雇用保険法
求職者給付(基本手当)

基本手当とは、求職者の失業中の生活の安定を図りつつ、求職活動を容易にすることを目的とし、被保険者であった人が離職した場合において、働く意思と能力を有し、求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない場合に支給されるものです。

 

特に重要なポイント

  • 受給資格の原則:離職日前2年間に「被保険者期間」12か月以上
  • 在籍期間と被保険者期間は異なる
  • 被保険者期間は原則「賃金支払基礎日数11日以上」の月で判定する
  • 11日基準で不足する場合のみ「80時間以上」の特例を用いる
  • 病気・出産などで30日以上賃金を受けられない期間は算定対象期間に加算でき、延長は最大4年間
  • 一度受給資格の決定を受けると、それ以前の被保険者期間は次回の受給資格判定には使えない
  • 2026年改正では、教育訓練休暇給付金の支給を受けると、それ以前の被保険者期間はリセットされる

これらは雇用保険法の受給資格に関する基本事項であり、重要な論点です。

 

目 次

  1. 期間の区分と概要(雇用保険)
  2. 受給資格要件
  3. 受給資格要件の緩和
  4. 被保険者であった期間から除外する期間

期間の区分と概要(雇用保険)

 

期間 概要
被保険者であった期間 被保険者として雇用されていたすべての期間(在籍期間)
被保険者期間 離職日からさかのぼって1か月ごとに区分し、その区分された期間のうち、賃金支払基礎日数が11日以上ある期間、又は、賃金の支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある期間を1か月として算定する期間(応当日方式)
算定対象期間 被保険者期間を計算するための期間であり、受給資格要件を判定する際における、離職日以前の2年間(原則)をいう。
受給期間 基本手当の支給を受けることができる期間
算定基礎期間

被保険者として雇用された全ての期間(在籍期間)。所定給付日数を決定する際に利用する。

  • 「きゅうふ日数ーきそ期間」
支給要件期間 被保険者として雇用された全ての期間(在籍期間)。教育訓練給付金の受給要件を判定する際に利用する。
 
 

受給資格要件

基本ルール

失業した人が基本手当(いわゆる失業保険)を受けるには、一定期間以上、雇用保険に加入していた実績が必要です。

原則

離職の日以前2年間(算定対象期間)に、被保険者期間が通算12か月以上あること
(雇用保険法13条1項)

つまり、

  • 離職日からさかのぼって2年間を見る
  • その間に「被保険者期間」が12か月以上ある

これが受給資格です。

 

ポイント

ここでいう12か月は

在籍していた12か月ではありません。 

あくまで

「被保険者期間」12か月 です。


「被保険者期間」とは?

ここが最重要ポイントです。

よく混同されるのが

  • 被保険者であった期間
  • 被保険者期間

です。

これは全く別物です。

 

■ 被保険者であった期間

単純に

雇用保険に加入していた期間

をいいます。

4月1日入社

9月30日退職

なら

約6か月すべてが

「被保険者であった期間」

です。


■ 被保険者期間

一方、

受給資格判定に使う期間は

被保険者期間 です。 これは

一定の条件を満たした「月」だけ数えます。


被保険者期間の数え方

離職日からさかのぼり

1か月ごとに区切って判定します。

例えば

離職日 9月25日 なら

8/26~9/25

7/26~8/25

6/26~7/25

というように

応当日方式

で区切ります。

そして各1か月について

次の条件を満たすと

1か月

として数えます。

 

 

原則

賃金支払基礎日数

11日以上


つまり

その月に

11日以上賃金の対象となる日があれば

その月は

「被保険者期間1か月」

となります。


端数(月の残り)の取扱い

最後は

1か月に満たない期間が残ります。

この場合でも

次の2つを満たせば

➡️ 0.5か月としてカウント

として数えます。

① 日数15日以上

② 賃金支払基礎日数11日以上


4月1日入社

9月25日退職

最後に

4/1~4/25

が残った場合

25日あり

賃金支払基礎日数11日以上なら

0.5か月 になります。

受給資格要件の緩和

 

通常は

離職日前2年間を見ます。

しかし

病気などで

長期間働けなかった場合は

その期間だけ

算定対象期間を延長できます。


延長できる理由

次のような事情です。

  • 疾病・負傷
  • 出産
  • 会社の休業
  • 事業主命令による海外勤務
  • 国と民間企業との人事交流
  • その他やむを得ない事情

イメージ

通常

←2年間→


病気で6か月働けなかった

←2年6か月→


まで広げられます。

条件

賃金が支払われない期間が

30日以上続くこと

です。

例えば

15日休んだだけでは

延長できません。


上限

どれだけ延長しても

最大

4年間

です。


途中で少しだけ出勤した場合

原則は

30日以上

連続して休むことです。

しかし

例えば

病気40日

10日出勤

病気50日


のように 
 
同じ病気で 途中だけ働いた場合があります。

このとき

途中の出勤期間が

30日未満なら

前後を

1つの期間

として扱えます。


要件

  • 同じ理由
  • 中断30日未満
  • 実質的に同じ休業

異なる理由なら 通算できません。

被保険者であった期間から除外する期間

次の場合は

それ以前の加入期間は

リセットされます。

リセットされる場面 内容
① 一度受給資格を取得した場合 受給資格決定前までの被保険者期間は次回に通算しない
② 資格取得確認が遅れた場合 遡及して算入できるのは原則2年間まで
③ 教育訓練休暇給付金を受給した場合 教育訓練休暇開始日前までの被保険者期間はリセットされ、基本手当の受給資格・算定基礎期間に含まれない

① 一度受給資格を取得した場合

重要です。

失業給付は

一度 受給資格決定

を受けると

その離職以前の加入期間は

次回には使えません。

ここでいう「受給資格を取得」とは、

ハローワークで受給資格が認定され、「受給資格者証」が交付されることをいいます。

実際に基本手当を受け取ったかどうかは関係ありません。

 

イメージ

会社A 5年勤務

↓退職

 受給資格決定

↓ 再就職

会社B

 

会社Aの5年間は

もう使えません。


② 資格取得確認が遅れた場合

会社が加入手続きを忘れていて あとから

雇用保険加入が認められることがあります。 しかし

さかのぼれるのは

原則2年間

までです。


③ 教育訓練休暇給付金(2026年改正)

 

2026年10月から創設された教育訓練休暇給付金の支給を受けた場合は、

教育訓練休暇を開始した日前までの被保険者期間はリセットされます。 つまり、

教育訓練休暇開始日前までの加入期間は、

  • 基本手当の受給資格を判定する被保険者期間
  • 所定給付日数を決定する算定基礎期間

のいずれにも含まれません。

これは、教育訓練休暇給付金が、

これまでの被保険者期間をいったん精算し、その代わりに基本手当に相当する給付を受ける制度

という性質を持つためです。

 

会社A 8年勤務

   ↓

教育訓練休暇(給付金受給)

   ↓

復職・再就職

   ↓

退職

 

この場合、教育訓練休暇開始日前までの8年間はリセットされます。

そのため、後日退職して基本手当を受ける際には、

 

教育訓練休暇開始日以後の被保険者期間のみで受給資格や所定給付日数を判定します。

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