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ソリューション行政書士法人
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労災保険は、労働者の労働災害に対する保護を主目的とするものであるため、労働者以外の者(中小事業主、自営業者、家族従事者など)の労働災害については、本来的には労災保険は関与しない。しかしながら、これらの者のなかには、一部ではあるが、業務の実態、災害の発生状況などからみて、労働者に準じて労災保険により保護するにふさわしい者が存在することは否定できない。また、労災保険の適用範囲は、属地主義により、日本圏内の事業に限られるが、海外の事業場に圏内の事業場から派遣された労働者などについても、国外における労働災害保護制度が十分でない現状などに鑑みて、国内労働者と同様の保護を与える必要がある。
そこで、このような者については、労災保険の建前及び保険技術的にみて可能な範囲内で、特に労災保険の加入を認め保護を図ることとし、労災保険への加入を認めている。これを「特別加入」の制度という。
特別加入制度とは、労働者以外の方のうち、業務の実態や、災害の発生状況からみて、労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる人に、一定の要件の下に労災保険に特別に加入することを認めている制度です。 特別加入できる方の範囲は、
の4種に大別されます。
目 次
特別加入者に対しても、複数事業労働者に係る改正の対象になります。
したがって、
についても保護の対象となります。(令和2年8月21日基発0821第1号)
中小事業主等 | 内容 | |
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中小事業主
| 事業の種類 | 常時使用労働者数 |
原則 (下記以外) | 300人以下 | |
卸売業、サービス業 | 100人以下 | |
金融業、保険業、不動産業、小売業 | 50人以下 | |
中小事業主が行う事業に従事する者 | 同居の親族といわれるような家族従事者や法人企業の場合の代表権をもたない役員などをいう。
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数次の請負による建設の事業の場合には、保険関係が一括されて元請負人のみが事業主となるが、これは保険技術上、元請負人のみを保険加入者として扱うということであり、これによって事業主たる事実が否定されるわけではないので、下請負人も、事業主として特別加入することができる。(平成30年2月8日基発0208第1号)
専従職員(=労働者)を置かず、代表者以外の常勤役員を置く労働組合などの「非常勤役員」は、原則として、中小事業主等として特別加入することができる。
(平成11年2月18日基発77号)
「保険関係が成立(=労働者が存在し、その労働者を使用する事業があること)」していなければ、そもそも特別加入のしようがありませんし、また、
いずれも絶対的な要件とされています。
中小事業主等の特別加入においては、事業主が事業主と当該事業に従事するその他の者を包括して加入申請を行い、政府の承認を受けることにより労災保険が適用されるものであり、事業主自身が加入することが前提となっているが、中小事業主の中には、病気療養中、高齢などの事情により実態として当該事業場において就業していない者もいるため、就業実態のない事業主が自らを包括加入の対象から除外することを申し出た場合には、当該事業主を特別加入者としないことができる。
(平成15年5月20日基発0520002号)
判例(平成24年2月24日最高裁判所第二小法廷広島中央労基署長事件) |
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① 中小事業主の特別加入の制度は、労働者に関し成立している労災保険の保険関係を前提として、当該保険関係上、中小事業主又はその代表者を労働者とみなすことにより、当該中小事業主又はその代表者に対する法の適用を可能とする制度である。
それぞれ別個の事業であって、それぞれその業務の中に労働者を使用するものがあることを前提に、各別に保険関係が成立するものと解される。 ③ したがって、建設の事業を行う事業主が、その使用する労働者を個々の建設等の現場における事業にのみ従事させ、本店等の事務所を拠点とする営業等の事業に従事させていないときは、上記営業等の事業につき保険関係の成立する余地はないから、上記営業等の事業について、当該事業主が法28条1項に基づく特別加入の承認を受けることはできず、上記営業等の事業に係る業務に起因する事業主又はその代表者の死亡等に関し、その遺族等が法に基づく保険給付を受けることはできないものというべきである。 特別加入は「労働者がいる事業」を前提とするため、労災保険に特別加入していた事業主が、労働者がいない本店業務(下見など)中に事故に遭った場合、この本店業務は特別加入の対象外となるため、労災給付は受けらないという結果となりました。 |
① 中小事業主等が特別加入する際の要件の一つである「その事業について保険関係が成立していること」のことについて言及しています。その事業に通常の労働者がいて、その労働者について労災保険の保険関係が成立していることを前提に、事業主などを特別に労働者とみなして加入させるのが、中小事業主等の特別加入です
労働者がいる
→保険関係の成立
→中小事業主などをみなし労働者として特別加入できる
② 労災保険における「保険関係の成立」は、「事業」単位で行われるものであり、その「事業」は、主として場所的な独立性を基準として区分されると解されています。
建設の事業においては、建設現場ごとに場所的独立性があるため、各現場で行われる一体の作業が、それぞれ一つの「事業」とみなされます。
また、本店や営業所といった事務所についても、そこで営業活動や経営管理などの業務が行われ、かつ労働者が使用されていれば、これも独立した一つの「事業」として扱われます。
したがって、建設業の事業主が複数の建設現場を有している場合、本社事務所とは別に、個々の現場ごとに労災保険の保険関係が成立することになります。
③ 「建設現場にしか労働者を使っていない」場合、本店などの営業・管理の事業には労災保険の保険関係が成立せず、その事業についての特別加入承認も給付も受けられません。