徴収法
一般保険料率

労働保険は、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険の総称です。事業主は、これら2つの保険の保険料を、原則として一体的に申告・納付します。この際に用いるのが「一般保険料率」です。

 

一般保険料率

  • 労災+雇用

労災保険率

  • 業種ごと
  • 過去3年の災害率
  • 最高88/1000
  • 最低2.5/1000
  • 非業務災害率0.6/1000

雇用保険率


雇用保険率の内訳

  • 失業等給付
  • 育児休業給付
  • 二事業

印紙保険料

  • 日雇労働被保険者
  • 印紙を貼って納付
  • 事業主と労働者が折半

特に以下が重要
「労災保険率は業種ごと」「雇用保険率は3区分」「派遣労働者の労災保険率は派遣先基準」「印紙保険料は日雇被保険者」

一般保険料率

労働保険料は

賃金総額 × 一般保険料率

で計算します。


一般保険料率は

保険関係によって異なります。

 

① 労災+雇用

普通の会社

一般保険料率

=労災保険率+雇用保険率


② 労災のみ

農業など

一般保険料率

=労災保険率


③ 雇用のみ

ほぼ試験用

一般保険料率

=雇用保険率

 

労災保険率の特徴

労災保険率は

業種ごと


なぜか?

危険度が違うからです。


例えば

金融業

ケガ少ない

保険率低い


鉱山

事故多い

保険率高い

労災保険率の決め方

 

労災保険率は何を基に決まる?

労災保険率は、労災保険法の適用を受けるすべての事業について、次の事項を考慮して定められます(労災保険法12条2項)。

  • 過去3年間の業務災害
  • 過去3年間の複数業務要因災害
  • 過去3年間の通勤災害
  • 二次健康診断等給付に要した費用
  • 社会復帰促進等事業の種類・内容
  • その他の事情

つまり、過去3年間の災害の発生状況などを基に、業種ごとの労災保険率が決められるということです。

覚え方

「労災保険率=過去3年間の事故率(+二次健康診断等給付・社会復帰促進等事業などを考慮)」

※ まずは「労災保険率=「過去3年間」の災害実績を基に決まる」と押さえておくと覚えやすいでしょう。

 
 

労災保険率の最高・最低

 

最低

金融業など

1000分の2.5


最高

鉱業など

1000分の88


かなり差があります。

非業務災害率

 

全業種共通で

1000分の0.6

が含まれています。

 

派遣労働者の労災保険率

 

誤解

❌派遣元の業種で決める


正解

⭕派遣の作業実態

で決める


例えば

事務派遣

低率


建設現場派遣

高率

雇用保険率

 

雇用保険率は「3つの保険料率」の合計

 

雇用保険率は、大きく次の3つからできています。

① 失業等給付費等充当徴収保険率
失業した人に支給する基本手当などの「失業等給付」や、就職支援関係の事業の財源です。

② 育児休業給付費充当徴収保険率
育児休業給付などの財源です。

③ 二事業費充当徴収保険率
雇用安定事業・能力開発事業の財源です。

この3つを足したものが、会社の給与計算などでいう雇用保険率になります。


令和8年度・一般の事業

 

一般の事業では、

内訳 保険料率 労働者負担 事業主負担
失業等給付費等 6/1000 3/1000 3/1000
育児休業給付費 4/1000 2/1000 2/1000
雇用保険二事業 3.5/1000 3.5/1000
合計 13.5/1000 5/1000 8.5/1000

つまり、 6 + 4 + 3.5 = 13.5/1000

そして労働者は二事業を負担しませんから、

労働者

3 + 2 = 5/1000

事業主

3 + 2 + 3.5 = 8.5/1000

となります。

厚労省の令和8年度資料 一般の事業について、労働者5/1000、事業主8.5/1000、合計13.5/1000

 

 

なぜ事業主の負担の方が大きいのか

ここがポイントです。

失業等給付と育児休業給付は労使双方が負担します。

一方、

雇用保険二事業は事業主だけが負担

そのため、 

労働者5/1000 に対して、

事業主8.5/1000

と、事業主の方が3.5/1000多くなります。

この**差の3.5/1000が、まさに「二事業」**です。


雇用保険二事業とは?

雇用保険というと、

「失業した人に基本手当を払う制度」

というイメージが強いですが、それだけではありません。

雇用保険には、

  • 雇用安定事業
  • 能力開発事業

があります。

これらをまとめて雇用保険二事業と呼びます。

例えば、企業の雇用維持、雇入れ、能力開発などを支援する各種助成・施策の財源になります。

この部分は、

労働者個人への保険給付というより、事業主による雇用の維持・改善等を支援する制度

という性格があるため、事業主のみが保険料を負担します。


失業等給付費等充当徴収保険率とは?

令和8年度の一般の事業では、

6/1000

これを労使で折半するので、

  • 労働者 3/1000
  • 事業主 3/1000

となります。

ここから主として、

  • 基本手当
  • 高年齢求職者給付金
  • 就職促進給付
  • 教育訓練関係の給付等

など、失業等給付・就職支援関係の財源が賄われます。雇用保険法上も、育児休業給付分と二事業分を除いた保険料を、失業等給付等の費用に充てる構造になっています。

 

令和8年度はなぜ6/1000なのか

失業等給付費等充当徴収保険率には、雇用保険財政の状況に応じて料率を上下させる仕組みがあります。

令和8年度については、厚生労働大臣の告示によって、

一般の事業は 6/1000

とされました。

ここで前年度と比較すると、

令和7年度

7/1000

令和8年度

6/1000

となり、1/1000引下げです。

したがって、一般の事業の雇用保険率全体も、

令和7年度:14.5/1000

令和8年度:13.5/1000

 

へ1/1000下がりました。

育児休業給付費充当徴収保険率

令和8年度は、

4/1000

これも労使折半なので、

  • 労働者 2/1000
  • 事業主 2/1000

この料率について特徴的なのは、

本則は5/1000

だということです。

令和7年度から本則5/1000となりましたが、財政状況が一定の条件を満たす場合には、4/1000まで引き下げられる弾力条項があります。

令和8年度についても、この仕組みによって4/1000が適用されています。

つまり、

本則

5/1000

令和8年度の実際の適用率

4/1000

そして令和7年度も実際の適用率は4/1000だったため、

令和7年度 4/1000 → 令和8年度 4/1000

で、ここは据え置きです。


令和8年度に何が変わったのか

一般の事業について整理すると、

内訳 令和7年度 令和8年度 変更
失業等給付費等 7/1000 6/1000 ▲1/1000
育児休業給付費 4/1000 4/1000 据え置き
二事業 3.5/1000 3.5/1000 据え置き
合計 14.5/1000 13.5/1000 ▲1/1000

つまり、

令和8年度の雇用保険率が下がった原因は、失業等給付費等の部分だけ

育児休業給付と二事業は変わっていません。


労働者と事業主にはどう影響する?

失業等給付費等は労使折半なので、1/1000下がると、

労働者

0.5/1000減

事業主

0.5/1000減

になります。

したがって一般の事業では、

 

労働者

令和7年度
5.5/1000

令和8年度
5/1000

 

事業主

令和7年度
9/1000

令和8年度
8.5/1000

農林水産業・清酒製造業

令和8年度は、

15.5/1000

内訳は、

  • 失業等給付費等 8/1000
  • 育児休業給付費 4/1000
  • 二事業 3.5/1000

したがって、

8 + 4 + 3.5 = 15.5/1000

となります。

負担は、

一般の事業より失業等給付費等の率が2/1000高く設定されています。

なお、農林水産関係であれば何でもこの料率になるわけではなく、厚労省資料では、園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖などは一般の事業の率とされています。

建設の事業

建設業は、

16.5/1000

内訳は、

  • 失業等給付費等 8/1000
  • 育児休業給付費 4/1000
  • 二事業 4.5/1000

なので、

8 + 4 + 4.5 = 16.5/1000

負担は、

となります。

建設業では、一般の事業や農林水産・清酒製造と異なり、二事業の料率も4.5/1000と高い点がポイントです。

 

労災保険との違い

ここも大事です。

労災保険率は、業務上災害の発生リスクが業種によって大きく異なるため、業種ごとにかなり細かく保険率が設定されています。

例えば、

建設業と事務系の事業では事故リスクが全く違う からです。

一方、雇用保険は、

失業・育児休業・雇用安定などを保障する制度

なので、労災ほど業種による危険度の差を細かく反映する制度ではありません。

そのため、大きくは、

① 一般の事業

② 農林水産・清酒製造の事業

③ 建設の事業

という3区分で考えれば足ります。


令和8年度はまず、

一般の事業

6 + 4 + 3.5 = 13.5

と覚えます。

そして、

6と4は労使折半
3.5は会社だけ

したがって、

労働者

3+2=5

会社

3+2+3.5=8.5

となります。

さらに、

農林水産・清酒製造

失業部分を+2
15.5

建設

失業部分+2、二事業+1
16.5

と覚えると、3種類すべてを丸暗記する必要がありません。

 

一番重要な整理

令和8年度・一般事業

失業等給付 6
育児休業給付 4
二事業 3.5
13.5/1000

そして令和7年度から変わったのは、失業等給付費等の7→6だけです。育児休業給付4/1000、二事業3.5/1000は据え置きです。

農林畜水産業のうち、「一般の事業」と同様の雇用保険率が適用されるもの

農林畜水産業のうち、「季節的に休業しまたは事業の規模が縮小することのない事業として厚生労働大臣が指定するものについては、「一般の事業と同様の雇用保険率適用される。(法12条4項かっこ書、平成28年厚労告427号)

1 牛馬育成酪農養鶏または養豚事業
2 園芸サービス事業
3 内水面養殖事業
4 雇用保険法6条5号に規定する船員が雇用される事業

日雇労働被保険者の雇用保険料です。


普通の雇用保険料

賃金総額 × 保険料率


日雇

印紙


で納付


印紙保険料の特徴

事業主が

雇用保険印紙 を

手帳に貼る

消印

納付


負担割合

印紙保険料は

事業主

1/2


労働者

1/2


折半です。


 

印紙保険料額

等級 賃金日額 保険料
1級 11,300円以上 176円
2級 8,200円以上11,300円未満 146円
3級 8,200円未満 96円
 

登録支援/有料職業紹介のご相談はこちら

 

お問い合わせはこちらから

芸術家×起業家

 

お     一般社団法人芸商橋
 

               BusinessArtBridge

 

サイト内検索

サイドメニュー