雇用保険法
被保険者の種類等

高年齢被保険者

 

高年齢被保険者とは、65歳以上被保険者短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く)をいう。(法37条の2第1項かっこ書)

 

65歳以上の被保険者には

  1. 高年齢被保険者
  2. 短期雇用特例被保険者及び
  3. 日雇労働被保険者が存在します

特例高年齢被保険者

 

① 制度の趣旨(なぜできたのか)

従来、雇用保険は1つの事業所ごとに週20時間以上働くかどうかで加入可否が判断されていました。

そのため例えば:

  • A社:週10時間
  • B社:週10時間

→ 合計20時間働いていても、どちらも単独では20時間未満なので雇用保険に入れない という問題がありました。

高齢者は複数就労が多いため、この不合理を解消するために創設されたのが 特例高年齢被保険者制度(2022年施行)です。


 

② 制度の基本構造

65歳以上の労働者に限り、 複数事業所の労働時間を合算して雇用保険に加入できる という仕組みです。


 

③ 主な要件(ここが重要)

以下をすべて満たす必要があります。

 

1. 年齢要件

  • 65歳以上

2. 複数事業所で就労していること

  • 2社以上で働いていること

3. 労働時間要件

  • 合算して 週20時間以上

※各社では20時間未満でもOK


4. 本人申出

  • 本人がハローワークに申出を行うことで成立
  • 事業主の同意は不要

ここは実務上かなり特徴的です


 

④ 通常の雇用保険との違い

項目 通常 特例高年齢被保険者
対象年齢 制限なし 65歳以上のみ
判定単位 1事業所 複数事業所合算
加入方法 事業主主導 本人申出
事業主の同意 - 不要

 

⑤ 実務上のポイント(重要)

 

① どの会社で資格取得するのか

→ 主たる事業所を1つ選ぶ

  • 本人が指定
  • その事業所で被保険者資格を管理

② 他の事業所の対応

  • 他の勤務先も「関係事業所」として関与
  • 労働時間の証明などが必要になる

③ 保険料の扱い

  • 各事業所で賃金に応じて按分して負担

ここは実務処理がやや煩雑


④ 離職時の給付

  • 合算された就労実績に基づいて判断
  • 高年齢求職者給付金の対象になる

 

⑥ 制度のメリット

 

労働者側

  • 雇用保険に入れるようになる
  • 失業時の給付対象になる
  • 働き方の自由度が上がる

社会的意義

  • 高齢者の就労促進
  • 人手不足対策
  • 多様な働き方の推進

 

⑦ 注意点(見落としやすい)

  • 自動適用ではない → 申出が必須
  • 週20時間未満なら対象外
  • 手続きが煩雑(複数事業所調整)
  • 企業側が制度を知らないケースが多い

 

まとめ

特例高年齢被保険者制度は、
「65歳以上 × 複数就労 × 合算20時間以上」で
雇用保険加入を可能にする制度 であり、 
高齢者の柔軟な働き方を制度的に支える仕組みです。

短期雇用特例被保険者

 

期雇用特例被保険者とは、被保険者であって、季節的に雇用される者のうち、

  1. 4箇月以内の期間を定めて雇用されるもの、
  2. 1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者、

いずれにも該当しない者(日雇労働被保険者除く)をいう。(法38条1項かっこ書、平成22年厚労告154号)

 

要するに

  1. 季節的に雇用される者
  2. 雇用期間が4箇月を超え」、かつ
  3. 週所定労働時間が30時間以上の者

短期雇用特例被保険者となります

  • 短期雇用特例被保険者には清酒製造に従事する杜氏1年間のうちの限られた期間酒造りに従事する季節労働者をイメージして下さい

定められた期間を超えて雇用される場合

 

4箇月以内の期間を定めて季節的に雇用される者が、その定められた期間を超えて引き続き同一の事業主に雇用されるに至ったときは、その定められた期間を超えた日から被保険者資格を取得する。ただし、当初定められた期間を超えて引き続き雇用される場合であっても、当初の期間と新たに予定された雇用期間が通算して4箇月を超えない場合には、被保険者資格は取得しない。(行政手引20555)

 

  1. 季節的雇用者が3箇月契約を結んでいたとします
  2. その後新たに3箇月の契約を結んだ場合新たに契約を結んだところから短期雇用特例被保険者となります
  • ただし通算して4箇月を超えていない場合には被保険者の資格を取得しません

 

具体例
・ 100日の有期労働契約、週35時間の季節的雇用者が、契約満了後引き続き30日間雇用されるに至った場合


→ 当初は100日(=4箇月以内)なので、「適用除外」に該当する(短期雇用特例被保険者ではない)。

→ 「引き続き30日雇用された」→「100日+30日=130日」で通算して4箇月を超えるので、その定められた期間を超えた日(すなわち、100日を超えた日から被保険者資格を取得する。

一般被保険者等への切替

 

短期雇用特例被保険者が、同一の事業主に引き続いて1年以上雇用されるに至った場合は、その1年以上雇用されるに至った日切替日以後一般被保険者65歳以上の場合には高年齢被保険者となる。(行政手引20451)

  • 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されることになった場合、「季節的に雇用される者とはいえなくなるため切替えが行われます
  • 特例被保険者が同一の事業主に引き続いて1年以上雇用されるに至ったときは原則として切替えが行われますが法39条1項の規定による特例被保険者の受給資格要件の緩和が認められている場合には注意が必要です
    この受給資格要件の緩和があった場合例えば疾病負傷等により賃金の支払を受けることができずに算定対象期間が最大4年となるような場合1年以上雇用されても一般被保険者等とはなりません
    この場合は、「受給要件の緩和理由によって賃金の支払を受けることができなかった期間を除いた雇用期間が1 年以上となった日以後に切替えが行われます。(行政手引20451)
    この切替えは当然に行われるものであり公共職業安定所において何らかの手続を必要とするものではありません。(行政手引21082)
  • 1年以上雇用されるに至ったときに切替えが行なわれます短期雇用特例被保険者が単に65歳に達したからといって65歳以後必ず高年齢被保険者となるわけではありません

  1. 単に名称、組織等に形式的変更がなされたにとどまる場合
  2. 新旧両事業主の資本金、資金、人事、事業の内容等に密接な関係があり、新旧両事業に実質的な同一性が認められる場合などには、「同一の事業主」とされるため、このような場合が1年以上雇用される期間内に存在したときであっても、短期雇用特例被保険者は、原則として、一般被保険者に切替わる。(行政手引22701、行政手引22702)

法人の名称変更組織変更清算法人となった破産の宣告を受けた更生手続開始決定を受けた合併した相続があったなどの場合には、「同一の事業主と認められます。(行政手引22702)

  • 合併した場合や会社更生法による更生手続開始決定を受けた場合には単に名称組織等に形式的変更がなされたにとどまる場合に該当し一般被保険者等への切替えが行われます

日雇労働者

 

日雇労働者とは、

  1. 日々雇用される者又は
  2. 30日以内の期間を定めて雇用される者

いずれかに該当する労働者(注)をいう。(法42条、法43条2項)

(注前2箇月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及び
同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用された者(日雇労働被保険者資格継続の認可を受けた者除く)を除く

 

「日雇労働者」の定義(雇用保険/健康保険)

制度 日雇労働者(=日雇特例の被保険者)の定義
雇用保険の「日雇労働者」(=日雇労働被保険者) 1. 日々雇用される者
2. 30日以内の期間を定めて雇用される者
健康保険の「日雇労働者」(=日雇特例被保険者) 1. 臨時に使用される者(=日々雇い入れられる者、または 2か月以内の期間を定めて使用され、かつその期間を超えて使用される見込みがない者)
2. 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
3. 臨時的事業の事業所に6か月以内の期間を定めて使用される者

日雇労働被保険者

 

日雇労働被保険者とは、被保険者である日雇労働者であって、次のいずれかに該当するものをいう。(法43条1項かっこ書)

 

日雇労働被保険者の要件(いずれか)
  1.  適用区域に居住し、(適用区域内または適用区域外にある)適用事業に雇用される者
  2.  適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある適用事業に雇用される者
  3.  適用区域外の地域に居住し、適用区域外の地域にある適用事業であって、日雇労働の労働市場の状況その他の事情に基づいて厚生労働大臣が指定したものに雇用される者
  4.  そのほか、厚生労働省令で定めるところにより公共職業安定所長の認可を受けた者(任意加入
  • 日雇労働者であっても公共職業安定所を利用できなければ被保険者になる意味がないため上記のような地理的要件が設けられています
  • 3.のケースには、適用区域外の地域で、巨大なダムや道路、工場などの建設プロジェクトが立ち上がった場合や、特定の農産物の収穫期に大量の日雇労働者を雇用するような場合があります(「形式的な地域区分」にとどまらず、「労働市場の実態」に応じた柔軟な運用ができるということです)。
  • 1.3.については公共職業安定所長への申請や許可などは不要です当然に日雇労働被保険者となります)。
  • 4.、「日雇労働被保険者となるための任意加入の認可であり、「日雇労働被保険者から除外し一般被保険者となるための認可ではありません

 

適用区域」とは、次の区域をいう。(行政手引90002)

  1.  ア. 特別区(東京都の各区をいう)又は公共職業安定所の所在する市町村の区域であって除外区域以外の区域
  2.  イ. ア.に掲げる区域に隣接する市町村の全部又は一部の区域であって厚生労働大臣が指定する区域

一般被保険者などへの切替、日雇労働被保険者の資格継続

 

日雇労働被保険者は、

  1. 2か月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された場合又は
  2. 同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用された場合には、

原則として、一般被保険者などへ切替えられる。(行政手引90301)

ただし、公共職業安定所長の認可を受けたときは、その者は、引き続き日雇労働被保険者となることができる(資格継続)。(法43条2項)

事業主は、その雇用する労働者に関し、当該事業主の行う適用事業に係る被保険者となったこと、当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなったことその他厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。(法7条)

 

厚生労働大臣公共職業安定所長に委任)は、

  1. 事業主からの被保険者となったことまたは被保険者でなくなったことに関する届出により、
  2. 労働者からの請求により、
  3. 職権により、

労働者被保険者でなくなったことまたは被保険者でなくなったこと確認を行うものとする。(法9条1項、法81条、則1条2項)

 

  資格の確認
厚生労働大臣公共職業安定所長に委任が行います
1 事業主からの届出 資格取得届・資格喪失届
2 労働者からの請求
被保険者または被保険者であった者は、いつでも、被保険者となったことまたは被保険者でなくなったことの確認を請求することができる。(法8条)
  • 確認を請求する権利時効により消滅しません
3 職権 厚生労働大臣(公共職業安定所長)の職権

特例高年齢被保険者となる旨の申出または要件を満たさなくなったときの申出を行った労働者については、法9条1項の規定による確認が行われたものとみなされる。(法37条の5第3項)

厚生労働大臣の確認の権限は、公共職業安定所長に委任されており、その事務は、当該被保険者を雇用する適用事業の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長が行うこととされています。(則1条1項・2項・5項)

被保険者が短期雇用特例被保険者に該当するかどうかの確認は、厚生労働大臣が行う。(法38条2項)

  • 短期雇用特例被保険者に該当するかどうかの確認は、「当該被保険者を雇用する適用事業の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長が行います

確認の請求は、文書または口頭で行うものとする。文書で確認の請求をしようとする者は、請求書を、その者を雇用しまたは雇用していた事業主の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長提出しなければならない。(則1条1項・2項、則8条1項)

日雇労働被保険者または日雇労働被保険者であった者については、法8条及び法9条の確認制度の規定は適用されない。(法43条4項)

登録支援/有料職業紹介のご相談はこちら

 

お問い合わせはこちらから

芸術家×起業家

 

お     一般社団法人芸商橋
 

               BusinessArtBridge

 

サイト内検索

サイドメニュー