国民年金法
支給の繰下げ

国民年金法に基づく老齢基礎年金の支給繰下げとは、原則65歳からの受給開始を遅らせることで、生涯にわたって年金額を増額させる制度です。 

目次

  1. 支給繰下げの要件
  2. 繰下げ支給の老齢基礎年金の額

支給繰下げの要件

 

老齢基礎年金の受給権を有する者が、次の要件を満たしたときは、厚生労働大臣老齢基礎年金支給繰下げの申出をすることができる。
(法28条1項)

 

1

66歳に達する前老齢基礎年金請求をしていないこと

  • 最低1年間、我慢をした(待機をした)
 
2

65歳に達したときまたは65歳に達した日から66歳に達した日までの間において、次の年金たる給付の受給権を有していないこと

  • 我慢をしたことにならない
 
  国民年金法による他の年金給付付加年金を除く 国民年金による他の年金給付には障害基礎年金遺族基礎年金付加年金及び寡婦年金があります
  厚生年金保険法による年金たる保険給付老齢を支給事由とするもの=老齢厚生年金を除く 厚生年金保険法による年金たる保険給付には老齢厚生年金障害厚生年金遺族厚生年金があります

老齢基礎年金は、65歳から受け取らずに待つと、増額して受け取れる制度(支給繰下げ)があります。

ただし、次の条件を満たす必要があります。


 

① 66歳になるまで請求していないこと

65歳で受け取らず、最低1年間は請求せず待つ必要があります。

つまり

  • 65歳で請求した → 繰下げできない

  • 66歳以降に請求する → 繰下げ可能


 

② 65歳〜66歳の間に「特定の年金」を持っていないこと

次の年金の受給権を持っていると「我慢して待った」とは扱われないため、繰下げできません。

 

繰下げできなくなる年金

  • 障害基礎年金

  • 遺族基礎年金

  • 障害厚生年金

  • 遺族厚生年金

 

つまり障害年金や遺族年金を持っていると繰下げできない

 


 

③ ただし例外(持っていてもOKな年金)

次の年金は繰下げ可能

 

付加年金

理由
→ 老齢基礎年金と一緒に繰下げできるから

 

②老齢厚生年金

理由
→ 老齢基礎年金と併給できるから


 

④寡婦年金は問題なし

寡婦年金65歳で終了する年金

つまり65歳時点ではすでに受給権が消えている

→ 失権している以上受給権がない


 

⑤特別支給の老齢厚生年金

60〜65歳の年金ですが65歳で終了するので

→ 失権している以上受給権がない


 

⑥65歳前の障害基礎年金

もし

  • 65歳時点で障害年金が終了している

なら繰下げ可能


 

⑦注意

65〜66歳の間に遺族厚生年金の受給権を取得すると繰下げはできない

※実際に受け取っているかは関係ない
「受給権がある」だけでアウト


 

⑧老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰下げ

次の2つの方法が可能です。

① 老齢基礎年金だけ繰下げ
② 両方同時に繰下げ

つまり片方だけ繰下げることも可能

繰上げとは違う


 

⑨振替加算は繰下げできない

振替加算はそもそも増額対象ではないので

  • 繰下げしても増えない

  • 繰下げ申出もできない


まとめ

繰下げできないのは

障害年金・遺族年金

繰下げできるのは

  • 老齢厚生年金

  • 付加年金

 

 

 

老齢厚生年金の受給権を有することとなった者(平成19年4月1日以後に受給権を有することとなった者に限る)に係る老齢基礎年金の支給繰下げの申出については、老齢基礎年金単独または老齢厚生年金の支給繰下げの申出と同時」に行うことができる。(則16条4項)

 

老齢厚生年金の受給権を有することとなった者平成19年4月1日以後に受給権を有することとなった者に限るに係る老齢基礎年金の支給繰下げの申出については

  1. 老齢基礎年金単独でまた
  2. 老齢厚生年金の支給繰下げの申出と同時に行うことができます

一方を繰下げ他方を本来の支給開始年齢から受給することは認められていないわけではありません。→ 繰り上げと異なる

 

合算対象期間と学生納付特例期間を合計した期間のみが10年以上あり、かつ、振替加算の要件を満たす者に対しては、老齢基礎年金の受給権が発生したものとみなして、「振替加算額に相当する額の老齢基礎年金が支給されることになっているが、当該老齢基礎年金には支給繰下げの規定は適用されない。(昭和60年附則15条4項)

  • 振替加算相当額の老齢基礎年金については支給の繰下げの申出をすることはできません(そもそも論として振替加算は繰下げの対象になりません。通常の繰下げをした場合でも増えるのは「老齢基礎年金」だけで、振替加算部分は増額されません)。

繰下げ支給の老齢基礎年金の額

 

繰下げ支給の老齢基礎年金の額は、本来の老齢基礎年金の額年金額に増額率を乗じて得た額加算したとなる。(法28条4項、令4条の5第1項)

  • 受給権者が付加年金の支給を受けることができる場合は、付加年金についても同様に増額される。

具体的な増額率は、1,000分の7に当該年金の受給権を取得した日の属する月から支給繰下げの申出をした日の属する月の前月までの月数を乗じて得た率となる。(令4条の5第1項)

繰下げ支給の老齢基礎年金の増額率は、具体的には、次の通りである。(令4条の5第1項)

 

受給権取得時から繰下げ申し出までの期間
( )内は65歳に達した日に老齢基礎年金の受給権を取得した場合
増額率
 1年(66歳に達した月の前月まで) 0.7%×12月8.4%
  2年(67歳に達した月の前月まで) 0.7%×24月=16.8%
 3年(68歳に達した月の前月まで) 0.7%×36月=25.2%
 4年(69歳に達した月の前月まで) 0.7%×48月=33.6%
  5年(70歳以上に達した月の前月まで) 0.7%×60月=42.0%
  6年(71歳以上に達した月の前月まで) 0.7%×72月=50.4%
 7年(72歳以上に達した月の前月まで) 0.7%×84月=58.8%
 8年(73歳以上に達した月の前月まで) 0.7%×96月=67.2%
  9年(74歳以上に達した月の前月まで) 0.7%×108月=75.6%
 10年以上(75歳以上に達した月の前月まで) 0.7%×120月=84.0%
  • 受給権を取得した日の属する月から支給繰下げの申出をした日の属する月の前月までです。「申出をした日の属する月までではありません

繰下げは、繰下げ月数が60を超えるときは、120上限とする。(法28条4項、令4条の5第1項かっこ書)

  • 120か月を上限とするということは繰下げは最長で10年ということです繰下げは最低でも1年12か月待機する必要があるため増額率8.4%0.7%×12か月から84%0.7%×120か月の範囲となります
  • 1年繰下げると繰下げのメリットが生まれるのはだいたい12年後になります。

     66歳まで繰下げた場合にはおよそ78歳が損益分岐点となります。平均余命で考えると繰下げにはメリットがあるといえますが、健康寿命は超えている点は考慮する必要があるかと思います。

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