
  • アルバイト

 

であっても取得できます。

育児休業の再取得(休業取得回数)育児休業は2回まで分割取得できる

 

2022~2023年改正の大きなポイントです。

以前は原則1回しか取得できませんでした。

現在は、

同じ子について2回まで分割取得可能

です。

  • 1回目:出生後~3か月
  • 2回目:8か月~1歳

という取得ができます。

 

参照 → 育児休業と育児休業給付金の比較図

1歳から1歳6か月までの育児休業

 

育児休業は原則1歳までですが、

  • 保育園に入れない
  • 配偶者が病気になった

など一定の事情があると延長できます。

 

1歳~1歳6か月

子が1歳になる時点で

  • 認可保育所に入れない
  • 養育予定者が死亡・病気等

などの場合に延長できます。

1歳6か月から2歳までの育児休業

 

さらに同様の事情が継続している場合は、

最長2歳まで再延長

できます。

 

実務では「待機児童」が最も多いケースです。

 

育児休業申出があった場合における事業主の義務(申出の拒否)

 

会社は育児休業を拒否できるのか

原則として拒否できません。

ただし、

労使協定がある場合のみ

次の労働者を除外できます。

 

除外できる者

①入社1年未満

②申出から1年以内(延長の場合6か月以内)に退職が確定している者

③週2日以下勤務の者

注意点として、

就業規則だけでは除外できません。

必ず労使協定が必要です。


妻が専業主婦でも育休取得できる

以前は

「配偶者が家にいるなら育休は不要ではないか」

という考え方がありました。

しかし現在は、

配偶者が専業主婦(主夫)でも育休取得を拒否できません。

会社が

「奥さんが家にいるからダメ」

という扱いをすると違法になります。

育児休業の申出

 

育児休業を取得するには、

  • 開始日
  • 終了日

を明確にして会社へ申し出なければなりません。

例えば、

「2026年4月1日から2026年9月30日まで育児休業を取得します」

という形です。

会社はこれを受けて休業期間を管理します。


「申出が前提」の意味

ここでいう

「申出が前提ですから、『必ず育児休業を与えなければならない』性質ではない」

というのは、

会社が勝手に育児休業にする制度ではない

という意味です。

つまり、

  • 労働者が申出をする
  • 会社は原則拒否できない

という関係です。

したがって、

「子どもが生まれたから自動的に育休になる」

わけではありません。


なぜ開始日が決まっているのか

問題となるのは、

1歳を超えて延長する場合

です。

延長育休は、

好きな日から始められるわけではありません。


①1歳→1歳6か月の延長

原則

子が1歳になる日の翌日

から開始します。

出生日
2025年4月10日

1歳到達日
2026年4月9日

延長育休開始日
2026年4月10日


②1歳6か月→2歳の再延長

原則

子が1歳6か月になる日の翌日

から開始します。

出生日
2025年4月10日

1歳6か月到達日
2026年10月9日

再延長開始日
2026年10月10日


「延長交替」とは何か

近年の改正で導入された制度です。

夫婦が交替で育児休業を取得しやすくするためのものです。


従来

母親の育休終了後、

父親が延長育休を取得しようとしても、

開始日が固定されていたため利用しにくい面がありました。


現在

配偶者が育休をしている場合は、

配偶者の育休終了予定日の翌日以前の日

を開始日にできます。


具体例

子どもの1歳到達日

2026年4月9日

母親の育休

2025年4月10日~
2026年5月31日

父親が育休を取得する場合

通常なら

2026年4月10日

から開始しなければなりません。

しかし改正後は、

母親の育休終了に合わせて

2026年6月1日から父親が取得

といった調整が可能になります。

これを

「延長交替(夫婦交替取得)」

といいます。


パパ・ママ育休プラスとの違い

混同しやすいですが別制度です。

 

パパ・ママ育休プラス

子が1歳2か月まで取得可能にする制度

 

延長交替

1歳以降の延長育休について

夫婦が切れ目なく交替取得できる制度

目的が異なります。


実務上のポイント

企業の人事担当者が誤解しやすいのは、

「保育園に入れなかったので1歳以降の育休を延長する」

場合でも、

労働者が改めて申出をしなければならない

という点です。

つまり、

  • 当初の育休(1歳まで)
  • 1歳~1歳6か月の延長
  • 1歳6か月~2歳の再延長

はそれぞれ別の申出になります。

自動延長ではありません。

そのため実務では、

保育所不承諾通知書などを添付して会社へ再度申請することになります。


 

育児休業の申出期限

 

原則

  • 育休開始の1か月前まで

に申し出ます。

ただし、

1歳以降の延長

  • 1歳→1歳6か月
  • 1歳6か月→2歳

の延長については

2週間前まで

 

で足ります。


 

同一の子について配偶者が育児休業をする場合の特例(パパ・ママ育休プラス)

 

両親が育休を取得する場合の特例です。

通常

  • 育休は1歳まで

ですが、

父母とも取得すると、

子が1歳2か月になるまで取得可能

になります。

  • 母:出生後~10か月
  • 父:10か月~1歳2か月

のようなリレー取得が可能です。

ただし、

 

それぞれが取得できる期間の上限は1年間です。

柔軟な働き方を実現するための措置

 

2025年以降の新制度(柔軟な働き方)

近年の改正で特に重要なのがここです。

対象は

3歳~小学校入学前の子を養育する労働者

です。

会社は次の中から2つ以上の制度を用意しなければなりません。

 

①始業・終業時刻の変更

  • フレックスタイム
  • 時差出勤

 

②テレワーク

月10日以上利用可能であること

 

③短時間勤務

原則6時間勤務

 

④養育両立支援休暇

年10日以上

 

⑤保育施設設置等

会社独自の育児支援


2026年改正のポイント

事業主は柔軟な働き方制度を導入する際、

事前に労働組合または従業員代表の意見を聴取しなければならない

ことになりました。

 

会社が一方的に制度を決めるのではなく、労働者側の意見反映が求められています。

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