解雇制限の解除

労働基準法19条1項ただし書、2項、則7条
 

1 次の場合には、法第19条第1項の本文の解雇制限の規定は適用されない

  1.  使用者が、法第81条の規定によって打切補償支払った場合。
  2.  天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合。

2 前項2.の場合においては、その事由について行政官庁所轄労働基準監督署長)の認定を受けなければならない。

打切補償を支払う場合

 

使用者法81条の規定による打切補償(=平均賃金の1,200日分)を支払った場合には、解雇制限は解除される。(法19条1項ただし書)

  • 療養開始後3年を経過してもなお治ゆしていないのであれば、「業務上傷病による休業期間+30日間中であっても打切補償を支払った場合には解雇制限は解除され労働者を解雇することができます
  • 打切補償とは業務上傷病により療養をしている労働者が療養開始後3年を経過しても負傷または疾病が治ゆしない場合において使用者が平均賃金の1,200日分を支払いその後の療養補償休業補償など労働基準法の規定による補償義務を打ち切ることをいいます

労働者の責に帰すべき事由が判明した場合

 

解雇制限を受ける労働者について、たとえ労働者の責に帰すべき事由が判明しても、その者を解雇制限期間中には解雇してはならない
(昭和24年11月11日基収3806号)

  • 解雇制限期間中法19条1項ただし書の除外事由打切補償の支払があった場合や事業の継続が不可能となった場合がない限り例えば労働者の責に帰すべき事由がある場合でも一般に解雇することは許されません
  • 解雇制限は産前産後の女性の生命健康の保護や業務上の傷病で療養中の者が治療に専念するためなど就労困難な状態にある労働者の最低限の生活と雇用の地位を守るために設けられた強行規定です
    そのためこの期間中はどんな理由があっても労働者の責に帰すべき事由が判明しても)」解雇してはならないという原則により保護の実効性が確保されています

業務上の傷病による解雇制限

法19条1項

なお、産前産後の女性に関しては、打切補償による解雇制限の解除は行われない

 

(昭和24年11月11日基収3806号)
解雇制限を受ける労働者
について、法19条1項ただし書の除外事由打切補償の支払があった場合や事業の継続が不可能となった場合がない限りたとえ労働者の責に帰すべき事由が判明しても、その者を解雇制限期間中には解雇してはならない

 

  治癒 ⇓      
  業務上の傷病による療養期間 + 30日間    
  ⇦ 解雇制限期間 ⇨    
    ↑ 打切補償 (平均賃金の1,200日分)を支払った
 ⇓
     
  ⇦ 解雇制限期間 ⇨ 解雇制限の解除 ⇨      
  打切補償の支払いがなくとも療養開始から3年を経過した時点で傷病補償年金を受給していれば、打切補償を支払ったものとみなされる(昭和52年3月30日基発192号) 解雇制限の解除 ⇨

有期労働契約満了と解雇制限

 

有期労働契約の期間満了時が解雇制限期間内だった 解雇制限事由があっても、有期労働契約は期間満了によって終了 期間満了は「解雇」にあたらない
解雇制限期間内に労働者の責に帰すべき事由が発覚 解雇制限期間中は(即時)解雇できない 生命・健康の保護や知r等への専念が優先される

(昭和63年3月14日基発150号)

一定の期間または一定の事業の完了に必要な期間までを契約期間とする労働契約を締結していた労働者の労働契約は、他に契約期間満了後引続き雇用関係が更新されたと認められる事実がない限りその期間満了とともに終了する。したがって、業務上負傷しまたは疾病にかかり療養のため休業する期間中の者の労働契約もその期間満了とともに労働契約は終了するものであって、法19条1項の解雇制限の規定の適用はない

天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合

出産前後の規定について

  • 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合には、解雇制限は解除される法19条1項ただし書)
    • ただし、その事由について所轄労働基準監督署長の認定を受けなければならない。(法19条2項、則7条)
  • 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合には、原則として、解雇予告または解雇予告手当の支払いを要しない
    (法20条1項ただし書)
    •  この場合、その事由について、所轄労働基準監督署長の認定を受けなければならない。(法20条3項、則7条)

 

  業務上の傷病による療養期間
産前産後の女性
+ 30日間  
  ⇦ 解雇制限期間 ⇨  
    ↑ 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能 + 所轄労働基準監督署長の認定
 ⇓
 
  解雇制限期間⇨ 解雇制限の解除 ⇨

(昭和63年3月14日基発150号)
 法第19条及び第20条による認定は、原則として解雇の意思表示をなす前に受けるべきものであるが、法第19条第1項ただし書及び法第20条第1項ただし書の認定は、ただし書に該当する事実があるか否かを確認する処分であって、認定されるべき事実がある場合には使用者は有効に即時解雇をなし得るものと解されるので、即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得た場合はその解雇の効力は使用者が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解される。 

 なお、使用者が認定申請を遅らせることは、法第19条又は第20条違反である。

やむを得ない事由

 

(昭和63年3月14日基発150号)

やむを得ない事由」とは、天災事変に準ずる程度に不可抗力に基づきかつ突発的な事由の意であり、事業の経営者として、社会通念上採るべき必要な措置をもってしても通常如何ともなし難いような状況にある場合をいう。

天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となったとは、「天災事変その他やむを得ない事由と解されるだけでは十分でなくそのために事業の継続が不可能になることが必要でありまた逆に事業の継続が不可能になってもそれがやむを得ない事由に起因するものでない場合にはこれに該当しません

 「やむを得ない事由」とは、具体的には次のような事由をいう。

やむを得ない事由 やむを得ない事由に該当しないもの
  1. 事業場が火災により焼失した場合
    (事業主の故意または重大な過失に基づく場合を除く)
  2. 震災に伴う工場などの倒壊類焼などにより事業の継続が不可能となった場合
  1. 税金の滞納処分を受け事業廃止に至った場合
  2. 取引先が休業状態となり、発注品なく事業が金融難に陥った場合
  3. 単なる経営上の理由による事業の廃止

解雇制限の例外と解雇予告の例外

 

法19条 解雇制限の例外 打ち切り補償  
天災事変その他やむを得ない事由 署長の認定
法20条 解雇予告の例外  
労働者の責に帰すべき事由 署長の認定

 

傷病補償年金と解雇制限

 
 
  ↓療養 1年6カ月 3年
療養補償給付
休業補償給付 傷病補償年金  「3年経過した日」に解雇制限解除
 
療養補償給付
休業補償給付 傷病補償年金
         「傷病補償年金を受けることになった日」に解雇制限解除

傷病補償年金は、打切補償よりも一層高度、かつ、十分なものであるところから、傷病補償年金が行われることとなった場合には打切補償が支払われたものとみなすことになっています。

 

 療養の開始後3を経過した日において傷病補償年金を受けている場合(又は同日後において、傷病補償年金を受けることとなった場合)

療養開始後3年を経過した日(又は傷病補償年金を受けることとなった日)において、「打切補償平均賃金の1,200日分)」を支払ったものとみなされ、解雇制限が解除されます。
 療養開始後1年6箇月経過日から傷病補償年金の支給を受けている場合であっても3年を経過するまでは解雇制限は解除されません

 

② 負傷又は疾病に係る療養の開始後3を経過した日において「傷病補償年金を受けている場合(又は同日後において傷病補償年金を受けることとなった場合)でなければ「打切補償(平均賃金の1,200日分)」を支払ったものとはみなされず、解雇制限が解除されることはない
 
休業補償給付の支給を受けている場合には解雇制限は解除されません

 


 

  • 労働基準法19条1項ただし書)業務上傷病による休業期間30日間」中であっても、打切補償を支払った場合には、労働者を解雇することができます。
  • 労働者災害補償保険法19条は、
    • 業務上傷病による休業期間に係る解雇制限」の解除との関係について規定したものであるため
    • 傷病補償年金について適用され、傷病年金通勤災害には適用されません

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