国民年金法
保険料納付済期間

国民年金法における**「保険料納付済期間」**とは、国民年金の被保険者期間のうち、

  • 実際に保険料を納めた期間
  • 法律上、保険料を納めたものとして扱われる期間
  • 第2号被保険者・第3号被保険者としての期間

を合算したものです。 単純に、

「自分で国民年金保険料を払った期間だけ」

という意味ではありません。 (国民年金法5条1項)

■ 全体整理

国民年金の期間は、まず次のように整理すると分かりやすくなります。

 

保険料納付済期間

  • 第1号被保険者として全額納付した
  • 産前産後免除
  • 第2号被保険者期間
  • 第3号被保険者期間
  • 免除期間を追納した

 

保険料免除期間

  • 全額免除
  • 学生納付特例
  • 納付猶予
  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除

 

その他

  • 合算対象期間
  • 未納期間

■ 最重要比較

区分 受給資格期間 老齢基礎年金額
保険料納付済期間
保険料免除期間 一定の範囲で反映
合算対象期間 ×
未納期間 原則× ×

※学生納付特例・納付猶予については、追納しない限り老齢基礎年金額には反映されない点に注意が必要です。

 

目 次

  1. 保険料納付済期間
  2. 20歳未満または60歳以上の期間
  3. 保険料免除期間

保険料納付済期間

 

保険料納付済期間には、次の期間が含まれます。

区分 内容
① 第1号被保険者 保険料を納付した期間
② 産前産後免除期間 保険料を納付したものとみなされる期間
③ 第2号被保険者 第2号被保険者としての被保険者期間
④ 第3号被保険者 第3号被保険者としての被保険者期間

■ ① 第1号被保険者として保険料を納付した期間

第1号被保険者としての被保険者期間のうち、国民年金保険料を納付した期間は、保険料納付済期間となります。

これは通常どおり自分で納付した場合だけではありません。

たとえば、

  • 督促を受けた後に納付した
  • 滞納処分によって徴収された

という場合でも、最終的に保険料が納付・徴収されていれば、保険料納付済期間となります。

 

ポイント

納付方法ではなく、最終的に保険料が全額納められているかを見る

ということです。


■ 一部免除の場合は「納付済期間」ではない

注意が必要なのが、一部免除です。

たとえば、保険料について4分の1免除が認められた場合には、残りの4分の3を納付する必要があります。

この残りの4分の3をきちんと納めても、その期間は、

保険料納付済期間

ではありません。

保険料4分の1免除期間

として扱われます。

 

4分の1免除

→ 4分の1は免除
→ 残り4分の3を納付

この場合、

「全部払った期間」ではなく「4分の1免除期間」

 

同じ考え方は、

  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除

すべてに共通します。


■ ② 産前産後期間の保険料免除

第1号被保険者について、産前産後期間中の保険料免除が適用された期間は、実際には保険料を支払っていません。

しかし法律上は、

保険料を納付したものとみなされる

ため、保険料納付済期間に含まれます。

ここは通常の保険料免除期間との大きな違いです。

 

整理

通常の全額免除
保険料免除期間

産前産後免除
保険料納付済期間


■ ③ 第2号被保険者の期間

第2号被保険者としての被保険者期間は、保険料納付済期間に含まれます。

第2号被保険者とは、主に厚生年金保険の被保険者です。

本人が国民年金保険料を直接納めているわけではありませんが、厚生年金制度を通じて基礎年金制度に加入しているため、

第2号被保険者期間そのものが保険料納付済期間として扱われます。


■ ④ 第3号被保険者の期間

第3号被保険者としての被保険者期間も、保険料納付済期間に含まれます。

第3号被保険者本人は、原則として国民年金保険料を直接納付しません。

しかし制度上、

第3号被保険者期間=保険料納付済期間

として扱われます。

 

重要

「実際に本人がお金を払ったかどうか」と「保険料納付済期間に当たるかどうか」は別問題

です。


■ 追納した場合

保険料免除期間などについて、後から追納を行うことがあります。

追納が行われると、

追納が行われた日に、その対象月の保険料が納付されたものとみなされます。

その結果、その月は保険料納付済期間として取り扱われます。(国民年金法94条4項)

 

イメージ

免除期間
→ そのままなら「保険料免除期間」

追納する
保険料納付済期間へ変わる

  ​

20歳未満または60歳以上の期間

 

ここは非常に重要です。

第2号被保険者は、20歳未満でも、60歳以上でも成立することがあります。

たとえば、

  • 18歳で就職して厚生年金に加入
  • 60歳を過ぎても会社員として厚生年金に加入

という場合です。

国民年金法5条1項上は、これらの期間も含めて第2号被保険者期間は保険料納付済期間となります。

ただし、どの年金について見るかによって取扱いが変わります。


■ 老齢基礎年金の場合

老齢基礎年金では、原則として20歳から60歳までの40年間、480月を基礎として年金額を計算します。

そのため、第2号被保険者期間のうち、

  • 20歳未満
  • 60歳以上

の期間については、老齢基礎年金の計算上、そのまま保険料納付済期間として扱われるわけではありません。

老齢基礎年金については、原則として

20歳以上60歳未満の第2号被保険者期間

が保険料納付済期間として扱われます。

一方、

20歳未満・60歳以上の一定の第2号被保険者期間

は、老齢基礎年金の受給資格期間を判定する際には、合算対象期間として扱われることがあります


■ なぜ20歳未満・60歳以上を年金額に入れないのか

老齢基礎年金は、原則として

20歳から60歳までの40年間

を基礎として設計されています。

そのため、

  • 18歳から働いていた期間
  • 60歳を超えて働いた期間

まで老齢基礎年金額に反映すると、480月を超えて基礎年金額が計算されることになります。

そこで、 20歳未満・60歳以上の一定の第2号被保険者期間は、老齢基礎年金額には反映させない

という整理がされています。


■ 障害基礎年金・遺族基礎年金の場合

これに対して、障害基礎年金や遺族基礎年金では考え方が異なります。

障害基礎年金・遺族基礎年金の年金額は、原則として被保険者期間の長短によって増減する仕組みではありません。

ここで保険料納付済期間が問題になるのは、主に

保険料納付要件を満たしているか

を判断するためです。

そのため、第2号被保険者期間については、

  • 20歳未満
  • 60歳以上

の期間も含めて、保険料納付済期間として取り扱います。


■ 老齢と障害・遺族の違い

項目 20歳未満・60歳以上の第2号期間
国民年金法5条上の保険料納付済期間
老齢基礎年金の計算 原則×
老齢基礎年金の受給資格期間 合算対象期間として算入される場合あり
障害・遺族の保険料納付要件

 

最短整理

第2号期間そのものは納付済期間。
ただし老齢基礎年金では20~60歳の枠に切り直す。

保険料免除期間

 

■ 保険料免除期間とは

「保険料免除期間」とは、次の期間を合算したものです。(国民年金法5条2項)

  • 保険料全額免除期間
  • 保険料4分の3免除期間
  • 保険料半額免除期間
  • 保険料4分の1免除期間

■ 保険料全額免除期間

第1号被保険者としての被保険者期間で、次の制度によって保険料を納付する必要がないものとされた期間です。

  • 法定免除
  • 申請による全額免除
  • 学生納付特例
  • 納付猶予

ただし、その後に追納し、保険料を納付したものとみなされた期間は除かれます。

つまり、

追納していない間は「保険料全額免除期間」

追納すると「保険料納付済期間」

となります。(法5条3項)


■ 保険料4分の3免除期間

第1号被保険者について、保険料の4分の3が免除され、残り4分の1を納付した期間です。

残り4分の1を納付していなければ、原則として有効な4分の3免除期間として扱われません。

したがって、

免除された4分の3+納付した4分の1

という組み合わせで、保険料4分の3免除期間となります。(法5条4項)


■ 保険料半額免除期間

保険料の半額が免除され、残りの半額を納付した期間です。

つまり、

免除された2分の1+納付した2分の1

で、保険料半額免除期間となります。(法5条5項)


■ 保険料4分の1免除期間

保険料の4分の1が免除され、残りの4分の3を納付した期間です。

つまり、

免除された4分の1+納付した4分の3

で、保険料4分の1免除期間となります。(法5条6項)


■ 一部免除は「残りを払う」ことが必要

一部免除では、免除されなかった部分を納めることが重要です。

たとえば4分の1免除の場合、

  • 4分の1 → 免除
  • 4分の3 → 納付が必要

残りの4分の3を納付して初めて、保険料4分の1免除期間として扱われます。

したがって、

一部免除=残りを払わなくても大丈夫

ではありません。


■ 追納するとどうなるか

保険料免除期間について追納をした場合には、その追納した月について保険料が納付されたものとみなされます。

そのため、 保険料免除期間 → 保険料納付済期間

へと取扱いが変わります。


■ 産前産後免除との違い

ここは混同しやすいポイントです。

通常の保険料免除は、

「払わなくてよいが、納付済みとまでは扱わない」

制度です。

一方、産前産後免除は、

「払わなくてよい上に、納付したものとみなす」

制度です。

 

比較

区分 実際の保険料負担 法律上の扱い
通常の全額免除 0 保険料免除期間
学生納付特例 0 保険料全額免除期間
納付猶予 0 保険料全額免除期間
産前産後免除 0 保険料納付済期間

 

 

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