特定機械等に関する規制

ボイラーやクレーンなど、使用方法を誤った場合に重大な労働災害につながる危険性の高い機械については、労働安全衛生法により、製造段階から厳しい規制が設けられています。

このうち、特に危険な作業を必要とするものとして指定された機械を**「特定機械等」**といい、

  • 製造の許可
  • 製造時等検査
  • 設置時の検査
  • 性能検査

などの対象となります。

 

ポイント

項目 内容
特定機械等 危険性が高いものとして指定された8種類
製造許可 原則として製造前に必要
許可する者 都道府県労働局長
2026年改正 設計審査を登録民間機関が行うことが可能に
製造時等検査 ボイラー・第一種圧力容器・移動式クレーン・ゴンドラ
設置時等の検査 移動式でない特定機械等について実施

 

最重要ポイント

2026年4月1日から民間機関が「設計審査」を行えるようになりましたが、「製造許可」まで民間化されたわけではありません。

設計審査
→ 登録設計審査等機関が実施可能

製造許可
→ 都道府県労働局長

この違いを押さえておくことが重要です。

目 次

  1. 特定機械等
  2. 製造の許可
  3. 令和8年4月1日の制度改正
  4. 製造時等検査

特定機械等

 

「特定機械等」とは、

特に危険な作業を必要とする機械等として労働安全衛生法別表第1に掲げられ、政令で定められたもの

をいいます。(法37条1項、令12条)

なお、本邦の地域内で使用されないことが明らかなものは除かれます。

 

 

特定機械等の8種類(令12条)

  特定機械等 主な基準
① ボイラー 小型ボイラー等を除く
② 第一種圧力容器 小型圧力容器等を除く
③ クレーン つり上げ荷重3トン以上(スタッカー式は1トン以上)
④ 移動式クレーン つり上げ荷重3トン以上
⑤ デリック つり上げ荷重2トン以上
⑥ エレベーター 積載荷重1トン以上(簡易リフト・建設用リフトを除く)
⑦ 建設用リフト ガイドレールの高さ18m以上(積載荷重0.25トン未満を除く)
⑧ ゴンドラ ゴンドラ

 

覚え方

大きく分けると、

圧力を扱う機械
→ ボイラー・第一種圧力容器

荷をつり上げる機械
→ クレーン・移動式クレーン・デリック

人や荷を昇降させる設備
→ エレベーター・建設用リフト・ゴンドラ

という3グループに整理すると分かりやすくなります。


 

製造の許可

 

特定機械等を製造しようとする者は、原則として、製造する前に都道府県労働局長の許可を受けなければなりません。(法37条1項)

製造してから届出をする制度ではなく、「あらかじめ許可」が必要

という点が重要です。

都道府県労働局長は、申請された特定機械等の構造等が厚生労働大臣の定める基準に適合しているかを確認したうえで、製造許可を行います。(法37条2項)


同一型式の場合

すでに製造許可を受けている特定機械等と型式が同一のものを製造する場合には、各安全規則の定めにより、原則として改めて製造許可を受ける必要はありません。

例えば、すでに製造許可を受けたクレーンと同じ型式のクレーンを再び製造する場合には、同じ製造許可を一台ごとに取り直すという仕組みではありません。


 

令和8年4月1日の制度改正

 

2026年(令和8年)4月1日から、特定機械等の製造許可・製造時等検査の仕組みが一部変更されました。

大きな変更点は、民間の登録機関が行うことのできる業務が拡大されたことです。


① 製造許可の「設計審査」を民間機関が実施可能に

製造許可申請では、特定機械等の設計が、構造に関する基準に適合しているかを確認する「設計審査」が行われます。

2026年4月1日から、この設計審査について、

厚生労働大臣の登録を受けた「登録設計審査等機関」

が行うことができるようになりました。(法37条3項)

 

重要

ただし、

製造許可そのものを民間機関が行うようになったわけではありません。

民間機関が行うのは、製造許可申請のうちの「設計審査」です。

最終的な製造許可は、引き続き都道府県労働局長が行います。

 

 

基本的な流れ

登録設計審査等機関による設計審査
↓
設計審査結果を添付して申請
↓
都道府県労働局長が審査
↓
製造許可

※一定の場合には、都道府県労働局長自身が設計審査を行うこともあります。


② 製造時等検査の民間実施範囲を拡大

2026年4月1日からは、移動式クレーン及びゴンドラについても、登録を受けた民間機関が製造時等検査を行うことができるようになりました。

また、

  • 製造時等検査
  • 性能検査
  • 個別検定
  • 型式検定

について検査・検定の基準が定められ、登録機関はこれらの基準に従って業務を行うこととされました。


 

製造時等検査

特定機械等のうち、次の4種類については、製造・輸入などの際に製造時等検査を受けなければなりません。(法38条1項)

製造時等検査の対象
ボイラー
第一種圧力容器
移動式クレーン
ゴンドラ

つまり、

特定機械等8種類すべてについて「製造時等検査」が行われるわけではありません。

法38条1項の製造時等検査の対象となるのは、別表第1の第1号・第2号・第4号・第8号に該当する上記4種類です。


設置時などの検査

また、移動式でない特定機械等について、

  • 新たに設置した場合
  • 法令で定める部分を変更した場合
  • 使用を休止したものを再使用する場合

には、所定の検査を受けなければなりません。(法38条3項)

この検査は、原則として労働基準監督署長が行います。


制度全体のイメージ

 

製造前

設計審査
↓
都道府県労働局長の製造許可

 

 

製造・輸入等

対象となる特定機械等
↓
製造時等検査

 

 

設置・使用

設置時等の検査
↓検査証
使用開始

 

 

使用開始後

一定期間ごとに
性能検査等

 

このように、特定機械等については、

「製造すれば終わり」ではなく、製造 → 設置 → 使用 → 継続使用の各段階で安全性を確認する仕組み

となっています。


 

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