国民年金法
老齢基礎年金 保険料納付済期間及び保険料免除期間

国民年金の保険事故の中心となるのが「老齢」です。

国民年金法では、一定の要件を満たした者に対して老齢基礎年金が支給されます。老齢基礎年金は、年金制度を理解するうえで最も基本となる給付です。

老齢基礎年金については、まず、

「どの期間が保険料納付済期間として扱われるのか」

を正確に理解する必要があります。

特に注意したいのが、

国民年金法全体でいう「保険料納付済期間」 と、

老齢基礎年金の計算・受給資格で用いる「保険料納付済期間」

では、範囲が一部異なるという点です。

 

ポイント

次のように整理すると覚えやすくなります。

第1号

→ 保険料を納めた期間

第2号

20歳以上60歳未満

第3号

→ 第3号被保険者期間

そして、

20歳未満・60歳以後の第2号被保険者期間

は、

老齢基礎年金の保険料納付済期間には入らない

合算対象期間となることがある

という流れです。

特に、

「一般の保険料納付済期間」と「老齢基礎年金に係る保険料納付済期間」は同じではない

という点は、必ず区別して覚えておきましょう。


 

目 次
  1. 老齢基礎年金に係る「保険料納付済期間」
  2. 第1号・第2号・第3号被保険者ごとの整理
  3. 一般の「保険料納付済期間」との違い
  4. 旧法期間の取扱い
  5. 支給要件の特例

老齢基礎年金に係る「保険料納付済期間」

 

老齢基礎年金に係る「保険料納付済期間」とは、主に次の期間をいいます。(国民年金法5条1項、附則5条10項、昭和60年附則8条、平成6年附則11条9項ほか)

 

① 第1号被保険者等として保険料を納付した期間

第1号被保険者としての被保険者期間のうち、

保険料を納付した期間

は、老齢基礎年金の保険料納付済期間に算入されます。

任意加入被保険者として保険料を納付した期間も含まれます。

また、

産前産後期間中の保険料免除期間

についても、保険料納付済期間として取り扱われます。

さらに、昭和61年3月31日以前の旧国民年金制度において保険料を納付した期間についても、所定の範囲で保険料納付済期間に含まれます。


② 第2号被保険者期間

第2号被保険者としての期間については、

20歳以上60歳未満の期間

が、老齢基礎年金に係る保険料納付済期間となります。

したがって、第2号被保険者期間であっても、

20歳に達した日の属する月前の期間 および

60歳に達した日の属する月以後の期間

については、老齢基礎年金の保険料納付済期間には算入されません。

この部分は非常に重要です。

第2号被保険者については、被保険者期間のすべてがそのまま老齢基礎年金の保険料納付済期間になるわけではありません。


③ 昭和61年3月31日以前の厚生年金・船員保険・共済組合等の期間

昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの間に、

  • 厚生年金保険の被保険者
  • 船員保険の被保険者
  • 共済組合の組合員等

であった期間についても、

20歳以上60歳未満の期間

は、老齢基礎年金に係る保険料納付済期間に算入されます。


④ 第3号被保険者期間

第3号被保険者としての期間は、老齢基礎年金に係る保険料納付済期間に算入されます。

第3号被保険者本人が国民年金保険料を直接納付していなくても、制度上は保険料納付済期間として取り扱われます。


被保険者の種類ごとの整理

老齢基礎年金に係る保険料納付済期間を、被保険者の種類ごとに整理すると次のようになります。

区分 老齢基礎年金の保険料納付済期間に算入される期間
第1号被保険者 保険料を納付した期間
  産前産後期間中の保険料免除期間
  昭和61年4月1日前の旧国民年金における保険料納付済期間
第2号被保険者 第2号被保険者期間のうち20歳以上60歳未満の期間
  昭和61年4月1日前の厚生年金等の被保険者期間のうち20歳以上60歳未満の期間
第3号被保険者 第3号被保険者期間

第2号被保険者期間=全部ではなく、20歳以上60歳未満

という点を押さえる必要があります。


「保険料納付済期間(一般)」との違い

 

国民年金法では、一般的な意味での「保険料納付済期間」という用語があります。

しかし、

国民年金法全体における保険料納付済期間 

老齢基礎年金に係る保険料納付済期間

では、範囲が異なります。

特に違いが大きいのが、第2号被保険者期間です。


 

保険料納付済期間(一般)と、老齢基礎年金に係る保険料納付済期間(比較)

 

区分 保険料納付済期間(一般) 老齢基礎年金に係る保険料納付済期間
第1号被保険者期間 ① 第1号被保険者期間のうち、保険料を納付した期間(任意加入被保険者としての被保険者期間/滞納処分により徴収された保険料に係る期間を含む)
② 産前産後期間中の保険料免除の規定により納付することを要しないものとされた期間
第2号被保険者期間 ③ 第2号被保険者としての被保険者期間 ③ 第2号被保険者期間のうち、
20歳以上60歳未満の期間
(※20歳未満・60歳以後の期間→合算対象期間)
第3号被保険者期間 ④ 第3号被保険者としての被保険者期間
旧国民年金の被保険者期間
(昭和61年4月1日前)
⑤ 保険料納付済期間であった期間
厚生年金保険の被保険者期間(昭和36年4月1日から昭和61年3月31日まで) ⑥ 厚生年金保険の被保険者期間 ⑥ 厚生年金保険の被保険者期間のうち、
20歳以上60歳未満の期間

ここで最も重要なのは、

一般の定義では第2号被保険者期間そのものが保険料納付済期間となるが、老齢基礎年金については20歳以上60歳未満に限定される

という点です。


20歳未満・60歳以後の第2号被保険者期間

第2号被保険者として厚生年金に加入していたとしても、

20歳未満

または

60歳以後

の期間については、原則として老齢基礎年金の保険料納付済期間には算入されません。

これらの期間については、一定の場合、

合算対象期間

として受給資格期間の判定に用いられます。

つまり、

年金額を計算するための保険料納付済期間には入らないが、受給資格期間10年を満たすためには使えることがある

ということです。

20歳未満・60歳以後 → 合算対象期間

という整理が重要です。


旧法期間の考え方

「昭和61年3月31日以前の国民年金の被保険者」や、

「昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの厚生年金保険・船員保険の被保険者、共済組合の組合員等」

という表現が出てくることがあります。

これは、現在の基礎年金制度が導入される前の旧法上の期間を指しています。

昭和61年4月1日の基礎年金制度導入前には、

現在のような

第1号被保険者

第2号被保険者

第3号被保険者

という区分はありませんでした。

そのため、法律上は旧制度の名称で記載されています。

  • 旧国民年金の被保険者期間 → 現在の第1号被保険者に近いもの
  • 旧厚生年金・船員保険・共済組合等の期間 → 現在の第2号被保険者に近いもの

と整理すると理解しやすくなります。

ただし、法律上まったく同一の制度という意味ではなく、あくまで現在の制度との対応関係として理解するのが適切です。

支給要件の特例

 

老齢基礎年金の受給資格期間については、原則として、

保険料納付済期間+保険料免除期間

が一定期間以上あることが必要です。

現在の受給資格期間は、

10年以上 です。 ⇒ 支給要件の原則

しかし、

保険料納付済期間と保険料免除期間だけでは10年に満たない場合でも、

合算対象期間

を加えることで10年以上となれば、老齢基礎年金の受給資格を満たすことがあります。

つまり、 保険料納付済期間+保険料免除期間+合算対象期間≧10年

であれば、受給資格期間を満たすことになります。(附則9条、平成16年附則19条4項)


合算対象期間しかない場合

例えば、

  • 保険料納付済期間 0月
  • 保険料免除期間 0月
  • 合算対象期間 120月

というケースを考えます。

合算対象期間が120月、すなわち10年あるため、

受給資格期間そのものは満たします。

しかし、合算対象期間は、原則として老齢基礎年金の年金額の計算には反映されません。

そのため、 保険料納付済期間も保険料免除期間もまったくない場合、通常の老齢基礎年金額は0円

となります。

もっとも、一定の要件を満たす場合には、

振替加算相当額のみの老齢基礎年金

が支給されることがあります。

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