高年齢雇用継続基本給付金

 

高年齢雇用継続基本給付金とは、60歳以降も働き続ける雇用保険の一般被保険者について、60歳到達時と比べて賃金が一定割合以上低下した場合に支給される雇用保険の給付です。

定年後の再雇用や勤務条件の変更により賃金が下がるケースは少なくありません。この給付は、そのような高年齢者の収入減少を補い、65歳まで安心して働き続けられるよう支援することを目的としています。

なお、令和7年(2025年)4月1日以降に60歳に達する方については、制度改正により給付率の上限が**15%から10%**へ引き下げられています。


■ なぜ「65歳の月まで」もらえるのか

例:

  • 誕生日:4月28日

この場合  4月中はまだ「60~64歳の制度」の対象として扱う

つまり 4月分の給付金までは支給される


■ でも65歳になると何が変わる?

 


■ じゃあ65歳以降はどうなる?

ここが重要です

● 高年齢雇用継続基本給付金は65歳で終了(それ以降はもらえない)

  • 誕生日:4月28日の場合は5月からもらえなくなる

● 代わりに出てくるのがこれ

高年齢求職者給付金 これは

  • 65歳以上で
  • 仕事を辞めて
  • 失業状態のとき 「失業の状態

一時金として支給される (※いわゆる失業手当の高齢者版)


■ 全体の流れ(イメージ)

  • 60~64歳
    給料が下がったら補填
  • 65歳到達月
    最後の1ヶ月だけギリ対象
  • 65歳以降
    補填制度は終了
    失業したら「高年齢求職者給付金」

 

 

老齢厚生年金との関係

高年齢雇用継続基本給付金を受給している場合、一定の要件に該当すると老齢厚生年金(在職老齢年金)の一部が支給停止されることがあります。そのため、雇用保険と年金の両制度をあわせて確認することが重要です。

 

目 次

  1. 高年齢雇用継続基本給付金とは
  2. 支給対象者
  3. 支給要件
  4. 支給対象月
  5. 支給額
    1. 支給対象月に支払われた賃金の額
  6. 支給対象となる賃金
    1. 支給額(賃金額との合計額が支給限度額を超える場合)
  7. 支給申請
  8. 高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の比較

高年齢雇用継続基本給付金とは

 

高年齢雇用継続基本給付金は、雇用保険法に基づく高年齢雇用継続給付の一つです。

60歳以上65歳未満の一般被保険者が引き続き働く場合に、60歳到達時と比較して賃金が低下すると、その低下分の一部について給付を受けることができます。

高年齢者の就労意欲を維持し、定年後も働き続けやすい環境を整備するための制度です。

支給対象者

高年齢雇用継続基本給付金の対象となるのは、次のすべてを満たす方です。

  • 60歳以上65歳未満であること
  • 雇用保険の一般被保険者であること
  • 60歳到達日までに被保険者期間が通算5年以上あること
  • 60歳以降も引き続き雇用されていること

※被保険者期間には、一定の条件のもと離職期間があっても通算できる場合があります。

支給要件

 

支給対象月ごとに、次の要件を満たす必要があります。

① 支給対象月に支払われた賃金があること

② 支給対象月の賃金額が、60歳到達時等の賃金月額の75%未満であること

③ 支給額が最低限度額以上であること

これらの要件をすべて満たした月について支給されます。


60歳到達時等の賃金月額とは

給付額を計算する基準となる賃金です。

原則として、60歳到達前6か月間の賃金を基にハローワークが算定します。

この金額を基準として、各月の賃金がどの程度低下したかを判定します。

 

 給料が高すぎない(上限あり)

  • 月給が 386,922円未満(2026改正)

 

支給額が最低ラインを超える

  • 計算した給付金が 2,411円を超えること

● 雇用保険期間の通算ルール

  • 前の会社との間が
    • 1年以内
    • 失業手当をもらっていない
      → 合算して5年にできる

● 支給限度額は毎年変わる

  • 毎年 8月1日 に見直し

支給額が最低ラインを超える

これは、

「算定された給付額」が
「賃金日額最低限度額の80%以下」
なら支給しない

と言っています。

簡単にいうと、

「給付額が小さすぎるなら不支給」

ということです。


「賃金日額の最低限度額」とは

雇用保険には、

  • 基本手当
  • 高年齢給付

などの計算基準として、

「賃金日額」があります。

しかし極端に低い額にならないよう、

「最低限度額」

が設定されています。

毎年改定されます。


イメージ例

仮に、

  • 賃金日額最低限度額=3,014円

だとします。 すると、

2,411円

になります。 この場合、

  • 算定給付額が1,800円
    → 不支給
  • 2,500円
    → 支給 です。

支給対象月

 

支給対象月とは、賃金低下があった各暦月をいいます。

毎月、

  • 賃金額
  • 賃金低下率
  • 支給額

が判定されます。

したがって、一度支給決定を受けても、その後の賃金額によって支給の有無や支給額は変わります。

期間は

60歳到達月 → 65歳到達月 まで です。


支給対象月にならない月


① 月全体で被保険者でない

例えば

6月15日退職 → 7月は完全に無職

7月は対象外


② 月全体が育休・介護休業等

例えば

6月1日~6月30日 育児休業

6月は対象外


月の一部だけ休業した場合

ここがひっかけです。

6月1日~15日 育児休業

6月16日~30日 勤務

この場合6月は支給対象月になります。

なぜなら 「月全体」 休業していないからです。

疾病などで賃金が減った場合

原則

低下率は 支払われた賃金 で計算


しかし 次の事情で賃金が減った場合

  • 病気
  • ケガ
  • 事業所休業
  • その他やむを得ない事情 については

本来支払われるはずだった賃金

を支払われたものとみなす

ことになっています。


なぜ?

この制度は

「年齢による賃金低下」

を補償する制度

だからです。


病気で給料が減った

年齢とは関係ない

給付対象を不当に増やしてはいけない


という考え方です。


具体例

60歳到達時賃金

30万円

本来の賃金

18万円

病気で6万円減額

実際支給

12万円

この場合

18万円÷30万円

=60%


60歳到達時賃金:30万円
本来賃金:18万円
疾病で減額:6万円
実際支給賃金:12万円

厚労省ページでは、60歳到達日等が令和7年4月1日以降の人は、支給率が従来の15%上限から10%上限に変更されるとされています。

 

給付率を確認

高年齢雇用継続基本給付金は

賃金低下率が

61%以下 の場合

最大給付率

10% になります。

12万円 × 10% = 12,000円

高年齢雇用継続給付は 12,000円

項目 使う金額
低下率の判定 18万円
支給額の計算 12万円

支給額

支給額は、

  • 60歳到達時等の賃金月額
  • 支給対象月の賃金額

を基に計算されます。

 

① 60歳到達時等の賃金月額(基準となる賃金)

これは、60歳到達前6か月間の賃金を基に算定しますが、賞与は含みません。


② 支給対象月に支払われた賃金額

こちらは、その月に実際に支払われた賃金をいいます。高年齢雇用継続給付では、「賃金の支払対象期間」ではなく実際の支払日を基準として判定します。

 

このため、賞与がその月に支払われた場合には、その賞与も「その月に支払われた賃金額」に含まれます。その結果、賞与が支給された月は賃金額が大きくなり、賃金低下率が75%以上となるなどして、その月の高年齢雇用継続基本給付金が支給されなかったり、支給額が減額されたりすることがあります。

 

賃金の低下率に応じて給付率が決まり、その給付率を賃金額に乗じて支給額を算出します。

 

給付率

 

令和7年4月1日以降に60歳に達した方

  • 最大給付率:10%

 

令和7年3月31日以前に60歳に達した方

  • 最大給付率:15%

給付率は賃金低下率によって段階的に変動します。

支給額(賃金額との合計額が支給限度額を超える場合)

2026年度 支給限度額 386,922円


給付金+賃金 が

386,922円を超える場合

給付金を減額


具体例

賃金

380,000円

給付金

20,000円


合計

400,000円


支給限度額

386,922円


超過額

13,078円 その分給付金が減額されます。

支給申請手続(初回)

提出期限

支給対象月初日から

4か月以内 です。


提出書類

主なもの

①高年齢雇用継続給付受給資格確認票

②(初回)支給申請書

③60歳到達時等賃金証明書


なぜ賃金証明書が必要?

高年齢雇用継続基本給付金は

60歳到達時賃金と比較する制度だからです。

そのため 60歳到達時賃金証明書

が必要になります。


高年齢再就職給付金との違い

ここは比較で出ます。

給付 60歳到達時賃金証明書
高年齢雇用継続基本給付金 必要
高年齢再就職給付金 不要

高年齢再就職給付金は

離職時にすでに賃金日額が算定済みだからです。


申請方法

原則

事業主経由 です。


ただし やむを得ない理由 があれば

本人申請も可能です。

高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の比較

令和8年(2026年)現在の制度に基づく比較表です。令和7年4月1日からの高年齢雇用継続給付の支給率引下げ(最高15%→10%)を反映しています。

項目 高年齢雇用継続基本給付金 高年齢再就職給付金
制度の趣旨 60歳以降も同じ会社などで継続して働く人の賃金低下を補填する 60歳以降に離職し、基本手当を受給した後に再就職した人の賃金低下を補填する
対象者 定年後の再雇用・継続雇用などで働き続ける人 離職後に基本手当を受給し、60歳以降に再就職した人
年齢要件 60歳以上65歳未満 60歳以上65歳未満
雇用保険加入期間 被保険者期間5年以上 算定基礎期間5年以上
基本手当(失業給付)の受給 受給していないこと 受給していること
賃金要件 60歳到達時(または受給資格発生日)の賃金と比べ、各月の賃金が75%未満 基本手当の算定基礎となった賃金日額を30倍した額と比べ、再就職後の賃金が75%未満
基本手当の残日数 要件なし 再就職時に基本手当の支給残日数が100日以上必要
雇用見込み 一般被保険者として雇用されていること 1年を超えて引き続き雇用されることが確実であること
支給期間 65歳到達月まで 基本手当の残日数が200日以上なら2年間、100日以上200日未満なら1年間(いずれも65歳到達月まで)
支給率 最大10%(令和7年4月1日以降に60歳到達等の人)※経過措置あり 最大10%(令和7年4月1日以降に60歳到達等の人)※経過措置あり
支給対象外 賃金が75%以上の場合など 再就職手当を受給した場合など
再就職手当との関係 関係なし 再就職手当との併給不可

共通点

  • 60歳以上65歳未満が対象
  • 雇用保険の一般被保険者であること
  • 賃金が60歳時等の75%未満に低下した場合に支給される
  • 支給率は令和7年4月以降、最高10%(経過措置により令和7年3月31日以前に60歳到達等の人は従前の最高15%が適用)

相違点

比較項目 基本給付金 再就職給付金
離職の有無 離職しない(継続雇用) 一度離職して再就職
基本手当 受給しない 受給する
残日数要件 なし 100日以上必要
雇用見込み 特になし(一般被保険者であること) 1年以上雇用見込みが必要
支給期間 65歳まで継続 残日数に応じて1年または2年

実務での整理

  • 高年齢雇用継続基本給付金
    • 「定年後もそのまま働き続ける人」が対象
    • 基本手当を受給していない
  • 高年齢再就職給付金
    • 「一度退職し、基本手当を受給して再就職した人」が対象
    • 基本手当の支給残日数100日以上が必要
    • 再就職手当とは併給できない

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