年次有給休暇の付与

法39条
1 使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務全労働日8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日有給休暇を与えなければならない。

目次

  1. 年次有給休暇の発生要件
  2. 継続勤務に該当する場合
  3. 全労働日
  4. 労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日
  5. 出勤日
  6. 付与日数
  7. 8割以上出勤しなかった場合

年次有給休暇の発生要件

 

1 6か月間継続勤務すること
2 全労働日8割以上出勤すること

継続勤務に該当する場合

 

  • 次の場合には、継続勤務に該当する。(平成6年3月31日基発181号)
継続勤務に該当する場合
  1.  定年退職による退職者を引き続き嘱託などとして再採用している場合(退職手当規程に基づき、所定の退職手当を支給した場合を含む)。ただし、退職と再採用との間に相当期間が存し、客観的に労働関係が断続していると認められる場合はこの限りでない。
  2.  解雇予告の適用除外に該当する者(臨時的・短期的に雇用される者)でも、その実態より見て引き続き使用されていると認められる場合
  3.  臨時工が一定月ごとに雇用契約を更新され、6か月以上に及んでいる場合であって、その実態より見て引き続き使用されていると認められる場合
  4.  在籍型の出向をした場合
  5.  休職とされていた者が復職した場合
  6.  臨時工、パートなどを正規職員に切替えた場合
  7.  会社が解散し従業員の待遇などを含め権利義務関係が新会社に包括承継された場合
  8.  全員を解雇し、所定の退職金を支給し、その後改めて一部を再採用したが、事業の実体は人員を縮小しただけで、従前とほとんど変わらず事業を継続している場合(昭和63年3月14日基発150号)

継続勤務という文言からは出勤を意味するように読めますがそうではなく労働契約の存続期間」、すなわち事業場における在籍期間を意味するものと解釈されます

 したがって労働組合の専従者または長期療養などのため休職とされている期間なども会社に在籍している以上継続勤務期間として取り扱うことになっています

全労働日

 

(昭和33年2月13日基発90号、昭和63年3月14日基発150号、平成25年7月10日基発0710第3号)
全労働日」とは、労働契約上「労働義務の課せられている日」をいい、具体的には、6か月間またはその後の各1年間(算定期間)の総暦日数から就業規則その他によって定められた所定の休日を除いた日をいう。

 

(昭和33年2月13日基発90号、昭和63年3月14日基発150号、平成21年5月29日基発0529001号、平成25年7月10日基発0710第3号)
全労働日に含めないものには、次のものがある。

1 所定の休日(当該休日に労働させた日を含む 全労働日総暦日数休日ですから休日労働をしても全労働日には含まれません
2 不可抗力による休業日 労使いずれの責にも帰すべからざる事由による休業のことをいい、これも全労働日には含めません
3 使用者側に起因する経営管理上の障害による休業日 事実上労働義務が免除されていると解釈され、全労働日には含めない
4 正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日 いわゆるストライキ期間中は、労働者の権利行使の期間であり、労働者の勤怠評価の対象たるべき期間と考えるのは妥当でないので、全労働日には含めません
5 公民権の行使・公の職務執行による休業日  
6 代替休暇取得日 正当な手続により労働者が労働義務を免除された日であることから、全労働日には含めません

(平成25年7月10日基発0710第3号)

<出勤率の基礎となる全労働日>
 年次有給休暇の請求権の発生について、法第39条が全労働日の8割出勤を条件としているのは、労働者の勤怠の状況を勘案して、特に出勤率の低い者を除外する立法趣旨であることから、全労働日の取扱いについては、次のとおりとする。

  1.  年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいい、各労働者の職種が異なること等により異なることもあり得る。したがって、所定の休日に労働させた場合には、その日は、全労働日に含まれないものである。
  2.  労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、3に該当する場合を除き、出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものとする。例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように、労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日が考えられる。
  3.  労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であっても、次に掲げる日のように、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でないものは、全労働日に含まれないものとする。
    (1) 不可抗力による休業日
    (2) 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
    (3) 正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日

労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日

 

 

判例(平成25年6月6日最高裁判所 八千代交通事件)
 無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は、労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であり、このような日は使用者の責に帰すべき事由による不就労日であっても当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものとはいえないから、労働基準法39条1項および2項における出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものというべきである。

八千代交通事件では、解雇に係る係争期間が2年間にわたりました。
もし全労働日からこの不就労日を除いてしまうと、全労働日が0日となり、年次有給休暇の要件を満たさないことになってしまいます。

 

  労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日 労働者の責に帰すべき事由による不就労日
(昭和33年2月13日基発90号、昭和63年3月14日基発150号、平成25年7月10日基発0710第3号)
裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日
不可抗力や
使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
分子=出勤日
分母=全労働日

出勤日

  • 出勤日」とは、全労働日のうち実際に出勤した日をいう。
  •  実際に出勤した日休日労働日を除く以外に出勤日とされるものには次のものがある。
出勤日とされるもの
  1.  業務上負傷しまたは疾病にかかり療養のために休業した期間(法39条10項)
  2.  育児休業介護休業をした期間(法39条10項)
  3.  産前産後の休業をした期間(法39条10項)
  4.  年次有給休暇を取得した日(昭和22年9月13日発基17号、平成6年3月31日基発181号)
  5.  労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日(昭和33年2月13日基発90号、昭和63年3月14日基発150号、平成25年7月10日基発0710第3号)

生理日に就業しなかった日年次有給休暇の出勤率の計算上出勤した日にはカウントされませんただし当事者間において出勤したものとみなすことについては特段の支障はないものとされています。(昭和23年7月31日基収2675号、平成22年5月18日基発0518第1号)

  • 子の看護休暇を取得した日年次有給休暇算定の基礎となる出勤日に含めません

付与日数

 

年次有給休暇最低付与日数は継続し、または分割した「10労働日」とされている。(法39条2項)

 

 

継続勤務年数 付与される有給日数
6カ月 10日
1年6カ月 11日
2年6カ月 12日
3年6カ月 14日
4年6カ月 16日
5年6カ月 18日
6年6カ月以上 20日

 

合計休暇日数20日が限度

8割以上出勤しなかった場合

 

継続勤務6か月以後についても休暇権発生の要件としての8割出勤が必要とされるため、出勤率が8割に満たない年については年次有給休暇権は発生しない

11日間の年次有給休暇権を有する者が、2年6か月に8割未満の出勤率であったため年次有給休暇権を取得し得なかった場合、その後3年6か月に8割以上の出勤率を示せば、その翌年には(12日ではなく、)「14日の年次有給休暇権が発生することに注意

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