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ソリューション行政書士法人
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「就業規則」とは、会社で働く際の共通ルールを定めたものです。
具体的には、
などを定めます。
単なる社内マニュアルではなく、一定の要件を満たすと、会社と労働者との間の労働条件を規律する重要な文書になります。
最も重要なのは、次の点です。
常時10人以上かどうかは、原則として事業場単位で判断する。
パートやアルバイトも、常時使用していれば人数に含める。
就業規則には、単に「1日8時間」と書くだけでなく、始業・終業時刻を記載する。
職種ごとに勤務時間が異なる場合は、原則として職種別に記載する。
就業規則の作成・変更には労働者代表の意見聴取が必要だが、同意までは必要ない。
就業規則は、作成・届出するだけでなく、労働者がいつでも確認できるよう周知することが重要である。
目次
「10人以上」は会社全体ではなく事業場ごと
就業規則の作成義務は、原則として企業単位ではなく、事業場単位で判断します。
例えば、同じ会社に次の2店舗がある場合です。
| 事業場 | 労働者数 |
|---|---|
| 東京店 | 8人 |
| 横浜店 | 7人 |
| 会社全体 | 15人 |
東京店と横浜店がそれぞれ独立した事業場であれば、どちらも10人未満なので、原則として労働基準法上の作成義務はありません。
反対に、本社に12人、支店に5人いる場合は、本社については作成義務があります。支店については原則として作成義務がありません。
なお、場所が分かれていても、規模が極めて小さく、人事・経理・労務管理などが本社と一体で行われている場合には、独立した事業場として扱われないことがあります。
「常時」とは、毎日必ず10人在籍しているという意味ではありません。
一時的に9人になることがあっても、通常の状態として10人以上を使用していれば該当します。
反対に、通常は8人で、繁忙期だけ短期間3人を追加する場合は、必ずしも「常時10人以上」とはなりません。
つまり、ある一日の人数ではなく、通常の雇用状態を見て判断するということです。
人数を数えるときは、正社員だけではありません。
一般的には、
など、当該事業場で常時使用する労働者を含めます。
週1日勤務や短時間勤務であっても、常態として雇用していれば、原則として1人として数えます。
派遣労働者は、就業規則の作成義務に関しては、原則として派遣元の労働者として数えます。
したがって、派遣先会社が受け入れている派遣労働者を、自社の人数にそのまま加算するわけではありません。
本文中の
派遣労働者は、原則として派遣元の労働者数に算入する。
労働基準法89条では、就業規則には必ず記載すべき事項が定められています。大きく分けると、次の2種類です。
制度の有無にかかわらず、必ず記載しなければならない事項です。
代表例は、
会社にその制度がある場合に記載しなければならない事項です。
例えば、
必要記載事項の一部が欠けている就業規則でも「届出・意見聴取・周知・内容の合理的」があれば効力はある
つまり、
必要記載事項の一部が欠けていても、就業規則全体が当然に無効になるとは限らない。ただし、労働基準法第89条違反となり、是正・罰則の対象となり得る。また、各規定を労働者に適用するためには、周知や内容の合理性も必要となる。
ということです。
ここが重要です。
必要記載事項を欠いている時点で、
労働基準法89条違反(作成義務違反)
になります。 つまり、
| 観点 | 結論 |
|---|---|
| 就業規則としての効力 | 有効 |
| 法令遵守 | 違反 |
という「二重構造」になっています。
これは実務的な理由です。
もし「無効」としてしまうと:
だから「効力は認める」
一方で、
だから「罰則は適用」
というバランスです。
労働基準法120条により:
30万円以下の罰金
「有効=適法」ではない点がポイント
この状態はかなり危険です:
必要記載事項の欠落は必ず修正すべきです
就業規則には、単に
所定労働時間は1日8時間とする。
と書くだけでは足りません。
なぜなら、これでは何時から何時まで働くのかが分からないためです。
例えば、次のように定めます。
始業時刻 午前9時
終業時刻 午後6時
休憩時間 正午から午後1時まで
営業職、事務職、現場監督職、現場作業員で勤務時間が異なる場合は、原則として、就業規則上も区分を明確にします。
例えば、
| 職種 | 始業 | 終業 | 休憩 | 所定労働時間 |
|---|---|---|---|---|
| 営業職・事務職 | 9:00 | 18:00 | 1時間 | 8時間 |
| 現場監督職 | 8:00 | 17:00 | 1時間 | 8時間 |
| 現場作業員 | 8:00 | 15:00 | 1時間 | 6時間 |
という形です。
したがって、現行の就業規則に「1日8時間」「9時から18時」とだけ書かれているのに、現場作業員だけを恒常的に6時間勤務とするのであれば、現場作業員の始業・終業時刻、休憩時間を就業規則に追加するのが原則です。
パートタイマーなど、本人の希望により勤務時間が一人ずつ異なり、一律に決められない場合は、基本となる時間を就業規則に定めたうえで、
個別の始業時刻、終業時刻及び休憩時間は、雇用契約書または労働条件通知書により定める。
と規定する方法があります。
ただし、営業職は9時から18時、現場作業員は8時から15時というように、職種ごとに一定の勤務時間が決まっている場合は、単に「個別契約で定める」とだけせず、職種別に就業規則へ明記する方が適切です。
同一事業場において、労働者の勤務態様、職種などによって始業及び終業の時刻が異なる場合は、就業規則に勤務態様、職種などの別ごとに始業及び終業の時刻を規定しなければならない。(昭和63年3月14日基発150号、平成11年3月31日基発168号)
休暇は、就業規則の絶対的必要記載事項です。
例えば、
などがあります。
ただし、会社独自の夏季休暇や慶弔休暇は、必ず設けなければならないという意味ではありません。制度を設けた場合には、その内容を就業規則に記載する必要があるという意味です。
育児・介護休業については、就業規則本則にすべてを書かず、別規程として「育児・介護休業規程」を作成しても構いません。この別規程も就業規則の一部として扱われます。
本来、年次有給休暇は労働者が事前に請求するものです。
しかし、病気などで欠勤した後、本人の申請によって欠勤日を年次有給休暇に振り替える会社もあります。
この取扱いが会社の制度として定着しているのであれば、例えば次のように就業規則へ規定します。
労働者が病気その他やむを得ない理由により欠勤した場合、本人から申請があり、会社が承認したときは、当該欠勤日を年次有給休暇に振り替えることがある。
なお、「必ず振り替える」のか、「会社の承認により振り替えることがある」のかは明確にしておく必要があります。
就業規則を作成・変更するときは、使用者は労働者側の意見を聴かなければなりません。
意見を聴く相手は、
ここで必要なのは「同意」ではありません。
労働者代表が全面的に反対していても、使用者が実際に意見を聴き、その意見を記載した意見書を添付すれば、届出自体は可能です。厚生労働省も、意見聴取は同意や協議まで要求するものではないと説明しています。
ただし、反対意見がある場合に、それを無視してよいという意味ではありません。特に労働条件を不利益に変更する場合には、変更内容の合理性が問題になります。
使用者は、就業規則の一部のみを変更する場合においても、過半数労働組合または過半数代表者の意見を聴かなければならず、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。(法90条1項)
使用者は、第89条の規定により就業規則の届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。(法90条2項)
過半数代表者は、会社が一方的に指名することはできません。
一般的には、
が必要です。
社長が「今回は総務課長を代表者にします」と決めただけでは、適切な過半数代表者とは認められない可能性があります。
正社員用、パートタイマー用、契約社員用など、雇用区分ごとに別の就業規則を作ることもできます。
ただし、パートタイマー用就業規則も、その事業場全体の就業規則の一部です。
そのため、法定の意見聴取は原則として、パートタイマーだけの代表者ではなく、事業場の全労働者の過半数を代表する者から行います。厚生労働省も、パート・有期雇用労働者や派遣労働者等を含む全労働者を基礎として過半数代表を選ぶと説明しています。
例えば、
の事業場でパート用就業規則を作る場合、法定の意見聴取を行う相手は、原則として150人全体の過半数代表者です。
もっとも、パートタイマーの意見を反映させる趣旨から、パートタイマーの過半数代表者の意見も併せて聴くことが望ましいと考えられます。
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