国民年金法
老齢基礎年金 支給要件など

国民年金の保険事故には、老齢、障害及び死亡があります。

 

このうち「老齢」は年金制度の中心となる保険事故であり、一定の年齢及び加入期間の要件を満たした者には、老齢基礎年金が支給されます。

 

老齢基礎年金の支給要件まとめ

要件 内容
年金額に反映される期間 保険料納付済期間又は学生納付特例・納付猶予を除く保険料免除期間を有する
年齢 原則として65歳に達している
受給資格期間 保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間が合計10年以上
受給権発生日 65歳に達した日
支給開始 65歳に達した日の属する月の翌月分から

 

特に注意する点

  • 学生納付特例期間と納付猶予期間は、10年要件には算入される
  • 学生納付特例期間と納付猶予期間は、追納しなければ年金額には反映されない
  • 受給権が発生するのは65歳到達日であり、翌月ではない
  • 実際の年金支給は、受給権発生日の属する月の翌月分から始まる
  • 合算対象期間は、受給資格期間には算入されるが、年金額には反映されない
 
目 次
  1. 支給要件の原則
  2. 支給要件の特例

支給要件の原則

老齢基礎年金は、原則として、次の要件をすべて満たした場合に支給されます。(国民年金法26条、平成16年改正法附則19条4項、平成26年改正法附則14条3項)

要件 内容
① 年金額に反映される期間を有すること 保険料納付済期間又は保険料免除期間を有していること
② 年齢要件 65歳に達していること
③ 受給資格期間 保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間の合計が10年以上あること

保険料納付済期間又は保険料免除期間を有すること

老齢基礎年金を受給するためには、原則として、少なくとも1か月以上、年金額の計算の基礎となる期間を有していることが必要です。

具体的には、次のいずれかの期間を有していなければなりません。

  • 保険料納付済期間
  • 保険料の全額免除期間
  • 保険料の一部免除期間のうち、必要な保険料を納付した期間

ただし、次の期間は、追納しない限り老齢基礎年金の年金額には反映されません。

  • 学生納付特例期間
  • 納付猶予期間

そのため、学生納付特例期間及び納付猶予期間しかない場合には、通常の老齢基礎年金の年金額が0円となるため、原則として通常の老齢基礎年金の受給権は発生しません。

 

加入状況 取扱い
保険料納付済期間1か月+学生納付特例期間119か月 受給資格期間が10年以上あれば、老齢基礎年金の受給権が発生し得る
学生納付特例期間120か月のみ 通常の老齢基礎年金の受給権は原則として発生しない
納付猶予期間120か月のみ 通常の老齢基礎年金の受給権は原則として発生しない

学生納付特例期間や納付猶予期間は、受給資格期間には算入されますが、追納しない限り年金額には反映されない点に注意が必要です。


65歳に達していること

老齢基礎年金の受給権は、原則として、65歳に達した日に発生します。

ここでいう「65歳に達した日」は、年齢計算に関する法律上、65歳の誕生日の前日です。

例えば、4月10日生まれの者は、4月9日に65歳に達します。


受給権の発生と支給開始の違い

老齢基礎年金の受給権が発生する日と、実際に年金の支給対象となる月は異なります。

項目 時期
受給権の発生 65歳に達した日
年金の支給開始 65歳に達した日の属する月の翌月分から

 

4月9日に65歳に達した場合は、受給権は4月9日に発生しますが、年金は5月分から支給されます。


受給資格期間が10年以上あること

老齢基礎年金を受給するためには、次の期間を合算した受給資格期間が10年以上必要です。

  • 保険料納付済期間
  • 保険料免除期間
  • 合算対象期間

また、保険料免除期間には、受給資格期間を計算する場合、次の期間も含まれます。

  • 学生納付特例期間
  • 納付猶予期間

したがって、学生納付特例期間や納付猶予期間は、年金額には反映されなくても、10年の受給資格期間を満たすための期間には算入されます。


学生納付特例期間・納付猶予期間の取扱い

項目 受給資格期間 年金額
学生納付特例期間 算入される 追納しなければ反映されない
納付猶予期間 算入される 追納しなければ反映されない

つまり、

受給資格期間に算入されることと、年金額に反映されることは別です。

 

支給の考え方(効果・適用される状況)

 

区分 効果 適用される状況  
支給する 法律上当然に受給権が発生すること(請求手続きは単なる確認行為) 要件(死亡、障害、老齢など)を満たしたときに、権利が自動的に発生する場合  
支給を請求することができる 請求(申請)を要件として受給権が発生すること(請求という意思表示が必要) 繰上げ支給、事後重症による障害年金など、本人の選択や認定手続きが必要な場合 (法30条の2第1項など)
支給を始める 発生した受給権に基づき、実際の年金の支払いが開始されること 裁定請求手続きが完了し、権利発生日にさかのぼって年金の支払いが開始される場合(権利発生日と支給開始日が異なる場合がある) 「支給する」「支給を請求することができる」により発生した受給権に基づき、実際に年金の支給が始められるときに使われます。(法28条3項など)

支給要件の特例

 

保険料納付済期間と保険料免除期間だけでは10年に満たない場合でも、合算対象期間を加えることにより10年以上となれば、受給資格期間の要件を満たすことがあります。(国民年金法附則9条、平成16年改正法附則19条4項)

 

合算対象期間とは

合算対象期間とは、受給資格期間には算入されるものの、老齢基礎年金の年金額には反映されない期間です。

一般に「カラ期間」と呼ばれます。

 

期間 月数
保険料納付済期間 84か月
保険料免除期間 0か月
合算対象期間 36か月
合計 120か月

この場合、年金額の計算に反映されるのは主として84か月ですが、受給資格期間は120か月となるため、10年要件を満たします。


合算対象期間しかない場合

次のように、合算対象期間だけで10年以上ある場合には注意が必要です。

期間 月数
保険料納付済期間 0か月
保険料免除期間 0か月
合算対象期間 120か月

合算対象期間は年金額に反映されないため、通常の老齢基礎年金の額を計算すると0円になります。

ただし、一定の要件を満たす場合には、特例として振替加算相当額の老齢基礎年金が支給されることがあります。

この特例は、振替加算の対象となる者について、通常の老齢基礎年金の受給権が発生しない場合を救済するためのものです。

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