労働時間

法定労働時間とは、労働基準法第32条で定められた原則「1日8時間、1週間40時間」の労働時間の上限です。これを超えて労働させることは原則禁止ですが、36協定(サブロク協定)」を締結し労働基準監督署へ届け出ることで、一定の範囲内で時間外労働が認められます。

目 次

  1. 労働時間の定義
  2. 法定労働時間
  3. 1週間
  4. 1日
  5. 法定労働時間の特例
  6. 10人未満の労働者
  • 労働」とは、一般的に、使用者の指揮監督のもとにあることをいい、必ずしも現実に精神または肉体を活動させていることを要件とはしない
  •  労働時間の取扱いは、次の通りである。
労働時間となる 労働時間とならない

手待時間(昭和33年10月11日基収6286号)

  • 貨物の積込係が貨物の積込を行う以外の時間
  • トラック運転手が交替で運転をする場合の仮眠時間など

来客当番(昭和23年4月7日基収1196号)

  • 休憩時間に来客当番として事務所に待機させた時間など

特殊健康診断の受診時間
(昭和47年9月18日基発602号)

安全衛生委員会の会議の開催時間
(昭和47年9月18日基発602号)

出席の強制のある教育研修時間
(昭和26年1月20日基収2875号)

(原則)訪問介護労働者の移動時間
(平成16年8月27日基発0827001号)

任意に出勤して従事した消火作業時間
(昭和63年3月14日基発150号)

一般健康診断の受診時間
(昭和47年9月18日基発602号)

出席の強制のない教育研修時間
(昭和26年1月20日基収2875号)

(原則)出張時の移動時間
(東京地方裁判所 平成6年9月27日判決 横河電機事件

 

(平成16年8月27日基発0827001号)

訪問介護労働者の移動時間については事業場集合場所利用者宅の相互間を移動する時間については

  1. 使用者訪問介護の業務に従事するため必要な移動を命じ
  2. 当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には

労働時間に該当します

  • 自宅 ⇔ 事業場  
  • 自宅 ⇔ 利用者宅

は労働時間になりません

 

出張時の移動時間は労働時間になる?

出張時の往復の移動時間は労働時間にならないのが原則です。職場への移動時間という点で、通常のオフィスへの通勤時間と同じと考えられるからです。
ただし

  1. 移動時間でも会社から仕事に関する命令を受けて仕事をしており
  2. 労働者が「自由に利用できる時間」でない場合は

移動時間であっても労働時間とみなされます。

法定労働時間

 

  • 使用者は、原則として、労働者に、休憩時間を除き、「1週間」について40時間、「1日」について8時間超えて、労働させてはならない。(法32条1項)
  • 法定労働時間の規定に違反した場合には、6か月以下の拘禁または30万円以下の罰金に処せられる。(法119条1号)
    • 1週間当たりの労働日数については規定されていません

1週間

1週間」とは、就業規則その他に別段の定めがない限り日曜日から土曜日までのいわゆる暦週をいう。(昭和63年1月1日基発1号)

1日

1日」とは、午前0時から午後12時までのいわゆる暦日をいうものであるが、継続勤務が2暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも1勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「1日の労働とする。(昭和63年1月1日基発1号)

法定労働時間の特例

使用者は、商業映画演劇業映画の製作の事業を除く)、保健衛生業及び接客娯楽業のうち常時10人未満の労働者を使用するものについては、法32条の規定にかかわらず、「1週間」について44時間、「1日」について8時間まで労働させることができる。(則25条の2第1項、法別表第1)

  • この特例の対象事業を特に特例事業と呼びます
  • 規模が小さいことが要件です
  • 接客業に飲食店も含まれます

 

  内容 1日 1週 労使協定
特例事業の特例 商業映画演劇業映画の製作の事業を除く)、保健衛生業及び接客娯楽業 8時間 44時間 「1日8時間、1週間44時間」を超えて就労させる場合には36協定の届出が必要
1週間単位の非定型的変形労働時間制
32条の5
常時30人未満の小売業、旅館、料理店、飲食店 10時間 40時間 変形労働時間制についての労使協定の届出が必要

10人未満の労働者

 

 法定労働時間の特例措置などにおける事業規模を決める場合の労働者には、継続的に当該事業場で労働している者を、労働者数に入れる
(昭和63年3月14日基発150号)

  • したがって、「継続的に労働している者であれば例えば週に2日勤務のような週の勤務日数が少ない者であっても事業規模を決める際の労働者に含まれます。(昭和63年3月14日基発150号)

事業場を異にする場合(異事業通算制)

 

労働時間は、事業場を異にする場においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。(法38条1項)

  • 労働基準法は、事業場単位で規制を行うのが原則ですが、「同一使用者」のA事業場とB事業場の労働時間を通算させないことは不合理であるため、通算することが規定されています。

事業場を異にする場合には事業主を異にする場合をも含まれる。(昭和23年5月14日基発769号)

  • 副業や兼業のように「使用者が異なる」場合にも通算させるかどうかは法38条1項からは直接的には読み取れませんが、通達で通算させることとされています(通算させるかどうかは労働基準法の前身である工場法の時代から議論がありました)。
  • フリーランス独立起業共同経営アドバイザーコンサルタント顧問理事監事などについては、
    そもそも労働基準法が適用されないため、労働時間は通算されません。(令和2年9月1日基発0901第3号)
  • 農業畜産業養蚕業水産業管理監督者機密事務取扱者監視断続的労働者高度プロフェッショナル制度については、
    労働基準法は適用されますが、労働時間規制は適用されないため、労働時間は通算されません。(令和2年9月1日基発0901第3号)
  • これらの場合においても、過労などにより業務に支障を来さないようにする観点から、その者からの申告などにより就業時間を把握することなどを通じて、就業時間が長時間にならないよう配慮することが望ましいこととされています。(副業・兼業の促進に関するガイドライン)

 

労働時間の通算についての取扱いについては、次の通りである。(令和2年9月1日基発0901第3号)

 

労働時間が通算して適用される規定
  1.  法定労働時間(法32条・法40条)
  2.  時間外労働(法36条)のうち、時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満複数月平均80時間以内の要件(法36条6項2号及び3号)
  3.  時間外労働の上限規制(法36条3項から5項まで及び6項(2号及び3号に係る部分に限る))が適用除外(新たな技術、商品または役務の研究開発に係る業務)される業務・事業

単月100時間複数月平均80時間が過労死の直接の原因にもなる脳血管疾患・虚血性心疾患または精神障害を発症する可能性が高まる過労死ラインと一般的にいわれています
これは、労働者個人の実労働時間に着目するものであるため、事業場といったしばりがありません。したがって、労働者による副業・兼業が行われている場合、これらの上限規制以内になるように管理していく必要があります。

 

労働時間が通算されない制度については、次の通りである。(令和2年9月1日基発0901第3号)

 

労働時間が通算されない規定
  1.  時間外労働(法36条)のうち、36協定により延長できる時間の限度時間(法36条4項)、36協定に特別条項を設ける場合の1年についての延長時間の上限(法36条5項)
  2.  時間外労働が36協定に定めた延長時間の範囲内であるか否かについて
  3.  休憩(法34条)、休日(法35条)、年次有給休暇(法39条)

1.は、「個々の事業場」における36協定の内容を規制するものであるため、「それぞれの事業場」における延長時間を定めることになります。

 

 

労働時間の通算については、それぞれ次の通りに取り扱う。(令和2年9月1日基発0901第3号)

 

 

労働時間を通算管理する使用者  副業・兼業を行う労働者を使用するすべての使用者(労働時間が通算されない場合として掲げられている業務などに係るものを除く)は、法38条1項の規定により、それぞれ、自らの事業場における労働時間と他の使用者の事業場における労働時間とを通算して管理する必要がある
通算される労働時間  法38条1項の規定による労働時間の通算は、自らの事業場における労働時間と労働者からの申告などにより把握した他の使用者の事業場における労働時間とを通算することによって行う。
 労働者からの申告などがなかった場合には労働時間の通算は要せず、また、労働者からの申告などにより把握した他の使用者の事業場における労働時間が事実と異なっていた場合でも労働者からの申告などにより把握した労働時間によって通算していれば足りる
基礎となる労働時間制度  法38条1項の規定による労働時間の通算は、自らの事業場における労働時間制度を基に、労働者からの申告などにより把握した他の使用者の事業場における労働時間と通算することによって行う。
 週の労働時間の起算日または月の労働時間の起算日が、自らの事業場と他の使用者の事業場とで異なる場合についても、自らの事業場の労働時間制度における起算日を基に、そこから起算した各期間における労働時間を通算する
通算して時間外労働となる部分  自らの事業場における労働時間と他の使用者の事業場における労働時間とを通算して自らの事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分が、時間外労働となる
 
  • 副業・兼業を行う労働者を使用するすべての使用者労働時間を通算して管理する必要があります
  • 労働時間の通算は自社の労働時間と、「労働者からの申告などにより把握した他社の労働時間を通算することによって行います

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