妊産婦などの労働時間・休日労働・深夜業に関する制限

妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性(以下「妊産婦」)については、母体保護の観点から、時間外労働、休日労働、深夜業などについて特別な保護が設けられています。

 

一般の妊産婦は、請求すれば時間外・休日・深夜業を禁止。
ただし、管理監督者など法41条該当者は、時間外・休日の制限は適用されず、深夜業の禁止だけが適用される。

 

目次

  1. 時間外労働・休日労働の禁止
  2. 法41条該当者の場合
  3. 育児時間

時間外労働・休日労働の禁止

 

労働基準法66条2項では、妊産婦が請求した場合、使用者は、労働基準法33条や36条の規定にかかわらず、時間外労働または休日労働をさせてはならないとされています。

つまり、通常の労働者であれば36協定によって可能となる時間外労働・休日労働についても、妊産婦から請求があればできません。

また、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合であっても、妊産婦についてはこの保護が優先されます。

 

妊産婦から請求があった場合

内容 取扱い
時間外労働 禁止
休日労働 禁止
深夜業 禁止
36協定による時間外・休日労働 不可
災害時などの臨時の時間外・休日労働 不可

 

ポイント

妊産婦については、単に「時間外労働を原則として制限する」という制度ではありません。

本人が請求した場合には、36協定が締結されていても、時間外労働・休日労働をさせることはできません。


深夜業の禁止

使用者は、妊産婦から請求があった場合には、深夜業をさせてはなりません。(法66条3項)

ここでいう深夜業とは、原則として、

午後10時から午前5時まで

の時間帯に労働させることをいいます。

したがって、妊産婦本人から請求があれば、使用者は勤務シフトなどを変更し、深夜時間帯に勤務させないようにする必要があります。


年少者との違い

妊産婦と年少者はいずれも労働時間について特別な保護を受けますが、その仕組みは異なります。

 

妊産婦

妊産婦については、本人からの請求を前提として、

  • 時間外労働
  • 休日労働
  • 深夜業

が禁止されます。

特に時間外・休日労働については、36協定や災害時の臨時の必要があっても、原則として妊産婦に労働させることはできません。

 

年少者

満18歳未満の年少者についても、

  • 時間外労働
  • 休日労働
  • 深夜業

について強い制限があります。

ただし、妊産婦とは制度の構造が異なり、災害時など一定の場合には例外が認められることがあります。


妊産婦と年少者の比較

 

項目 妊産婦 年少者
時間外労働 本人の請求で禁止 原則として制限
休日労働 本人の請求で禁止 原則として制限
深夜業 本人の請求で禁止 原則として禁止
災害時などの例外 原則として時間外・休日労働不可 一定の例外あり
規制の仕組み 本人の請求による保護 年齢を理由とする原則的な保護

法41条該当者の場合

ここは特に注意が必要です。

管理監督者など、労働基準法41条に該当する労働者については、労働時間・休憩・休日に関する規定が適用されません。

そのため、妊産婦であっても法41条に該当する場合には、通常の妊産婦とは取扱いが異なります。(昭和61年3月20日基発151号)

 

時間外労働・休日労働

法41条に該当する妊産婦については、労働時間・休日に関する規定そのものが適用除外となっているため、法66条2項による時間外労働・休日労働の制限は適用されません。

したがって、たとえば管理監督者である妊産婦から、

「時間外労働をしたくない」

「休日には働きたくない」

という法66条2項に基づく請求があったとしても、同項を根拠として時間外労働・休日労働を禁止することはできません。

 

ただし、深夜業は別です

法41条該当者であっても、法66条3項の深夜業の制限は適用されます。

したがって、管理監督者などである妊産婦についても、本人から請求があれば、

深夜業をさせることはできません。


法41条該当者の整理

内容 法41条に該当しない妊産婦 法41条に該当する妊産婦
時間外労働 請求があれば 禁止 66条2項の適用なし
休日労働 請求があれば 禁止 66条2項の適用なし
深夜業 請求があれば 禁止 請求があれば 禁止

 

覚え方

管理監督者であっても、妊産婦の「深夜業」の保護まではなくならない。

これが重要なポイントです。

育児時間

労働基準法67条では、生後満1年に達しない子を育てる女性について、「育児時間」が定められています。

生後満1年に達しない子を育てる女性は、通常の休憩時間とは別に、

1日2回、それぞれ少なくとも30分

その子を育てるための時間を請求することができます。

使用者は、その育児時間中に女性を使用することはできません。

 

対象は女性労働者

労働基準法67条の育児時間は、女性労働者を対象とする制度です。

したがって、男性労働者については、労働基準法67条に基づく育児時間を請求することはできません。

なお、男性労働者についても、育児・介護休業法による育児休業や子の看護等休暇、所定外労働の制限など、別の育児支援制度が設けられています。

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