結論
短期滞在中の外国人同士(台湾籍・中国籍)は、日本で婚姻届を提出できるのでしょうか。
⇒⇒⇒ 可能と考えられます。
夫が台湾籍、妻が中国籍で、双方とも日本に住民票がなく、短期滞在(観光目的)で来日している場合であっても、日本の市区町村役場に婚姻届を提出し、日本の方式によって婚姻を成立させることができます。
法務省も、外国人同士が日本で婚姻しようとする場合、戸籍届出窓口に婚姻届を提出し、双方について婚姻の要件が備わっていると認められて届出が受理されれば、有効な婚姻が成立すると案内しています。
日本における婚姻の形式的要件に関しては、日本で婚姻する場合には婚姻届を市区町村役場に提出し、受理されることです。届出先は「本籍地または所在地の市区町村役場」とされています。
したがって、「日本に住民票がない」「短期滞在である」ということだけを理由として、婚姻届を提出できないわけではありません。
短期滞在者は、どこの市区町村に婚姻届を出せるのか
外国人に関する戸籍の届出について、戸籍法25条2項は、
「外国人に関する届出は、届出人の所在地でこれをしなければならない。」
と定めています。
ここでいう「所在地」は、住民票上の住所に限定されません。旅行先やホテルなどの一時的な滞在場所も含まれます。
と明記し、本籍も住民票も京都市にない人であっても、京都市内のホテルで結婚式を挙げる場合などには、そのホテルが所在する区の区役所に婚姻届を提出できると案内しています。
奈良市も「一時滞在地(旅行先・挙式場所など)」で婚姻届を提出できるとし、その場合には婚姻届のその他欄に一時滞在地の住所を記載するよう案内しています。
したがって、例えば、
台湾籍の夫+中国籍の妻
↓
短期滞在で東京都港区のホテルに宿泊
↓
そのホテルが「一時滞在地=所在地」
↓
港区に婚姻届を提出
という取扱いが可能と考えられます。
なお、短期滞在者には在留カードは交付されず、入管法上の住居地届出義務もありません。したがって、在留カードがないこと自体は異常なことではありません。
また、港区自身も、「港区に本籍や住所の登録がない場合には、夫婦二人で来庁いただければ届け出できます」と案内しています。
ただし、「所在地」であれば全国どこの役所でも自由に選べるという意味ではありません。実際に滞在しているホテル等との所在地上のつながりがある市区町村に提出するという整理になります。
婚姻届の基本的な必要書類
外国人が日本方式で婚姻する場合には、単に婚姻届を提出するだけではなく、夫・妻それぞれについて本国法上婚姻することができる状態にあるかが審査されます。
法務省は、外国人について一般的に「婚姻要件具備証明書」と日本語訳を提出し、本国法上、婚姻年齢、独身であることなどの婚姻要件を満たしていることを確認すると説明しています。
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 婚姻届 | 日本人が使用するものと同じ婚姻届 |
| 証人 | 成年者2名の署名 |
| パスポート等 | 国籍・本人確認のため |
| 婚姻要件を確認する書類 | 国籍によって異なる |
| 日本語訳 | 外国語で作成された証明書には原則として必要 |
台湾籍の配偶者の必要書類について
台湾人が日本国内で婚姻する場合、台湾法上の婚姻要件を満たしていることを確認する必要があり、その証明資料として台湾の戸籍謄本を添付します。
この点
「台北駐日経済文化代表處発給の婚姻要件具備証明書を添付する必要はありません。」
とされています。
したがって、重要な資料となるのは、
台湾戸籍謄本 + 日本語訳 + パスポート
と考えられます。
ただし、「台湾戸籍謄本だけで必ず足りる」とまでは断定せず、提出予定の市区町村に事前確認するのが安全です。
中国籍の配偶者の必要書類について
中国人について、日本の市区町村へ婚姻届を提出する際の資料として、次のような書類が例示されます。
| 中国籍の方の資料 | 内容 |
|---|---|
| 出生の公証書 | 日本語訳を添付 |
| 婚姻していないことを示す公証書等 | 無結婚(無再婚)登記記録証明、未婚姻公証書、未婚声明に関する公証書等 |
| 前婚がある場合 | 必要に応じて離婚公証書等+日本語訳 |
| パスポート | 国籍・本人確認 |
「日本に住所を有する外国人」は住民票・在留カードも必要です。
まとめ
台湾籍・中国籍/双方とも短期滞在/日本に住民票・在留カードなし
という場合でも、
外国人同士の日本方式による婚姻は可能
→ ホテル等の一時滞在地も戸籍法上の「所在地」になり得る
→ そのホテルを管轄する市区町村役場に婚姻届を提出できる
→ ただし、台湾・中国それぞれについて本国法上の婚姻要件を確認する書類が必要
という整理になります。
特に外国人同士の婚姻については、国籍・所在地・過去の婚姻歴等によって必要書類が変わり、即日で受理判断できない場合もあります。自治体も、外国籍の方については国籍や所在地等によって必要書類が異なるため、事前相談するよう案内しています。
そのため、来日前に提出予定の区役所の戸籍担当へ、
「夫は台湾籍、妻は中国籍。双方とも短期滞在で来日し、日本に住民登録・在留カードはない。○○区内のホテルに滞在している(または滞在予定)ため、そのホテルを一時滞在地として日本方式の婚姻届を提出したい」
と伝え、台湾側・中国側それぞれの必要書類を具体的に確認してから来日するのが最も確実です。
