一般保険料率

労働保険は、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険の総称です。事業主は、これら2つの保険の保険料を、原則として一体的に申告・納付します。この際に用いるのが「一般保険料率」です。

 

目 次

  1. 一般保険料率
  2. 労災保険率・雇用保険率
  3. 労災保険率の決定
  4. 労災保険率
  5. 雇用保険率
  6. 農林畜水産業のうち、「一般の事業」と同様の雇用保険率が適用されるもの

一般保険料率

一般保険料率は、次の通りである。(法12条1項)

1

労災保険及び雇用保険に係る保険関係が成立している事業にあっては、労災保険率と雇用保険率とを加えた率

2 労災保険に係る保険関係のみが成立している事業にあっては、労災保険率
3 雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業にあっては、雇用保険率

労災保険率・雇用保険率

 

労災保険率 業務災害等に係る率 + 非業務災害率(1,000分の0.6)
複数業務要因災害に係る率 + 通勤災害に係る率 + 二次健康診断等給付の費用額 +
雇用保険率 失業等給付費等充当徴収保険率 + 育児休業給付費充当徴収保険率 + 二事業費充当徴収保険率

には複数事業労働者に係る保険給付の額などが該当します。(労災保険法8条3項)

 

労災保険率の決定

  • 労災保険率は、労災保険法の規定による保険給付及び社会復帰促進等事業に要する費用の予想額に照らし、将来にわたって労災保険の事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならない。(法12条2項)
  • 労災保険率は、厚生労働省令で定める事業の種類ごとに、労災保険法の適用を受けるすべての事業過去3年間の業務災害複数業務要因災害及び通勤災害の災害率並びに二次健康診断等給付に要した費用の額社会復帰促進等事業として行う事業の種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める。(法12条2項)
    • 特別加入者に係る保険給付に要した費用の額は該当しません
    • 雇用保険率の決定の規定ではありません

労災保険率

 

  • 労災保険率は「事業の種類」によって異なり、それぞれの業種の過去3年間の災害率その他事情を考慮して改定される。(則16条、則別表第1)
    • かつては、5年間でしたが災害率の推移にできるだけ即応しうるように昭和40年改正により3年間に短縮されました
      労災保険率の改定は必ずしも3年ごととは限りません平成21年度平成24年度平成27年度平成30年度と改定されてきましたが令和3年度は据え置きとされました

    • 令和6年度の労災保険率は改定が行われました

    • 事業の規模ごとに定められているのではありません

  •  労災保険率は、労働保険徴収法施行規則で定める事業の種類ごとに定められており、その最高は、1,000分の88(注)であり、その最低は、1,000分の2.5金融業保険業または不動産業など)である。(則別表第1)
    • (注)金属鉱業、非金属鉱業(石灰石鉱業またはドロマイト鉱業を除く)または石炭鉱業
    • 労災保険率の最高は1,000分の100を超えていません

 

  • 労災保険率には、すべての事業において、一律1,000分の0.6非業務災害率複数業務要因災害に係る災害率通勤災害に係る災害率二次健康診断等給付に要した費用の額その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める率)が含まれている。(法12条3項、則16条2項)

 

  • 事業主が同一人であるが、業種が異なる2以上の部門が場所的に分かれて独立した運営が行われている場合には、それぞれ別個の事業として取り扱われ、それぞれ異なる業種に応ずる労災保険率が適用される。(平成28年2月29日基発0229第2号)

 

  •  労働者派遣事業における事業の種類は、派遣労働者の「派遣先での作業実態に基づき決定する。派遣労働者の派遣先での作業実態が数種にわたる場合には、主たる作業実態に基づき事業の種類を決定することとし、その場合の主たる作業実態は、それぞれの作業に従事する派遣労働者の数、当該派遣労働者に係る賃金総額などにより判断する。(平成28年2月29日基発0229第2号)
    • 派遣労働者に対して派遣会社の労災保険率その他の各種事業1,000分の3を適用することは実態にそぐわないことになります。なお、雇用保険率は、原則として、「一般の事業」の雇用保険率となります。

雇用保険率

令和7年度令和7年4月1日~令和8年3月31日及び令和6年度令和6年4月1日~令和7年3月31日の雇用保険率は次の通りである。(法12条4項)

  事業の種類  

令和7年度雇用保険

令和6年度雇用保険率
雇用保険率
  • 事業者負担
  • 被保険者負担
1 一般の事業  

1,000分14.5

  • 1,000分9
  • 1,000分5.5
1,000分15.5
 
  • 1,000分11
  • 1,000分5.5
  • 1,000分5.5
 
二事業に係る率
  • 1,000分3.5
  • 1,000分3.5
 
  • 1,000分3.5
2 農林水産業清酒製造業   1,000分16.5
  • 1,000分10
  • 1,000分の6.5
1,000分17.5
 
  • 1,000分の13
  • 1,000分6.5
  • 1,000分6.5
 
二事業に係る率
  • 1,000分3.5
  • 1,000分3.5
 
  • 1,000分3.5
3 建設の事業   1,000分17.5
  • 1,000分11
  • 1,000分の6.5
1,000分18.5
 
  • 1,000分の13
  • 1,000分6.5
  • 1,000分6.5
 
二事業に係る率
  • 1,000分4.5
  • 1,000分4.5
 
  • 1,000分4.5
  • 事業の種類ごとに細かく設定されている労災保険率とは異なり一般の事業の雇用保険率は一律に同一の率となります例えば、「金融業金属鉱業も同じ率となります
  • 農林水産業清酒製造業建設の事業については短期雇用特例被保険者が多く雇用される実態に鑑み社会的公平の見地から別に雇用保険率が設定されています
  • 建設業については建設労働者雇用改善法に基づく建設労働者の福祉等に関する事業等を雇用保険の能力開発事業として行う費用に充てるため他の事業より1,000分の1多くなっています
  • 一般の事業以外の事業特に特掲事業といいます

雇用保険率(令和7年4月1日~)は、次に掲げる率の区分に応じ、それぞれに定める率を合計して得た率とする。(法12条4項)

1+2+3=雇用保険率  
1 失業等給付費等充当徴収保険率

1,000分の8

特掲事業(注)については、1,000分の10とし、変更されたときは、その変更された率とする

  1. 土地の耕作若しくは開墾または植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業
  2. 動物の飼育または水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産養蚕または水産の事業
  3. 土木建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体またはその準備の事業
  4. 清酒の製造の事業
  5. 1.から4.までに掲げるもののほか、雇用保険法38条1項に規定する短期雇用特例被保険者の雇用の状況などを考慮して政令で定める事業
「失業等給付費等充当徴収保険率」とは、雇用保険率のうち失業等給付及び就職支援法事業に要する費用に対応する部分の率をいいます。(法12条4項1号かっこ書)
2 育児休業給付費充当徴収保険率 1,000分の5
(変更されたときは、その変更された率とする)
「育児休業給付費充当徴収保険率」とは、雇用保険率のうち育児休業給付に要する費用に対応する部分の率をいいます。(法12条4項2号かっこ書)
3 二事業費充当徴収保険率 1,000分の3.5
(上記3.建設業については、1,000分の4.5とし、変更されたときは、その変更された率とする)
「二事業費充当徴収保険率」とは、雇用保険率のうち雇用安定事業及び能力開発事業(就職支援法事業以外の能力開発事業に限る)に要する費用に対応する部分の率をいいます。(法12条4項3号かっこ書)

農林畜水産業のうち、「一般の事業」と同様の雇用保険率が適用されるもの

農林畜水産業のうち、「季節的に休業しまたは事業の規模が縮小することのない事業として厚生労働大臣が指定するものについては、「一般の事業と同様の雇用保険率適用される。(法12条4項かっこ書、平成28年厚労告427号)

1 牛馬育成酪農養鶏または養豚事業
2 園芸サービス事業
3 内水面養殖事業
4 雇用保険法6条5号に規定する船員が雇用される事業

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