厚生年金保険法
高年齢者在職老齢年金(高在老)

  •  本来の老齢厚生年金の支給開始年齢は65歳ですが、65歳以後も就労(在職)し報酬を得ている場合、これに老齢厚生年金の支給を受けると過剰給付となることがあります。
  •  このため、65歳以後も厚生年金保険の被保険者であり、一定額以上の報酬がある場合には、老齢厚生年金の額が支給停止されることになっています。
  •  この際、支給停止されない部分の年金を「在職老齢年金」といい、これは65歳以上の高年齢の在職者の年金であることから「高年齢者在職老齢年金(高在老)」と呼ばれます。

 

目 次

  1. 在職老齢年金とは
  2. 65歳以後の在職老齢年金(高在老)
  3. 基本月額

支給要件

 

厚生年金保険の被保険者である老齢厚生年金の受給権者について、支給される年金額を調整する仕組みは、「在職老齢年金」と呼ばれる。
(平成23年4月1日年発0401第13号)

  • 在職中の場合には老齢厚生年金の年金額が減額調整されますこの仕組みを在職老齢年金といい低在老と高在老の2種類がありかつてはそれぞれ別のルールによっていましたが現在は高在老計算の仕組みに統一されています
  • 老齢基礎年金高在老の対象にはならないためその全額が支給されます
  • 経過的加算額高在老の対象にはならないたその全額が支給されます

 

65歳以後の在職老齢年金(高在老)

 

老齢厚生年金の受給権者が「厚生年金保険の被保険者である日」、「国会議員若しくは地方公共団体の議会の議員である日」または「70歳以上の使用される者である日」が属する月において、その者の「総報酬月額相当額及び基本月額」との合計額支給停止調整額超えるときは、その月の分の当該老齢厚生年金について、「総報酬月額相当額及び基本月額」との合計額から支給停止調整額控除して得た額の2分の1に相当する額に12を乗じて得た額(「支給停止基準額」)に相当する部分支給が停止される。ただし、支給停止基準額老齢厚生年金の額以上であるときは、老齢厚生年金の全部繰下げ加算額及び経過的加算額を除く)が支給を停止される。(法46条1項・3項、昭和60年附則62条1項)

 

支給停止基準額
 (支給停止基準額)=((総報酬月額相当額基本月額)-(支給停止調整額62万円))×1/2×12
 

 

50歳代の一般労働者のボーナス含む賃金月額49.1万円に名目賃金変動率を反映したもの(52万円)と、厚生年金加入期間25年以上の者の報酬比例部分の年金額9.1万円に名目賃金変動率を反映したもの(9.7万円)を合算した金額から、「62万円」が設定されました(賃金約52万円+年金約10万円=62万円)。(2024年11月25日第21回社会保障審議会年金部会資料)

  • 在職老齢年金高在老の調整の対象となるのは、「老齢厚生年金部分です老齢基礎年金は高在老の対象ではないためどんなに報酬が高くても年金額がゼロになることはありません
  • 基本月額総報酬月額相当額の合計額が62万円を超えた場合のその超えた額の2分の1が支給停止されます

     条文上は年額で算出することとされています

 

具体例
  •  66歳の被保険者総報酬月額相当額が620,000円基本月額が100,000円の受給権者

 →総報酬月額相当額=620,000円

 →基本月額=100,000円

 

条文に忠実な計算

 →(620,000円+100,000円-62万円(支給停止調整額))×1/2×12600,000円支給停止基準額年額))

 ※条文では、支給停止基準額年額)が規定されている

 

月額での計算

 →(620,000円+100,000円-62万円(支給停止調整額))×1/2=50,000円支給停止基準額月額相当額

 →100,000円-50,000円=50,000円支給停止後の年金月額

 ※月額で計算し、要求されている数値を考える

基本月額

 

基本月額」とは、報酬比例部分の額(老齢厚生年金の額から加給年金額繰下げ加算額及び経過的加算額除いた額)を12で除して得た額をいう。(法46条1項かっこ書、昭和60年附則62条1項)

 

老齢厚生年金の基本月額とは、老齢厚生年金の支給額を計算する際の「土台になる月額」のことです。

実務や制度説明でよく使われますが、法律上の正式名称というよりは計算上の概念だと考えると分かりやすいです。


 

基本月額の中身

 

老齢厚生年金は、ざっくり言うと次の式で計算されます。

老齢厚生年金の年額 = 基本月額 × 被保険者期間の月数

このときの「基本月額」が、
その人の平均的な報酬水準を反映した1か月分の年金単価です。


 

基本月額はどうやって決まる?

 

基本月額は、主に次の要素から計算されます。

  • 平均標準報酬額
    (標準報酬月額+標準賞与額を平均したもの)

  • 生年月日によって決まる給付乗率
    (例:平成15年4月以降は 5.481/1000

イメージとしては、

平均標準報酬額 × 給付乗率 = 基本月額

という関係です。


 

なぜ「月額」で考えるのか

 

年金は本来「年額」で支給されますが、

  • 加給年金

  • 在職老齢年金

  • 支給停止調整

などの場面では、月単位での計算が必要になります。
そのため実務では、「年額 ÷ 12」ではなく、最初から基本月額という形で整理しておくと扱いやすい、という背景があります。


 

実務的な理解のしかた

 

実務や説明の場面では、

  • 「老齢厚生年金の基本月額」
    報酬比例部分の1か月あたりの金額

と理解しておけば、ほぼ困りません。

総報酬月額相当額

 

総報酬月額相当額とは、
在職老齢年金などの判定で使われる、「その人の収入を月額ベースに換算した金額」のことです。
これも法律用語というより、年金実務で使われる計算概念だと考えると分かりやすいです。


 

何のための金額か

総報酬月額相当額は、主に

  • 在職老齢年金の支給停止調整

を行うために使われます。

「働きながら年金をもらっている人の収入が、どの程度あるか」を月単位で把握するための指標です。


計算方法

総報酬月額相当額は、次の式で計算します。

総報酬月額相当額
= 標準報酬月額
+(直近1年間の標準賞与額の合計 ÷ 12)

ポイントは、

  • ボーナス(賞与)も含める

  • ただし月額に均す(÷12)

という点です。


「総報酬月額」との違い

名前が似ていて混乱しやすいですが、

  • 総報酬月額
     → 保険料計算用の基礎となる金額(標準報酬月額ベース)

  • 総報酬月額相当額
     → 年金支給停止判定のための調整用金額

用途がまったく違います。


在職老齢年金との関係

在職老齢年金では、

を合算し、一定額(基準額)を超えるかどうかで、年金の一部または全部が支給停止されます。

つまり、

「年金+給料が多すぎないか?」

を判断するための“給料側の指標”が
総報酬月額相当額です。


実務的な一言まとめ

 

総報酬月額相当額 = 給料とボーナスを合算して、年金調整用に月額換算した収入

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