育児休業給付金

育児休業給付金とは、雇用保険に加入している人【被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く)】が育児のために休業する際に、休業中の生活を保障する目的で支給される給付金です。雇用保険から給付され、原則として勤務先の会社を通じて申請します。

項目 数字
被保険者期間 12か月
原則対象年齢 1歳未満
パパ・ママ育休プラス 1歳2か月
延長① 1歳6か月
延長② 2歳
給付率(180日まで) 67%
給付率(181日以降) 50%
不支給基準 賃金80%以上
就業可能日数 10日以内又は80時間以内

特に 「12か月」「1歳→1歳6か月→2歳」「67%→50%」「80%以上で不支給」が重要

 

目 次

  1. 出産・育児制度の全体像
  2. 出生時育児休業給付金(産後パパ育休)
    1. ​#期間を定めて雇用される者の要件
    2. #雇用期間1年以上の要件は廃止
    3. #出生時育児休業の取得回数と日数
    4. #3回目以後の休業
    5. #回数と日数は別々に判定する
    6. #合計28日を超えた休業
  3. 支給要件
  4. 「2年間」の延長
  5. 育児休業給付の対象となる子
    1. 2025年改正のポイント
    2. 実子以外も対象
  6. 支給額
    1. 育休中に会社から給料が出た場合
    2. 休業中に働いてもいいのか
  7. 育児休業と育児休業給付金の比較図

出産・育児制度の全体像

まず整理すると、

法律 制度 期間
労働基準法 産前休業・産後休業 産前6週間(多胎妊娠は14週間)~産後8週間
  • 健康保険法
出産手当金(産前産後の所得保障) 産前42日(多胎妊娠は98日)~産後56日
育児・介護休業法 育児休業 原則として子が1歳に達するまで(最長2歳まで延長可)
  • 雇用保険法
育児休業給付金 育児休業期間中(原則として子が1歳に達するまで。延長時は最長2歳まで)
 

つまり、 

産前産後

休む権利 → 労基法

お金 → 健康保険(出産手当金)


育児休業

休む権利 → 育児介護休業法

お金 → 雇用保険(育児休業給付金)

という役割分担です。

出生時育児休業給付金(産後パパ育休)

 

通常の育児休業給付金との違い

項目 出生時育児休業給付金 育児休業給付金
対象となる休業 出生時育児休業 通常の育児休業
主な対象期間 原則として出生後8週間以内 原則として子が1歳になるまで
取得可能日数 合計28日まで 申出をした育児休業期間
分割取得 2回まで 原則2回まで
主な目的 出生直後の育児参加 継続的な育児のための

出生時育児休業給付金とは、雇用保険の被保険者が、子の出生直後の一定期間に出生時育児休業(産後パパ育休)を取得した場合に支給される給付金です。

通常の育児休業給付金とは別の制度であり、原則として、子の出生後8週間以内に取得した休業が対象になります。

 

出生時育児休業給付金の主な要件

出生時育児休業給付金の支給を受けるためには、主に次の要件を満たす必要があります。

  • 雇用保険の被保険者であること
  • 子の出生後8週間以内に出生時育児休業を取得していること
  • 休業開始日前2年間に、みなし被保険者期間が通算12か月以上あること
  • 休業後も引き続き雇用されることが予定されていること
  • 休業期間中の就業日数や賃金が、所定の基準を超えていないこと

厚生労働省では、育児休業等給付として、通常の育児休業給付金とは別に出生時育児休業給付金を設けています。


期間を定めて雇用される者の要件

期間を定めて雇用される者、いわゆる有期契約労働者については、出生時育児休業を取得できるだけでなく、一定期間内に労働契約が終了することが明らかでないことが必要です。

具体的には、

その養育する子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、労働契約が満了することが明らかでないこと

が必要です。

子が出産予定日前に出生した場合には、実際の出生の日ではなく、出産予定日を基準として期間を計算します。

また、期間の途中で労働契約が更新される場合には、更新後の労働契約も含めて判断します。

 

具体例

出産予定日が4月1日で、実際の出生の日も4月1日だった場合を考えます。

まず、出生の日から8週間を経過する日を確認します。

その翌日からさらに6か月を経過する日までに、労働契約が終了することが明らかな場合には、原則として出生時育児休業給付金の対象になりません。

反対に、その日までに労働契約が終了することが明らかでなければ、有期契約労働者であっても対象となり得ます。


雇用期間1年以上の要件は廃止

以前は、有期契約労働者について、

その事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること

という要件が設けられていました。

しかし、この要件は改正により削除されています。

したがって、現在は、同じ事業主に雇用されてから1年未満であっても、他の支給要件を満たせば、出生時育児休業給付金の対象となる可能性があります。

ただし、雇用期間1年以上の要件がなくなったからといって、すべての有期契約労働者が対象となるわけではありません。 前述した、

所定の期間内に労働契約が満了することが明らかでないこと

という要件は、引き続き確認する必要があります。


出生時育児休業の取得回数と日数

出生時育児休業は、同一の子について、原則として2回まで分割して取得できます。

また、出生時育児休業給付金の支給対象となる日数は、合計で28日までです。

したがって、

項目 上限
分割取得の回数 2回まで
支給対象日数 合計28日まで
取得できる時期 原則として子の出生後8週間以内

3回目以後の休業

被保険者が、同一の子についてすでに2回の出生時育児休業を取得し、出生時育児休業給付金の支給を受けている場合には、3回目以後の出生時育児休業については、出生時育児休業給付金は支給されません。

 

具体例

同一の子について、次のように休業した場合を考えます。

  • 1回目:10日間
  • 2回目:10日間
  • 3回目:5日間

合計日数は25日であり、28日以内です。

しかし、取得回数が3回となるため、3回目の5日間については出生時育児休業給付金の対象になりません。

つまり、日数が28日以内であっても、3回目以後の休業は対象外です。


合計28日を超えた休業

同一の子について取得した出生時育児休業の日数を合算し、その合計が28日に達した場合には、28日に達した日の翌日以後の休業については、出生時育児休業給付金は支給されません。

 

具体例

次のように取得した場合を考えます。

  • 1回目:15日間
  • 2回目:20日間

取得回数は2回以内ですが、合計は35日です。

この場合、出生時育児休業給付金の支給対象となるのは合計28日までであり、残りの7日間については支給されません。


回数と日数は別々に判定する

出生時育児休業給付金については、次の2つの上限をそれぞれ満たす必要があります。

取得回数は2回まで
支給対象日数は合計28日まで

どちらか一方だけを満たせばよいわけではありません。

取得状況 判定
2回・合計20日 全期間が対象となり得る
2回・合計35日 28日まで対象
3回・合計20日 3回目以後は対象外
3回・合計35日 3回目以後かつ28日超の部分は対象外

育児・介護休業法との関係

育児・介護休業法上の出生時育児休業、いわゆる産後パパ育休についても、原則として、

  • 子の出生後8週間以内
  • 取得日数は最大28日
  • 2回まで分割取得可能

という仕組みになっています。 つまり、

  • 休業を取得する権利は育児・介護休業法
  • 休業中の所得を保障する給付は雇用保険法

により定められています。

通常の育児休業と育児休業給付金の関係と同じく、「休む制度」と「お金の制度」を区別して理解する必要があります

支給要件

大きく2つです。

要件① 育児休業を取得していること

原則

1歳未満の子の育児休業 です。


要件② 被保険者期間12か月以上

育児休業開始日前2年間に

みなし被保険者期間が12か月以上

必要です。

介護休業給付金と同じです。

育児休業給付金は

「育児休業後に職場へ戻る人」

を支援する制度です。 そのため 最初から

  • 退職予定
  • 育休後に復帰しない

場合は原則支給されません。

「2年間」の延長

病気や出産などで働けない期間がある場合があります。 そのため

通常 育休開始日前2年間

↓

延長後 最大4年間

まで延長できます。


延長理由

①疾病

②負傷

③出産

④事業所休業

⑤教育訓練休暇(2026改正)

⑥官民人事交流

⑦その他やむを得ない理由


覚え方

介護休業給付とほぼ同じ

と考えて大丈夫です。

育児休業給付の対象となる子

原則

1歳未満 です。


パパ・ママ育休プラス

夫婦とも育休取得

↓

1歳2か月未満まで

延長可能


待機児童など

保育園に入れない

↓

1歳6か月まで延長 さらに

↓

2歳まで延長

可能です。


 

年齢の整理

状況 対象年齢
原則 1歳未満
パパ・ママ育休プラス 1歳2か月未満
待機児童等(1回目延長) 1歳6か月未満
待機児童等(2回目延長) 2歳未満

2025年改正のポイント

昔は

保育園落選通知

だけで延長できました。

しかし改正後は

本当に職場復帰するために保育園を探していた

ことも必要になります。

単に給付金延長目的の申込みでは認められません。

実子以外も対象

育児休業給付金では、

法律上の実子・養子だけでなく、

将来養子になる予定の子も対象です。


対象になる人

①実子

②養子

③特別養子縁組前の監護中の子

④養子縁組里親に委託された子

⑤準ずる者


特別養子縁組

まだ法律上の親子ではない

↓

でも6か月以上監護する

↓

育児休業給付金支給 となります。

支給額

原則

休業開始から180日までは

賃金の67% 支給


181日目以降

賃金の50% 支給


例

休業開始時賃金

30万円

↓

180日まで

30万円 × 67%

 = 20万1千円


181日以降

30万円 × 50%

 = 15万円

育休中に会社から給料が出た場合

完全に休まなくてもよいですが、

給料が多いと給付金が減ります。


① 賃金が少ない

休業前賃金の

30%以下

(180日までは13%以下)

↓

給付金満額支給


② 賃金が中間

30%超80%未満

↓

給付金減額

計算式

給付金
=80%相当額-支払賃金


③ 賃金が多い

休業前賃金の80%以上

↓

不支給

 

休業中に働いてもいいのか

 

できます。 ただし、

支給単位期間ごとに

  • 10日以下

または

  • 80時間以下 です。

これを超えると育児休業給付金の支給対象外となります。

育児休業と育児休業給付金の比較図

 

 

項目 育児休業(育児・介護休業法) 育児休業給付金(雇用保険法)
支給要件 1歳に満たない子を養育するとき 1歳未満の子の育児休業を取得し、
開始前2年間に賃金支払基礎日数12か月以上
対象期間 子が1歳になるまで(最長2歳)
※パパ・ママ育休プラスで1歳2か月
子が1歳になるまで(最長2歳)
※パパ・ママ育休プラスで1歳2か月
取得可能日数 申し出た日数 申し出た日数
分割取得 2回まで 2回まで
申出期限 原則:開始予定日の1か月前まで 支給単位期間の初日から起算して4か月経過する日の属する月末まで
休業中の就業 原則不可(例外あり)
一時的・臨時的な就労は可能
支給単位期間ごとに
10日以内(又は80時間以内)まで可

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