日雇労働求職者給付金

全体像

日雇労働者には、通常の雇用保険の「基本手当」ではなく、

日雇労働求職者給付金

という制度があります。

その中には、

  • 普通給付
  • 特例給付

の2種類があります。

普通給付は、日雇労働者が失業した際に、失業した月の前2カ月間の労働日数(3月に失業した場合、1月及び2月に、26日以上就労していたか)に応じて支給される給付金です。日雇労働者向けの雇用保険制度の一つで、一般に「あぶれ手当」とも呼ばれます。

次の数字を正確に覚えておくことが重要です。

  • 普通給付:前2か月・26日以上・支給13~17日
  • 特例給付:6か月・各月11日以上・合計78日以上・最大60日
  • 不就労日:各週の最初の不就労日は支給されない(待期に相当)
  • 制度趣旨:普通給付は短期失業の救済、特例給付は長期失業の例外的救済であり、特例給付には前後の給付制限を設けることで連続利用を防止している。

覚えるべきポイントは次の4つです。

 

  • 日額は印紙の等級で決まる(第1級7,500円、第2級6,200円、第3級4,100円)。
  • 支給日数は印紙の枚数で決まる(26~31枚で13日、44枚以上で17日が上限)。
  • 29~31枚では支給日数は増えず、32枚から14日になる
  • 表の支給日数は「限度日数」であり、実際には失業の認定を受けた日数までしか支給されない

 

目 次

  1. 普通給付
    1. 失業の認定
    2. 受給額
    3. 受給日数
    4. 不就労日(職業に就かなかった最初の日)
  2. 日雇労働求職者給付金の特例給付
    1. 特例給付の受給要件

普通給付(通常の給付)

趣旨

「今月は仕事が少なくて失業した」

という短期間の失業を支援する制度です。

 

受給要件

失業した月の前2か月間に

印紙保険料が26日分以上

納付されていること。

失業日:7月15日

判定する期間

  • 5月
  • 6月

この2か月だけを見ます。


「26日以上」の意味

各月13日ずつでもよいし、

例えば

失業:7月

4月26日勤務
5月0日勤務
6月0日勤務

判定期間に4月は入りません。

一方、

3月0日勤務
4月26日勤務
5月失業

なら

判定期間は

3月・4月

なので受給できます。

つまり

2か月合計で26日あればよい

という制度です。


支給日数

納付日数によって

13~17日

支給されます。

例えば

26日納付

13日支給

44日以上納付

17日支給


支給額

例えば

第1級印紙が24日以上なら

7,500円/日

13日支給なら

7,500円 × 13日

=97,500円

になります。


不就労日(待期のようなもの)

各週(日曜日~土曜日)の

最初に働かなかった日は支給されません。

これは

普通の雇用保険でいう

待期期間

に相当します。

例えば

休み 勤務 勤務 失業 勤務

この場合

日曜日は支給されず、

水曜日から支給対象になります。

ポイントは

その週の最初の不就労日だけ除かれる

 

ということです。

日雇労働求職者給付金の特例給付

 

制度の位置づけ(まずここが重要)

日雇労働者には、通常の失業給付とは別に 日雇労働求職者給付金 という仕組みがあります。

その中に

の2つが存在します。


 

✔ 特例給付とは?

 

なぜ特例給付があるの?

普通給付は

前2か月

しか見ません。

しかし、例えば

6か月間ずっと働いていた人が

その後3か月ほとんど仕事がなくなった場合、

普通給付だけでは生活を支えきれません。

そこで 長期間失業した人

のために設けられたのが

特例給付 です。

本来の受給要件(普通給付)を満たさない場合でも 一定の条件を満たせば支給される「例外的な給付」

つまり 救済制度だが、濫用防止のために要件が厳しい というのが本質です。

  • 普通給付は「今月ちょっと仕事がない」という状況に対応し、
  • 特例給付は「数か月間まとまった仕事がない」という状況に対応する制度です。
 

 

特例給付の受給要件

 

中核要件(最重要)

まず条文の核はこれです:

継続する6か月間に
・各月11日以上 かつ
・合計78日以上
印紙保険料が納付されている


✔  6か月とも働いていることが必要です。

勤務日数
1月 13日
2月 12日
3月 11日
4月 14日
5月 15日
6月 13日

合計

78日

要件クリア


 

3つの受給要件(構造理解が重要)

 

要件①:就労実績要件

6か月で各月11日+合計78日

→ これは「働いていた実績」の確認


 

要件②:直前5か月間に 普通給付または特例給付 を受けていないこと

これは 直前に給付を受けていた人は対象外

という意味です。


 

要件③:6か月の最後の月の翌月から 2か月間 普通給付を受けていないこと

特例給付を受ける前後で

 

普通給付を受けていてはいけません。


 

なぜこんな複雑なのか(制度趣旨)

この制度のポイントはここです


❗ 特例給付は「連続して使わせない」設計

 

理由

特例給付は本来「例外」だから

もし:

  • 受給 → すぐまた受給 → すぐまた受給

となると 実質的に常時給付状態になる

→ 制度趣旨(例外的救済)から逸脱


 

✔ そのための制限

要件 意味
要件② 直前の給付を禁止
要件③ 直後の給付も禁止

前後をブロックして「単発利用」に限定


 

行政手引の重要ポイント(重要)

条文では 「普通給付を受けていない」 となっていますが、

行政手引では 特例給付も含めて禁止 とされています。

 


✔ ここが重要

条文よりも実務運用が厳しい

理由:

  • 特例給付 → 特例給付 のループを防ぐため

 

全体像まとめ(超重要)

特例給付の受給要件は、

① しっかり働いていること

  • 6か月・11日×各月・78日合計

② 直前に給付を受けていない

  • 後ろ5か月

③ 直後も給付を受けていない

  • 翌月から2か月

つまり「働いていた実績があり、かつ給付に依存していない人」だけ救済する制度

 


 

一言でまとめ

特例給付とは 「例外的に支給されるが、連続利用を厳しく制限された救済制度」

 

普通給付と特例給付の比較

 

項目 普通給付 特例給付
趣旨 短期間の失業を救済 長期間の失業を救済
判定期間 前2か月 継続する6か月
就労要件 26日以上 各月11日以上・合計78日以上
支給日数 13~17日 最大60日
制度の性格 通常の給付 例外的な救済制度
利用制限 特になし 前後の給付に厳しい制限あり

失業の認定

日雇労働被保険者の失業の認定は、その者の選択する公共職業安定所において日々その日について行われる。(則1条5項4号、則75条1項)

  • 日雇労働被保険者の失業認定は、通常、本人が選んだハローワークで毎日行われます。しかし、実際には、日雇派遣労働者については、厚生労働省が指定した特定のハローワーク(船橋、新宿、大阪など)で手続きを行う必要があります。どのハローワークに行くべきかは、日雇労働被保険者手帳の交付時に、指示されることになっています。(則1条5項4号かっこ書)

受給額受給額(日額)の決まり方

まず決まるのは、

1日当たりいくら支給されるか です。

これは、

前2か月間に納付された印紙保険料の等級

によって決まります。


第1級給付金(7,500円)

 

要件

前2か月間に納付された印紙のうち

24日分以上が第1級印紙

であること。

つまり 26枚印紙があるなら

24枚以上が第1級ならOKです。

 

印紙
第1級24枚
第2級2枚

24枚が第1級

第1級給付金

日額7,500円


第2級給付金(6,200円)

第1級に該当しない場合でも、

次のどちらかを満たせば

第2級になります。

 

パターン①

第1級+第2級印紙

合計24日以上

第1級10枚

第2級14枚

合計24枚

第2級給付金

6,200円


パターン②(平均額方式)

第1級→第2級→第3級

の順で24枚選び、

その平均額が

第2級印紙以上

であれば

第2級になります。

これは印紙の組み合わせが複雑な場合の判定方法なので「平均額方式がある」程度を押さえておけば十分です。


第3級給付金(4,100円)

第1級にも

第2級にも該当しない場合

第3級給付金

4,100円


イメージ

24枚以上が第1級    

7,500円

↓それ以外でも 第1級+第2級で24枚以上    

6,200円

↓ それにも該当しない

4,100円

受給日数

次に決まるのは

何日分もらえるか です。これは 

前2か月間の印紙の枚数

だけで決まります。


26~31日

13日分支給

26枚

27枚

31枚

すべて

13日分


32~35日

14日分

32枚

34枚

35枚

14日


36~39日

15日分


40~43日

16日分


44日以上

17日分

これ以上増えません。


覚え方

26~31枚  13日

32~35枚  14日

36~39枚  15日

40~43枚  16日

44枚以上  17日


つまり 28枚を超える4日ごとに1日ずつ支給日数が増える

という仕組みです。


条文の意味

条文では

28日分を超える4日分ごとに1日を13日に加える

と書かれています。

これを表にすると

印紙枚数 計算 支給日数
26~28枚 13日 13日
29~31枚 まだ4日増えていない 13日
32~35枚 28日を4日超えた 14日
36~39枚 さらに4日超えた 15日
40~43枚 さらに4日超えた 16日
44枚以上 さらに4日超えた 17日(上限)

そのため、

29~31枚では支給日数は増えず、32枚になって初めて14日分になる点がポイントです。


具体例①(最低ライン)

5月 13日勤務

6月 13日勤務

合計26枚

第1級印紙が24枚以上なら

  • 日額:7,500円
  • 支給日数:13日

合計

7,500円 × 13日=97,500円


具体例②(多く働いた場合)

5月 22日勤務

6月 22日勤務

合計44枚

第1級印紙24枚以上なら

  • 日額:7,500円
  • 支給日数:17日

合計

7,500円 × 17日=127,500円


「限度日数」とは?

表の支給日数は、

「実際に失業の認定を受けた場合に支給できる最大日数」 です。

例えば44枚納付して17日分の資格があっても、

その月に失業の認定を受けた日が10日しかなければ、

実際の支給も10日分までになります。

つまり、

表は「必ず17日もらえる」という意味ではなく、

支給できる上限日数を示しているにすぎません。

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