労災保険法 
業務上の疾病

労災保険法における「業務上の疾病」とは、労働者が業務に従事する過程で、業務に起因して発症した病気や障害を指します(労働基準法施行規則第35条、別表1の2)。

  1. 仕事中・通勤時の突発的なケガ(業務災害)とは異なり、
  2. 職場の環境因子や業務の負担によって徐々に発症する「職業病」の側面が強いものです。

 

目 次

  1. 業務上の疾病の範囲
  2. 血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準
  3. 心理的負荷による精神障害の認定基準(令和5年9月1日基発0901第2号)

業務上の疾病の範囲

 

業務上の疾病及び療養の範囲は、厚生労働省令労働基準法施行規則35条)で定められている。(労働基準法75条)

業務上の疾病は、労働基準法施行規則別表第1の2に掲げる疾病とされる。(労働基準施行規則35条)

  • 業務災害労働基準法労働基準法75条2項が出発点なので労働基準法施行規則35条労働基準法施行規則別表第1の2に定められています

業務上の疾病の範囲一定の疾病を例示列挙するとともに包括的救済規定を補足的に設ける例示列挙主義を採っています
したがって業務上の疾病は具体的に定められた疾病に限定されるものではなく列挙疾病以外であっても包括的救済規定により対象となる場合があります
(簡単にいうと、「その他」が設けられているため、列挙疾病に該当しなくても、業務との相当因果関係が認められるものは、保険給付の対象となるということです)
(平成22年5月7日基発0507第3号、昭和53年3月30日基発186号)

血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準

 

過労死等の原因となっている脳血管疾患及び虚血性心疾患についての「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等認定基準」が通達されている。(令和3年9月14日基発0914第1号)

  • 脳・心臓疾患の労災認定基準については、前回の改正から約20年が経過し、働き方の多様化や職場環境の変化が生じていることから、最新の医学的知見を踏まえて令和3年に改正が行われました。
  • 人口動態調査によると、死因第2位が心疾患、第4位が脳血管疾患です(令和4年)。ちなみに第1位は悪性新生物(いわゆる癌)です。
  • 心臓疾患に係る疾病について労働基準法施行規則別表第1の2の第8号に該当するかどうかの判断については認定に基づいて行われます
  • 脳内出血脳出血)」、「くも膜下出血」、「脳梗塞」、「高血圧性脳症が脳血管疾患の対象疾病です

心筋梗塞」「狭心症」「心停止心臓性突然死を含む)」「重篤な心不全」「大動脈解離が虚血性心疾患の対象疾病です認定基準の対象疾病に「重篤な心不全」が追加されました。なお、旧基準では、「解離性大動脈瘤」とされていたものが「大動脈解離」と表記が改められています。(令和3年9月14日基発0914第1号)

心臓疾患その発症の基礎となる動脈硬化等による血管病変等が長い年月の生活の営みの中で徐々に形成進行及び増悪するといった自然経過をたどり発症するものとされています
しかしながら業務による明らかな過重負荷が加わることによって血管病変等がその自然経過を超えて著しく増悪心臓疾患が発症する場合がありそのような経過をたどり発症した脳心臓疾患はその発症に当たって業務が相対的に有力な原因であると判断し業務に起因する疾病として取り扱うことになっています
(令和3年9月14日基発0914第1号)

 

次の1.2.又は3.業務による明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患は、業務に起因する疾病として取り扱う。
(令和3年9月14日基発0914第1号)

 

認定要件
  1.  発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務(以下「長期間の過重業務」という)に就労したこと。
  2.  発症に近接した時期において、特に過重な業務(以下「短期間の過重業務」という)に就労したこと。
  3.  発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事(以下「異常な出来事」という)に遭遇したこと。

 

  1. 長期間の過重業務」に就労したこと
  2. 短期間の過重業務」に就労したこと
  3. 異常な出来事」に遭遇したこと

により明らかな過重負荷を受けたことにより発症した脳・心臓疾患が、業務に起因する疾病として取り扱われます。(令和3年9月14日基発0914第1号)

 

長期間の過重業務」における「特に過重な業務」は、次の通りとされている。(令和3年9月14日基発0914第1号)

 

特に過重な業務
 特に過重な業務とは、日常業務に比較して特に過重な身体的精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる業務をいうものであり、日常業務に就労する上で受ける負荷の影響は、血管病変等の自然経過の範囲にとどまるものである
 ここでいう日常業務とは、通常の所定労働時間内の所定業務内容をいう。

短期間の過重業務においても同様です

長期間の過重業務」における「評価期間」

 

次の通りとされている。(令和3年9月14日基発0914第1号)

評価期間

 発症前の長期間とは、発症前おおむね6箇月間をいう。なお、発症前おおむね6箇月より前の業務については、疲労の蓄積に係る業務の過重性を評価するに当たり、付加的要因として考慮する。

 

著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量業務内容作業環境等を考慮し、同種労働者にとっても特に過重な身体的精神的負荷と認められる業務であるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断する。(令和3年9月14日基発0914第1号)

同種労働者とは、当該労働者と職種職場における立場や職責年齢経験等が類似する者をいい、基礎疾患を有していたとしても日常業務を支障なく遂行できるものを含む。(令和3年9月14日基発0914第1号)

  • 同種労働者とは該労働者と職種職場における立場や職責年齢経験等が類似する者をいい基礎疾患を有していたとしても日常業務を支障なく遂行できるものを含みます

長期間の過重業務と発症との関係について、疲労の蓄積に加え、発症に近接した時期の業務による急性の負荷とあいまって発症する場合があることから、発症に近接した時期に一定の負荷要因(心理的負荷となる出来事等)が認められる場合にはそれらの負荷要因についても十分に検討する必要がある。すなわち、長期間の過重業務の判断に当たって、短期間の過重業務発症に近接した時期の負荷)についても総合的に評価すべき事案があることに留意する
(令和3年9月14日基発0914第1号)

  • 長期間の過重業務について短期間の過重業務発症に近接した時期の負荷についても総合的に評価すべき事案があることが新たに明示されました
  • 労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間に着目すると、その時間が長いほど、業務の過重性が増すところであり、具体的には、発症日を起点とした1箇月単位の連続した期間をみて、次のように判断する。(令和3年9月14日基発0914第1号)

 

 発症前1箇月間~6箇月間にわたって、1箇月当たりおおむね45時間以内の時間外労働(1週間当たり40時間を超えて労働した時間数)  業務と発症との関連性弱い
 発症前1箇月間~6箇月間にわたって、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど  業務と発症との関連性が徐々に強まる
 発症前1箇月間おおむね100時間又は発症前2箇月間~6箇月間にわたって、1箇月当たりおおむね80時間を超える時間外労働  業務と発症との関連性が強い

労働時間以外の負荷要因において一定の負荷が認められる場合には、労働時間の状況をも総合的に考慮し、業務と発症との関連性が強いといえるかどうかを適切に判断する。(令和3年9月14日基発0914第1号)

前記100時間基準・80時間基準の水準には至らないがこれに近い時間外労働が認められる場合には、特に他の負荷要因の状況を十分に考慮し、そのような時間外労働に加えて一定の労働時間以外の負荷が認められるときには、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断する
(令和3年9月14日基発0914第1号)

労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合的に考慮するに当たっては、労働時間がより長ければ労働時間以外の負荷要因による負荷がより小さくとも業務と発症との関連性が強い場合があり、又、労働時間以外の負荷要因による負荷がより大きければ又は多ければ労働時間がより短くとも業務と発症との関連性が強い場合があることに留意する。(令和3年9月14日基発0914第1号)

  • 100時間基準・80時間基準の水準には至らないがこれに近い時間外労働が認められる場合には、業務と発症との関連性が強いと評価できる場合もあります。

 

労働時間以外の負荷要因の「勤務時間の不規則性」とは、次のものをいう。(令和3年9月14日基発0914第1号)

 

勤務時間の不規則性 内容
拘束時間の長い勤務
  •  拘束時間の長い勤については、拘束時間数実労働時間数労働密度(実作業時間と手待時間との割合等)、休憩・仮眠時間数及び回数休憩・仮眠施設の状況(広さ、空調、騒音等)、業務内容等の観点から検討し、評価する。
  •  なお、1日の休憩時間おおむね1時間以内の場合には、労働時間の項目における評価との重複を避けるため、この項目では評価しない
休日のない連続勤務
  •  休日のない少ない連続勤務については、連続労働日数連続労働日と発症との近接性休日の数実労働時間数労働密度(実作業時間と手待時間との割合等)、業務内容等の観点から検討し、評価する。
  •  その際、休日のない連続勤務が長く続くほど業務と発症との関連性をより強めるものであり、逆に、休日が十分確保されている場合は、疲労は回復ないし回復傾向を示すものであることを踏まえて適切に評価する。
勤務間インターバルが短い勤務
  •  勤務間インターバルが短い勤務については、その程度(時間数、頻度、連続性等)や業務内容等の観点から検討し、評価する。
  •  なお、長期間の過重業務の判断に当たっては、睡眠時間の確保の観点から、勤務間インターバルがおおむね11時間未満の勤務の有無時間数頻度連続性等について検討し、評価する。
不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務
  •  不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務については、予定された業務スケジュールの変更の頻度・程度・事前の通知状況予定された業務スケジュールの変更の予測の度合交替制勤務における予定された始業・終業時刻のばらつきの程度勤務のため夜間に十分な睡眠が取れない程(勤務の時間帯や深夜時間帯の勤務の頻度・連続性)、一勤務の長さ(引き続いて実施される連続勤務の長さ)、一勤務中の休憩の時間数及び回数休憩や仮眠施設の状況(広さ、空調、騒音等)、業務内容及びその変更の程度等の観点から検討し、評価する。


 

「事業場外における移動を伴う業務」

 

労働時間以外の負荷要因の「事業場外における移動を伴う業務」とは、次のものをいう。(令和3年9月14日基発0914第1号)

 

事業場外における移動を伴う業務 内容
出張の多い業務
  •  出張の多い業務については、出張特に時差のある海外出張の頻度出張が連続する程度出張期間交通手段移動時間及び移動時間中の状況移動距離出張先の多様性宿泊の有無宿泊施設の状況出張中における睡眠を含む休憩・休息の状況出張中の業務内容等の観点から検討し、併せて出張による疲労の回復状況等も踏まえて評価する。
  •  ここで、飛行による時差については、時差の程度(特に4時間以上の時差の程度)、時差を伴う移動の頻度移動の方向等の観点から検討し、評価する。
その他事業場外における移動を伴う業務
  •  その他事業場外における移動を伴う業務については、移動特に時差のある海外への移動の頻度交通手段移動時間及び移動時間中の状況移動距離移動先の多様性宿泊の有無宿泊施設の状況宿泊を伴う場合の睡眠を含む休憩・休息の状況業務内容等の観点から検討し、 併せて 移動による疲労の回復状況等も踏まえて評価する。

 

 

労働時間以外の負荷要因の「心理的負荷を伴う業務」とは、次のものをいう。(令和3年9月14日基発0914第1号)

 

心理的負荷を伴う業務 内容
心理的負荷を伴う業務
  •  心理的負荷を伴う業務については、日常的に心理的負荷を伴う業務又は心理的負荷を伴う具体的出来事等について、負荷の程度を評価する視点により検討し、評価する。

くの研究において、仕事の要求度が高く、コントロール(裁量性等)が低く、周囲からの支援が少ない場合など、心理的負荷(いわゆるストレス)の高い群は脳・心臓疾患のリスクが有意に高いことが認められています。裁判例においても、自分の生命が脅かされるような危険作業、極めて達成困難なノルマ、取引先からの重大なクレーム、上司からの執拗な精神的攻撃など、心理的負荷を伴う業務の過重性が評価されています。(令和3年10月27日基補発1027第1号)

心理的負荷を伴う業務についても負荷要因として検討評価されます。「検討評価の対象外とされているわけではありません。

 

労働時間以外の負荷要因の「身体的負荷を伴う業務」とは、次のものをいう。(令和3年9月14日基発0914第1号)

身体的負荷を伴う業務 内容
身体的負荷を伴う業務
  •  身体的負荷を伴う業務については、業務内容のうち重量物の運搬作業、人力での掘削作業などの身体的負荷が大きい作業の種類作業強度作業量作業時間歩行や立位を伴う状況等のほか、当該業務が日常業務と質的に著しく異なる場合にはその程度(事務職の労働者が激しい肉体労働を行うなど)の観点から検討し、評価する。

 

 

 

労働時間以外の負荷要因の「作業環境」とは、次のものをいう。(令和3年9月14日基発0914第1号)

作業環境 内容
作業環境
  •  長期間の過重業務の判断に当たっては、付加的評価する。
  •  温度環境については、寒冷暑熱の程度防寒防暑衣類の着用の状況一連続作業時間中の採暖冷却の状況寒冷と暑熱との交互のばく露の状況激しい温度差がある場所への出入りの頻度水分補給の状況等の観点から検討し、評価する。
  •  騒音については、おおむね80dBを超える騒音の程度そのばく露時間期間防音保護具の着用の状況等の観点から検討し、評価する。

100時間基準・80時間基準の水準には至らないがこれに近い時間外労働が認められる場合には、労働時間と労働時間以外の負荷要因の総合的な評価として 業務と発症との関連性が強いと評価できる場合があることが新たに明示されました。

労働時間以外の負荷要因が見直され勤務間インターバルが短い勤務や身体的負荷を伴う業務などが評価対象として追加されました

 
  • 短期間の過重業務」における「評価期間」は、次の通りとされている。(令和3年9月14日基発0914第1号)
評価期間
 発症に近接した時期とは、発症前おおむね1週間をいう。ここで、発症前おおむね1週間より前の業務については、原則として長期間の負荷として評価するが、発症前1箇月間より短い期間のみに過重な業務が集中し、それより前の業務の過重性が低いために、長期間の過重業務とは認められないような場合には、発症前1週間を含めた当該期間に就労した業務の過重性を評価し、それが特に過重な業務と認められるときは、短期間の過重業務に就労したものと判断する

発症前1箇月より短い期間のみに過重な業務が集中それより前の業務の過重性が低い場合の取扱いが新たに明示されました

例えば、発症前2週間以内といった発症前1箇月間より短い期間のみに過重な業務が集中した場合、それより前の業務の過重性が低いために、長期間の過重業務としては過重性が認められないことがあります。 このような場合には、発症前1週間を含めた当該期間に就労した業務の過重性を評価し、それが特に過重な業務と認められる場合には、「短期間の過重業務」に該当するとして取り扱います。 (令和3年10月27日基補発1027第1号)

特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量業務内容作業環境等を考慮し、同種労働者にとっても特に過重な身体的精神的負荷と認められる業務であるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断する。(令和3年9月14日基発0914第1号)

 

短期間の過重業務と発症との関連性を時間的にみた場合、業務による過重な負荷は発症に近ければ近いほど影響が強いと考えられることから、次に示す業務と発症との時間的関連を考慮して、特に過重な業務と認められるか否かを判断する。(令和3年9月14日基発0914第1号)

  1.  発症に最も密接な関連性を有する業務は、発症直前から前日までの間の業務であるので、まず、この間の業務が特に過重であるか否かを判断する。
  2.  発症直前から前日までの間の業務が特に過重であると認められない場合であっても、発症前おおむね1週間以内に過重な業務が継続している場合には、業務と発症との関連性があると考えられるので、この間の業務が特に過重であるか否かを判断する。

発症前おおむね1週間以内に過重な業務が継続している場合の継続とはこの期間中に過重な業務に就労した日が連続しているという趣旨であり必ずしもこの期間を通じて過重な業務に就労した日が間断なく続いている場合のみをいうものではありません。したがって、発症前おおむね1週間以内に就労しなかった日があったとしても、このことをもって、直ちに業務起因性を否定するものではありません。(令和3年9月14日基発0914第1号)

 

異常な出来事
 異常な出来事とは、当該出来事によって急激な血圧変動血管収縮等を引き起こすことが医学的にみて妥当と認められる出来事であり、具体的には次に掲げる出来事である。
  1.  極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす事態
  2.  急激で著しい身体的負荷を強いられる事態
  3.  急激で著しい作業環境の変化
  • 労働時間の長さは、業務量の大きさを示す指標であり、また、過重性の評価の最も重要な要因であるので、評価期間における労働時間については十分に考慮し、発症直前から前日までの間労働時間数発症前1週間の労働時間数休日の確保の状況等の観点から検討し、評価する。(令和3年9月14日基発0914第1号) 
  • 発症直前から前日までの間に特に過度の長時間労働が認められる場合、②発症前おおむね1週間継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合等(手待時間が長いなど特に労働密度が低い場合を除く)には、業務と発症との関係性が強いと評価できることを踏まえて判断する。(令和3年9月14日基発0914第1号)
  • 労働時間の長さのみで過重負荷の有無を判断できない場合には、労働時間労働時間以外の負荷要因総合的に考慮して判断する必要がある。(令和3年9月14日基発0914第1号)
  • 発症前おおむね1週間継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合」等が新たに例示されました。
  • 労働時間以外の負荷要因についても、長期間の過重業務において各負荷要因ごとに示した観点から検討し、評価する。ただし、長期間の過重業務における検討に当たっての観点として明示されている部分を除く。(令和3年9月14日基発0914第1号)
  • 短期間の過重業務の判断においては、作業環境について、付加的に考慮するのではなく、他の負荷要因と同様に十分検討する。(令和3年9月14日基発0914第1号)

異常な出来事」については、次の通りとされている。(令和3年9月14日基発0914第1号)

異常な出来事
 異常な出来事とは、当該出来事によって急激な血圧変動血管収縮等を引き起こすことが医学的にみて妥当と認められる出来事であり、具体的には次に掲げる出来事である。
  1.  極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす事態
  2.  急激で著しい身体的負荷を強いられる事態
  3.  急激で著しい作業環境の変化

 

  • 異常な出来事」における「評価期間」は次の通りとされている。(令和3年9月14日基発0914第1号)
評価期間
 異常な出来事と発症との関連性については、通常、負荷を受けてから24時間以内に症状が出現するとされているので、発症直前から前日までの間を評価期間とする。

 

  • 異常な出来事と認められるか否かについては、出来事の異常性突発性の程度予測の困難性事故や災害の場合にはその大きさ被害加害の程度緊張興奮恐怖驚がく等の「精神的負荷の程度作業強度等の「身体的負荷の程度気温の上昇又は低下等の「作業環境の変化の程度等について検討し、これらの出来事による身体的精神的負荷が著しいと認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断する。(令和3年9月14日基発0914第1号)
  • 次の場合、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断する。(令和3年9月14日基発0914第1号)
  1.  業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与した場合
  2.  事故の発生に伴って著しい身体的、精神的負荷のかかる救助活動や事故処理に携わった場合
  3.  生命の危険を感じさせるような事故や対人トラブルを体験した場合
  4.  著しい身体的負荷を伴う消火作業人力での除雪作業身体訓練走行等を行った場合
  5.  著しく暑熱な作業環境下で水分補給が阻害される状態著しく寒冷な作業環境下での作業温度差のある場所への頻回な出入りを行った場合

 

  • 基礎疾患を有する者」については、次の通りとされている。(令和3年9月14日基発0914第1号)
基礎疾患を有する者についての考え方
 器質的心疾患先天性心疾患弁膜症高血圧性心疾患心筋症心筋炎等を有する場合についても、その病態が安定しており、直ちに重篤な状態に至るとは考えられない場合であって、業務による明らかな過重負荷によって自然経過を超えて著しく重篤な状態に至ったと認められる場合には業務と発症との関連が認められるものである
 ここで、「著しく重篤な状態に至った」とは、対象疾病を発症したことをいう

 

  • 複数業務要因災害」については、次の通りとされている。(令和3年9月14日基発0914第1号)
複数業務要因災害
  1.  「長期間の過重業務」及び「短期間の過重業務」に関し、業務の過重性の検討に当たっては、異なる事業における労働時間を「通算して評価する。又、労働時間以外の負荷要因については、異なる事業における負荷合わせて評価する
  2.  「異常な出来事」に関し、これが認められる場合には、一の事業における業務災害に該当すると考えられることから、一般的には、異なる事業における負荷を合わせて評価することはないものと考えられる。

1つの勤務先の負荷を評価しても労災認定できない場合は全ての勤務先の負荷を総合的に評価して労災認定できるかどうかを判断します
なお業務による負荷は労働時間については通算し労働時間以外の負荷要因については負荷を総合的に評価し業務による明らかな過重負荷を受けたか否かを判断します

長期間の過重業務及び短期間の過重業務の判断については労働時間を通算して評価します。「長期間の過重業務における労働時間は通算し短期間の過重業務における労働時間の通算しないのではありません

心理的負荷による精神障害の認定基準(令和5年9月1日基発0901第2号)

 

精神障害等に関しては、平成11年に「心理的負荷による精神障害に係る業務上外の判断指針」が通達されていたが、平成23年からは「心理的負荷による精神障害の認定基準」が新たに定められた。(令和2年5月29日基発0529第1号)

精神障害・自殺事案については、2011(平成23)年に策定された「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に基づき労災認定を行ってきた。このたび、近年の社会情勢の変化や労災請求件数の増加等に鑑み、最新の医学的知見を踏まえて「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」において検討を行い、2023(令和5)年7月に報告書が取りまとめられたことを受け、認定基準の改正を行った。(令和5年9月1日基発0901第2号)

心理的負荷パワーハラスメントが追加されました。令和2年6月以後から適用されています。(令和2年5月29日基発0529第1号)

心理的負荷カスタマーハラスメント」「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務への従事が追加されました。令和5年9月以後から適用されています。(令和5年9月1日基発0901第2号)

 

次の1.から3.いずれの要件も満たす対象疾病は、労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する業務上の疾病として取り扱う。
(令和5年9月1日基発0901第2号)
 

認定要件
  1.  対象疾病を発病していること。 
  2.  対象疾病の発病前おおむね6箇月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。
  3.  業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。

 いわゆる心身症アトピー性皮膚炎偏頭痛気管支ぜんそくなどストレスが蓄積されたために疾患があらわれた病態この認定基準における精神障害には含まれません。(令和5年9月1日基発0901第2号)

  • 業務に関連して発病する可能性のある精神障害の代表的なものにはうつ病や急性ストレス反応があります

要件を満たす対象疾病に併発した疾病については、対象疾病に付随する疾病として認められるか否かを個別に判断し、これが認められる場合には当該対象疾病と一体のものとして、労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する業務上の疾病として取り扱うこととされている。(令和5年9月1日基発0901第2号)

 

補足
 「対象疾病」とは、国際疾病分類ICD-10の「精神障害および行動の障害」に分類される精神障害であって、器質性のもの(=脳外傷や脳梗塞などのように、直接脳そのものを障害するもの)及び有害物質に起因するもの(=アルコールや薬物によるもの)を除くものをいう。(令和5年9月1日基発0901第2号)

 ※ 精神障害についての国際的な疾患分類には、世界保健機関WHOによるICD-10アメリカ精神医学会によるDSM-5などがある。

 

対象疾病の発病に至る原因の考え方は、環境由来の心理的負荷ストレス)と、個体側の反応性脆弱性との関係で精神的破綻が生じるかどうかが決まり、心理的負荷が非常に強ければ、個体側の脆弱性が小さくても精神的破綻が起こるし、逆に脆弱性が大きければ、心理的負荷が小さくても破綻が生ずるとする「ストレス脆弱性理論」に依拠している。(令和5年9月1日基発0901第2号)

心理的負荷による精神障害の業務起因性を判断する要件としては、対象疾病の発病の有無、発病の時期及び疾患名について明確な医学的判断があることに加え、当該対象疾病発病の前おおむね6箇月の間に業務による強い心理的負荷」が認められることがある。(令和5年9月1日基発0901第2号)

対象疾病の発病前おおむね6箇月の間に業務による強い心理的負荷が認められること」とは、対象疾病の発病前おおむね6箇月の間業務による出来事があり、当該出来事及びその後の状況による心理的負荷が、客観的に対象疾病を発病させるおそれのある強い心理的負荷」であると認められることをいいます。(令和5年9月1日基発0901第2号)

精神障害を発病した労働者が、その出来事及び出来事後の状況を主観的にどう受け止めたかによって評価するのではなく、同じ事態に遭遇した場合、同種の労働者が一般的にその出来事及び出来事後の状況をどう受け止めるかという観点から評価する。この「同種の労働者」は、精神障害を発病した労働者と職種職場における立場や職責年齢経験等が類似する者をいう。(令和5年9月1日基発0901第2号)

強い心理的負荷、「同種の労働者が一般的にどう受け止めるかという観点から評価されます発病した労働者が主観的にどう受け止めたかではありません

業務による心理的負荷の強度の判断に当たっては、別表1業務による心理的負荷評価表」を指標として、出来事による心理的負荷の強度を、「」、「」、「」の3段階に区分する。(令和5年9月1日基発0901第2号)

総合評価が「」と判断される場合には、認定要件を満たすものとされます。(令和5年9月1日基発0901第2号)

 

  • 特別な出来事の評価発病前おおむね6箇月の間に、別表1の「特別な出来事に該当する業務による出来事が認められた場合には、心理的負荷の総合評価を「」と判断する。(令和5年9月1日基発0901第2号)
  •  「特別な出来事以外の出来事については、当該出来事を別表1の「具体的出来事」のいずれに該当するかを判断し、合致しない場合にも近い「具体的出来事」に当てはめ、総合評価を行う。(令和5年9月1日基発0901第2号)

別表1には、具体例が示されていますが、事実関係が具体例に合致しない場合には、「心理的負荷の総合評価の視点」及び「総合評価の留意事項」に基づき、具体例も参考としつつ個々の事案ごとに評価することになります。なお、具体例はあくまでも例示であるので具体例のの欄で示したもの以外はと判断しないというものではありません。(令和5年9月1日基発0901第2号)

具体的な判断方法はまず出来事の強度を判断しその後、「業務以外の心理的負荷及び個体側要因の判断を行います

 

  • 対象疾病の発病に関与する業務による出来事が複数ある場合には、次のように業務による心理的負荷の全体を総合的に評価する。(令和5年9月1日基発0901第2号)
出来事が「複数」ある場合
  1. それぞれの具体的出来事について総合評価を行い、いずれかの具体的出来事によっての判断が可能な場合は、業務による心理的負荷を「」と判断する。
  2.  いずれの出来事でも単独ではと評価できない場合には、それらの複数の出来事について、関連して生じているのか、関連なく生じているのかを判断した上で、次により心理的負荷の全体を総合的に判断する。
    (ア)出来事が関連して生じている場合には、その全体を一つの出来事として評価することとし、原則として最初の出来事を具体的出来事として別表1に当てはめ関連して生じた各出来事は出来事後の状況とみなす方法により、その全体について総合的な評価を行う。
    (イ)ある出来事に関連せずに他の出来事が生じている場合であって、単独の出来事の評価が「」と評価する出来事が複数生じているときには、それらの出来事が生じた時期の近接の程度各出来事と発病との時間的な近接の程度各出来事の継続期間各出来事の内容出来事の数等によって、総合的な評価が「強」となる場合もあり得ることを踏まえつつ、事案に応じて心理的負荷の全体を評価する。この場合、全体の総合的な評価は、「」又は「」となる。
    (ウ)当該評価に当たり、それぞれの出来事が時間的に近接重複して生じている場合には、「強」の水準に至るか否かは事案によるとしても、全体の総合的な評価はそれぞれの出来事の評価よりも強くなると考えられる。一方、それぞれの出来事が完結して落ち着いた状況となった後に次の出来事が生じているときには、原則として、全体の総合的な評価はそれぞれの出来事の評価と同一になると考えられる。
    (エ)単独の出来事の心理的負荷が「」である出来事が一つあるほかには「」の出来事しかない場合には原則として全体の総合的な評価も「」である。
    (オ)「の出来事が複数生じている場合には原則として全体の総合的な評価も」となる。

 

  • 心理的負荷の総合評価をとする特別な出来事」は、次の通りとされている。(令和5年9月1日基発0901第2号)
心理的負荷の総合評価を「強」とする「特別な出来事」
 発病前おおむね6箇月の間に、「特別な出来事」に該当する業務による出来事が認められた場合には、心理的負荷の総合評価を「」と判断する。
心理的負荷が極度のもの
  •  生死にかかわる極度の苦痛を伴う又は永久労働不能となる後遺障害を残す業務上の病気やケガをした(業務上の傷病により6箇月を超えて療養中に症状が急変し極度の苦痛を伴った場合を含む)
  •  業務に関連し、他人を死亡させ又は生死にかかわる重大なケガを負わせた(故意によるものを除く)
  •  強姦や、本人の意思を抑圧して行われたわいせつ行為などのセクシュアルハラスメントを受けた
極度の長時間労働
  •  発病直前の1箇月におおむね160時間を超えるような、又はこれに満たない期間にこれと同程度の(例えば3週間におおむね120時間以上の)時間外労働を行った場合

極度の長時間労働としてと判断されるのは発症直前の1箇月におおむね160時間を超える時間外労働を行った場合です

 

  • 特別な出来事に該当する出来事がない場合は、次の通りとされている。(令和5年9月1日基発0901第2号)
【仕事の量・質】
  •  発病直前の連続した2箇月間に、1箇月当たりおおむね120時間以上時間外労働を行った場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  発病直前の連続した3箇月間に、1箇月当たりおおむね100時間以上時間外労働を行った場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  1箇月に80時間以上の時間外労働を行った場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  新興感染症の感染の危険性が高い業務等に急遽従事することとなり、防護対策も試行錯誤しながら実施する中で、施設内における感染等の被害拡大も生じ、死の恐怖等を感じつつ業務を継続した場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。

 

パワーハラスメント
  •  司等から、治療を要する程度の暴行等の身体的攻撃を受けた場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  上司等から、暴行等の身体的攻撃を反復・継続するなどして執拗に受けた場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  上司等による次のような精神的攻撃等を反復・継続するなどして執拗に受けた場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
    1. 人格や人間性を否定するような、業務上明らかに必要性がない又は業務の目的を大きく逸脱した精神的攻撃
    2. 必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責など、態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える精神的攻撃
    3. 無視等の人間関係からの切り離し
    4. 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制する等の過大な要求
    5. 業務上の合理性なく仕事を与えない等の過小な要求
    6. 私的なことに過度に立ち入る個の侵害
  •  心理的負荷としては程度の身体的攻撃精神的攻撃等を受けた場合であって、会社に相談しても又は会社がパワーハラスメントがあると把握していても適切な対応がなく改善がなされなかった場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。

パワーハラスメントにおける「上司等」には、職務上の地位が上位の者のほか、①同僚又は部下であっても、業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、その者の協力が得られなければ業務の円滑な遂行を行うことが困難な場合、②同僚又は部下からの集団による行為でこれに抵抗又は拒絶することが困難である場合を含みます。(令和5年9月1日基発0901第2号)

反復・継続するなどして執拗に受けた

 「執拗」と評価される事案について、一般的にはある行動が何度も繰り返されている状況にある場合が多いですが、たとえ一度の言動であっても、これが比較的長時間に及ぶものであって、行為態様も強烈で悪質性を有する等の状況がみられるときにも「執拗」と評価すべき場合があるとの趣旨です。(令和5年9月1日基発0901第2号)

性的指向(どのような性の人を好きになるのか)・性自認(自分の性別をどう認識しているか)」に関する精神的攻撃(いわゆるSOGI(そじ)ハラ)等も含まれます。(令和5年9月1日基発0901第2号)

 

【対人関係】
  •  2021改正同僚等から、治療を要する程度の暴行等を受けた場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  2021改正同僚等から、暴行等を反復・継続するなどして執拗に受けた場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  2021改正同僚等から、人格や人間性を否定するような言動を反復・継続するなどして執拗に受けた場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  2021改正心理的負荷としては程度の暴行又はいじめ・嫌がらせを受けた場合であって、会社に相談しても又は会社が暴行若しくはいじめ・嫌がらせがあると把握していても適切な対応がなく、改善がなされなかった場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  2024改正顧客等から、治療を要する程度の暴行等を受けた場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  2024改正顧客等から、暴行等を反復・継続するなどして執拗に受けた場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  2024改正顧客等から、人格や人間性を否定するような言動を反復・継続するなどして執拗に受けた場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  2024改正顧客等から、威圧的な言動などその態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える著しい迷惑行為反復・継続するなどして執拗に受けた場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  2024改正心理的負荷としては程度の迷惑行為を受けた場合であって、会社に相談しても又は会社が迷惑行為を把握していても適切な対応がなく改善がなされなかった場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。

「性的指向・性自認」に関するいじめ等も含まれます。(令和5年9月1日基発0901第2号)

しい迷惑行為とは、暴行、脅迫、ひどい暴言、著しく不当な要求等をいいます。(令和5年9月1日基発0901第2号)

 

【セクシュアルハラスメント】
  •  胸や腰等への身体接触を含むセクシュアルハラスメントであって継続して行われた場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  胸や腰等への身体接触を含むセクシュアルハラスメントであって、行為は継続していないが、会社に相談しても適切な対応がなく改善されなかった又は会社への相談等の後に職場の人間関係が悪化した場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  身体接触のない性的な発言のみのセクシュアルハラスメントであって、発言の中に人格を否定するようなものを含み、かつ継続してなされた場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  •  身体接触のない性的な発言のみのセクシュアルハラスメントであって、性的な発言が継続してなされ、かつ会社がセクシュアルハラスメントがあると把握していても適切な対応がなく改善がなされなかった場合には、心理的負荷の総合評価は「」と判断される。
  • ハラスメントやいじめのように出来事が繰り返されるものについては、繰り返される出来事を一体のものとして評価することとなるので、発病の6箇月よりも前にそれが開始されている場合でも、発病前おおむね6箇月の期間にも継続しているときは、開始時からのすべての行為を評価の対象とする。(令和5年9月1日基発0901第2号)
  •  出来事の起点が発病の6箇月より前であっても、その出来事(出来事後の状況)が継続している場合にあっては、発病前「おおむね6箇月の間」における状況や対応について評価の対象とする。(令和5年9月1日基発0901第2号)
  • 例えば、業務上の傷病により長期療養中の場合、その傷病の発生は発病の6箇月より前であっても、当該傷病により発病前おおむね6箇月の間に生じている強い苦痛や社会復帰が困難な状況等を出来事として評価されます。
  • 業務によりICD-10のF0からF4に分類される精神障害を発病したと認められる者が自殺を図った場合には、精神障害によって正常の認識行為選択能力が著しく阻害されあるいは自殺行為を思いとどまる精神的抑制力が著しく阻害されている状態に陥ったものと推定し、業務起因性を認める。(令和5年9月1日基発0901第2号)
  • セクシュアルハラスメントの被害者は、勤務を継続したいとか、セクシュアルハラスメントを行った行為者からのセクシュアルハラスメントの被害をできるだけ軽くしたいとの心理などから、やむを得ず行為者に迎合するようなメール等を送ることや、行為者の誘いを受け入れることがあるが、これらの事実はセクシュアルハラスメントを受けたことを単純に否定する理由にはならない。(令和5年9月1日基発0901第2号)
  • セクシュアルハラスメントの被害者は、被害を受けてからすぐに相談行動をとらないことがあるが、この事実は心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にならない。(令和5年9月1日基発0901第2号)
  •  セクシュアルハラスメントの被害者は、医療機関でもセクシュアルハラスメントを受けたということをすぐに話せないこともあるが、初診時にセクシュアルハラスメントの事実を申し立てていないことは心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にならない。(令和5年9月1日基発0901第2号)
  •  セクシュアルハラスメントの行為者が上司であり被害者が部下である場合や行為者が正規雇用労働者であり被害者が非正規雇用労働者である場合等のように行為者が雇用関係上被害者に対して優越的な立場にある事実は心理的負荷を強める要素となり得る。(令和5年9月1日基発0901第2号)
  • 別表1の特別な出来事があり、その後おおむね6箇月以内に対象疾病が自然経過を超えて著しく悪化したと医学的に認められる場合には、当該特別な出来事による心理的負荷が悪化の原因であると推認し、悪化した部分について業務起因性を認める。(令和5年9月1日基発0901第2号)
  • 精神障害が悪化した場合は悪化する前に業務による心理的負荷があっても直ちにそれが悪化の原因であるとは判断できませんが、「特別な出来事がありその後おおむね6箇月以内に精神障害が自然経過を超えて著しく悪化したと医学的に認められるときにはその特別な出来事による心理的負荷が悪化の原因と推認し悪化した部分については労災補償の対象となります
  • 特別な出来事がなくとも、悪化の前に業務による強い心理的負荷が認められる場合には、当該業務による強い心理的負荷、本人の個体側要因(悪化前の精神障害の状況)と業務以外の心理的負荷、悪化の態様やこれに至る経緯(悪化後の症状やその程度、出来事と悪化との近接性、発病から悪化までの期間など)等を十分に検討し、業務による強い心理的負荷によって精神障害が自然経過を超えて著しく悪化したものと精神医学的に判断されるときには、悪化した部分について業務起因性を認める。(令和5年9月1日基発0901第2号)
  • これまでは悪化前おおむね6箇月以内に特別な出来事がなければ業務起因性を認めていませんでしたが悪化前おおむね6箇月以内に特別な出来事がない場合でも、「業務による強い心理的負荷により悪化したときには悪化した部分について業務起因性を認めることになりました
  • 既存の精神障害について、一定期間、通院・服薬を継続しているものの、症状がなく又は安定していた状態で、通常の勤務を行っている状況にあって、その後、症状の変化が生じたものについては、精神障害の発病後の悪化としてではなく、症状が改善し安定した状態が一定期間継続した後の「新たな発病」として、認定要件に照らして判断すべきものがある。(令和5年9月1日基発0901第2号)

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