就職促進給付

失業した人に対する給付には、

単なる「基本手当(失業給付)」だけでなく、

早く就職した人を応援する制度があります。

これを

就職促進給付

といいます。

 

失業等給付の就職促進給付のうち「就業促進手当」として、「再就職手当」、「就業促進定着手当」、「常用就職支度手当」があります。

  • 再就職手当」は、基本手当を受給中に、早期に安定した職業に就いた場合に支給することにより、早期の再就職を促進するための制度です。
  • 「就業促進定着手当」は、再就職手当の支給を受けた者が、再就職先に6か月以上雇用され、再就職先での6か月間の賃金が、離職前の賃金よりも低い場合に支給されるものです。
  • 「常用就職支度手当」は、身体障害者など就職が困難な者が常用就職をした場合に、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満であり、一定の要件に該当する場合などに支給されます。

 

目 次

  1. 就業促進手当の種類
    1. 再就職手当 支給要件
      1. 再就職手当 支給額
    2. 常用就職支度手当受給資格者等
      1. 常用就職支度手当の支給要件
      2. 常用就職支度手当支給額
    3. 移転費
      1. 支給要件

就業促進手当の種類

 

就職促進給付の構成

 

①就業促進手当

  • 再就職手当
  • 就業促進定着手当
  • 常用就職支度手当

②移転費

遠方へ就職するための引越費用


③求職活動支援費

 

  • 広域求職活動支援費
  • 短期訓練受講費
  • 求職活動関係役務利用費

 

就業促進手当の3兄弟

手当 イメージ  
再就職手当 ハッピー手当  
就業促進定着手当 定着応援手当  
常用就職支度手当 ぎりぎり手当  

再就職手当

基本手当をたくさん残して早く再就職した人

ご褒美


常用就職支度手当

再就職手当をもらえない人への救済

ぎりぎり手当


就業促進定着手当

 

再就職後に賃金が下がった場合の補填

 

 

再就職手当(ハッピー手当)/常用就職支度手当(ぎりぎり手当)比較

 

項目 再就職手当(ハッピー手当) 常用就職支度手当(ぎりぎり手当)
対象者 受給資格者
(同一就職について、高年齢再就職給付金を受給していない)
受給資格者「等」+就職困難者
基本手当の支給残日数 1/3以上 1/3未満(受給資格者の場合)
就職・事業の条件 1年の就職 または 事業開始 1年以上の就職(※ハローワーク等の紹介のみ
離職理由による給付制限期間との関係 制限期間 1か月:ハロワ等の紹介が必要
制限期間 2か月:ハロワ等の紹介でなくてもOK または 事業開始
制限期間 3か月:ハロワ等の紹介でなくてもOK または 事業開始
給付制限期間中はNG
その他の要件(共通) ① 求職申込日前に雇入れを約した事業主に雇用されたものではない
② 離職前の事業主に再び雇用されたものではない
③ 待期期間経過後であること
④ 3年以内に「再就職手当」「常用就職支度手当」を受けていない
(左と同じ)

再就職手当においては、離職理由による給付制限を受けた場合待期期間満了後1か月の期間内については公共職業安定所などの紹介により職業に就いたときでなければなりません。「事業を開始したことはこれに含まれないため離職理由による給付制限を受けた場合において待期の期間満了後の1か月の期間内に事業を開始したときは再就職手当を受給することができないことになります。(行政手引57052)

再就職手当

 

再就職手当の要件ポイント

① 残日数1/3以上

② 1年超の雇用見込み(←超重要)

③ 待期終了後の就職

④ 給付制限中の最初の1か月はハローワーク等紹介

⑤ 元の会社への再就職ではない

⑥ 求職申込前に内定していない

⑦ 過去3年以内に再就職手当等を受けていない

⑧ 高年齢再就職給付金との重複不可

 

 

失業

基本手当90日分もらえる

30日しか受給していない

残り60日ある

再就職した


国としては

「早く就職してくれて助かった」

ので、

残っている失業給付の一部をまとめて支給します。

これが

再就職手当

です。


再就職手当の支給要件


① 支給残日数が3分の1以上

就職した前日時点で

残っている基本手当が

所定給付日数の3分の1以上

必要


所定給付日数90日

残日数30日

3分の1

OK


残日数20日

NG


② 安定した職業に就く

原則

1年を超えて雇用されることが確実

であること

 


❌ 1年以上

ではない


⭕ 1年超

です。


③ 事業開始もOK

再就職だけではありません。

開業して

自立できるとハローワークが認める

場合も対象です。


  • 行政書士開業
  • 飲食店開業
  • IT事業開業

など


④ 待期期間経過後であること

まず7日の待期があります。

待期中に就職した場合

再就職手当なし


待期終了後

再就職手当対象


給付制限がある場合

ここが難所です。


自己都合退職

給付制限あり

待期終了後1か月以内

ハローワーク等の紹介による就職が必要


OK

  • ハローワーク紹介
  • 許可職業紹介事業者紹介

NG

  • 自力応募
  • 起業

ポイント

待期満了後1か月以内

事業開始

再就職手当は支給されない

 


⑤ 離職前の会社へ戻るのはダメ

退職

再び同じ会社へ就職

再就職手当なし


仮装離職防止です。


⑥ 求職申込前に採用が決まっていたらダメ

例えば

3月1日

内定

3月5日

求職申込

支給なし


失業給付目当ての形式的申込みを防ぐためです。


⑦ 3年以内の再受給禁止

就職日の前3年以内に

  • 再就職手当
  • 常用就職支度手当

を受給していると支給されません。


⑧ 高年齢再就職給付金との重複不可

同じ就職について

  • 再就職手当
  • 高年齢再就職給付金

両方はもらえません。

再就職手当 支給額

 

 

支給残日数 支給率
2/3以上残る 70%
1/3以上残る 60%

 

 

 

支給残日数が3分の2以上

かなり早く就職

70%支給


計算式

再就職手当
=基本手当日額 × 残日数 × 70%


支給残日数が3分の1以上3分の2未満

そこそこ早い就職

60%支給


計算式

再就職手当
=基本手当日額 × 残日数 × 60%


覚え方

失業

早く就職

ご褒美が大きい


だから

残日数 支給率
3分の2以上残る 70%
3分の1以上残る 60%

です。


 

 

常用就職支度手当 受給資格者等

 

項目 内容
対象 就職困難者
雇用期間 1年以上
紹介 ハローワーク等必須
起業 不可
支給率 40%
3年以内の再受給 不可

再就職手当との比較

項目 再就職手当 常用就職支度手当
雇用見込み 1年超 1年以上
起業 ×
ハローワーク紹介 一部必要 必須
支給率 60%・70% 40%

 

 

① まず前提:「常用就職支度手当」とは?

通常の「再就職手当」は 失業手当(基本手当)がまだ多く残っている人が早く就職した場合に支給されます。

しかし現実には、

  • 障害のある方
  • 高齢者
  • 日雇い労働者 など

就職まで時間がかかりやすく、手当が残りにくい人もいます。

そこで用意されているのが 「常用就職支度手当」=再就職手当の代替制度です。

 


 

② 「受給資格者等」とは何か?

これは簡単に言うと この手当をもらえる対象者のグループ のことです。

 

全部で4種類あります


 

③ 4つの対象者(かみ砕き)

 

① 受給資格者(普通の失業保険の人)

ただし条件あり

失業手当がほとんど残っていない人だけ

具体的には

  • 残日数が「3分の1未満」

つまり

  • まだたくさん残っている → 再就職手当
  • ほぼ残っていない → 常用就職支度手当

という使い分けです。


② 高年齢受給資格者(65歳以上など)

一時金タイプの給付(高年齢求職者給付金)を受けた人

さらに 離職から1年以内なら対象

※この人たちはそもそも「日数」という概念がないので 残日数の条件は関係なし


③ 特例受給資格者(季節労働者など)

特例一時金」をもらった人

条件
離職から6か月以内

これも同じく 残日数という考え方がない


④ 日雇受給資格者

日雇い労働者向けの給付を受ける人

これも 残日数の概念なし


④ 一番重要な理解ポイント

ここが重要です

「残日数」が関係あるのは①だけ

それ以外は

  • 高年齢
  • 特例
  • 日雇い

そもそも日数制ではないので、残日数条件は存在しない


⑤ 全体のイメージ(まとめ)

シンプルに言うと

区分 残日数の条件
① 普通の失業者 必要(しかも少ないこと)
② 高年齢 不要
③ 特例 不要
④ 日雇い 不要

⑥ 制度の本質

この制度の目的は一言でいうと 「再就職手当をもらえない人を救う制度」

常用就職支度手当の支給要件

再就職手当との違い


再就職手当

1年を超えて

雇用される見込み


常用就職支度手当

1年以上

雇用される見込み


比較すると

手当 条件
再就職手当 1年超
常用就職支度手当 1年以上

この「超」と「以上」が頻出です。


紹介による就職が必要

常用就職支度手当は

必ず

  • ハローワーク
  • 職業紹介事業者

の紹介が必要です。


支給されない例

❌ 自力応募

❌ 知人紹介

❌ 起業


これは再就職手当との大きな違いです。

再就職手当は起業でも対象になる場合があります。


給付制限との関係

再就職手当は

給付制限中でも条件を満たせば受給可能でした。


しかし常用就職支度手当は

給付制限期間経過後

でなければなりません。


共通要件

再就職手当と共通するもの


①待期終了後の就職

②離職前の会社へ戻っていない

③3年以内に再就職手当等を受給していない


 

支給額

 

計算式は 基本的に

基本手当日額 × 日数 × 40%

です。


覚え方

再就職手当

60%・70%


常用就職支度手当

40%


と覚えれば十分です。


特徴的な計算

常用就職支度手当は

最低保障・最高保障があります。


支給残日数90日以上

90日を上限に計算

90 × 40%

36日分


支給残日数45日未満

45日として計算

45 × 40%

18日分


つまり

残日数 計算上の日数
90日超 90日
45~89日 実残日数
45日未満 45日

 

障害者への特例

非常に特徴的です。

身体障害者等の場合は、

残日数が0日でも

45日残っているものとして計算できる場合があります。


つまり

失業給付を全部もらい終わった後でも

常用就職支度手当が支給される可能性があります。

移転費

支給要件は

「ハローワーク等の紹介による就職(又は指示訓練)+住所変更が必要」

と覚えるのがポイントです。

また、移転費の内容として

「鉄道賃・船賃・航空賃・車賃・移転料・着後手当」

 

簡単にいうと

「就職や職業訓練のための引越代」

です。


例えば

東京在住

大阪の会社へ就職

引越し必要

 

移転費支給

支給要件

支給対象

次の場合です。


①ハローワーク等の紹介による就職

または

②ハローワーク指示の職業訓練


そして

住所変更が必要

とハローワーク所長が認めること

です。


移転費の内容


①鉄道賃

②船賃

③航空賃

④車賃

⑤移転料

⑥着後手当


着後手当とは?

引越後に必要な雑費です。

例えば

  • ホテル代
  • 仮住まい費用
  • 入居準備費

など


移転費が支給されない場合

知人紹介

知人の紹介で就職

移転費なし


必ず

ハローワーク等の紹介

でなければなりません。


就職先から引越代が出る

会社が

引越費用20万円支給

移転費は支給されない

または差額のみ

です。


短期雇用

雇用期間が1年未満

原則対象外

 

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