雇用保険法
被保険者の種類等

高年齢被保険者

 

高年齢被保険者とは、
65歳以上の被保険者をいいます。

ただし、

  • 短期雇用特例被保険者
  • 日雇労働被保険者

は除かれます。

つまり、65歳以上であっても、短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者に該当する場合は、高年齢被保険者ではありません。

特例高年齢被保険者

特例高年齢被保険者制度は、

65歳以上の労働者について、複数の事業所での労働時間を合算して週20時間以上となる場合に、本人の申出により雇用保険に加入できる制度

 

① 制度の趣旨(なぜできたのか)

従来、雇用保険は1つの事業所ごとに週20時間以上働くかどうかで加入可否が判断されていました。

そのため例えば:

  • A社:週10時間
  • B社:週10時間

→ 合計20時間働いていても、どちらも単独では20時間未満なので雇用保険に入れない という問題がありました。

高齢者は複数就労が多いため、この不合理を解消するために創設されたのが 特例高年齢被保険者制度(2022年施行)です。


 

② 制度の基本構造

65歳以上の労働者に限り、 複数事業所の労働時間を合算して雇用保険に加入できる という仕組みです。


 

③ 主な要件(ここが重要)

以下をすべて満たす必要があります。

 

要件 内容
年齢 65歳以上
就労先 2以上の事業主に雇用されている
労働時間 2つの事業所の労働時間を合算して週20時間以上
申出 本人がハローワークに申出

ポイントは、本人申出制であることです。

事業主の同意は不要です。


 

④ 通常の雇用保険との違い

項目 通常 特例高年齢被保険者
対象年齢 制限なし 65歳以上のみ
判定単位 1事業所 複数事業所合算
加入方法 事業主主導 本人申出
事業主の同意 - 不要

 

⑤ 実務上のポイント(重要)

 

① どの会社で資格取得するのか

→ 主たる事業所を1つ選ぶ

  • 本人が指定
  • その事業所で被保険者資格を管理

② 他の事業所の対応

  • 他の勤務先も「関係事業所」として関与
  • 労働時間の証明などが必要になる

③ 保険料の扱い

  • 各事業所で賃金に応じて按分して負担

ここは実務処理がやや煩雑


④ 離職時の給付

  • 合算された就労実績に基づいて判断
  • 高年齢求職者給付金の対象になる

 

⑥ 制度のメリット

 

労働者側

  • 雇用保険に入れるようになる
  • 失業時の給付対象になる
  • 働き方の自由度が上がる

社会的意義

  • 高齢者の就労促進
  • 人手不足対策
  • 多様な働き方の推進

 

⑦ 注意点(見落としやすい)

  • 自動適用ではない → 申出が必須
  • 週20時間未満なら対象外
  • 手続きが煩雑(複数事業所調整)
  • 企業側が制度を知らないケースが多い

 

まとめ

特例高年齢被保険者制度は、
「65歳以上 × 複数就労 × 合算20時間以上」で
雇用保険加入を可能にする制度 であり、 
高齢者の柔軟な働き方を制度的に支える仕組みです。

短期雇用特例被保険者

 

短期雇用特例被保険者とは、季節的に雇用される者のうち、

  • 4箇月を超えて雇用される者
  • 週所定労働時間が30時間以上の者

をいいます。

つまり、

季節的雇用 + 4箇月超 + 週30時間以上

に該当する者が、短期雇用特例被保険者となります。

典型例としては、清酒製造に従事する杜氏などが挙げられます。

短期雇用特例被保険者が失業した場合には、一般の被保険者に支給される基本手当ではなく、原則として**「特例一時金」**が支給されます。

特例一時金の額は、当分の間、特例受給資格者を一般の受給資格者とみなして基本手当の日額に関する規定を適用した場合に算定される基本手当の日額の40日分です。(雇用保険法40条1項、附則8条)

ただし、失業の認定があった日から受給期限までの日数が40日に満たない場合には、その残りの日数に相当する額が支給されます。

したがって、短期雇用特例被保険者については、

季節的に雇用される一定の労働者を対象とし、失業した場合には原則として基本手当40日分に相当する特例一時金が支給される制度

と整理すると理解しやすくなります。

定められた期間を超えて雇用される場合4箇月以内の契約が延長された場合

当初は4箇月以内の契約であっても、
その期間を超えて引き続き同一事業主に雇用される場合には、原則として、その期間を超えた日から被保険者資格を取得します。

ただし、通算しても4箇月を超えない場合は、資格を取得しません。

一般被保険者等への切替短期雇用特例被保険者から一般被保険者等への切替え

短期雇用特例被保険者が、同一事業主に引き続き1年以上雇用されるに至った場合は、
その日以後、

  • 65歳未満なら一般被保険者
  • 65歳以上なら高年齢被保険者

となります。

単に65歳に達しただけで、当然に高年齢被保険者へ切り替わるわけではありません。
同一事業主に引き続き1年以上雇用されるに至ることが必要

日雇労働者

 

日雇労働者とは、

  • 日々雇用される者
  • 30日以内の期間を定めて雇用される者

をいいます。

ただし、

  • 前2箇月の各月に18日以上、同一事業主に雇用された者
  • 同一事業主に継続して31日以上雇用された者

は、原則として日雇労働者から外れます。

 

「日雇労働者」の定義(雇用保険/健康保険)

制度 日雇労働者(=日雇特例の被保険者)の定義
雇用保険の「日雇労働者」(=日雇労働被保険者) 1. 日々雇用される者
2. 30日以内の期間を定めて雇用される者
健康保険の「日雇労働者」(=日雇特例被保険者) 1. 臨時に使用される者(=日々雇い入れられる者、または 2か月以内の期間を定めて使用され、かつその期間を超えて使用される見込みがない者)
2. 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
3. 臨時的事業の事業所に6か月以内の期間を定めて使用される者

日雇労働被保険者

 

日雇労働被保険者とは、日雇労働者であって、一定の適用区域等の要件を満たす者をいいます。

要するに、日雇労働者であれば常に日雇労働被保険者になるわけではなく、

適用区域との関係が問題になります。

一般被保険者などへの切替、日雇労働被保険者の資格継続

 

日雇労働被保険者が、

  • 前2箇月の各月に18日以上、同一事業主に雇用された場合
  • 同一事業主に継続して31日以上雇用された場合

には、原則として一般被保険者等に切り替わります。

ただし、公共職業安定所長の認可を受けた場合は、引き続き日雇労働被保険者となることができます。(資格継続)。(法43条2項)

被保険者資格の確認は、厚生労働大臣が行います。
実際には、公共職業安定所長に委任されています。

確認は、次の方法で行われます。

方法 内容
事業主の届出 資格取得届・資格喪失届
労働者の請求 いつでも確認請求できる
職権 ハローワークが職権で確認

確認請求権は、時効により消滅しません。


注意点

日雇労働被保険者又は日雇労働被保険者であった者については、
通常の確認制度は適用されません。

つまり、

法8条・法9条の確認制度は、日雇労働被保険者には適用されない

という点が重要です。

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