特定機械等以外の機械等に関する規制

労働安全衛生法では、特定機械等に該当しない機械や保護具についても、一定のものには構造規格や安全装置に関する規制を設けています。また、使用中の機械等については、定期自主検査や、その一部である特定自主検査が必要になる場合があります。

「構造規格等を備える義務」と「使用中の機械等を検査する義務」は、対象や内容が異なる制度です。 それぞれの規定を分けて確認することが大切です。〔労働安全衛生法第42条・第45条〕

 

※以下、労働安全衛生法を「法」、同法施行令を「令」、労働安全衛生規則を「則」と表記します。本文は2026年9月時点の規定を基本とし、今後施行される改正については末尾で説明します。

目 次

  1. 構造規格等の具備を要する機械等の譲渡制限等
  2. 定期自主検査
  3. 定期自主検査の対象
  4. 定期自主検査と特定自主検査の違い
  5. フォークリフト・動力プレスの検査
  6. 法改正に関する留意点

構造規格等の具備を要する機械等の譲渡制限等

 

規格や安全装置を備えていない機械等は、譲渡・貸与・設置が禁止されます

特定機械等以外の機械等のうち、法令で定めるものは、厚生労働大臣が定める規格または安全装置を備えていなければ、譲渡し、貸与し、または設置してはなりません。〔法第42条〕

対象となるのは、危険・有害な作業に用いる機械等、危険な場所で使用する機械等、危険や健康障害を防ぐために使用する機械・保護具等です。大型の機械だけでなく、防じんマスクや保護帽なども含まれます。

 

主な対象機械・保護具等

法別表第2に掲げられている機械等を、種類別に整理すると次のとおりです。

区分 対象となる機械・保護具等
加工機械等 ゴム・ゴム化合物・合成樹脂を練るロール機およびその急停止装置、動力により駆動されるプレス機械、木材加工用丸のこ盤およびその反発予防装置または歯の接触予防装置
安全装置 プレス機械またはシャーの安全装置、クレーンまたは移動式クレーンの過負荷防止装置
ボイラー・圧力容器 第二種圧力容器、小型ボイラー、小型圧力容器
電気関係の機械・保護具 防爆構造電気機械器具、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置、絶縁用保護具、絶縁用防具
呼吸用保護具 防じんマスク、防毒マスク、電動ファン付き呼吸用保護具
頭部の保護具 保護帽

このほか、令第13条では、墜落制止用器具、フォークリフト、一定の車両系建設機械、不整地運搬車、作業床の高さが2メートル以上の高所作業車なども対象としています。研削盤・研削といし・研削といしの覆い、手押しかんな盤およびその刃の接触予防装置なども含まれます。

ただし、機械や保護具の名称が同じであれば、すべて一律に対象になるわけではありません。用途、電圧、構造、規模などによる限定や適用除外があるため、実際の製品が法令上の対象範囲に入るかを確認する必要があります。

なお、高所作業車の「作業床の高さ」は、作業床を最も高く上昇させた場合の床面の高さを指します。作業時に低い位置で使用しているかどうかによって、対象から外れるわけではありません。

個別検定・型式検定が必要なものもあります

対象機械等の一部については、構造規格等への適合に加え、製造・輸入時に個別検定または型式検定を受ける必要があります。

例えば、第二種圧力容器や小型ボイラーなどは個別検定、防爆構造電気機械器具や一定の防じんマスクなどは型式検定の対象です。構造規格等の対象、検定の対象、後述する自主検査の対象は、それぞれ別に確認する必要があります。〔法第44条・第44条の2、令第14条・第14条の2〕

定期自主検査

 

検査の実施と結果の記録が義務付けられています

事業者は、ボイラーその他の機械等のうち、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定める方法により、定期的に自主検査を行い、その結果を記録しておかなければなりません。〔法第45条第1項〕

「自主検査」という名称ですが、事業者の判断で実施するかどうかを選べるものではなく、法令に基づく義務です。

 

特定機械等も対象に含まれます

法第42条の規格等に関する規制は、「特定機械等以外」の機械等を対象としています。一方、法第45条の定期自主検査は、特定機械等と、それ以外の一定の機械等の両方を対象としています。

したがって、「このページで扱うのは特定機械等以外だから、自主検査も特定機械等以外に限られる」ということではありません。〔法第42条・第45条、令第15条第1項〕

定期自主検査の対象

 

定期自主検査の対象は、令第15条第1項に定められています。主なものは次のとおりです。

区分 主な対象機械・設備
特定機械等 法令上の対象となるボイラー、第一種圧力容器、クレーン、移動式クレーン、デリック、エレベーター、建設用リフト、ゴンドラ
その他のボイラー・圧力容器等 第二種圧力容器、小型ボイラー、小型圧力容器
荷役・運搬・建設機械等 フォークリフト、一定の車両系建設機械、ショベルローダー、フォークローダー、不整地運搬車、作業床の高さが2メートル以上の高所作業車など
加工機械等 動力により駆動されるプレス機械、シャー、遠心機械
化学設備・乾燥設備等 化学設備〔配管を除く〕およびその附属設備、乾燥設備およびその附属設備、特定化学設備およびその附属設備
溶接装置 アセチレン溶接装置、ガス集合溶接装置〔配管のうち地下に埋設された部分を除く〕
換気・有害物処理設備等 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置、排液処理装置のうち、厚生労働省令で定めるもの

 

上表は主な対象を整理したもので、すべてを列挙したものではありません。また、局所排気装置などについても、すべての設備が一律に対象となるのではなく、法令で定められた範囲のものが対象となります。〔令第15条第1項〕

定期自主検査と特定自主検査の違い

 

特定自主検査は、定期自主検査の一部です

特定自主検査とは、定期自主検査のうち、一定の機械について、法令で資格等を定めた者が実施する検査です。

定期自主検査とは別に、同じ内容の検査をもう一度行う制度ではありません。対象機械の所定の定期自主検査を、特定自主検査として実施します。〔法第45条第2項〕

 

対象となる機械

特定自主検査の対象は、動力プレス、フォークリフト、一定の車両系建設機械、不整地運搬車、作業床の高さが2メートル以上の高所作業車です。〔令第15条第2項〕

ここでいう「特定自主検査」は、製造許可等の対象となる「特定機械等」とは別の区分です。「特定機械等だから特定自主検査が必要」という関係ではありません。

 

誰が検査を行うのか

特定自主検査は、当該検査について法令上の資格を有する事業者本人〔法人の場合は代表者または役員〕が自ら実施するか、資格を有する自社の労働者、または登録を受けた検査業者に実施させる必要があります。〔法第45条第2項〕

「機械を運転できること」と「特定自主検査を実施できること」は同じではありません。検査を担当する者について、対象機械に応じた資格要件を確認する必要があります。

フォークリフト・動力プレスの検査

 

フォークリフトは、年次検査と月次検査が必要です

 

フォークリフトには、年次と月次の定期自主検査が定められています。このうち、年次検査が特定自主検査に該当します。〔則第151条の21・第151条の22・第151条の24〕

検査の区分 実施時期 特定自主検査への該当
年次の定期自主検査 1年を超えない期間ごとに1回 該当する
月次の定期自主検査 1か月を超えない期間ごとに1回 該当しない

つまり、年次の特定自主検査を実施しただけで、その後の月次検査が不要になるわけではありません。また、これらとは別に、その日の作業を開始する前の点検も必要です。〔則第151条の22・第151条の25〕

 

 

動力プレスは、年次の定期自主検査が特定自主検査です

 

動力プレスについては、1年以内ごとに1回、定期自主検査を行う必要があります。この検査が、特定自主検査に位置付けられています。〔則第134条の3・第135条の3第1項〕

したがって、「年次の定期自主検査」と「特定自主検査」を別々に実施するのではなく、年次検査を、資格等の要件を満たす者による特定自主検査として行います。動力プレスについても、作業開始前の点検は別途必要です。〔則第136条〕

なお、フォークリフトや動力プレスには、一定期間使用しない場合、使用しない期間中の検査を不要とする規定があります。ただし、使用を再開する際には、所定の自主検査が必要です。

 

 

検査記録は3年間保存します

 

フォークリフトと動力プレスの定期自主検査では、検査年月日、検査方法、検査箇所、検査結果、検査実施者の氏名、補修等を行った場合の内容を記録し、3年間保存しなければなりません。特定自主検査を検査業者に実施させた場合は、検査実施者の氏名に代えて、検査業者の名称を記録します。〔則第135条の2・第135条の3、則第151条の23・第151条の24〕

また、特定自主検査を実施した機械には、検査を行った年月が分かる検査標章を見やすい箇所に貼り付けます。検査や点検で異常が見つかった場合には、補修その他の必要な措置を講じることも必要です。検査を実施し、記録を残すだけでなく、異常への対応まで行うことが重要です。

法改正に関する留意点

 

2026年1月1日から、特定自主検査基準への適合が義務化されています

 

特定自主検査については、2026年1月1日から、厚生労働大臣が定める「特定自主検査基準」に従って実施することが義務付けられています。

従来の定期自主検査指針に基づく実施の推奨とは、法的な位置付けが異なります。検査を実施する際には、対象機械に応じた現行の特定自主検査基準を確認する必要があります。

 

 

2027年4月1日から、個人事業者等に関する規制が拡大されます

 

2027年4月1日からは、労働者と同一の場所で作業を行う場合について、一定の個人事業者や中小事業の代表者・役員等にも、規格や安全装置を備えていない機械等の使用を禁止する規定が適用されます。

また、個人事業者に対しても、所定の場合に、対象機械等の定期自主検査の実施や結果の記録等が義務付けられます。この適用拡大は2026年9月時点では未施行であり、現在の義務と施行後の義務を区別して確認する必要があります。

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