永住許可とは
申請要件と2026年・2027年の制度変更

永住許可とは、日本に在留する外国人が、法務大臣の許可を受けて在留資格「永住者」を取得する制度です。

永住者になると、在留活動と在留期間の制限がなくなります。ただし、日本国籍を取得する帰化とは異なり、外国籍のまま日本に在留することになります。在留カードに関する手続や、海外へ出国する際の再入国手続などは引き続き必要です。

永住許可は、一定の年数を日本で過ごせば自動的に認められるものではありません。在留歴、生活状況、公的義務の履行状況などを踏まえて審査されます。

 

制度変更は、適用時期に注意が必要です

2026年10月1日に永住許可に関するガイドラインが改定されました。改定事項は原則として2027年4月1日以降の申請から適用されますが、収入など一部の事項は先行して適用されます。

項目 適用時期・注意点
収入・公共の負担に関する評価 2026年10月から先行適用。2026年4月1日以降に申請し、10月1日時点で審査中の案件も対象
配偶者・実子等の在留年数の特例見直し 2027年4月1日以降の申請から適用
年金、日本語能力などの新たな考慮事項 原則として2027年4月1日以降の申請から適用
在留期間「3年」を最長とみなす取扱いの見直し 2027年4月1日から変更。経過措置あり
永住者の取消しに関する新たな運用 2027年4月1日から開始

申請日や審査状況によって適用関係が異なるため、ご自身の申請にどの基準が適用されるかを確認することが大切です。

 

目 次

  1. 永住許可の基本となる3つの要件
  2. 収入・年金に関する見直し
  3. 日本での在留年数と特例
  4. 税金・年金・健康保険は、期限内の納付が重要です
  5. 在留期間「3年」で申請する場合の注意点
  6. 日本語能力なども審査の考慮事項になります
  7. 永住申請中も、現在の在留資格の管理が必要です
  8. 永住許可後の取消しに関する制度変更
  9. 永住許可申請のご相談

永住許可の基本となる3つの要件

 

永住許可では、原則として次の要件が審査されます。

要件 主な確認事項 日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子
素行が善良であること(法22 Ⅱ①)
 素行善良要件
法令を守り、良好な生活を営んでいること ×
独立して生計を営めること(法22 Ⅱ②)
 独立生計要件
収入・資産・技能などから、安定した生活を継続できること ×

永住が日本国の利益に合すること(法22 Ⅱ柱書本文)
 国益適合要件

在留状況、納税・社会保険、届出などを含めた総合的な評価 〇

日本人・永住者・特別永住者の配偶者や子には、法律上、素行善良要件との特例があります。ただし、国益適合要件の審査は行われます。
* なお、留学、技能実習、特定技能1号の在留資格の場合は永住申請をできません。

身元保証人は、日本人もしくは永住者である必要があります。

 

国益適合要件

A 日本に引き続き10年以上在留していること
B 税金、健康保険、社会保険の納付義務を果たしていること
C 現に有している在留資格の最長の在留期間で在留していること
D 著しく公益を害するおそれがないと認められること

 

チェックシート

(重要1) 提出書類は、在留資格や身分・地位によって異なります。チェックシートで在留資格や身分・地位に応じた資料を確認の上、提出してください。

※提出書類が不足していた場合は、追加資料を求めることとなり、資料が揃うまで審査を進めることが困難となります。
 そのような場合は、書類が揃っている方の審査を優先的に行うこととなりますので、御承知おき願います。

 ※申請に際しては、審査を円滑に行う観点から、本チェックシートも提出いただきますようお願いいたします。


(重要2) 申請前に、永住許可の要件に該当するか、セルフチェックシートで確認してください。 

 ※ 1つでも「いいえ(No)」に該当した場合、永住許可申請は「不許可」となる可能性が高くなります。
 ※ 「いいえ(No)」が1つもなかったとしても、永住許可申請の「許可」を約束するものではありません。
    ※申請に際しては、審査を円滑に行う観点から、
本
セルフチェックシートも提出いただきますようお願いいたします。

永住許可に関するガイドライン 

項目 現行・考え方 改定(概要)
在留資格「永住者」の位置付け 最も安定した在留資格 「活動・期間の制約がなく、生涯を本邦で過ごすことが想定される最も安定した法的地位」であるため、特に慎重な審査を行うことを初めて明記
① 素行善良要件 素行が善良であること 特段の変更なし
② 独立生計要件(収入) 独立して生活できること 日本人と同等水準以上の経済条件を求めることを明記
収入基準 生活維持が可能であること 世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準の年収を継続して得ていること(基準引上げ)
年金基準(新設) 明確な基準なし 将来の受給見込額が、上記年収水準で30年間厚生年金に加入した場合の水準に達することを確認(不足する場合は補填可能性も考慮)
③ 国益適合要件(基本的考え方) 日本国の利益に合すると認められること 永住が日本国に利益をもたらすことを積極的・具体的に示す必要があることを明記
公共への貢献 明確な評価項目なし 独立自営業・研究・教育・地域活動等により、日本社会へ具体的に貢献している場合は積極評価
日本語能力 明確な基準なし CEFR(日本語教育参照枠)B1相当(自立した言語使用者)を求める
制度理解 明確な評価項目なし 日本の制度等への理解が乏しい場合は消極評価
子の就学 明確な評価項目なし 学齢期(義務教育期間)の子を就学させていない場合は消極評価
10年在留要件の特例 日本人・永住者の配偶者等は「婚姻3年+在留1年」で可 婚姻5年+本邦在留3年へ延長
適用時期 ― 令和9年4月開始(※収入に関する要素は令和8年10月施行)

 

 

ガイドライン改定の前提

項目 内容
改定の背景 外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応(施策番号36)
検討内容 永住許可基準の見直し、日本語能力や制度・ルールを学ぶプログラム受講を条件とすることを含めて検討
法的根拠 入管法第22条第2項(①素行善良要件、②独立生計要件、③国益要件)

収入・年金に関する見直し

 

改定後は、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る収入水準が重視されます。家族の収入も、在留資格によって合算できる範囲が異なり、家族滞在者などの資格外活動による収入は加算できません。

また、年金については、将来の受給見込額や不足分を補える金融資産なども確認対象となります。申請前に、世帯の収入構成と年金記録を整理しておく必要があります。

日本での在留年数と特例

 

一般的な申請では、原則として引き続き10年以上の在留が必要で、そのうち5年以上は対象となる就労資格または居住資格による在留が求められます。技能実習・特定技能1号の期間は、この「就労資格による5年」には含まれません。

「家族滞在」は居住資格ではありません。資格外活動許可を受けて働いていても、その期間を就労資格による在留期間として扱うことはできません。

日本人・永住者・特別永住者の配偶者や実子等については、次のとおり特例が変更されます。

対象者 2027年3月31日までの申請 2027年4月1日以降の申請
配偶者 実体ある婚姻生活3年以上、かつ日本に引き続き1年以上在留 実体ある婚姻生活5年以上、かつ日本に引き続き3年以上在留
実子等 日本に継続して1年以上在留 日本に継続して3年以上在留

これは在留年数に関する特例であり、他の審査事項がすべて免除されるものではありません。

高度外国人材については、70点以上で3年、80点以上で1年の在留歴による特例があります。ただし、点数だけで許可されるわけではなく、対象期間の活動実態や公的義務の履行状況なども確認されます。

 

80ポイントによる在留1年での永住申請

配偶者等の同時申請

配偶者等の「永住申請」の同時申請 
⇨ できません

配偶者等の「永住者配偶者等」(配偶者、日本で生まれた実子)
「定住者」(海外で生まれた実子)の同時申請 

⇨ できません
 

申請後の転職

申請時の1年前に80ポイント、申請時も80ポイント。申請後に転職、80ポイントキープ。ただし転職企業の受け入れのタイミングで転職時に2週間の無職期間が生じてしまった(国民年金・国民健康保険への加入手続きもした)
⇨ 80ポイントが継続していないので「不許可」(2025年3月5日、東京入管での説明)

税金・年金・健康保険は、期限内の納付が重要です

 

税金や社会保険料については、現在未納がないことだけでなく、納期限を守って支払っていたかも確認されます。申請前にまとめて納付しても、過去の納付遅れが解消された扱いになるとは限りません。再申請が必要となります。

転職や退職の際は、国民健康保険・国民年金への切替えや住民税の支払方法の変更に注意が必要です。申請準備では、納付状況を資料で確認してください。

 

  • 地方税…原則5年間
  • 年金保険料…原則2年間
  • 医療保険料…原則2年間

 

国税庁「税務署に行かずに申請できます!永住許可申請のための納税証明書」

国税庁では、あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会を目指す観点から、各種手続のオンライン化を進めています。
このうち、永住許可申請の際に必要となる「納税証明書(その3)」についても、請求から受取りまで、お手持ちのパソコン・スマートフォン・タブレットからe-Taxを利用して、オンラインで行うことが可能です。

在留期間「3年」で申請する場合の注意点

 

永住許可では、原則として、現在の在留資格について定められた最長の在留期間を有している必要があります。

2027年3月31日までは、在留期間「3年」を最長の在留期間とみなす取扱いがあります。

また、同日時点で「3年」の在留期間を有する方には、その在留期間内に処分を受ける場合、初回に限って最長の在留期間を有するものと扱う経過措置があります。

申請日だけでなく、審査結果が出る時点と在留期限にも注意が必要です。

日本語能力なども審査の考慮事項になります

 

改定後は、日本語能力、日本の制度・ルールへの理解、学齢期の子の就学状況なども考慮されます。

日本語能力はB1相当以上が評価の基準となりますが、高度外国人材とその家族など、考慮対象としない場合もあります。すべての申請者に一律の試験合格を求めるものではありません。

永住申請中も、現在の在留資格の管理が必要です

 

永住許可申請をしても、特例期間は発生しません。審査中に在留期限を迎える場合は、別途、在留期間更新許可申請などを行ってください。

また、申請後に転職、退職、離婚、世帯状況の変化などがあった場合は、審査に関係する変更として入管への報告や資料の追加が必要になることがあります。

高度人材の特例を利用する場合は、転職後の業務・年収・ポイントへの影響も確認する必要があります。

永住許可後の取消しに関する制度変更

 

2027年4月1日から、永住者の在留資格の取消しに関する新たな運用が始まります。

主な対象は、入管法上の義務違反、故意に税金や社会保険料を支払わない場合、法律で定める特定の犯罪により拘禁刑に処せられた場合などです。

ただし、未納や違反があれば直ちに取り消されるという制度ではありません。経緯、悪質性、その後の対応、日本への定着状況などを踏まえて判断されます。

病気・災害・失業などにより、やむを得ず支払えない場合や、支払意思を示して分納・猶予を受けている場合などについても、個別事情を考慮する方針が示されています。

永住許可申請のご相談

 

永住許可の審査では、現在の在留資格や家族構成、在留歴、収入、納税・社会保険の状況などに応じた確認が必要です。今回の制度変更では、申請時期による適用基準の違いも重要になります。

ソリューション行政書士法人では、お客様の状況を確認し、申請時期の検討、必要書類の整理、申請書類の作成から申請後の対応まで支援いたします。永住許可をご検討の方は、お気軽にご相談ください。

入管法第22条(永住許可)

1 在留資格を変更しようとする外国人で永住者の在留資格への変更を希望するものは、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し永住許可を申請しなければならない。

2 前項の申請があつた場合には、法務大臣は、その者が次の各号のいずれにも適合し、かつ、この法律に規定する義務の遵守、公租公課の支払等その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。

 ただし、その者が日本人、永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合にあつては次の各号のいずれにも適合することを要せず、国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関が保護の必要性を認めた者で法務省令で定める要件に該当するものである場合にあつては第二号に適合することを要しない。

  1. 素行が善良であること。
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。

3 法務大臣は、前項の規定による許可をすることとしたときは、出入国在留管理庁長官に、当該外国人に対し、その旨を通知させるものとする。この場合において、その通知は、出入国在留管理庁長官が、入国審査官に、当該許可に係る外国人に対し在留カードを交付させることにより行うものとする。

4 第2項の規定による法務大臣の許可は、前項の規定による在留カードの交付があつた時に、その効力を生ずる。

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