雇用保険法
給付通則

受給権の保護

雇用保険法では、失業等給付や育児休業等給付を確実に本人や遺族へ支給するため、次の3つの制度が設けられています。

  1. 譲渡等の禁止
  2. 公課の禁止
  3. 未支給の失業等給付

いずれも、給付を生活保障として確実に受給できるようにするための制度です。

目 次

  1. 譲渡等の禁止
  2. 公課の禁止
  3. 未支給の失業等給付
    1. 未支給給付(遺族が請求できる制度)

雇用保険の事業と給付(一覧)

 

雇用保険事業

(大区分)失業等給付


1)求職者給付

対象 給付の種類
一般被保険者 基本手当・傷病手当
技能習得手当(受講手当・通所手当)
寄宿手当
高年齢被保険者 高年齢求職者給付金
短期雇用特例被保険者 特例一時金
日雇労働被保険者 日雇労働求職者給付金

2)就職促進給付  就業促進手当  再就職手当・就業促進定着手当・常用就職支度手当

         移転費     移転費
         求職活動支援費 広域求職活動支援費 短期訓練受講費 求職活動関係役務利用費

3)教育訓練給付

給付の種類
教育訓練給付金・教育訓練休暇給付金・教育訓練支援給付金

4)雇用継続給付

給付の種類
高年齢雇用継続基本給付金・高年齢再就職給付金
介護休業給付金

5)育児休業等給付

給付の種類
育児休業給付(育児休業給付金・出生時育児休業給付金)
出生後休業支援給付(出生後休業支援給付金)
育児時短就業給付(育児時短就業給付金)

雇用保険二事業

譲渡等の禁止

 

制度の趣旨

失業等給付は、失業した人や育児休業中の人の生活を支えるために支給されます。

そのため、

受給する権利を自由に売買したり、借金の担保にしたり、債権者に差し押さえられたりすると、本来生活を保障すべき人が給付を受けられなくなってしまいます。

そこで、

失業等給付を受ける権利は、譲渡、担保提供及び差押えが禁止されています。


譲渡とは

譲渡とは、

受給権を他人へ譲ることです。 例えば、

「失業給付を受ける権利を50万円で売る」

という契約をしても無効になります。


担保とは

担保とは、

借金の返済を保証するために受給権を差し出すことです。 例えば、

「返済できなければ失業給付を受ける権利を金融会社へ渡します」

という契約も認められません。


差押えとは

差押えとは、

裁判所などの手続により債権者が受給権を強制的に取り上げることです。

失業等給付の受給権は差押えの対象になりません。


育児休業等給付も同じ

育児休業等給付は、失業等給付ではありません。 しかし、

生活保障という趣旨は同じであるため、

譲渡・担保・差押えは禁止

 

されています。

公課の禁止

 

公課とは、

国や地方公共団体が課す金銭負担のことです。 

例えば、

  • 所得税
  • 地方税
  • その他法令に基づく公的負担

などが含まれます。


「支給された金銭」が対象

ここで重要なのは、

給付を受ける権利

ではなく、

支給された金銭

に税金などを課してはいけないという点です。

例えば、

基本手当30万円を受給しても、

その30万円自体を基準として所得税などを課税することはできません。


アルバイト収入があっても同じ

失業認定期間中にアルバイトをして収入を得た場合、

アルバイト収入には通常どおり税金がかかります。 しかし、

基本手当として支給された金銭

には課税されません。


育児休業等給付も同じ

育児休業等給付についても、

失業等給付と同様に、

公課は禁止されています。

未支給の失業等給付

制度の趣旨

受給資格者が死亡した場合でも、

死亡する前に既に支給されることが決まっていた給付まで消滅してしまうのは不合理です。 そこで、

まだ支給されていない給付については、

一定の遺族が受け取ることができます。 これを

未支給の失業等給付

といいます。


誰が請求できるのか

請求できるのは、

死亡した人と生計を同じくしていた

  • 配偶者
  • 父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹  です。

ここで重要なのは、

「生計を同じくしていたこと」が必要

という点です。


同居は必要?

必ずしも同居している必要はありません。

例えば、

単身赴任中でも、

生活費を送り合うなど、

実質的に生計が一体であれば要件を満たします。


「自己の名」で請求する

遺族は、

本人の代理人として請求するのではありません。

法律上、

自己の名で請求 します。 つまり、

遺族自身の権利として請求する制度です。


支給されない日

本人が生きていても給付を受けられなかった日は、

未支給給付にもなりません。

例えば、

次の日は支給対象外です。

  • 待期期間
  • 給付制限期間
  • 収入が多く基本手当が支給されない日

つまり、

死亡したからといって、

本来もらえない給付まで支給されるわけではありません。


同順位者が複数いる場合

例えば、

子が3人いる場合、

1人だけが請求しても、

法律上は

全員のために請求したもの

と扱われます。 また、

その1人に支給すれば、

全員へ支給したものとみなされます。

行政は人数分に分けて支給する必要がありません。


育児休業等給付も同じ

育児休業等給付についても、

受給者が死亡した場合には、

未支給給付の制度が準用されます。


他制度との比較

未支給給付の制度は、

  • 労災保険
  • 雇用保険
  • 国民年金
  • 厚生年金

にも設けられています。 ただし、

請求できる遺族の範囲には違いがあります。

例えば、

国民年金・厚生年金では、

配偶者等がいない場合、

3親等内の親族まで請求できます。 一方、

雇用保険では、

請求できるのは

  • 配偶者
  • 父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹 までです。

 

未支給給付(遺族が請求できる制度)

項目 労災保険法 雇用保険法 国民年金法 厚生年金保険法
支給事由 給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の遺族は、自己の名で、その未支給の給付の支給を請求することができる。
請求権者 死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、受給権者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの 死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの
順位 配偶者 → 子 → 父母 → 孫 → 祖父母 → 兄弟姉妹 配偶者 → 子 → 父母 → 孫 → 祖父母 → 兄弟姉妹 → これらの者以外の3親等内の親族
請求手続 未支給の給付を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。

登録支援/有料職業紹介のご相談はこちら

 

お問い合わせはこちらから

芸術家×起業家

 

お     一般社団法人芸商橋
 

               BusinessArtBridge

 

サイト内検索

サイドメニュー