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使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。(法17条)
前借金(まえがりきん)とは、労働契約の締結の際またはその後に、労働することを条件として使用者から借り入れ、将来の賃金により弁済することを約する金銭をいう。
「労働者が合意した場合」であっても、使用者は、労働することを条件とする前貸の債権と賃金とを相殺することは許されません。
「使用者が労働者に金銭を貸すこと」自体は禁止されていません。
(昭和33年2月13日基発90号)
法17条は、金銭貸借関係と労働関係とを完全に分離し金銭貸借関係に基づく身分的拘束関係の発生を防止するのがその趣旨である。
使用者は、労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならないが、労働者が使用者から人的信用に基いて受ける金融、賃金の前払のような単なる弁済期の繰上げなどで明らかに身分的拘束を伴わないものは、労働することを条件とする債権には含まれない。
「前借金を全面的に禁止している」のでもありません。
(昭和63年3月14日基発150号)
法17条の規定は、前借金により身分的拘束を伴い労働が強制されるおそれがあること等を防止するため「労働することを条件とする前貸の債権」と賃金を相殺することを禁止するものであるから使用者が労働組合との労働協約の締結あるいは労働者からの申出に基づき、生活必需品の購入などのための生活資金を貸付け、その後この貸付金を賃金より分割控除する場合においても、その貸付の原因、期間、金額、金利の有無などを総合的に判断して労働することが条件となっていないことが極めて明白な場合には、法17条の規定は適用されない。
(平成3年12月20日基発712号)
事業主が休業期間中に社会保険料の被保険者負担分を立て替え、復職後に賃金から控除する制度は、著しい高金利が付されるなどにより、当該貸付が労働することを条件としていると認められる場合を除いて、一般的には法17条の前借金相殺の禁止規定には抵触しない。
休業などで給料が出ていない間、会社が社会保険料を一時的に立て替えて払ってくれることがあります。仕事に復帰した後、その立て替えてもらった分を給料から少しずつ返すことは問題ありません(利息がゼロか、普通に妥当な範囲の利息なら大丈夫です)。
ただし、高い利息をつけて返済させる場合など、実質的に労働者の自由をしばるような場合には、法17条になる可能性があります。