年少者の労働契約

年少者、特に中学生以下の児童を雇用する場合には、労働基準法によって厳しい制限が設けられています。

基本となる考え方は、**「中学校を卒業するまでは原則として働かせることができない」**というものです。ただし、児童の健康や学業に支障がない一定の仕事については、所轄労働基準監督署長の許可を受けることで例外的に働かせることができます。

 

 

区分 原則・条件 雇用できる仕事 必要な手続・注意点
中学校卒業までの児童 原則として使用禁止 原則として雇用できない 「満15歳に達した日以後の最初の3月31日」が終了するまでが対象
満13歳以上の児童 一定の条件を満たせば例外的に使用可能 非工業的業種・農林水産業のうち、健康・福祉に有害でなく、軽易な仕事 所轄労働基準監督署長の許可が必要。修学時間外に限る
満13歳未満の児童 さらに限定された範囲で例外的に使用可能 映画の製作・演劇の事業 所轄労働基準監督署長の許可が必要。修学時間外に限る
児童を使用する場合の書類 必要書類を事業場に備え付ける ― 年齢証明書、学校長の証明書、親権者・後見人の同意書が必要
雇用時の確認事項 本人・保護者の希望だけでは雇用できない ― 年齢、業種、仕事内容、修学時間、労働時間、必要な許可・書類を事前に確認する

目次

  1. 最低年齢の原則と例外
  2. 満13歳以上の児童の場合
    1. 非工業的業種
  3. 満13歳未満の場合
  4. 年少者の証明書
  5. 年少者の帰郷旅費
  6. 未成年者の賃金請求権

 

 

最低年齢の原則と例外

 

労働基準法56条では、使用者は、原則として**「児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで」**、その児童を使用してはならないと定めています。

簡単にいえば、中学校を卒業するまでは原則として労働者として働かせることができません。

したがって、基本的には次のように考えることができます。

  • 小学生:原則として働かせることはできない
  • 中学生:原則として働かせることはできない
  • 中学校卒業後:最低年齢に関する禁止の対象外

もっとも、この原則には例外があります。

満13歳以上の児童については、非工業的業種や農林水産業に係る職業のうち、児童の健康・福祉に有害ではなく、労働が軽易なものであれば、所轄労働基準監督署長の許可を受け、修学時間外に限って働かせることができます。

また、映画の製作または演劇の事業については、満13歳未満の児童についても同様の例外が認められています。(労働基準法56条、年少者労働基準規則1条)

 

例外的に児童を使用するための主な条件

満13歳以上の児童を例外的に使用する場合には、原則として次の条件を満たす必要があります。

  1. 満13歳以上であること
  2. 非工業的業種または農林水産業に係る職業であること
  3. 児童の健康・福祉に有害な仕事ではないこと
  4. 労働が軽易であること
  5. 所轄労働基準監督署長の許可を受けること
  6. 修学時間外に働かせること

なお、映画の製作または演劇の事業については、満13歳未満でも例外の対象となります。

① 原則(基本ルール)

中学生までは働かせてはいけない

  • 「満15歳に達した日以後の最初の3月31日まで」
     =簡単にいうと
    中学校を卒業するまではNG

つまり、

  • 小学生 → ❌
  • 中学生 → ❌
  • 高校生以上 → OK(原則)

 


 

② 例外(特別にOKなケース)

ただし、条件を満たせば働かせることができます。

■ 条件

すべて満たす必要があります:

  1. 13歳以上であること
  2. 学校がある時間以外(放課後など)
  3. 軽い仕事であること
  4. 健康・福祉に悪影響がないこと
  5. 労働基準監督署の許可を取ること
  6. 工場など危険な業種ではないこと(非工業・農林水産など)

これを満たせば
中学生でもアルバイト可能(ただしかなり限定的)

 


 

③ さらに特別な例(芸能関係)

映画・演劇などは例外がもっと広い

  • 13歳未満でもOK(子役など)
  • ただし、やはり
    • 許可が必要
    • 健康や学業への配慮が必要

 

④ まとめ(超シンプル)

  • 原則:
    中学生までは働けない
  • 例外:
    13歳以上なら、軽い仕事+許可があればOK
  • 特例:
    子役などは13歳未満でもOK(許可必要)

 

⑤ イメージで理解

  • 普通のバイト
    → 高校生から
  • 中学生バイト
    → 許可+軽作業ならOK
  • 子役・モデル
    → 小学生でもOK(許可あり)

満13歳以上の児童の場合

 

満13歳以上の児童については

  1. 非工業的業種及び農林水産業に係る職業で
  2. 児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては
  3. 所轄労働基準監督署長の許可を受けて
  4. その者の修学時間外に使用することができる。(法56条2項、年少則1条)

 

「非工業的業種など」の例

  •  映画の製作または演劇の事業
  •  接客業(一定の安全、衛生または福祉に有害な業務を除く)
  •  新聞配達
  •  小売店
  •  児童福祉施設
  •  農業

 

「修学時間」とは

ここでいう「修学時間」とは、単純に児童が学校に滞在している時間全体を意味するものではありません。

行政通達では、授業開始時刻からその日の最終授業終了時刻までの時間から、休憩時間(昼食時間を含む)を除いた時間とされています。(昭和63年3月14日基発150号)

また、児童については労働時間にも特別な制限があり、修学時間と労働時間を通算して1週間40時間、1日7時間を超えてはならないことにも注意が必要です。

非工業的業種

 

「非工業的業種であれば、中学生でも許可を取れば働かせることができる」というわけではありません。

非工業的業種であっても、児童の安全、衛生または福祉の観点から、児童使用の許可が認められない業務があります。

例えば、次のような業務です。

  • 公衆の娯楽を目的として曲馬または軽業を行う業務
  • 戸々や道路などで歌謡、遊芸その他の演技を行う業務
  • 旅館、料理店、飲食店または娯楽場における業務
  • エレベーターの運転業務
  • その他、厚生労働大臣が定める業務

(年少者労働基準規則9条)

特に注意したいのが、旅館、料理店、飲食店または娯楽場における業務です。

これらについては、酒席につく業務であるかどうかにかかわらず、児童使用の許可の対象とはなりません。

したがって、例えば「中学生を飲食店の簡単な仕事でアルバイトさせたい」という場合でも、単に仕事が軽易だから許可されるというものではありません。

満13歳未満の場合

 

満13歳未満になると、働かせることのできる範囲はさらに限定されます。

満13歳未満の児童について例外が認められるのは、映画の製作または演劇の事業です。

その場合でも、

  • 児童の健康・福祉に有害ではないこと
  • 労働が軽易であること
  • 所轄労働基準監督署長の許可を受けること
  • 修学時間外に使用すること

という条件を満たす必要があります。

(労働基準法56条2項、年少者労働基準規則1条)

つまり、最低年齢に関するルールは次のように整理できます。

中学校卒業まで
→ 原則として使用禁止

満13歳以上
→ 非工業的業種・農林水産業の一定の軽易な仕事について、許可を受ければ例外的に使用可能

満13歳未満
→ 映画の製作・演劇の事業について、許可を受ければ例外的に使用可能

年少者について備え付ける証明書

 

満18歳未満の年少者を使用する場合、使用者には、その年齢などを確認するための書類を事業場に備え付ける義務があります。

 

児童以外の年少者

児童に該当しない満18歳未満の者については、年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けます。

 

児童

最低年齢の例外によって児童を使用する場合には、次の3種類の書類が必要です。

  1. 年齢を証明する戸籍証明書
  2. 修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書
  3. 親権者または後見人の同意書

(労働基準法57条1項・2項)

したがって、児童を雇用するときは、労働基準監督署長の許可だけでなく、学校および親権者等との関係でも必要な書類を整えておく必要があります。

年少者の帰郷旅費

 

満18歳未満の年少者については、解雇された場合にも特別な保護があります。

年少者が解雇の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は原則として、そのために必要となる旅費を負担しなければなりません。

(労働基準法64条)

ただし、年少者本人の責めに帰すべき事由によって解雇され、使用者がその事由について所轄労働基準監督署長の認定を受けた場合には、この限りではありません。

未成年者の賃金請求権

 

未成年者であっても、働いて得た賃金については、本人が独立して請求することができます。

親権者や後見人が本人に代わって賃金を受け取ることは認められていません。

(労働基準法59条)

つまり、「未成年だから給料は保護者に支払えばよい」という扱いはできません。賃金は、労働者である未成年者本人に対して支払うことが原則です。

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