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令和6年までの入管関係法令改正の概観

 入管法(出入国管理及び難民認定法)やその関連法令は、社会情勢を反映しながら幾度となく改正され続けています。これらの改正は日本に在留しようとする外国人の権利の範囲に直接影響するものであることから、外国人本人はもちろんのこと、行政書士や外国人受け入れ企業に対しても非常に重大な影響を及ぼします。こうした性質から、入管関係法令に少しでも関わる可能性のある方には、常にアンテナを張り巡らせ、専門性を高める努力が求められます。

 以下の図は、平成26年から令和6年にかけての入管関係法令の主要な改正点の概観です。

 本ページでは、特に大きな改正が行われた令和5年度・令和6年度改正について解説します。

1.特別高度人材制度の創設

 令和5年4月から特別高度人材制度(J-Skip)が導入され、これまでの高度人材ポイント制とは別途、活動類型に応じて学歴又は職歴と年収がそれぞれ一定の水準以上であれば「高度専門職」の在留資格を付与し(高度専門職省令1条1項柱書、2条1項1号イ)、「特別高度人材」としてこれまでよりも拡充した優遇措置を認めることとしました。

 なお、特別高度人材として認められた場合は、特別高度人材証明書が交付され、在留カード裏面欄外の余白に「特別高度人材」と記載されます。

https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri01_00009.html

2.未来創造人材制度の創設(特定活動告示51号)

 令和5年4月から未来創造人材制度(J-Find)が導入され、要件を満たす優秀な海外大学等を卒業等した者が、日本において就職活動又は起業準備活動を行う場合、在留資格「特定活動」(未来創造人材)を付与され、最長2年間の在留が可能となりました(特定活動告示51号)。かかる在留資格をもって在留する外国人は、就職活動又は起業準備活動のほか、これらの活動を行うために必要な資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動や起業準備活動に付随して行う報酬を受ける活動を行うことが認められます。また、家族(扶養を受ける配偶者又は子)の帯同も認められます(特定活動告示52号)。

https://x.gd/8G6Ng

3.送還・収容等に関する令和5年改正

 退去強制手続における送還・収容の現状に鑑み、退去強制手続を一層適切かつ実効的なものとするため、在留特別許可の申請手続の創設、収容に代わる監理措置の創設、難民認定手続中の送還停止に関する規定の見直し及び退去命令・出国命令制度の拡大等の措置を講ずるほか、難民に準じて保護すべき者(補完的保護対象者)に関する規定の整備その他所要の措置を講ずる法令改正がなされました。

4.デジタルノマドに係る特定活動の創設

 本邦において6月を超えない期間滞在して国際的なリモートワーク等を行う者(デジタルノマド)及びその帯同家族 (デジタルノマドの扶養を受ける配偶者又は子)を新たに受け入れるために、令和6年3月、 特定活動告示を改正し、新たにデジタルノマドに係る在留資格「特定活動」(特定活動告示53号、54号) が創設されました。

5.マイナンバーカードと在留カードの一体化
:特定在留カード

 令和6年入管法改正により、 外国人の利便性向上を目的として、マイナンバーカードと在留カードの一体化が進められています。これにより、在留手続きや住居地の届出と同時に「特定在留カード」を申請し、ワンストップでの交付が可能となります。なお、この一体化は任意であり、希望者のみが対象となります。

https://x.gd/Ooh1h

6.在留資格「育成就労」の創設

 令和6年入管法改正により、 従来の技能実習制度が廃止され、新たに「育成就労」という在留資格が設けられました。この資格は、日本国内の人手不足を解消することを目的としており、育成就労の期間は最長3年とされています。期間中には、技能や日本語を学ぶための計画が必要であり、修了後には「特定技能1号」への移行が期待されています。

 なお、技能実習における「監理団体」は、育成就労では「監理支援機関」と名称が改められ、監理支援機関については、「外部監査人」の設置が許可要件となっています。

https://www.moj.go.jp/isa/content/001423904.pdf

7.在留資格「企業内転勤2号」の創設

 令和6年入管法改正により、 「企業内転勤2号」 の在留資格が創設されました(入管法別表第1の2の表の企業内転勤の項の下欄2号)。

 「企業内転勤2号」 は、 従来行われてきた企業単独型技能実習のうち、 育成就労産業分野において国内での3年間の就労を通じて 「特定技能1号」に係る技能水準にまで育成するという育成就労制度になじまないものの、実施の意義がある一定の技能等の修得活動を想定しています。

 

8.「特定技能」の適正化

 特定技能1号外国人を受け入れる企業が支援業務を外部に委託する場合にはその委託先が政府に認定された「登録支援機関」でなければならない旨が明文化されました(入管法19条の22第2項)。

9.「特定技能2号」の対象分野拡大(令和5年改正)

 令和5年8月、 特定技能分野等省令の改正 (令和5年8月31日法務省令第35号)により、「特定技能2号」 の対象分野が追加されました。これにより、当時の特定技能1号対象分野は全て通算在留期間の上限がない在留資格(介護分野では「介護」、それ以外の分野では「特定技能2号」)への移行が可能となっていました。

 なお、この改正の後に下記10・11の特定技能に関する改正によって1号対象分野の拡大、工業製品製造業の業務区分拡大がなされましたが、これらについては当面「特定技能2号」の対象とされない見込みになっているようです。

10.「特定技能1号」の対象分野拡大(令和6年改正)

 令和6年3月29日に、 特定技能政府基本方針が変更され、「自動車運送業分野」、「鉄道分野」、

「林業分野」及び「木材産業分野」が特定産業分野に追加されることとなりました。

11.特定技能「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」から「工業製品製造業分野」への
名称変更及び業務区分追加

 いわゆる製造業三分野が「工業製品製造業分野」へと名称変更され、併せて、7つの業務区分(紙器・段ボール箱製造、コンクリート製品製造、 陶磁器製品製造、紡織製品製造、縫製、 RPF製造、 印刷・製本) が追加されました。

12.不法就労助長罪の厳罰化

 外国人の不法就労を助長した事業者や個人に対する罰則が強化され、従来の「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」から、「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」に引き上げられました。

13.永住許可制度の適正化

ア永住許可の要件 (国益適合要件)の明確化

 永住許可要件のうち、国益適合要件の内容について、「この法律に規定する義務の遵守、公租公課の支払等」との文言が加わり、明確化されました(入管法22条2項柱書)。
 

イ永住者に係る在留資格取消事由の追加

 次の①ないし③が永住者に係る在留資格取消事由として追加されました。③に掲げられている犯罪は、入管法別表第1の在留資格をもって在留する者に係る退去強制事由たる入管法24条4号の2に掲げられているものと同じです。

①永住者の在留資格をもつて在留する者が、入管法に規定する義務を遵守しないこと

 (入管法22条の4第1項8号)

②永住者の在留資格をもつて在留する者が、故意に公租公課の支払をしないこと

 (入管法22条の4第1項8号)

③永住者の在留資格をもつて在留する者が、刑法第2編第12章、第16章から第19章まで、第23章、第26章、第27章、第31章、第33章、第36章、第37章若しくは第39章の罪、暴力行為等処罰に関する法律1条、1条ノ2若しくは1条ノ3(刑法222条又は261条に係る部分を除きます。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律15条若しくは16条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条若しくは6条1項の罪により拘禁刑に処せられたこと(入管法22条の4第1項9号) 

※1年未満の拘禁刑であっても取消の対象となったことがポイントです。

 

14.在留資格「興行」

在留資格「興行」は、従来、詳細に設定された要件とそれに伴う膨大な必要書類から、申請が難しい在留資格といわれてきました。
そうした中、令和5年8月に施行された改正により、「興行」の要件が大幅に緩和されました。この改正の目的は、「
外国人アーティストその他の文化・芸術分野の外国人の受入れを促進し、もって国際的な文化交流の発展や我が国の社会の活性化に資すること」とされており、今後も申請の需要増加や新たな改正など、目が離せない在留資格となっています。

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