高年齢雇用継続基本給付金

高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以降の再雇用などで賃金が低下した労働者の雇用継続を支援するための雇用保険の給付制度です。
この制度は、2025年(令和7年)4月1日に改正が行われ、給付率の引き下げなど、内容が変更されています。

  • 高年齢雇用継続基本給付金、「65歳に達した日の属する月まで単位で支給されます
     例えば65歳の誕生日が4月28日であるなら4月分まで支給されることになります被保険者は月の途中で65歳以上となるため、「高年齢被保険者にも高年齢雇用継続基本給付金が支給される余地がほんの少しだけ生じることになります

 

目 次

  1. 支給対象者について
  2. 支給対象月に支払われた賃金の額
  3. 支給対象月
  4. 支給額(賃金額との合計額が支給限度額を超える場合)
  5. 支給申請手続(初回)

支給要件

高年齢雇用継続基本給付金は、次の要件に該当するときに支給される。
(法61条1項・6項、令和7年厚労告203号、令和7年8月1日から支給限度額が変更になります(厚生労働省))

1 被保険者が60歳に達した日または60歳に達した日後において、算定基礎期間に相当する期間(被保険者であった期間)が、5年以上あること
2 支給対象月に支払われた賃金の額」が、みなし賃金日額に30を乗じて得た額100分の75に相当する額を下っていること
3 2026改正支給対象月に支払われた賃金の額支給限度額386,922円未満であること。
4 2026改正支給対象月における高年齢雇用継続基本給付金の額として算定された額3,014円の80%相当額2,411円を超えていること。
  • 60歳到達日において被保険者であった期間が5年未満であってもその後5年以上になった場合には高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けることができます
  • 支給限度額の自動変更による改定日は毎年8月1日ですので8月以後の雇用月より当該変更後の支給限度額を基準として支給額を算定することとなります
  • 被保険者であった期間」は基本手当における「被保険者であった期間」の取扱いと同様に、当該被保険者であった期間に係る被保険者資格を取得した日の直前の被保険者資格を喪失した日が当該被保険者資格の取得日前1年の期間内にある場合であって、この期間内に基本手当または特例一時金の支給を受けていない場合に通算される。
  • 被保険者であった期間と被保険者であった期間との間1年以内で基本手当などの支給を受けていない場合には、「あわせて5年以上となります
  • 高年齢雇用継続基本給付金を受給している途中でA社を離職し基本手当などを受給しないまま、「1年を超えてB社に再就職した場合B社においては高年齢雇用継続基本給付金を受給することはできません
    これに対し高年齢雇用継続基本給付金の受給資格者が被保険者資格喪失後基本手当の支給を受けずに、「1年以内に雇用され被保険者資格を再取得したときは新たに取得した被保険者資格についても引き続き高年齢雇用継続基本給付金の受給資格となり得ます
    厚生労働省HP、Q&A~高年齢雇用継続給付~Q12

支給対象月に支払われた賃金の額

高年齢雇用継続基本給付金に係る「支給対象月に支払われた賃金の額」とは、60歳に達した日の属する月以後に支払われる賃金の額をいうが、非行疾病または負傷事業所の休業またはこれらの理由に準ずる理由であって公共職業安定所長が定めるものにより支払を受けることができなかった賃金がある場合には、その支払を受けたものとみなして支給対象月における賃金の額が算定される。(法61条1項かっこ書、則101条の3)

  • みなし賃金日額に30を乗じて得た額」の75%相当額を下回っていること要件です
    • ​退職をした場合「賃金日額」⇨退職をしていないので「みなし賃金日額
  • みなし賃金日額が30万円だった支給対象月に支払われる賃金の額が18万円であるところ疾病などが理由で6万円分の賃金の支払を受けることができませんでした。この場合の低下率の算定は?
    この場合現実に受け取った賃金額の12万円で低下率を算定するのではなく疾病による額実際に支払われた賃金額に加えた18万円で算定しますすなわち18万円÷30万円=60%が低下率となります
    低下率の算定においてはあくまでも年齢が原因の低下部分がその算定の基礎となります

支給対象月

支給対象月」とは、原則として、被保険者が60歳に達した日の属する月から65歳に達する日の属する月までの期間内にある月をいう。(法61条2項)

  • 高年齢雇用継続基本給付金が支給される期間、「支給対象月といいます

 

次の月は、支給対象月とはされない。(法61条2項)

1 その月の初日から末日まで引き続いて被保険者でなかった月
2 2026改正その月の初日から末日まで引き続いて介護休業給付金または育児休業給付金出生時育児休業給付金若しくは出生後休業支援給付金の支給を受けることができる休業及び教育訓練休暇給付金の支給を受けることができる休暇の取得をした月
  • 月の全部について介護休業または育児休業を取得した場合には支給対象月とは認められません月の一部について休業を取得した場合には支給対象月と認められ高年齢雇用継続基本給付金が支給されます
  • 初日から末日までの間に引き続き介護休業給付金または育児休業給付金の支給対象となる休業を取得した場合その月は高年齢雇用継続基本給付金を受けることはできません
「支給対象月」に該当するか?
月の初日から末日まで「まるまる被保険者」だった?
↓ YES ↓ NO
月の初日から末日まで「まるまる休業・休職」していた?
(他の給付金を受け取っているか?)
↓ NO ↓ YES
「支給対象月」に該当 「支給対象月」に該当しない

支給額(賃金額との合計額が支給限度額を超える場合)

2026改正高年齢雇用継続基本給付金の額と賃金額の合計額上限額は、支給限度額386,922円)とされているため、当該支給限度額を超える場合には、支給限度額から当該賃金の額を減じて得た額が、高年齢雇用継続基本給付金の額となる。(法61条5項ただし書、令和7年厚労告203号)

支給申請手続(初回)

被保険者は、初めて高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けようとするとき、支給対象月の初日から起算して4か月以内に、高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回高年齢雇用継続給付支給申請書60歳到達時等賃金証明書等の書類を添えて事業主を経由してその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長提出しなければならない。ただし、やむを得ない理由のため事業主を経由して当該申請書の提出を行うことが困難であるときは、事業主を経由しない提出を行うことができる。(則101条の5第1項)

  • 高年齢雇用継続給付の申請手続原則として、「事業主を経由して行う必要があります(本人の希望があれば本人が行うこともできます)。
  • 高年齢雇用継続給付の支給は最大でおよそ5年になるため複数回支給申請を行います
  60歳到達時等賃金証明書
高年齢雇用継続基本給付金 原則として必要
高年齢再就職給付金

不要

  • 基本手当の申請時に賃金日額はすでに算出しています
  •  高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回高年齢雇用継続給付支給申請書及び高年齢雇用継続給付支給申請書に記載された事項については、事業主の証明を受けなければならない。(則101条の5第7項)
  •  事業主を経由して申請書の提出を行う場合であって、当該事業主特定法人の事業所の事業主である場合には、電子申請により行う(2回目以降の申請手続についても同様)。(則101条の5第8項・第10項)

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