国民年金法
支給の繰上げ

老齢基礎年金の受給権者は、①その受給を65歳以後に遅らせたり、②逆に60歳から64歳に早めたりすることができます。前者を①「支給の繰下げ」、②後者を「支給の繰上げ」といいます。

目次

  1. 支給繰上げ(全部繰上げ)の要件
  2. 支給繰上げ(全部繰上げ)をすることができない者
  3. 支給繰上げの影響(デメリット)

支給繰上げ(全部繰上げ)の要件

 

  1. 保険料納付済期間または保険料免除期間(学生納付特例または納付猶予の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るものを除く)を有する者であって、
  2. その請求があった日の前日において受給資格期間を満たしている60歳以上65歳未満であるものは、当分の間、
  3. 65歳に達する前に、
  4. 厚生労働大臣老齢基礎年金支給繰上げの請求をすることができる。

附則9条の2第1項、附則9条1項かっこ書、平成16年附則19条4項、平成26年附則14条3項)→附則にあるということは、あまり残したくない制度

  • 老齢基礎年金の支給繰上げの請求は、「特別支給の老齢厚生年金の受給権を有している者であっても行うことができます
  • 60歳未満の者は繰上げを請求することはできません

 

老齢基礎年金の支給繰上げの請求をした者(昭和16年4月2日以後生まれの者)が、その後、就職をして、第2号被保険者になっても、繰上げ支給の老齢基礎年金の支給は停止されない。(平成6年附則7条2項)→ 減額されることもない

 

繰上げ支給の老齢基礎年金の額は、本来の老齢基礎年金の額から年金額に減額率を乗じて得た額を減じた額となるが、この減額率とは、1,000分の4に当該年金の支給の繰上げを請求した日の属するから65歳に達する日の属する月の前月までの月数乗じて得た率となる。

0.4% × 最大48カ月 減額される

支給繰上げ(全部繰上げ)をすることができない者

 

支給の繰上げは、任意加入被保険者はすることができない。(附則9条の2第1項かっこ書)

  • 任意加入被保険者は老齢基礎年金の増額を目的に加入している人でありこの人が支給額の減額を伴う繰上げ請求を行うことは妥当ではないという考えによります

支給繰上げの影響(デメリット)

 

  • 支給の繰上げには、次の影響(デメリット)がある。(附則9条の2第4項・5項、附則9条の2の3)
  1.  繰上げ請求した減額率は一生を通じて変更が認められず取り消すこともできない
    • 減額は一生を通じて行われます。「65歳や70歳に達したときから満額支給に戻るわけではありません
  2.  寡婦年金の受給権者が老齢基礎年金を繰上げ請求すると寡婦年金は失権する
      
    繰上げ支給の請求により老齢基礎年金の受給権を取得したときは65歳に達したものとみなされます寡婦年金は65歳までの有期年金ですのでその権利は消滅することになります繰上げ請求をしたときは寡婦年金の受給権は失権します
  3.  繰上げ請求をしたものは、寡婦年金の請求をすることができない
  4.  繰上げ請求した後には、事後重症による障害基礎年金などは支給されない
      65歳に達したとみなされる
  5.  65歳までは、
    1. 繰上げ支給の老齢基礎年金
    2. 遺族厚生年金は同時に支給を受けることはできない
  6.  繰上げ請求したものは、国民年金の任意加入被保険者になることはできない

 

  • 支給繰上げを行うと65歳に達したものとみなされるため以下の規定は適用されないことになります
No. 規定(条文) 内容(該当する請求・ケース)
60歳以上65歳未満の国民年金の被保険者であった国内居住者に係る障害基礎年金(法30条1項2号) 60歳以上65歳未満の国内居住期間中に初診日があり、障害認定日に障害等級に該当した場合の請求
事後重症による障害基礎年金(法30条の2) 障害認定日後に症状が悪化し、65歳に達する日の前日までの間に障害等級に該当する状態になった場合の請求
事後重症による20歳前傷病による障害基礎年金
(法30条の4第2項)
20歳前傷病について、20歳到達日又は障害認定日のうち遅い日の後、65歳に達する日の前日までの間に障害等級に該当する状態になった場合の請求
基準障害による障害基礎年金(法30条の3) 基準傷病の障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間に、基準障害と別の障害を併合した結果、初めて障害等級に該当した場合の請求
その他障害との併合による年金額の改定請求(法34条4項) 別の障害を負ったことにより障害の状態が重くなった場合の、65歳に達する日の前日までの年金額の増額請求
その他障害との併合による支給停止の解除(法36条2項ただし書の一部) 障害の状態に該当しなくなったことにより支給停止された障害基礎年金について、65歳に達する日の前日までの間に、その後障害を負い、元の障害と併合した程度が障害等級に該当するに至ったときに行う支給停止の解除
  1. 老齢基礎年金を繰上げした妻がいました
  2. ところがしばらくして夫が死亡し遺族厚生年金が発生したとします
  3. 年金の受給権が複数発生した場合、一人一年金の原則があり、65歳までは一年金だけしか支給を受けることができません。65歳までは、「繰上げ支給の老齢基礎年金」(1)と「遺族厚生年金(2)一方だけの支給になり、選択をすることになります。
  4. 一般的に、遺族厚生年金(2)を選択した方が有利(高額)であるため、遺族厚生年金の支給を受け、65歳までは減額された老齢基礎年金は支給停止されることになります。つまり、繰上げのメリットを享受することができないことになります
  5. また、65歳に達した以後においては、この2つの年金は併給することができます
  6. 支給停止が解除された後に繰上げ支給の老齢基礎年金の金額が満額に戻るわけではないので、減額された老齢基礎年金(1)遺族厚生年金(2)の支給されることとなり

デメリットが目立つ結果となります。

登録支援/有料職業紹介のご相談はこちら

 

お問い合わせはこちらから

芸術家×起業家

 

お     一般社団法人芸商橋
 

               BusinessArtBridge

 

サイト内検索

サイドメニュー