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ソリューション行政書士法人
〒108-0075 東京都港区港南2-16-2 太陽生命品川ビル28F
目次
1. 育成就労の概要
2. 育成就労の目的
3. 育成就労外国人
3-1. 入国時に必要な要件
3-2. 元技能実習生は育成就労に移行できるか
4. 育成就労産業分野
5. 育成就労の類型
5-1. 監理型育成就労 :監理支援機関が関与する
5-1-1. 監理型育成就労(原則)
5-1-2. 監理型育成就労(派遣)
5-2. 単独型育成就労 :外国の支店や子会社の社員等を育成就労外国人として受け入れる
6. 育成就労計画の認定制度
7. 転籍
7-1. 転籍ができる場合
7-1-1. やむを得ない事情がある場合の転籍
7-1-2. 本人の意向による転籍
7-2. 育成就労実施者の義務
8. 関係機関
8-1. 育成就労実施者(受入れ機関)
8-1-1. 育成就労就労実施者
8-1-2. 複数の法人が共同で育成就労を行う
8-2. 監理支援機関
8-2-1 外部監査人が許可要件
8-3. 外国人育成就労機構
9. スケジュール
9-1. 施行までのスケジュール
9-2. 技能実習に関する経過措置
10. 技能実習制度からの改正点
育成就労とは、育成就労産業分野における人材育成と人材確保を目的とする制度です。近年、我が国の人手不足が深刻化している一方で、国際的な人材獲得競争も激化しています。また、これまでの技能実習制度では、制度目的と実態のかい離や外国人の権利保護などの課題が指摘されていました。人手不足への対応の一つとして外国人の受入れも欠かせない状況にある中、外国人にとって魅力ある制度を構築することで、我が国が外国人から「選ばれる国」となり、我が国の産業を支える人材を適切に確保することが重要です。
そこで、今回の法改正は、技能実習制度を発展的に解消して人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度を創設し、これまで技能実習制度において指摘されてきた課題を解消するとともに、育成就労制度と特定技能制度に連続性を持たせることで、外国人が我が国で就労しながらキャリアアップできる分かりやすい制度を構築し、長期にわたり我が国の産業を支える人材を確保することを目指すものです。
育成就労制度は「育成就労法」(外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律・技能実習法の改正)に基づいて行われます。政府は基本方針及び分野別運用方針を定めるものとし、分野別運用方針に おいて、各分野の受入れ見込数を設定するものとされています。
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育成就労制度の目的
①育成就労産業分野において
②3年で「特定技能」の水準まで技術を習得してもらい(人材育成)
③人材を確保すること
① 技能に係る要件はありません
② 日本語能力に係る要件として、就労開始前に、日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)の合格又はこれに相当する認定日本語教育機関等による日本語講習の受講が求められます。
3-2. 元技能実習生が再度来日して育成就労制度で働くことはできますか?
過去に技能実習を行った期間は育成就労を行った期間とみなされ、2年以上の技能実習を行った外国人が再度来日して育成就労制度で働くことは基本的にできません。ただし、技能実習を行った職種・作業に対応する育成就労の受入れ対象分野がない場合など、一定の場合には育成就労で働くことを認めることを予定しています
現行の特定技能制度では、技能実習2号良好修了者であれば、技能実習から特定技能1号への移行に際して、技能に係る試験及び日本語能力に係る試験の合格を免除するものとしています。
育成就労制度では、
① 技能に係る試験(技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験)
及び
② 日本語能力に係る試験(日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等))
の合格を特定技能1号への移行の要件とする方針です。
なお、特定技能1号への移行に必要な技能・日本語能力に係る試験に不合格となった場合には、最長1年の範囲内で、一定の在留継続を認めることができる方針としています。
また、特定技能への移行要件(技能や日本語能力に係る試験の合格)を満たすことに加え、現に在籍している育成就労の受入れ機関における就労期間が一定の期間を超えている場合に限り、育成就労から特定技能1号への移行を認める方針です。
技能実習では実習計画が修了しないと特定技能へ移行できません。
特定産業分野のうち、外国人にその分野に属する技能を就労を通じて修得させることが相当であるものとして主務省令で定める分野を育成就労産業分野とします。すなわち、育成就労制度の受入れ対象分野は特定産業分野と原則一致させますが、 国内での育成になじまない分野は育成就労の対象外となります。
育成就労制度と特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するための制度である点では共通していますが、特定技能制度で受け入れられる外国人が、一定の専門性や技能を有し「即戦力となる人材」を想定しているのに対し、育成就労制度で受け入れられる外国人は、入国時点ではそのような専門性や技能は求められないという点で異なります。
また、育成就労制度は原則3年、特定技能1号は5年を上限とする在留が可能であり、特定技能2号については在留可能な期間の上限はありません。
加えて、育成就労制度では、育成就労計画の認定制度や監理支援機関の許可制度など適正な育成就労の実施に係る仕組みや、外国人が送出機関に支払う手数料が不当に高額とならないようにするための仕組みの導入など育成就労外国人の保護に係る仕組みが設けられています。
一方で、特定技能制度には、特定技能所属機関に支援義務が課されています。
【特定産業分野≧育成就労産業分野】
(入管法別表第1の2の表の育成就労の項の下欄、育成就労法2条2号)
育成就労外国人については、同等技能日本人と同等額以上の給与を支払う必要があります。
5-1. 監理型育成就労 監理支援機関が関与するタイプ
外国人が、
①育成就労産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を修得するため、
②「育成就労」の在留資格をもって
③監理支援機関により受け入れられて必要な講習を受けること、及び
④当該法人 による監理支援を受ける育成就労実施者(本邦の公私の機関)との雇用契約に基づいて
⑤当該機関の本邦にある事業所において
⑥当該育成就労産業分野に属する技能を要する業務に従事すること
(育成 就労法 2 条 3 号イ)
育成就労産業分野のうち外国人にその分野に属する技能を本邦において就労を通じて修得させるに当たり
⑦季節的業務に従事させることを要する分野であって、
⑧当該技能を労働者派遣等(労働者派遣又は船員派遣)による就労を通じて修得させることができると認められるものとして主務省令で定める分野において
⑨派遣形態によって実施
(育成就労法 2 条 3 号口、8 条 2 項括弧書)
季節性のある分野(農業や漁業の分野を想定)において、派遣元と派遣先が共同で育成就労計画を作成し、その認定を受けることで、派遣の形態での育成就労を実施することができます。なお、育成就労計画の認定を受ける際は、あらかじめ派遣先ごとに派遣時期を定めて育成就労計画を作成する必要があります。
5-2. 単独型育成就労 監理支援機関による監理支援を受けない
外国の支店や子会社の社員等を育成就労外国人として受け入れるタイプ
⓪育成就労実施者の外国 にある事業所の職員である外国人が、
①育成就労産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を修得するため、
②「育成就労」の在留資格をもって、
③ 当該機関により受け入れられて必要な講習を受けること及び
④当該機関との雇用契約に基づいて
⑤当該機関の本邦にある事業所において
⑥当該育成就労産業分野に属する技能を要する業務に従事すること
(育成就労法 2 条 2 号)
外国の支店や子会社の社員等を受け入れる場合で原則3年間の就労を通じた人材育成という育成就労制度の趣旨に沿うものについては、受入れ機関(育成就労実施者)が監理支援機関による監理支援を受けない「単独型育成就労」の形態での受入れが可能です。
外国の支店や子会社の社員等を、研修等のために比較的短期間受け入れているようなものについては、一定の要件の下、新たに創設される在留資格「企業内転勤2号」により受け入れることを想定しています。
なお、技能実習制度では外国の取引先企業の社員等についても企業単独型の形態で受け入れることを可能としていましたが、育成就労制度においては、「単独型育成就労」の形態での受入れは認めず、「監理型育成就労」の形態で受け入れることとなります。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html
育成就労を行わせようとする事業者は、育成就労の対象となろうとする外国人ごとに、育成就労の実施に関する計画(育成就労計画)を作成し、これを入管庁長官及び厚生労働大臣(外国人育成就労機構に委任される見込み)に提出して、その育成就労計画が適当である旨の認定を受ける
6-1. 原則的な認定基準(9条1項)
※当初から3年間の計画を作成し認定を受けることとなります
① 従事させる業務が育成就労産業分野であること。
②育成就労の目標及び内容として定める事項が、基準に適合していること。
③育成就労の期間が3年以内であること。(注1)
④育成就労を終了するまでに、修得技能及日本語能力の評価を一定の時期に一定の方法により行うこと。
⑤ 育成就労を行わせる体制及び事業所の設備が基準に適合していること。
⑥ 育成就労を行わせる事業所ごとに、育成就労の実施に関する責任者が選任されていること。
⑦ 単独型育成就労に係るものである場合は、就労実施者に対する監査の体制が基準に適合していること。
⑧ 監理型育成就労に係るものである場合は、申請者が、育成就労計画の作成について指導を受けた監理支援機関による監理支援を受けること。
⑨ 育成就労外国人に対する報酬の額が日本人が当該業務に従事する場合の報酬の額と同等以上であること。
⑩ 申請者が育成就労の期間において同時に複数の育成就労外国人に育成就労を行わせる場合は、その数が主務省令で定める数を超えないこと。
⑪ 当該外国人が送出機関に支払った費用の額が、基準に適合していること。
6-2. 例外的な認定基準
6-2-1 労働者派遣等監理型育成就労(9条2項)
6-2-2 転籍希望の申出をした外国人が対象(9条の2)
6-2-3 育成就労認定が取り消された場合
/ 「育成就労」の在留資格を有する者でなくなった場合(9条の3)
(注1)主務省令で定める相当の理由(試験不合格)がある場合は、最大で1年の延長可。
当該一定の要件としては、
(1) 転籍先の育成就労実施者の下で従事する業務が転籍元の育成就労実施者の下で従事していた業務と同一の業務区分であること
(2) 同一機関での就労が1~2年(分野ごとに設定)を超えているを超えていること
(3) 技能検定試験基礎級等及び一定水準以上の日本語能力に係る試験への合格
(4) 転籍先の育成就労実施者が適切と認められる一定の要件に適合していること
7-2.【育成就労実施者】の義務
育成就労外国人から転籍の申出を受けた実施者は、監理支援機関に通知しなければなりません。(監理型の場合)
この通知をしない(または虚偽の通知をする)と30万円以下の罰金となります(法112Ⅰ②)
○ 転籍にあたっては悪質なブローカーが仲介しないよう、当面、民間企業は入れず、監理支援機関とハローワークが中心となって対応
○ 転籍先において新たな計画認定を受けなければいけない点や育成就労期間が原則3年である点から、あまり転籍制度は使われないのではないか、との見解もある。
8-1-1 育成就労実施者
受入れ機関ごとの受入れ人数枠を含む育成・支援体制等の要件については、適正化して維持する方向です。
次に、人材確保を目的とした上で、特定技能制度との連続性を持たせる観点から、特定技能制度と同じく、受入れ対象分野別の協議会への加入等の要件を新たに設ける予定です。
来日のために要した費用について、今後は受け入れ企業と外国人で分担する予定です
8-1-2 複数の法人が共同で育成就労を行う場合(法8条1項)
複数の法人とは
・親会社とその子会社
・同一の親会社をもつ複数の法人(参照 技能実習規則第3条第1号)
・その相互間に密接な関係を有する複数の法人として出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣が認めるもの(参照 技能実習規則第3条第2号)
具体例
・ 日本の自動車メーカーX社が、資本関係のない複数のディーラー(Y社Z社)との間で自動車 の販売委託契約(販売後の点検、整備を含む。)を締結しているところ、X社がY社Z社と共同で、A国から自動車整備の技能等に係る技能実習生を受け入れて、自動車の基本構造をX社の製造工場で教えるとともに、Y社Z社の下で自動車販売後の点検、整備に関する技能等を修得させようとする事例。
X社 は、自動車の点検、整備を行う体制を有していないところ、国内ディーラーに自動車 の点検、整備に従事する技能実習を行わせることで社内に自ら技能実習のための 指導者を新たに確保する必要がなく技能実習を行うことが可能になり、また、技能 実習によってA国内での自動車の整備、点検の技術が向上することによって自動車 販売において顧客の確保につながり、他方、Y社Z社にとってはX社との取引 強化となることから、X社と国内ディーラーにとって事業上のメリットがあるもの。
8-2 監理支援機関 詳細についてはコチラ
現在の技能実習の監理団体に代わる本邦の営利を目的としない法人です。
以下のような要件を新たに設ける方針です。
・外部監査人の設置を許可要件とします。外部監査人は、弁護士、行政書士、社労士等が就任する予定です。
・監理支援機関は、受入れ機関と密接な関係を有する役職員を当該受入れ機関に対する業務に関わらせてはならないものとします。
・受入れ機関数に応じた職員の配置を義務付けます。
現在の監理団体も新たに許可を受けないと監理支援機関になることはできない。
なお外国人本人の意向による転籍が可能となりますが、転籍を希望する申出があった際、監理支援機関は、関係機関との連絡調整等の役割を担うことになります。
8-3 外国人育成就労機構 現在の外国人技能実習機構に代わるもの
育成就労外 国人の転籍支援や、1号特定技能外国人に対する相談援助業務を行います。
8-4 送出機関
悪質な送出機関の排除に向けた取組を強化するために、原則として、二国間取決め(協力覚書(MOC))を作成した国からのみ受入れを行うことを想定しています。