労災保険法
傷病(補償)年金

業務災害・通勤災害による傷病が,療養を始めてから1年6か月が経っても治らず,一定の身体障害が残ったときには,労働者に対して,年金として,傷病補償年金(業務災害の場合)または傷病年金(通勤災害の場合)が支給されます。

  • 療養が1年6か月を経過した者はその後も引き続き長期にわたる療養を要することとなるのが通例であったことなどから、休業補償給付に代えて支給されるものです。
  • 傷病補償年金を受給している労働者が、「刑事施設等に拘禁されている場合であってもその支給は停止されません

 

⇨ 休業(補償)給付、療養(補償)給付、障害(補償)給付との関係

 

目 次

  1. 休業(補償)給付、療養(補償)給付との関係
  2. 傷病(補償)年金の額
  3. 傷病(補償)年金の支給決定
  4. 傷病補償年金と解雇制限
支給要件  

傷病補償年金は、業務上負傷し、または疾病にかかった労働者が、その傷病療養開始後1年6か月を経過した日、またはその日後において、次のすべての要件に該当するとき、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給される。(法12条の8)

  1. 当該負傷または疾病治っていないこと
  2. 当該負傷または疾病による障害の程度厚生労働省令で定める傷病等級(1~3級)に該当すること
支給額 
  • 第1級 給付基礎日額313日分
  • 第2級 給付基礎日額277日分
  • 第3級 給付基礎日額245日分
支給期間 支給事由に該当する限り支給される
請求 所轄労働基準監督署長職権」により支給の決定を行う

休業(補償)給付、療養(補償)給付障害(補償)給付との関係

 

傷病補償年金が支給されることとなった場合には、当該労働者には、必要な療養(補償)給付は継続して行われるが、休業補償給付は支給されない
(法18条2項、法23条2項、昭和52年3月30日基発192号)

障害補償給付は、業務上または通勤により負傷し、疾病にかかり、治ったとき身体に障害が存する場合に、その障害の程度に応じて行うこととされている。
(法15条、法22条の3、労働基準法77条)

療養(補償)給付
病院で治療を受ける

 

療養によって休業した

休業補償給付

↑ 1年6カ月経っても治癒しない場合に職権によって年金化

傷病補償年金

↑治癒したが障害が残った

障害補償)給付
( 
障害補償給付は、「治ゆ後の保険給付です)

  • 障害の程度が軽減して傷病等級に該当しなくなった場合には、その月をもって傷病補償年金は受給権を失うが、この場合において、傷病がなお治ゆせず、療養のため休業を余儀なくされているときには、休業補償給付が再開される。(昭和52年3月30日基発192号)
  • 傷病補償年金は治っていないことが要件ですので療養を受ける労働者も存在します
    その場合
  1. 傷病補償年金
  2. 療養(補償)給付は併給されることになります

 

  • 傷病補償年金を受けることとなった者については、休業(補償)給付は支給されない。
    もっとも、ここでいう
    傷病補償年金を受けることとなった者」には、
    • 傷病補償年金の支給決定を受けた者に限らず、
    • 傷病補償年金の支給要件を満たすこととなった者も含むため、

​​  支給決定の有無にかかわらず、傷病補償年金の支給事由が生じた月の翌月以後、休業補償給付は行われることはない

傷病補償年金は支給事由が生じた月の「翌月」から支給されるため、傷病等級に該当した月の末日までは休業補償給付が行われ、翌月から傷病補償年金が支給
(すなわち、「支給要件に該当するに至った月」分については、傷病補償年金は支給されない)

↑ 5/1

休業補償給付

↑ 6/1

傷病補償年金

 

↑ 5/15
傷病補償年金の支給要件該当

末日までは、休業補償給付

傷病補償年金支給事由が生じた月の翌月から支給
 

傷病補償年金の額は、傷病等級に応じ、次の通りである。(法18条1項、法23条2項、則18条1項、則別表第2)

傷病等 年金額
第1級 常に介護を要するもの 給付基礎日額313日分
第2級 随時介護を要するもの 給付基礎日額277日分
第3級 常に労務に服することができないもの 給付基礎日額245日分
  • 傷病等級に該当する障害の程度は、「労働能力喪失率を基準として定められています第1級から第3級についてはいずれも労働能力喪失率100分の100完全労働不能とされていますかなり重篤な状態といえます
  • 傷病等級と障害補償年金に用いる障害等級1級から3級同一内容です
  • 障害の程度は、「6か月以上の期間にわたって存する障害の状態により認定される。(則18条2項)
  内容 
通勤災害に係る介護 負傷,疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある介護
(「日常生活上必要な行為」とされる)
傷病(補償)等年金の障害の状態  6か月以上の期間にわたって存する障害の状態
 

傷病(補償)年金の支給決定

 

傷病(補償)年金は、労働者の請求に基づいて行われるのではなく、支給要件を満たした場合に、所轄労働基準監督署長が「職権」により支給の決定を行う。
(則18条の2第1項、則18条の13第2項)

  • 保険給付は労働者などからの請求に基づいて行われるのを原則としますが傷病(補償)年金職権により支給の決定が行われます

 

療養開始後1年6か月を経過した日において治っていない労働者は、1年6か月を経過した日以後1か月以内に、傷病の状態等に関する届提出しなければならない。(則18条の2第2項、則18条の13第2項)

  • 所轄労働基準監督署長傷病(補償)年金の支給を決定するため、「傷病の状態等に関する届を提出させます

 

療養開始後1年6か月を経過した日において、傷病等級に該当しないため休業補償等給付を引き続き支給されることとなった労働者は、毎年1月1日から同月末日までのいずれかの日の分休業補償給付請求書提出する際に、その請求書に添えて「傷病の状態等に関する報告書を提出しなければならない。
(則19条の2第1項)

療養開始後「1年6か月経過後」の流れ

 

療養開始 
1年6か月経過
1か月以内に傷病の状態等に関する届書(則18条の2)提出 
支給決定の判断
【年金化の場合】 【継続の場合】
傷病(補償)年金 休業(補償)給付

 年1回「定期報告書(則12条)」を提出        

        

  • 6/30まで提出〔4~6月生まれ〕
  • 10/31まで提出〔7~12月生まれ〕

年1回「傷病の状態等に関する届書(則19条の2)」を提出

 

  • 1/1~1/31まで提出

 

1年6か月

 

労災保険法         休業給付基礎日額の最低・最高限度額 休業給付基礎日額については、療養を開始した日から起算して 1年6か月 を経過した日以後のものについては、年齢階層別の最低・最高限度額が適用される。
傷病(補償)等年金の支給要件 傷病(補償)等年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後 1年6か月 を経過した日において、又は同日後に、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。
健康保険法 傷病手当金の支給期間 傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から通算して 1年6か月間 である。
厚生年金法 障害認定日 初診日から起算して 1年6か月 を経過した日
(その期間内においてその傷病が治った場合においては、その日)

 

障害の程度の変更

 

傷病補償年金を受ける労働者の当該障害の程度に変更があったため、新たに別表第1中の他の傷病等級に該当するに至った場合には、政府は、新たに該当するに至った傷病等級に応ずる傷病補償年金を支給するものとし、その後は、従前の傷病補償年金は支給されない。(法18条の2、法23条2項)

  • 障害の程度が軽減して傷病等級に該当しなくなった場合、傷病(補償)年金の受給権は消滅しますが、この場合であっても、傷病が治ゆしておらず休業している場合には、休業補償給付が支給されることになります。

 

所轄労働基準監督署長は、法18条の2に規定する場合には、当該労働者について傷病等級の変更による傷病補償年金の変更に関する決定しなければならない。(則18条の3、則18条の13第2項)

  • 障害の程度の変更に関する決定についても所轄労働基準監督署長の職権で行われます他の傷病等級に変更があった場合には所轄労働基準監督署長は変更に関する決定をしなければなりません

傷病補償年金障害の程度変更があったことにより、傷病補償年金受給権が消滅した場合であっても、その者の同一の傷病による障害の程度が再び傷病等級に該当するに至った場合には、再び傷病補償年金が支給される。(昭和52年3月30日基発192号)

 
  ↓療養 1年6カ月 ↓3年
療養補償給付
休業補償給付 傷病補償年金  「3年経過した日」に解雇制限解除
 
療養補償給付
休業補償給付 傷病補償年金
         「傷病補償年金を受けることになった日」に解雇制限解除

傷病補償年金は、打切補償よりも一層高度、かつ、十分なものであるところから、傷病補償年金が行われることとなった場合には打切補償が支払われたものとみなすことになっています。

 

 療養の開始後3を経過した日において傷病補償年金を受けている場合(又は同日後において、傷病補償年金を受けることとなった場合)

療養開始後3年を経過した日(又は傷病補償年金を受けることとなった日)において、「打切補償平均賃金の1,200日分)」を支払ったものとみなされ、解雇制限が解除されます。
 療養開始後1年6箇月経過日から傷病補償年金の支給を受けている場合であっても3年を経過するまでは解雇制限は解除されません

 

② 負傷又は疾病に係る療養の開始後3を経過した日において「傷病補償年金を受けている場合(又は同日後において傷病補償年金を受けることとなった場合でなければ「打切補償(平均賃金の1,200日分)」を支払ったものとはみなされず、解雇制限が解除されることはない
 
休業補償給付の支給を受けている場合には解雇制限は解除されません

 


 

  • 労働基準法19条1項ただし書)業務上傷病による休業期間30日間」中であっても、打切補償を支払った場合には、労働者を解雇することができます。
  • 労働者災害補償保険法19条は、
    • 業務上傷病による休業期間に係る解雇制限」の解除との関係について規定したものであるため
    • 傷病補償年金について適用され、傷病年金通勤災害には適用されません

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