国民年金法
遺族基礎年金 支給要件など

遺族基礎年金 
  1. 支給要件など
  2. 遺族基礎年金の額
  3. 支給停止及び失権

遺族基礎年金の趣旨

 

「子の生活保障」を目的とする制度です。

遺族基礎年金は、国民年金の被保険者が死亡した場合に、その人に生計を維持されていた子のある配偶者またはに支給されます。
制度の中心は、親を失った子の生活の安定を公的に保障することにあります。

そのため、

  • 支給要件に「子がいること」が必須

  • 配偶者自身の年齢や性別は原則として問題とならない

  • 子が成長し要件を満たさなくなると支給が終了

という仕組みになっています。

 

つまり遺族基礎年金は、子の養育・生活費を社会全体で支えるための年金であり、配偶者への給付はあくまで「子を養育する立場にある者」として位置づけられています。

死亡者の要件

 

  • 遺族基礎年金は、「死亡者」が次の要件を満たしたときに支給される。
死亡者の要件
  1.  被保険者等要件
  2.  保険料納付要件

 

遺族基礎年金は

  1. 死亡者の要件
  2. 遺族の要件の両面をチェックする必要があります

被保険者等要件

 

  • 死亡者は、次のいずれかでなければならない。(法37条、附則9条1項)

 

被保険者等要件と保険料納付要件(障害基礎年金の請求関係)

 

区分 被保険者等要件 保険料納付要件  

①(短期要件)                 

たとえ加入期間が1年未満であっても他の要件を満たしていれば遺族基礎年金が支給されることがあります

国民年金の被保険者

  • 死亡者が日本国内に住所を有していなくても支給されます
○ 必要      国民年金被保険者が、死亡したとき。(法37条1号)
②(短期要件) 国民年金の被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満である者 ○ 必要         国民年金被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、であるものが、死亡したとき。(法37条2号)

③(長期要件)

次の期間の合計が 25年以上 の者に限ります
・保険料納付済期間
・保険料免除期間
・合算対象期間
・65歳に達した日の属する月以後の厚生年金保険の被保険者期間
× 不要 2026改正保険料納付済期間保険料免除期間及び合算対象期間並びに65歳に達した日の属する月以後の厚生年金保険の被保険者期間合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき。
(法37条3号、附則9条1項)

学生納付特例期間、納付猶予期間、合算対象期間のみを有している者(保険料納付済期間または保険料免除期間(学生納付特例期間・納付猶予期間を除く)を1か月も有していない場合)は「25年要件」を満たしていません。

  • 2026改正従来あった「老齢基礎年金の受給権者(旧3号)」という要件が削除され、「25年以上の期間がある者(旧4号→新3号に)」に一本化されました。「老齢基礎年金の受給権者(旧3号)」(当然25年以上の期間を満たしている)と「まだ受給していないが、25年以上の期間を満たしている(旧4号)」は、基本的に同趣旨の要件であるためです。
  • 要件3.における25年以上においては少なくとも1か月は保険料納付済期間または保険料免除期間学生納付特例期間納付猶予期間を除くを有していたことが必要です
    つまり学生納付特例期間納付猶予期間及び合算対象期間のみを有している者が死亡した場合その期間を合算して25年以上有しているときであっても遺族基礎年金の受給権は発生しないことになります
  • 2026改正65歳に達した日の属する月以後の厚生年金保険の被保険者期間が文言に追加されました65歳以上でも厚生年金の被保険者となるケースが一般的になってきたため要件が緩和されました
  • 障害基礎年金の受給権者が死亡したことを理由遺族基礎年金が支給されることはありません

被保険者等要件
(厚生年金保険の被保険者期間の特例)

 

 

昭和31年4月1日以前に生まれた者は、厚生年金保険の被保険者期間が、次の生年月日に応じて定められている受給資格期間以上であれば、被保険者期間等が25年以上であるものとみなされる。(昭和60年附則12条1項2号、昭和60年附則別表第2)

 

厚生年金保険の期間の特例とは

 旧法の被用者年金制度(厚生年金保険や共済年金など)では、老齢給付の原則的な受給資格期間は20年でしたが、新法に移行したときに25年に延長されることになりました。

 しかし、受給資格期間の延長を一度に行うことはできず激変緩和措置が施されることになりました。

 具体的には昭和61年4月1日において34歳未満の者から段階的に延長され30歳未満昭和31年4月2日以後生まれの者から原則的な期間である25年となるように制度設計が行われました

被保険者等要件
(厚生年金保険の中高齢の短縮特例)

 

 

男子40歳女子35歳)以後の第1号厚生年金被保険者期間が、次の生年月日に応じて定められている受給資格期間以上であれば、被保険者期間等が25年以上であるものとみなされる。(昭和60年附則12条1項4号、昭和60年附則別表第3)

ただし、当該期間のうち、7年6か月以上第4種被保険者または船員任意継続被保険者としての被保険者期間以外の期間であるときに限られる。(昭和60年附則12条1項4号かっこ書)

 

 

生年月日別の特例期間(厚生年金保険の期間の特例/中高齢の短縮特例)

 

生年月日 厚生年金保険の期間の特例 中高齢の短縮特例
昭和22年4月1日以前生まれ 20年 15年
昭和22年4月2日~昭和23年4月1日生まれ 20年 16年
昭和23年4月2日~昭和24年4月1日生まれ 20年 17年
昭和24年4月2日~昭和25年4月1日生まれ 20年 18年
昭和25年4月2日~昭和26年4月1日生まれ 20年 19年
昭和26年4月2日~昭和27年4月1日生まれ 20年
昭和27年4月2日~昭和28年4月1日生まれ 21年
昭和28年4月2日~昭和29年4月1日生まれ 22年
昭和29年4月2日~昭和30年4月1日生まれ 23年
昭和30年4月2日~昭和31年4月1日生まれ 24年
昭和31年4月2日以後生まれ

 

【厚生年金保険の中高齢の短縮特例とは

 この特例は、旧厚生年金保険法の中高齢に対する特例的な受給資格期間の短縮措置を引き継いだものです。

 中高齢男性40歳以上女性35歳以上)になってから被保険者となった者は、老齢年金の受給開始年齢である60歳までに、老齢年金の受給資格期間を満たすことが困難な場合が考えられます。そこで短縮措置が設けられていました。

 昭和61年4月1日当時、35歳以上である昭和26年4月1日以前生まれの者には、この制度が残っていたため、この措置を引き継いだのがこの特例となります。

 

中高齢の短縮特例は、第1号厚生年金被保険者のみに適用され、第2号厚生年金被保険者、第3号厚生年金被保険者及び第4号厚生年金被保険者には適用されません。(昭和60年附則12条1項4号)

  • この特例は、「第1号厚生年金被保険者期間に対するものです40歳35歳以後の国民年金の被保険者期間に対するものではありません

 

 

特例の一覧

区分 対象者(生年月日など) 必要な受給資格期間(年数)
昭和5年4月1日以前生まれの特例 昭和5年4月1日以前生まれ 21~24年でOK(※大正15年4月2日~昭和22年4月1日生まれの範囲で段階的)
厚生年金保険の被保険者期間の特例 昭和31年4月1日以前生まれ(※表中の対象者)
昭和27年4月1日以前生まれ(※段階区分)
20~24年でOK
中高齢の短縮特例 昭和26年4月1日以前生まれ
(段階の例:昭和22年4月1日以前など)
15~19年でOK(※男性40歳以上/女性35歳以上)

保険料納付要件

 

被保険者等要件に該当するもののうち、1.(被保険者及び2.(被保険者であった者の者(短期要件については、保険料納付要件を満たしていなければならない。(法37条ただし書)

 

保険料納付要件とは、次のいずれかに該当することをいう。(法37条ただし書、昭和60年附則20条2項)

 

保険料納付要件
原則
 死亡日の前日において、当該死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間保険料免除期間(学生納付特例期間または納付猶予期間を含む)とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上であること。
特例
 2026改正令和18年4月1日前にある死亡については、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの1年間保険料納付済期間保険料免除期間(学生納付特例期間または納付猶予期間を含む)のみ直近1年間に保険料未納期間がないこと)であること。
 ただし、死亡日において65歳以上である場合にはこの特例は適用されない

 

  • 死亡者に死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間がない場合であっても死亡日において被保険者であるときには遺族基礎年金は支給されます
  • 死亡した被保険者等が65歳以上である場合には特例の対象とはなりませんしたがって則の保険料納付要件を満たす必要があります
  • 2年前から障害基礎年金を受給している第1号被保険者が死亡した場合保険料納付要件を満たしているかどうかの具体例が出題されたことがあります
    障害基礎年金の受給権者法定免除に該当するためこの場合保険料納付要件を満たしたことになります
  • 第2号被保険者としての被保険者期間遺族基礎年金の保険料納付要件においては20歳未満及び60歳以後の期間も含めて、「保険料納付済期間となります
    老齢基礎年金の場合は合算対象期間となります

 

 

参照 → 保険料納付要件(障害基礎年金/遺族基礎年金/寡婦年金)

遺族基礎年金の受給権者(遺族)

 

遺族基礎年金を受けることができる遺族」は、被保険者または被保険者であった者死亡の当時、死亡者によって生計を維持されていた配偶者またはであって、次の要件を満たしている場合である。(法37条の2第1項)

 

遺族
死亡者によって生計を維持
遺族の要件
配偶者  下記の要件に該当する生計を同じくしている場合
  1.  18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあり、かつ、現に婚姻をしていない場合
  2.  20歳未満であって障害等級1級2級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていない場合

 

  • 死亡した被保険者等と養子縁組を行っていない事実上の子遺族基礎年金のとはなりません
  • 配偶者は妻である必要はありません妻が死亡し夫が残された場合には要件を満たした夫も遺族に該当します
  • なお当初は障害の状態にない子18歳年度末までの間に障害等級に該当する障害の状態になった場合には20歳に達するまで遺族とされます
  • 生計維持とは死亡の当時死亡者生計を同じくしていた者であって厚生労働大臣の定める金額以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外のものをいいます
  • 配偶者については年齢不問です
  • 遺族基礎年金の受給権者に、「国内居住要件はありません
  • 保険料納付要件が要求されるのは、「死亡者であり遺族基礎年金の受給権者である遺族には要求されていません
  • 子のない配偶者には遺族基礎年金が支給されることはありません
  • 子のある配偶者であっても子が婚姻をしているときは遺族基礎年金は支給されません

 

 

遺族の範囲(制度別)

制度 対象となる遺族(要件)
厚生年金保険法 遺族厚生年金 生計を維持していた遺族(要件あり)
①配偶者(妻)…要件:不問
①配偶者(夫)…夫・父母・祖父母は 55歳以上
①子 ②父母 ③孫 ④祖父母…子・孫は 18歳年度末まで(※一定の障害がある場合は20歳未満)
※「現に婚姻していない」等の要件が付く場合がある
(※「兄弟姉妹」は×)
国民年金法 遺族基礎年金 ①配偶者:生計を維持していた下記の要件を満たす子と生計を同じくする
②子:生計を維持していた
子の要件:18歳年度末まで、または 20歳未満で障害状態(障害等級1級・2級相当)にあり、かつ 現に婚姻していない
寡婦年金

①妻:

  • 生計を維持していた
  • 夫との婚姻関係が 10年以上継続
  • 65歳未満

※支給は 60歳到達日の属する月の翌月から

死亡一時金 ①生計を同じくしていた遺族:配偶者 → 子 → 父母 → 孫 → 祖父母 → 兄弟姉妹

胎児との関係

被保険者または被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が生まれたときは、将来に向かって、その子は、被保険者または被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとみなされ、配偶者は、その者の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなされる。(法37条の2第2項)

 

胎児との関係

区分 取扱い
生まれた子 将来に向かって、死亡の当時、生計を維持していたものとみなされる。
配偶者 将来に向かって、死亡の当時生まれた子と生計を同じくしていたものとみなされる。

※ 胎児が後に出生した場合の「生計維持関係」の擬制に関する整理です。

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