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国民年金では、一定の要件を満たす人について、通常の第1号被保険者には該当しない場合でも、本人の申出により国民年金に加入できる制度が設けられています。
これが任意加入制度(附則5条1項)です。
任意加入の主な目的は、次の2つです。
60歳から65歳まで
→ 「受給資格期間を満たす」または「年金額を増やす」ための任意加入
65歳から70歳まで
→ 「受給資格期間を満たす」ためだけの特例任意加入
したがって、
60~65歳=「要件を満たしたい+額を増やしたい」
65~70歳=「要件を満たしたい」
と整理すると、制度の違いを理解しやすくなります。
目 次
任意加入被保険者
第1号被保険者の要件を満たさない者(第2号被保険者および第3号被保険者を除く)であって、次のいずれかに該当する者は、厚生労働大臣に申し出ることにより、国民年金の被保険者となることができます(附則5条1項)。
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者で、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者
ただし、国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除きます。
日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者
ただし、国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除きます。
上記1および2については、日本国籍を有することは要件とされていません。
したがって、日本国内に住所を有する外国人についても、その他の要件を満たせば任意加入の対象となります。
一方、1または2に該当する場合でも、「国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者」に該当するときは、日本国内に住所があっても任意加入することはできません。
第1号被保険者が60歳に達すると、原則として国民年金の被保険者資格を喪失します。
しかし、60歳までに保険料の未納期間などがあると、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていなかったり、受給資格はあっても満額の老齢基礎年金を受け取れなかったりすることがあります。
そこで、一定の要件を満たす人については、60歳以後も最長65歳まで任意加入することが認められています。
たとえば、60歳までに国民年金保険料の未納期間があり、老齢基礎年金が満額にならない人は、60歳以後に任意加入して保険料を納付することで、将来の年金額を増やすことができます。
また、第1号被保険者が厚生年金保険法に基づく老齢給付等の受給権を取得した場合には、60歳未満であっても第1号被保険者から適用除外となる場合があります。このような場合にも、一定の要件のもとで任意加入が認められています。
65歳未満の任意加入被保険者については、主に次の2つの目的があります。
したがって、すでに特別支給の老齢厚生年金を受けることができる人であっても、所定の要件を満たせば任意加入することができます。
第1号被保険者が、厚生年金保険法に基づく老齢給付等を受けることができる者に該当することとなった場合には、第1号被保険者の資格を喪失することがあります。
この場合に、その資格喪失を知らず、引き続き国民年金保険料を前納していた場合などについては、一定の要件のもとで、老齢給付等の受給権を取得した日に任意加入の申出をしたものとみなされます(附則6条)。
たとえば、過去に船員や公務員として加入していた期間があり、老齢給付等を受けることができる状態になったため第1号被保険者の資格を喪失したにもかかわらず、それを知らずに当該年度分の国民年金保険料を前納していたケースが考えられます。
このような場合には、すでに納付した保険料を年金額の増額につなげるため、一定の要件のもとで任意加入の申出があったものとして取り扱われます。
特例による任意加入被保険者(特例任意加入被保険者)
通常の任意加入は、原則として65歳までです。
しかし、65歳まで任意加入しても老齢年金の受給資格期間を満たすことができない人については、さらに70歳まで加入できる特例が設けられています。
これが特例任意加入制度です。
昭和50年4月1日以前に生まれた者であって、次のいずれかに該当する者(第2号被保険者を除く)は、厚生労働大臣に申し出ることにより、国民年金の被保険者となることができます。
ただし、すでに老齢基礎年金、老齢厚生年金その他の老齢または退職を支給事由とする一定の年金給付の受給権を有する場合には、特例任意加入被保険者となることはできません。(平成6年附則11条1項、平成16年附則23条、令和7年附則40条1項)
日本国内に住所を有する65歳以上70歳未満の者
ただし、国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者を除きます。
つまり、日本国内に住所がない場合でも、日本国籍を有するなど所定の要件を満たせば、特例任意加入をすることができます。
一方、日本国内に住所を有する場合でも、「国民年金法の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者」に該当するときは、特例任意加入することはできません。
特例任意加入制度の目的は、
老齢・退職年金の受給権を取得すること です。
通常の任意加入とは、この点が大きく異なります。
60歳以上65歳未満の任意加入
65歳以上70歳未満の特例任意加入
つまり、特例任意加入は、単に年金額を増やすことを目的として利用することはできません。
65歳に達した時点ですでに老齢基礎年金等の受給権を有している人は、特例任意加入被保険者となることはできません。
特例任意加入制度は、平成6年改正によって設けられました。
当時、老齢年金の受給資格期間は原則25年であったため、65歳になっても受給資格期間を満たすことができない人が生じることが問題となっていました。
そこで、65歳以後も保険料を納付することによって受給権を取得できるよう、例外的に70歳までの任意加入を認める制度が設けられました。
平成6年改正当初は昭和30年4月1日以前生まれの者が対象とされ、その後、平成16年改正により昭和40年4月1日以前生まれまで対象が拡大されました。
さらに令和7年改正では、受給資格期間が10年に短縮された後も、65歳時点で受給資格期間を満たせない人が存在することなどを踏まえ、保険料納付の意思がある人に受給権取得の機会を確保するため、対象が昭和50年4月1日以前生まれまで拡大されました。
任意加入の効果
任意加入被保険者および特例任意加入被保険者については、一定の範囲で第1号被保険者に準じた取扱いが行われます。(附則5条9項・10項、平成6年附則11条9項・10項、平成16年附則23条9項・10項)
任意加入被保険者は、寡婦年金の規定の適用について、第1号被保険者とみなされます。
一方、特例任意加入被保険者は、寡婦年金について第1号被保険者とはみなされません。
任意加入被保険者および特例任意加入被保険者は、死亡一時金および脱退一時金の規定の適用について、第1号被保険者とみなされます。
任意加入被保険者は、付加保険料の納付について、第1号被保険者とみなされます。
そのため、所定の要件を満たせば付加保険料を納付し、将来の年金額を増やすことができます。
一方、特例任意加入被保険者は、付加保険料について第1号被保険者とはみなされません。
特例任意加入は「受給権の取得」を目的とする制度であり、単なる年金額の増額を目的とする制度ではないためです。
任意加入期間中の被保険者期間は、一定の規定の適用について第1号被保険者期間として取り扱われ、納付した保険料は老齢基礎年金の年金額計算に反映されます。
したがって、60歳以後に任意加入して保険料を納付することによって、老齢基礎年金の受給資格期間を補ったり、年金額を増やしたりすることができます。
| 項目 | 任意加入被保険者 | 特例任意加入被保険者 |
|---|---|---|
| 主な年齢 | 60歳以上65歳未満 | 65歳以上70歳未満 |
| 主な目的 | 受給権の取得・年金額の増額 | 受給権の取得 |
| 死亡一時金 | ○ | ○ |
| 脱退一時金 | ○ | ○ |
| 寡婦年金(10年要件) | ○ | × |
| 付加保険料(増額が目的) | ○ | × |
| 保険料免除 | × | × |
寡婦年金の支給には、死亡した夫について、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が原則10年以上あることなどの要件があります。
特例任意加入被保険者については、寡婦年金の規定の適用上、第1号被保険者とはみなされません。
付加年金は、老齢基礎年金に上乗せして支給される制度です。
通常の任意加入では年金額の増額も制度目的の一つであるため、任意加入被保険者は所定の要件を満たせば付加保険料を納付できます。
これに対して、特例任意加入は老齢年金の受給権を取得することを目的とする制度であるため、付加保険料を納付することはできません。
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