就職拒否などによる給付制限

雇用保険の受給者が、正当な理由なくハローワークが紹介した仕事などを拒否すると、失業手当(基本手当)の支給が制限されます。ただし、拒否した理由が正当なものであれば、給付制限の対象にはなりません。

 

目 次

  1. 就職拒否または受講拒否があった場合の給付制限
    1. 就職拒否または受講拒否があった場合の給付制限(例外)
  2. 育児休業に係る「子」
    1. 育児休業給付金における「子」として取り扱われる者
  3. 育児休業給付金の額
  4. 支給単位期間中に事業主から賃金が支払われている場合
給付通則、給付制限 

就職拒否または受講拒否があった場合の給付制限

受給資格者が、公共職業安定所の紹介する職業に就くことまたは公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けること拒んだときは、その拒んだ日から起算して1か月間は、基本手当技能習得手当寄宿手当傷病手当高年齢求職者給付金特例一時金にも準用は支給されない
(法32条1項、法36条3項、法37条5項、法37条の4第6項、法40条4項)

1

公共職業安定所の紹介する職業に就くこと拒んだとき

2

公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けること拒んだとき

  • 正当な理由なく公共職業安定所の紹介による職業に就くことを拒んだ場合に含まれる行為として、「面接の結果採用になった後において就職することを拒否する場合」があります。
 

原則
(受講後の延長給付以外の訓練延長給付含む)

延長給付中
訓練延長給付は受講の延長給付に限る
日雇労働求職者給付金
就職拒否 拒んだ日から起算して

1か月間不支給

以降不支給 7日間不支給
(法52条1項)
訓練拒否
指導拒否 1か月間を超えない範囲(1か月間)で不支給 以降不支給
不正受給   以降不支給 以降不支給 その月+3か月 不支給

就職拒否または受講拒否があった場合の給付制限(例外)

 

  受給資格者が、公共職業安定所の紹介する職業に就くことなどを拒んだときは、原則として、給付制限がかかるが、次に該当するときは、基本手当などの給付制限は行われない。(法32条1項ただし書他) 次のいずれかに該当するときは、日雇労働求職者給付金の給付制限は行われない。(法52条1項ただし書)
1 紹介された職業または公共職業訓練等を受けることを指示された職種が、受給資格者の能力からみて不適当であると認められるとき 専門の知識、技能を有しない者がそれらを必要とする業務に紹介された場合、例えば、建築、配線、潜水作業等の技能、熟練を必要とする業務に、それらの能力のない者が紹介された場合には、これを拒んでも、給付制限は行われません。 紹介された業務が、その者の能力からみて不適当であると認められるとき。
2 就職するため、または公共職業訓練等を受けるため、現在の住所または居所を変更することを要する場合においてその変更が困難であると認められるとき    
3 就職先の賃金が、同一地域における同種の業務及び同程度の技能に係る一般の賃金水準に比べて不当に低いとき 「一般の賃金水準に比べて、不当に低いとき」には、就職先の賃金の手取額がその者の受けることができる基本手当の額のおおむね100分の100よりも低い場合などが該当します。 紹介された業務に対する賃金が、同一地域における同種の業務及び同程度の技能に係る一般の賃金水準に比べて、不当に低いとき。
4 職業安定法の規定に該当する事業所(争議中の事業所に紹介されたとき   職業安定法20条(労働争議に対する不介入)の規定に該当する事業所(同盟罷業または作業所閉鎖の行われている事業所など)に紹介されたとき。
5 その他正当な理由があるとき
  • 法令には反しないが、地域における同種の業務の慣行に比して労働条件が著しく不当である場合は、給付制限は行われません。
  • 「1か月以上賃金不払(賃金の3分の1を上回る額が支払われなかった場合を含む)の事業所(将来正当な時期に賃金が支払われるものと認められるものを除く)に紹介された場合」は、正当な理由と認められます。
その他正当な理由があるとき。

育児休業に係る「子」

育児休業に係る」とは、次の通りである。(法61条の7第1項・7項)

  子の要件 年齢
1 原則 1歳に満たない子
2 パパママ育休プラスの場合(法61条の7第8項) 1歳2か月に満たない子
3 1歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合(法61条の7第1項かっこ書)

保育所待機児童

  • 1歳6か月または2歳に満たない子に延長されるのは保育所などにおける保育の実施を希望し申込みを行っているが当面その実施が行われない場合保育所待機児童などのときです
  • ここでいう保育所等とは児童福祉法に規定する保育所などをいいいわゆる無認可保育施設は含まれません
  • 2025改正これまでは、保育園の入園が保留になったこと(入所保留通知書)が待機児童に係る延長の主な要件でしたが、今後はそれに加えて、「速やかな職場復帰のため」に保育園の申し込みをしていると認められることが必要になります。(則101条の25、厚生労働省資料、行政手引59503-3)
1歳6か月に満たない子
4 1歳6か月に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合(法61条の7第1項かっこ書) 2歳に満たない子

育児休業給付金における「子」として取り扱われる者

次の者についても、法律上の親子関係に基づく子に準じて取り扱う。(法61条の7第1項かっこ書)

1

特別養子縁組を前提として監護を受けている者

  • 特別養子縁組で子を引き取る場合において縁組を成立させるための監護中の子はこの段階では法的な子ではありませんが子として育児休業給付金が支給されます
家庭裁判所において特別養子縁組の成立を認めない審判が行われた場合
  育児休業給付金における「子」として、育児休業給付金が支給 特別養子縁組の成立のための監護期間に係る育児休業給付金の支給につき、家庭裁判所において特別養子縁組の成立を認めない審判が行われた場合には、家庭裁判所に対して特別養子縁組を成立させるための請求を再度行わない限り、その「決定日の前日まで」が育児休業給付金の支給対象となります。
2 養子縁組里親に委託されている者  
3 その他これらに準ずる者として厚生労働省令で定める者に委託されている者  
  • 簡単に言うと育児休業給付金は法的な実子養子だけでなくこれから養子になることが前提となっている子どもたちも対象にするということです

 

普通養子縁組」「特別養子縁組」「里親について説明します。(政府広報オンライン

  •  「普通養子縁組」では、養子になっても実父母(生みの親)との親族関係は残り、戸籍に実親の名前が記載され、養親と養子の続柄は「養子(または養女)」と記されます。
  •  「特別養子縁組」では、養子になると実父母との親族関係は終了します。戸籍に実親の名前が記載されることはなく、養親と養子の続柄は「長男」「長女」などのように実子の場合と同様に記載されます。縁組が成立する前に「6か月以上の監護期間同居して養育する期間を考慮」するといった要件があります。
  •  「里親」制度は、子どもに家庭と同様の養育環境を提供するため、児童相談所が社会的養護が必要であると認めた子ども(要保護児童)の養育を里親に委託する制度です。里親は、基本的には実親が子どもを養護できるようになるまでの間や、自立に近い年齢の子どもが自立するまでの間など、原則として一定期間の養育を前提としています。そのため子どもの戸籍は変更されることなく実父母との親族関係は残ります

育児休業給付金の額

事業主から賃金が支払われた場合の支給額は、次の通りである。(法61条の7第7項、行政手引59502)

支給単位期間に支払われた賃金額 育児休業給付金の額
休業開始時賃金日額)×(支給日数)の30%以下

 ※180日目までは13%以下
休業開始時賃金日額)×(支給日数)×50% 

※180日までは67%
休業開始時賃金日額)×(支給日数)の30%超80%未満
 ※180日目までは13%超80%未満
休業開始時賃金日額)×(支給日数)×80%-支給単位期間に支払われた賃金額
休業開始時賃金日額)×(支給日数)の80%以上 不支給
  • 賃金の額が休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の80%以上ときは不支給となります

支給単位期間中に事業主から賃金が支払われている場合

介護休業給付金 休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の 100分の13 以下であれば、全額支給
育児休業給付金 休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の 100分の30(180日までは100分の13)以下であれば、全額支給

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