健康保険法
保険医療機関または保険薬局の指定

厚生労働大臣は、保険医療機関または保険薬局の申請があった場合において、その指定をしないことができる。(法65条3項)

 

頻出数字

  • 指定取消し後再指定不可 → 5年
  • 保険料滞納 → 3か月以上
  • 指定辞退の予告 → 1か月以上

この3つは、セットで押さえておく。

 

目 次

  1. 保険医療機関または保険薬局の指定・指定取消
  2. 指定の拒否
  3. 指定拒否の手続
  4. 指定の辞退
給付担当機関 

保険医療機関または保険薬局の指定・指定取消

 

① 指定の基本構造

まずスタートはここです。

申請主義

  • 病院・診療所・薬局の開設者の申請によって指定される(法65条1項)

つまり:
勝手に指定されることはない


② 誰が指定するのか

厚生労働大臣

(実務上は地方厚生局長に委任されているが、「大臣」でOK)


③ 諮問が必要(超重要)

指定・取消のどちらも:

地方社会保険医療協議会に諮問する

これが最重要ポイントです。


④ なぜ地方の協議会なのか

理由は:

個別の医療機関の適否を判断する必要があるため

  • 設備は適切か
  • 運営に問題はないか
  • 不正はないか

地域事情を踏まえたローカル判断が必要


⑤ 指定取消の場合(手続)

ここは行政法との横断ポイント。

聴聞が必要(行政手続法13条)

理由:

  • 不利益処分だから

⑥ 「指定」と「取消」の共通点

両方とも

  • 地方社会保険医療協議会に諮問する

⑦ 他の審議会との違い(整理が超重要)

機関 役割 趣旨
地方社会保険医療協議会 指定・取消 個別判断(ローカル)
中央社会保険医療協議会 診療報酬・ルール 全国統一
社会保障審議会 制度設計 政策レベル

■  イメージ(超重要)

  • 地方協議会
    「この病院OK?」を見る人
  • 中医協
    「医療のルールと値段決める人」
  • 社保審
    「制度どうする?」考える人

 

■ 地方社会保険医療協議会

個別案件(ローカル)

  • 指定・取消
  • 登録取消など

■ 中央社会保険医療協議会(中医協)

 

■ 結論

医療の“中身(ルール)”を全国一律で決める機関


■ 趣旨(ここが重要)

個別ではなく制度全体の公平性・統一性を確保するため


■ 担当領域(条文ベース)

▼① 保険医・保険薬剤師の責務

  • 法72条1項

▼② 保険医療機関・保険薬局の責務

  • 法70条1項・3項

▼③ 評価療養・選定療養

どこまで保険対象にするかのルール


▼④ 診療報酬

療養の給付に要する費用の算定方法

医療費の価格決定


▼⑤ 指定訪問看護の運営基準

サービスの質・ルール


■ まとめると

医療のルール・価格・基準を全国統一で決める


■ 社会保障審議会

制度の大枠(政策レベル)

  • 保険料率
  • 制度改正

 


まとめ

この論点の鉄板ポイント:

  • 指定は申請主義
  • 指定・取消ともに地方社会保険医療協議会に諮問
  • 取消は聴聞が必要

一言でまとめ

「個別は地方、ルールは中央」+取消は聴聞付き

なお、「指定の取消が行われる場合には行政手続法に基づいて聴聞の手続が執られます

(行政手続法13条1項イ)

諮問機関 役割
社会保障審議会
  1. 標準報酬月額等級の弾力的調整に係る政令の制定又は改定
  2. 厚生労働大臣による都道府県単位保険料率の変更
制度の根幹に係る事項
中央社会保険医療協議会
  1. 保険医又は保険薬剤師の責務に関する定め(法72条1項)、保険医療機関又は保険薬局の責務に関する定め(法70条1項・3項)
  2. 評価療養又は選定療養の定め
  3. 療養の給付に要する費用の算定方法に関する定め
  4. 指定訪問看護の事業の運営に関する基準 など

医療全体に係る事項

(全国一律の事項)

地方社会保険医療協議会
  1. 保険医療機関・保険薬局指定及び指定の取消し
  2. 保険医療機関・保険薬局指定の拒否
  3. 保険医・保険薬剤師の登録の取消し
  4. 保険医・保険薬剤師の登録の拒否

地方の判断が要求される事項

(個別の医療機関・医師に関する事項)

指定の拒否

 

保険医療機関(病院・診療所)や保険薬局になるためには、厚生労働大臣の指定を受ける必要があります。

もっとも、申請があれば必ず指定されるわけではなく、一定の場合には厚生労働大臣は指定を拒否することができます(健保法65条3項)

 

 

指定拒否事由(法65条3項)

「6つの拒否事由」を整理して覚えることが重要です。

項目 内容
①取消し歴 指定取消し後5年未満
②重ねての指導歴 診療・調剤内容に問題があり繰り返し指導を受けた
③罰金刑 保険医療関係法違反による罰金
④拘禁刑以上 禁錮・懲役等に相当する刑
⑤保険料滞納 社会保険料の悪質な滞納
⑥その他 保険医療機関として著しく不適当

① 指定取消しから5年未満

病院・診療所・薬局が過去に保険医療機関等の指定取消しを受けた場合、

取消日から5年間

は再指定を拒否できます。

 

ポイント

以前は2年でしたが、

安田病院事件

という大規模な不正請求事件を契機に、

5年へ延長

されました。

そのため、

指定取消し後5年

は頻出数字です。


② 重ねて指導を受けている

診療内容や調剤内容に問題があり、

厚生労働大臣から繰り返し指導を受けている場合です。

趣旨は、

「また不正請求するおそれが高い」

と判断されるためです。


③ 保険医療関係法違反による罰金刑

ここはひっかけポイントです。

指定拒否になるのは、

健康保険法その他国民の保健医療に関する法律

に違反して罰金刑を受けた場合です。

例えば、

  • 健康保険法
  • 医師法
  • 医療法
  • 薬機法

など政令で定められた法律が対象です。

逆に、

交通違反など全く関係ない法律の罰金刑では指定拒否事由になりません。


④ 拘禁刑以上

こちらは対象法律を問いません。

開設者や管理者が

拘禁刑以上の刑

に処せられ、

執行終了または執行免除になるまでの間は指定拒否が可能です。

 

比較

刑罰 指定拒否
保健医療関係法の罰金
拘禁刑以上
その他の法律の罰金 ×

⑤ 社会保険料の滞納

悪質な保険料滞納者を排除する趣旨です。

要件はかなり厳格です。

 

要件

① 滞納処分を受けている

② 処分後 正当な理由なく3か月以上

③ 新たに納期限が到来した社会保険料をすべて滞納

この3つを満たした場合です。


⑥ その他著しく不適当

包括規定です。

他の拒否事由に当たらなくても、

保険医療機関として著しく不適当であれば指定拒否が可能です。


社会保険料納付状況の調査

厚生労働大臣は、

保険料滞納の有無を確認するため、

保険料徴収機関に対して

  • 書類閲覧
  • 資料提供

を求めることができます(法199条2項)。


病床の一部だけ指定しない場合(法65条4項)

65条3項が

「病院・診療所全体の指定拒否」

であるのに対し、

65条4項は

「問題のある病床だけ指定しない」

制度です。


① 人員不足

医師・看護師などの配置基準を満たしていない病床


② 地域の病床過剰

地域医療計画の基準病床数を超える場合

都道府県知事の勧告

従わない

当該病床のみ指定しない


③ 構想区域の病床過剰

地域医療構想における将来必要病床数を超える場合

知事勧告

従わない

病床指定拒否


④ その他病床利用が著しく不適当

病床利用の面で保険医療機関として不適当な場合

 

 

65条3項との違い

法65条3項 法65条4項
医療機関全体が問題 一部病床のみ問題
指定そのものを拒否 病床の全部または一部を除外して指定

指定拒否の手続

指定拒否は医療機関に重大な不利益を与えるため、厳格な手続が必要です。


① 地方社会保険医療協議会の議

厚生労働大臣は、

  • 指定拒否
  • 一部病床除外指定

を行う場合、

地方社会保険医療協議会の議を経なければなりません(法67条)

 

ポイント

「議を経る」 = 「議決に従う」

という意味で理解します。

単なる意見聴取ではありません。


② 弁明の機会

厚生労働大臣は、

指定拒否等を行う前に、

開設者へ弁明の機会を与えなければなりません(法83条)。

 

通知事項

事前に書面で

  • 日時
  • 場所
  • 理由

を通知します。


指定拒否の手続の語呂

指定拒否で問われたら、

「議+弁」

と覚えると便利です。

 

  • 議 = 地方社会保険医療協議会の議
  • 弁 = 弁明の機会

指定の辞退

 

指定を受けた保険医療機関や保険薬局は、

1か月以上前に予告

すれば指定を辞退できます(法79条1項)。

 

頻出数字

  • 指定取消し後再指定不可 → 5年
  • 保険料滞納 → 3か月以上
  • 指定辞退の予告 → 1か月以上

この3つは、セットで押さえておく。

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