国民年金法
老齢基礎年金 合算対象期間A

 

合算対象期間(カラ期間)とは

合算対象期間とは、老齢基礎年金の年金額には反映されないものの、受給資格期間には算入される期間です。

そのため、一般に「カラ期間」と呼ばれます。

老齢基礎年金の受給資格期間は、原則として10年以上必要です。実際に国民年金保険料を納めていない期間であっても、一定の歴史的・制度的事情がある期間については、受給資格の判定では期間として認める仕組みが設けられています。

 

カラ期間(合算対象期間)が生まれた理由

昔の日本の年金制度は、最初から今のような統一制度ではありませんでした。

  • 会社員 → 厚生年金

  • 自営業 → 国民年金

  • 公務員 → 共済年金

というように、職業ごとに別々の制度でした。

そこで、後に老齢年金を受け取れるようにそれぞれの制度の加入期間をつなぎ合わせて計算する仕組みが作られました。

これを 通算年金制度 といいます。


しかし問題が起きた

現在は、一定の専業主婦・主夫は第3号被保険者として国民年金に加入する仕組みがあります。しかし昭和61年4月の新制度が始まる前は、、会社員の妻(専業主婦)国民年金への加入が任意(入っても入らなくてもよい)でした。

そのため多くの人が 加入していませんでした。


例えば次のような女性です。

  1. 若い頃に会社員として厚生年金に少しだけ加入

  2. 結婚して退職

  3. 専業主婦になり国民年金に入らない

この場合年金記録は若い頃の厚生年金の短い期間だけになります。

すると老齢年金の受給資格期間(当時は長い期間が必要)に届かず無年金(年金がもらえない)になってしまいます。


国の問題意識

日本は「国民皆年金(みんなが年金に入る)」を目標にしていました。

しかし専業主婦が無年金になる人が大量に出る可能性がありました。

これは制度として問題でした。


そこで作られた仕組み

そこで実際には加入していない期間でも

  • 年金額には入れない

  • しかし 受給資格期間には入れる

という仕組みを作りました。

これがカラ期間(合算対象期間)です。


イメージ

期間 受給資格期間 老齢基礎年金
厚生年金加入期間
一定の専業主婦等の未加入期間 ×

こうすることで厚生年金の期間+専業主婦期間をつなげて年金を受け取れるようにしたという制度です。

合算対象期間を理解するための年代区分

 

合算対象期間を理解するときは、次の3つの時期に分けると整理しやすくなります。

  1. 昭和36年4月1日前
  2. 昭和36年4月1日から昭和61年3月31日まで
  3. 昭和61年4月1日以後

昭和36年4月1日は国民年金制度が本格的に始まった時期、昭和61年4月1日は基礎年金制度が導入された時期として重要です。


合算対象期間(カラ期間)の整理(図のア〜ク)

① 昭和61年4月1日以後(新法)


② 昭和36年4月1日以後~昭和61年3月31日まで(旧法期間内)


③ 昭和36年4月1日前

合算対象期間ア・イ

 

20歳前や60歳後に会社員だった期間はどう扱うか

 

国民年金では、原則として20歳~60歳の40年間(480月)が保険料を納める対象です。

しかし実際には

  • 20歳前に会社員だった

  • 60歳を過ぎても会社員として働いた

という人もいます。

このような期間は年金の受給資格(10年)を満たす計算には入れるが、年金額の計算には入れないという扱いになります。


ア 昭和61年4月1日以後の第2号被保険者であった期間のうち、20歳未満および60歳以後の期間 (昭和60年附則8条4項)

 

例1 18歳で会社員になった

 

18歳で就職し、厚生年金に加入した場合、

18歳から20歳になるまでの期間は、

  • 受給資格期間には算入
  • 老齢基礎年金額には反映しない

という取扱いになります。

 

 

例2 60歳以後も会社員として勤務した

 

60歳を過ぎても厚生年金に加入して働いた場合も、

60歳以後の一定の期間について、

  • 受給資格期間には算入
  • 老齢基礎年金額には反映しない

という取扱いになります。


イ 厚生年金保険の被保険者であった期間等のうち、20歳未満および60歳以後の期間 (昭和60年附則8条5項6号)

基本的な考え方はアと同じです。

アとイの違いは、主として制度上の時代区分・法律上の表現の違いです。

区分 内容
昭和61年4月1日以後の「第2号被保険者」の期間
それ以前の厚生年金保険の被保険者等の期間

旧制度では現在のような「第2号被保険者」という整理がなかったため、厚生年金保険の被保険者や共済組合の組合員等という形で規定されています。


なぜ20歳未満・60歳以後は年金額に入らないのか

 

老齢基礎年金は、原則として20歳から60歳までの40年間、すなわち480月を基礎として計算します。

そのため、

  • 20歳未満
  • 60歳以後

の厚生年金加入期間までそのまま老齢基礎年金額に反映すると、基礎年金の40年間という枠組みを超えてしまいます。

そこで、これらの期間については、

受給資格期間には算入するが、老齢基礎年金額には反映しない

という整理がされています。

 

覚え方

 

20歳前+60歳後の厚生年金

資格には入る

老齢基礎年金額には入らない

合算対象期間

 

合算対象期間ウ・エ・オ

 

国民年金制度が始まる前の期間

 

昭和36年4月1日に国民年金制度が本格的に始まる前にも、会社員や公務員などとして厚生年金、船員保険、共済組合などに加入していた人がいました。

これらの期間については、国民年金制度が存在していなかった以上、国民年金の「保険料納付済期間」とすることはできません。

そこで、一定の要件を満たすものを合算対象期間として受給資格期間に算入する仕組みが設けられています。


ウ 昭和36年4月1日前の厚生年金保険および船員保険の被保険者期間

一定の要件のもとで合算対象期間となります。

代表的には、昭和36年4月1日以後にも公的年金の加入期間があり、前後の期間を一定の条件で通算できる場合です。(昭和60年附則8条5項3号など)


エ 昭和36年4月1日前の共済組合の組合員期間

昭和36年4月1日以後まで引き続いていることなど、一定の要件を満たす場合に合算対象期間となります。


昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの間に通算対象期間を有しなかった者が、その後、昭和61年4月1日以後に保険料納付済期間または保険料免除期間を有するに至った場合などについて、昭和36年4月1日前の厚生年金保険・船員保険の一定の被保険者期間を合算対象期間とするものです。

ウ・エ・オはいずれも、簡単にいうと、

国民年金制度が始まる前に存在した公的年金の加入期間を、受給資格判定上できるだけ無駄にしないための仕組み

と理解するとよいでしょう。

現在、新たにこれらの規定によって受給権を取得するケースは限定的ですが、制度の沿革を理解するうえでは重要です。

 

合算対象期間カ・キ・ク

 

旧制度の「任意加入しなかった期間」

 

カ・キ・クは、合算対象期間の中でも特に典型的なものです。

共通するポイントは、

当時、国民年金への加入が強制ではなく、任意加入することができた者が、実際には任意加入しなかった期間

であることです。

いずれも原則として、20歳以上60歳未満の期間が対象となります。


カ 厚生年金保険の被保険者等の配偶者であったため、国民年金の適用を除外されていた者が、国民年金に任意加入しなかった期間(昭和60年附則8条5項1号)

最もイメージしやすいのが、旧制度下の会社員の専業主婦です。

たとえば、夫が会社員として厚生年金に加入しており、妻が専業主婦であった場合、当時は妻の国民年金加入が任意とされることがありました。

妻が任意加入しなかった期間については、

  • 保険料を納めていないため年金額には反映しない
  • しかし受給資格期間には算入する

という取扱いになります。

これが典型的な「カラ期間」です。


キ 厚生年金保険等の老齢給付等の受給権者の配偶者であったため、国民年金の適用を除外されていた者が、国民年金に任意加入しなかった期間

考え方はカと同じです。

違うのは、配偶者が現役の厚生年金被保険者ではなく、老齢給付等の受給権者であった点です。


ク 厚生年金保険等の障害給付の受給権者やその配偶者、または遺族給付の受給権者であったため国民年金の適用を除外されていた者が、国民年金に任意加入しなかった期間

これも、当時の制度上、国民年金への加入が任意とされていたことを背景とする合算対象期間です。


カ・キ・クの共通点

カ・キ・クは、細かな対象者は異なりますが、学習上はまず、

「旧制度で国民年金に任意加入できたのに、任意加入しなかった20歳以上60歳未満の期間」

とまとめて理解すると整理しやすくなります。

特に代表例は、昭和61年3月以前の専業主婦の未加入期間です。

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