国民年金法
第1号被保険者の独自給付 寡婦年金

第1号被保険者が、保険料を原則として、10年以上納付したにもかかわらず、それに基づく老齢基礎年金の支給を受けずに死亡したときに、10年以上の婚姻関係のある妻に「寡婦年金」が支給されます。

 

目次

  1. 寡婦年金の趣旨
  2. 支給要件
    1. 死亡者(夫)の要件
    2. 妻の要件
      1. 各要件における「被保険者期間」のカウント方法
  3. 支給期間
  4. 寡婦年金の額
  5. 失権
第1号被保険者の独自給付
  1. 付加年金
  2. 寡婦年金 本ページ
  3. 死亡一時金
  4. 脱退一時金

寡婦年金の趣旨

 

 

「配偶者本人(妻)の生活保障」を目的とする補完的制度です。

寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者である夫が死亡した場合に、
一定期間以上婚姻関係にあり、生計を同じくしていた妻に支給される年金です。

  • 子がいない、または既に子が成人している場合
  • 遺族基礎年金を受け取れない場合

に、夫の保険料納付実績を全く反映できない不利益を緩和するために設けられています。

そのため、

  • 支給対象は「妻」に限定

  • 支給期間は60歳から65歳までの有期   →  寡婦年金受給権の発生自体は、たとえば40歳でも構わない

  • 老齢基礎年金へのつなぎ的性格

という特徴を持ちます。

寡婦年金は、夫の死亡によって生じる中高年期の生活不安を和らげるための救済的制度といえます。

 

寡婦年金には

  1. 遺族である妻の生活保障
  2. 老齢年金の支給開始年齢の実質的な繰上げ
  3. 保険料の掛け捨て防止の働きがあります

 

  1. 夫が第1号被保険者としてがんばって保険料を納付した10年
  2. 妻が支えた10年」、2つの10年がでてきます

 

参照 → 保険料納付要件(障害基礎年金/遺族基礎年金/寡婦年金)

参照 → 任意加入被保険者・特例任意加入被保険者(給付等の可否)

遺族基礎年金と寡婦年金

 

趣旨の違いを端的に整理すると

 

項目 遺族基礎年金 寡婦年金
主たる保護対象 子(および子を養育する者) 妻本人
制度目的 子の生活保障・養育支援 配偶者の生活保障(補完)
子の有無 必須 不要
支給の性格 本則的・恒常的 例外的・経過的
制度の位置づけ 国民年金の中核的遺族給付 不利益調整の救済制度

支給要件(死亡者)

 

寡婦年金における「死亡した夫」の要件は次の通りである。(法49条1項、平成16年附則19条4項、平成26年附則14条3項)

 

1)死亡者(夫)の要件

要件 内容 注意(画像の注記)
第1号被保険者としての期間保険料納付済期間保険料免除期間)が 10年以上 あること 合算対象期間は含まない
・65歳以上の特例任意加入期間は含まない
・第2号・第3号被保険者期間は含まない
・「学生納付特例」「納付猶予」以外の期間が 1か月以上必要 → 掛け捨て防止
老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けたことがないこと ・実際に受給したことがない(1円も受け取っていない)→ 掛け捨て防止
遺族基礎年金を受け取っていても問題ない
  • 10年」(死亡日の前日においてには合算対象期間や65歳以上の特例任意加入被保険者の期間は含まれません
  • 要件1.における10年以上においては少なくとも1か月は保険料納付済期間または学生納付特例期間及び納付猶予期間以外の保険料免除期間を有していたことが必要です
    つまり、学生納付特例期間、納付猶予期間及び合算対象期間のみを有している夫が死亡した場合、その期間を合算して10年以上有しているときであっても、寡婦年金の受給権は発生しないことになります。

 

  • 遺族基礎年金死亡した夫の納付実績に基づき支給されるものではないため2.には含まれません
  • 2.の「老齢基礎年金または障害基礎年金の支給を受けたことがないこと」とは、老齢基礎年金または障害基礎年金を「実際に受給したことがない」ことを意味し、1円でも支給実績があれば寡婦年金の対象外となります。
  • 夫が老齢基礎年金の受給権を取得した月に死亡したような場合老齢基礎年金の支給を受けていないため妻には寡婦年金が支給されます
  • 旧国民年金法による障害年金障害福祉年金を除く障害基礎年金とみなされるため旧法の障害年金の支給を受けたことがある夫が死亡した場合には寡婦年金は支給されません。(昭和60年附則29条1項)
  • 死亡した夫が障害基礎年金の裁定を受けていても現実に支給を受けたことがなければ寡婦年金は支給されます

 

参照 → 保険料納付要件(障害基礎年金/遺族基礎年金/寡婦年金)

 

2)妻の要件(法49条1項)

要件 内容
夫の死亡当時、夫によって生計を維持されていたこと
夫との婚姻関係が 10年以上 継続していること
夫の死亡当時、65歳未満であること
老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていないこと

参照 ⇨ 遺族の範囲(制度別)

 

各要件における「被保険者期間」のカウント方法(一覧表)

期間区分

寡婦年金

  • 10年要件

死亡一時金

  • 36か月要件

脱退一時金

  • 6か月要件
保険料納付済期間 ○【1】 ○【1】 ○【1】
法定免除 ○【1】 × ×
全額免除 ○【1】 × ×
学生納付特例 ○【1】 × ×
納付猶予 ○【1】 × ×
3/4免除 ○【1】 ○【1/4】 ○【1/4】
半額免除 ○【1】 ○【1/2】 ○【1/2】
1/4免除 ○【1】 ○【3/4】 ○【3/4】
合算対象期間 × × ×

補足(理解のポイント)

 

  • 寡婦年金(10年要件)
    → 「妻の所得保障」が目的のため、免除・猶予もすべて1か月=1としてカウント

  • 死亡一時金・脱退一時金(36か月/6か月要件)
    → 「掛け捨て防止」が目的のため、実際に納付した分だけを換算

  • 合算対象期間は いずれの要件でも不可

支給期間

 

夫の死亡の当時60歳未満の妻に支給される寡婦年金は、妻が60歳に達した日の属する月の翌月から65歳に達する日の属する月まで支給される。(法49条3項、法18条1項)

夫の死亡の当時60歳以上の妻に支給される寡婦年金は、夫の死亡日の属する月の翌月から、65歳に達する日の属する月まで支給される。
(法18条1項)

 

寡婦年金60歳または死亡月の翌月から65歳までの有期年金です

  1. なぜ60歳未満のときは支給されないか」というと、妻自身が60歳までは国民年金の強制被保険者となっているためです。
  2. なぜ65歳までなのか」というと、65歳になると妻自身の老齢基礎年金の支給が行われるためです。

60歳から65歳までの所得保障が行われるため、妻の老齢基礎年金を5年前倒しで支給すること、すなわち、実質的な老齢基礎年金の繰上げの働きをもつといえます。

寡婦年金の額

 

寡婦年金の額は、死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る死亡日の前日における保険料納付済期間及び保険料免除期間につき、老齢基礎年金の基本年金額の規定の例によって計算した額の4分の3に相当する額である。(法50条)

  • 寡婦年金には老齢基礎年金の受給資格期間を第1号被保険者としての期間のみで満たしていたがそれを受給することなく死亡した際の保険料の掛捨防止を目的とする一面があります
  • 死亡した夫が65歳に達したときに支給を受けることができたであろう老齢基礎年金の4分の3に相当する額ということです
  • 死亡した夫が第2号被保険者としての被保険者期間を有していたとしても当該期間は寡婦年金の額に反映されません
  • 4分の3という支給割合は遺族厚生年金の基本額の支給割合と同じです
  • 死亡一時金と異なり夫が付加保険料を納付していたとしても寡婦年金の額に反映はされることはありません
  • 保険料免除期間寡婦年金の額に反映されます

 

失権

 

  • 寡婦年金の受給権は、受給権者が次のいずれかに該当するときに至ったときは、消滅する。(法51条、法40条1項)
失権
  1.  65歳に達したとき
  2.  死亡したとき
  3.  婚姻をしたとき
  4.  養子となったとき(直系血族または直系姻族の養子となったときを除く
  5.  繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得したとき(附則9条の2第5項)

 

  • 老齢基礎年金の受給資格の有無を問わず65歳に達したときに受給権は消滅します
  • 寡婦年金の支給を受けているときに老齢基礎年金の繰上げ請求をすると老齢基礎年金の受給権の発生とともに寡婦年金の受給権は失権します

 

参照 ⇨ 養子になった場合の取扱い(制度別)

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