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介護（補償）給付

高齢化、核家族化などにより、重度被災労働者は家庭で十分な介護を受けることが困難になってきていることから、民間事業者などから介護サービスを受ける必要性が一層高まり、その費用負担が増大するおそれがある。業務災害の結果として、労働者が介護を要する状態となり、それによって生じた介護を受けることに伴う費用の支出などの損害についての保険給付として、「介護補償給付」が創設された。

 

目　次

  1. 支給要件
  2. 障害の程度
  3. 介護（補償）給付の額

支給要件

介護（補償）給付の支給要件は、次のすべての要件を満たす場合に、当該労働者に対し、その請求に基づいて支給される。（法12条の8第4項、法24条、則18条の3の2）
1 障害（補償）年金または傷病（補償）年金の受給権者であること
2 則別表第3に定める要介護障害程度区分表で定める程度の障害により、常時または随時介護を要する状態に該当すること
3 常時または随時介護を受けていること
  • 介護を要する状態が「加齢など」の一般的事由によってもたらされたものではなく、業務災害または通勤災害によって生じたものであると認められる者を対象とする必要があることから、障害（補償）年金または傷病（補償）年金の受給権者であることが要件とされています。
  • 介護（補償）給付は、障害（補償）年金または傷病（補償）年金の受給権者に支給されるものであり、障害（補償）年金または傷病（補償）年金の受給権者に対して介護（補償）給付が支給される場合には、これらは「併給」されることになります。

障害の程度

 

  • 介護（補償）給付を受けることができる障害の程度については、厚生労働省令において「常時介護を要する状態」と「随時介護を要する状態」とに分けて定められている。（則別表第3）
  • 「常時または随時介護を要する状態」とは、障害（傷病）等級の第1級及び第2級（精神障害、神経障害及び胸腹部臓器障害等に限る）の状態をいう。
    ​（則別表第3）
    • 第3級以下の者に介護（補償）給付が支給されることはありません。

介護（補償）給付の額

  • 介護（補償）給付は、月を単位として支給するものとし、その月額は、常時または随時介護を受ける場合に通常要する費用を考慮して厚生労働大臣が定める額である。（法19条の2、法24条2項）
  • 介護に要する費用として支出された費用の額（実費）が支給される。ただし、上限額（常時介護の場合は186,050円、随時介護の場合は92,980円）がある。（則18条の3の4）
  • 親族などによる介護を受けた日がある月については、最低保障額（常時介護の場合は85,490円、随時介護の場合は42,700円）が適用される。
    （則18条の3の4）
    • ​親族またはこれに準ずる者による介護を受けた場合は、介護に要する費用を支出して介護を受けた日がなくても、介護（補償）給付は支給されます。
      ただし、下記にあるように、介護費用を支出しないで、親族などによる介護を受け始めた　「最初の月」については、介護（補償）給付は支給されません。​
  • 支給事由が生じた月（支給開始月）については、最低保障額は適用されない。したがって、介護費用を支出した日がある月については、上限のある実費相当額となり、介護費用を支出した日がない月については、介護（補償）給付は支給されない。（則18条の3の4、則18条の14）
要件

支給額
（支給開始月）

 原則的な支給額
  費用支出 親族など介護
介護に要する費用を支出して介護を受けた日があり、かつ、
親族などによる介護を受けた日があるとき
（費用の支出＋親族などの介護）		 〇 〇 実費
（上限あり）
最低保障なし		 実費
（上限あり）
最低保障あり
介護に要する費用を支出して介護を受けた日があるとき
（親族などの介護による介護を受けた日がないとき）
（費用の支出のみ）		 〇 ✖ 実費
（上限あり）
最低保障なし		 実費
（上限あり）
最低保障なし
介護に要する費用を支出して介護を受けた日がないとき
（親族などのによる介護を受けた日があるとき）
（親族などの介護のみ）		 ✖ 〇 支給なし 最低保障あり
  • 「親族などの介護」は、金銭の授受がないため、具体的な金額にすることが困難です。
    そこで「親族などの介護」については、最低保障額の適用があります。
    これに対し、「親族などの介護以外」の場合、具体的にかかった費用の額がわかりますので、実費となります。ただし、過剰な介護を抑制するために上限が設けられています。
  • 親族等による介護を受けた日がない月については、最低保障額の適用はありません。

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