給付費の負担

雇用保険の給付費は、雇用保険料国庫負担(税金)によって賄われています。

国が費用の一部を負担するのは、失業対策が国の経済政策・雇用政策の一環であり、国にも一定の責任があると考えられているためです。

ただし、すべての給付に国庫負担があるわけではありません。

給付の目的によって、国庫負担の有無や負担割合が異なります。

目 次

  1. 雇用安定事業
  2. 国庫負担が行われないもの
雇用保険二事業、費用の負担、不服申立て、雑則、罰則 

給付費に対する国庫負担

 

大原則

まず覚えておきたい原則は次のとおりです。

国庫負担があるのは、「失業中の生活保障」を目的とする給付が中心です。

つまり、

  • 基本手当などの求職者給付
  • 広域延長給付
  • 日雇労働求職者給付金

などには国庫負担があります。

一方、

  • 就職促進
  • 能力開発
  • 高年齢者支援

などを目的とする給付は、原則として国庫負担の対象外です。


国庫負担がある主な給付

給付 国庫負担割合
求職者給付(高年齢求職者給付金を除く) 原則40分の1(雇用情勢・財政悪化時は4分の1)
広域延長給付に係る求職者給付 原則30分の1(悪化時は3分の1)
日雇労働求職者給付金 原則30分の1(悪化時は3分の1)
教育訓練休暇給付金 原則40分の1(悪化時は4分の1)
介護休業給付金 8分の1×10/100(令和8年度)※暫定措置あり
育児休業給付金・出生時育児休業給付金 8分の1
職業訓練受講給付金 2分の1(暫定措置あり)

国庫負担が行われないもの

次の給付には、原則として国庫負担は行われません。

給付 国庫負担がない理由
高年齢求職者給付金 高齢者には公的年金制度があり、二重の生活保障を避けるため。
就職促進給付 再就職を促進するための給付であり、失業中の生活保障を目的としていないため。
教育訓練給付(教育訓練休暇給付金を除く) スキルアップ支援が目的であり、生活保障ではないため。
高年齢雇用継続基本給付金 65歳までの雇用確保が事業主の責務となったため。
高年齢再就職給付金 企業にも利益が及ぶ制度であり、雇用保険財源で賄うことが適当とされているため。

例外

 

教育訓練休暇給付金

教育訓練給付は原則として国庫負担の対象外ですが、

教育訓練休暇給付金のみは政策的な理由から国庫負担があります。


出生後休業支援給付・育児時短就業給付

国は、毎年度、予算の範囲内で雇用保険事業の事務に要する経費を負担します。

ただし、出生後休業支援給付および育児時短就業給付に関する事業は、この国庫負担の対象から除かれています。(法66条5項)

これは、これらの給付やその事務費が、雇用保険料や通常の国庫負担ではなく、原則として「子ども・子育て支援納付金」(当分の間は「子ども・子育て支援特例公債の発行収入金」を含む)を財源としているためです。(法68条の2、附則16条)

 

ポイント

出生後休業支援給付と育児時短就業給付は雇用保険から支給される給付ですが、その財源は通常の雇用保険財源ではありません。

そのため、国庫負担の対象外とされ、子ども・子育て支援納付金によって賄われる点が特徴です。

子ども・子育て支援納付金とは、少子化対策や子育て支援の財源を確保するために、医療保険者(健康保険組合、協会けんぽ、市町村国保など)が国に納付するお金です(子ども・子育て支援法)。

その財源は、最終的には医療保険料を通じて、事業主や加入者(被保険者)が負担する仕組みとなっています。

 

ポイント

 

  • 納付するのは労働者や事業主ではなく、医療保険者(健康保険組合など)

  • 医療保険者は、集めた保険料を財源として国へ納付する

  • 国は、その納付金を少子化対策や子育て支援に充てる


雇用保険二事業との関係

雇用保険二事業には、原則として国庫負担はありません。ただし、

就職支援法事業については例外があるため、

「雇用保険二事業には国庫負担がない」

と断定すると誤りになります。


全体の整理

 

国庫負担があるもの

  • 求職者給付(基本手当など)
  • 広域延長給付
  • 日雇労働求職者給付金
  • 教育訓練休暇給付金
  • 育児休業給付
  • 介護休業給付
  • 職業訓練受講給付金

国庫負担がないもの

次のいずれかに当てはまるものです。

① 高齢者向け給付(年金制度との関係)

② 就職促進給付(再就職インセンティブ)

③ 能力開発給付(教育・スキルアップ)

④ 企業にも利益が及ぶ給付


覚え方

生活保障には国庫負担あり。

生活保障以外は、原則として国庫負担なし。


試験対策

よくある誤り

❌ 教育訓練給付はすべて国庫負担がある

教育訓練休暇給付金だけが例外


❌ 高年齢者向け給付は国庫負担がある

原則として国庫負担なし


❌ 雇用保険二事業には国庫負担がない

就職支援法事業は例外

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