徴収法
継続事業の一括

継続事業の一括とは、複数の事業所を持つ同一の事業主が、労保険料の申告・納付などを本社(指定事業)でまとめて行うための制度です。事業主が同一人である2以上の継続事業が一定の要件に該当し、かつ、行政庁の認可があった場合において、これらの事業の保険関係を一括することを「継続事業の一括」といいます。

 

ポイント

✅ 継続事業の一括は認可が必要(届出ではない)

都道府県労働局長が認可する

全国一括が可能

事業規模要件はない

建設業等の限定はない

✅ 必要なのは「事業の種類」が同じことであり、「労災保険率」が同じことではない

保険料・申告は一括されるが、給付事務・被保険者事務は各事業所ごと

✅ 指定事業以外は保険関係が消滅し、50日以内に確定保険料申告書を提出する


覚え方

「同じ人・同じ事業・同じ保険・同じ種類・認可で一括」

  • 同じ人(事業主)
  • 同じ継続事業
  • 同じ保険関係
  • 同じ事業の種類
  • 認可を受ける

この5つを押さえれば、継続事業の一括の要件は整理して覚えられます。

目 次

  1. 一括の要件
    1. 指定事業とは
  2. 継続事業の一括の効果

継続事業の一括の要件

 

制度の概要

同一事業主が行う複数の継続事業について、一定の要件を満たし、都道府県労働局長の認可を受けた場合には、それぞれの保険関係を一つにまとめることができます(法9条)。

この制度により、労働保険料の申告・納付を一本化することができます。


継続事業の一括の要件

継続事業の一括は、次の5つの要件をすべて満たす必要があります。

要件 ポイント
① 事業主が同一人であること 個人と法人は別人格のため一括不可
② すべて継続事業であること 適用事業・暫定任意適用事業の別は問わない
③ 保険関係の種類が同一であること 一元適用同士、二元適用(労災)同士など、同じ保険関係であること
④ 労災保険率表上の事業の種類が同じこと 「労災保険率が同じ」ではなく「事業の種類」が同じことが必要
⑤ 都道府県労働局長の認可を受けること 届出だけでは足りず、認可が必要

① 事業主が同一人

同じ会社または同じ個人事業主が経営していることが必要です。

 

○  A株式会社が東京支店・大阪支店を運営

→ 一括できる

× 東京事業所:山田商店(個人)

大阪事業所:株式会社山田

→ 事業主が異なるため一括できない


② すべて継続事業であること

対象となるのは継続事業です。

適用事業でも暫定任意適用事業でも構いません。

また、暫定任意適用事業については、

任意加入申請と同時に一括申請することも可能です。


③ 保険関係の種類が同じこと

一括する事業は、成立している保険関係が同一でなければなりません。

対象となるのは次のいずれかです。

  • 二元適用事業(労災)
  • 二元適用事業(雇用)
  • 一元適用事業(労災・雇用)

異なる保険関係同士は一括できません。


④ 労災保険率表の事業の種類が同じこと

ここは頻出です。

必要なのは

「労災保険率が同じ」ことではありません。

必要なのは

「労災保険率表上の事業の種類が同じ」ことです。

同じ保険率でも、事業の種類が異なれば一括できません。


⑤ 都道府県労働局長の認可

継続事業の一括は当然に成立するものではありません。

事業主が申請し、

都道府県労働局長(厚生労働大臣から権限委任)の認可

を受けて初めて成立します。

 

提出先

指定事業となる事業所を管轄する都道府県労働局長

指定事業とは

一括後の代表となる事業です。

ここに保険関係が集約されます。

指定事業は、

労働保険事務を適切に処理できる事業所

が選ばれます。

必ずしも本社とは限りません。

例えば、

本社より支店が労働保険事務を集中管理している場合は、

支店が指定事業になることもあります(昭和40年7月31日基発901号)。


継続事業の一括の特徴

 

全国どこでも可能

地域的な制限はありません。

全国の事業所を一括できます。


事業規模の制限なし

有期事業の一括とは異なり、

事業規模要件はありません。


建設業などの限定なし

有期事業の一括のような 建設業・立木伐採などの限定はありません。

継続事業の一括の効果

 

① 保険関係は一つになる

指定事業以外の保険関係は消滅し、

すべて指定事業の保険関係になります。

労働者も、

指定事業の労働者とみなされます。


② 一括されるのは保険料関係

一括されるもの

  • 労働保険料
  • 保険料申告
  • 保険料納付

③ 一括されないもの

各事業所ごとに行うもの

  • 労災保険給付
  • 雇用保険給付
  • 雇用保険資格取得
  • 雇用保険資格喪失

つまり、

給付事務・被保険者事務は各事業所ごとです。


④ 指定事業以外の保険関係は消滅

指定事業以外は保険関係が消滅するため、

保険関係消滅の日から50日以内

確定保険料申告書を提出し、

保険料を精算します。


⑤ 年度途中に一括した場合

保険年度の途中で一括すると、

 

指定事業

事業規模が大きくなるため

増加概算保険料を申告・納付

 

指定事業以外

保険関係が消滅するため

確定保険料申告書を提出し精算

 

 

⑥ 一括後に事業の種類が変更された場合

継続事業の一括の認可後に、指定事業以外の事業の種類が変更されると、

それぞれの事業が事業の種類を同じくすること」という継続事業の一括の要件を満たさなくなります。

この場合は、

  • 事業の種類が変更された事業は、一括の対象から外れ、新たに独立した保険関係が成立します。
  • 指定事業を含む残りの事業については、指定事業の労働者数または賃金総額が減少したものとして取り扱われます。
  • この減少分は、翌年度の確定保険料の申告時に精算します。

ポイント
一括の認可を受けた後でも、事業の種類が変わると、その事業だけが一括から外れます。残りの事業については、一括そのものは維持され、翌年度の確定保険料で保険料の調整(精算)が行われます。

(徴収法9条、則10条1項、昭和40年7月31日基発901号)

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